地方の収益物件は購入すべき?メリット・デメリットまとめ

公開日2020/05/21
更新日2022/12/22

地方の収益物件は低価格・高利回りで魅力的?

自然と模型の家
不動産投資を行う際、東京都を始めとする大都市以外にも目を向けているという人も増えてきました。
 
地方の収益物件は、大都市の物件よりも安く買える上に利回りも高いので、魅力的に感じられるでしょう。
 
しかし、地方の収益物件は本当に購入するとお得なのでしょうか?
 
今回は、地方の収益物件を購入するメリット&デメリット、そして将来性まで探っていきたいと思います。

地方の収益物件を購入するメリット

一軒家

節税効果が期待できる

地方は大都市に比べ地価が安いので、物件を安価で購入できるメリットがある上に、節税も期待できます。
 
節税効果を大きくするには、減価償却費が大きなポイントとなります。
 
土地は減価償却できませんが、年月が経つと伴に老朽化の進む建物では価値が下がっていくので、減価償却が可能です。
 
地方の収益物件を購入する際は、不動産価格全体に対し土地の値段が安いため建物の価格の割合が大きくなり、その分減価償却費も大きく取ることができ、大きく節税することができます。
 
このことから、大都市で同じレベルの物件を買うよりも、地方の収益物件を購入した方が節税効果が高いと言えるでしょう。
 

利回りが高い

地方の物件は価格が安いため、キャッシュフローもよく、利回りが高いというメリットがあります。
 
日本不動産研究所の調べによると、東京23区の城南エリア(港区・品川区・目黒区・大田区)の期待利回りは4.5%であるのに対して、広島の利回りは6.1%です。
 
さらに、地方とは言えませんが大阪・横浜の利回りは5.2%。都内より遥かに高いことがよく分かります。
 
利回りが高いと、それだけ早く投資分を回収することができる可能性が高まります。
 
ただし、利回りの高い地方物件の中には、利回りの高さしかメリットがない物件も存在します。
 
地方は人口減少が進んでいるため、空室リスクが都内に比べて高いのです。
 
そのため、高い利回りにしないと、収益物件を売りたくても売れないのが現状。
 
投資家も地方に投資する場合は、できるだけ早く投資分を回収できる高利回り物件を狙います。
 
つまり、地方の収益物件は短期間で投資分を回収できる可能性がありながら、短期間のうちに空室リスクが高まる可能性も高いのです。
 
地方の高利回り物件はメリットでもあり、リスクでもあるという諸刃の剣なのです。
 

将来性の高いエリアもある

地方の中には安定的な人口増加を記録している県や都市もあります。
 
人口増加が続いている地方と言えば沖縄県。
 
沖縄県で発行されている地方紙「沖縄タイムズ」によると、沖縄の人口は2025年まで増加する見通しだそう。
 
近年は外国人技能実習生が沖縄に多く流入しており、日本人以外の人口も増加しています。
 
都市で見ると福岡市の人口増加率は、政令指定都市の中でトップクラスの5.1%
 
札幌市も人口の増加が続いており、札幌市は特に外国人の流入が著しいです。
 
実際1999年から2008年の間に、外国人住民登録者は1.3倍にまで増えています。
 
地方は衰退していると言いますが細かく見ると、発展目覚ましい県や都市もあるのです。
 
こうした将来性の高いエリアに投資を行えば、地方への不動産投資も成功させやすいでしょう。
 

価格競争に陥りにくい

大都市は不動産投資が活発で、沢山の賃貸物件があります。
 
入居者に自分の物件を選んでもらうためには、家賃価格が一つの大きなポイントになります。
 
そのため、周囲に賃貸物件が数多くあるエリアでは、どうしても価格競争が起こり家賃も下がっていきます。
 
相場以下にまで家賃を落とさないと入居者付けが難しくなると、キャッシュフローも悪化しローンの完済にも長い時間がかかってしまうでしょう。
 
しかし、地方にはそもそも競合するような賃貸物件が多くないので、価格競争にも陥りにくいのです
 
相場と同程度の家賃を設定すれば、よっぽどの悪条件でない限り入居者付けができるので、価格競争により収益が悪化することはほとんどありません。

地方の収益物件のデメリット

田舎

人口減少と少子高齢化

日本は現在少子高齢社会で、人口も年々減少しています。
 
その煽りを一番多く受けているのが、地方都市。
 
若者の東京進出が進み、地方からは人口が流出し、高齢者ばかりが残されるようになりました。
 
その影響を大きく受けるのは、やはり賃貸物件です。
 
地方の賃貸経営は非常に難しく、人口減少の影響を受け、空室リスクが非常に高くなっています。
 
そして一度空室が出れば、それが長期化することも少なくありません。
 
物件は保有しているだけで、固定資産税や管理費など様々な費用がかかってきます。
 
そのため資金繰りが悪化しやすく、最悪の場合、賃貸経営が立ち行かなくなってしまうのです。
 
また地方の場合、土地が安いので賃貸を借りて家賃を支払うよりも、マイホームを買ってローンを払った方が安上がりだという地方ならではの特性があります。
 
ファミリー層の多くは、将来的に戸建てを購入してしまうので、大きめの賃貸住宅は需要が低いのが現状です。
 

需要と供給のバランスが崩壊しやすい

”人口減少と高齢化により、地方は賃貸需要が今後益々低下する”というお話をしましたが、地方の中には活気があり、人口も増加しているエリアもあります。
 
そうしたエリアの特に多くみられる特徴が、主要産業を持っていることです。
 
自動車や造船、家電メーカーの工場などがあるエリアには、若者が移り住み、産業の発展とエリアの発展が比例しています。
 
こうしたエリアでは賃貸経営も行いやすいですは、一度産業が崩壊してしまったり、企業が撤退するとどうでしょう?
 
