金のつぶたべよう~
2022年4月現在、純金1グラム当たりの取引価格が8000円を超えて9000円台目前です。現物の販売価格・買取価格、先物各限月も含めて。
「有事の金」と言われ、その騰勢は望ましいとは言えないかもしれませんが、過去にも金の取引価格が大きく上昇した事例が二度あります。
第二次オイルショックの影響で1980年頃が一回目、二回目はリーマンショックの影響で2008年頃、そして今回新型コロナウィルスの影響と言われていますが2020年に急騰、更に今年のウクライナショックが重なり、最高値になりました。
金先物取引の本場ロンドン市場とニューヨーク市場でも、2020年夏に最高値更新以降同水準を推移、先月3月10日に1トロイオンス当たり2000ドルを上回って、再度の更新に勢いづいています。
「金」を運用商品として考えたとき、絶対的優位なのは「現物がある、限りある資源」という点です。
宝飾品としても工業品としても欠かせない原料なので「一瞬で紙くず」のリスクがなく、安定性が高いと言えます。
普遍的な価値は世界で認められ、金本位制の名残もあり世界中どこでも換金ができます。
さらに各国の保有量はIMF(国際通貨基金)の管理下にあり、埋蔵量も把握されています。
投資方法
【現物保有】
金地金(インゴット、ゴールドバー、金塊)・金貨(記念もの)などを一括購入。まとまった