仕事先がなくなると途端に若者が姿を消し、そのエリアは急速な衰退を迎えます。
 
実際に大分では、とある工場が閉鎖した後に労働者の多くがその地を離れ、工場付近の家賃も半額以下にまで下がり、エリア自体が衰退した事例がありました。
 
工場以外にも、大学などの教育機関が街を支えていることもあります。
 
東京であれば街から1つの企業が撤退しても、他にも沢山の企業があるため大きなダメージを受けることはありません。
 
しかし地方を拠点とする大企業は多くないので、どうしても一つの企業に対する依存度が高くなってしまうのです。
 
需要と供給のバランスが崩壊しやすいという脆さが、地方への投資を難しくさせている原因のひとつだと言えるでしょう。
 

出口戦略を取ることが難しい

賃貸経営に失敗した先のことも、経営を始める前には考えなくてはなりません。
 
賃貸住宅の場合、最悪物件を売って借金を返済することができますが、賃貸需要の低い地方では、”物件を売りたくても売れない”状況に陥る可能性も。
 
所有するだけでも管理費などで赤字が出る上に、手放すことも難しいとなると、残された道は破産のみ。
 
地方の物件は需要が少ないので、出口戦略を立てることが難しいという事情も投資前にはよく理解しておきましょう。
 

融資を受けにくい

「大都市に住みながら、地方都市に投資を行いたい」と考えている人も多いでしょう。
 
しかし金融機関の中には、支店から近距離に申請者の居住地か勤務地、投資対象物件がないと融資をしてくれないことも…。
 
結局、地方の物件を買うのはその地方に住む人だけになってしまい、競争率が下がり物件の価格も安くなっているのでしょう。

地方の収益物件を購入するときのポイント

地方で収益物件を購入する際は、大都市とは異なる”地方ならではのポイント”を抑えておくことが大切です。
草原

駅近は重要ではなく、駐車スペースが重要

車文化が発達している地方は、「駅近」「徒歩圏内にスーパーやコンビニがある」といった利便性はあまり優先されません。
 
駅近の物件よりも、駐車スペースの有無を気にする人の方が多い傾向があります。
 
都市部では、そもそも車を持っていない世帯も多いですが、地方では車がないととても不便。
 
こうした地方ならではのポイントを抑えた上で、投資を行わなければ地方の投資は成功できません。
 
地方物件の中には1世帯2台以上の駐車スペースを、確保することが難しい物件もあるでしょう。
 
そんな時は、近くに月極の駐車場を確保できるのかも大事なポイントです。
 

近隣・地元住民の声を聞く

都心に住む人が、地方に住む人の生活を想像することは簡単ではありません。
 
想像とリアルがかけ離れていると、投資に成功しないのは当たり前のことです。
 
そのため物件を購入する前に、入居者や地元の人に地域の住み心地やどんなエリアなのか特徴を尋ねることは非常に大切です。
 
住民の生の声を聞いて、入居者が住みやすいと思えるような場所かどうかあらかじめ確認しておきましょう。
 
そのためには地方に足を伸ばし、どんな人が住んでいるのか、どんな雰囲気の街なのか投資家自身が肌で感じることが求められます。
 

外国人入居者を取り込む

地方の中には外国人の住民登録者が著しく増加している県もあります。
 
特に政府が外国人技能実習生の雇用を積極的に押し進めたことから、近年では農業や介護、漁業を手伝うために日本の地方に来たいという外国人も多いです。
 
外国人は日本人に比べ、賃貸物件の居住年数が長いという特徴があります。
 
国籍が違うだけで部屋を貸してもらえないことが多いので、一度外国人が入居すると日本人より長く住んでもらえることが多いのです。
 
そんな外国人入居者を上手く取り込むことができれば、地方でも空室率の高さに頭を抱えることはないでしょう。
 
また、外国人が入居できる物件は限られているため、多少家賃を高く設定しても、入居者が集まりやすいというメリットがあります。

地方の収益物件のまとめ

山
入居者のニーズにあった物件を選べば、収益が見込める地方の収益物件への投資。
 
移住やテレワークなどが広がりを見せる今、地方物件に投資する価値は十分高まっています。
 
まだまだ人口増加が見込まれる、元気な地方都市や穴場のエリアを探してみるのも良いでしょう。
 
この機会にぜひ、地方の収益物件への投資を検討してみてくださいね。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

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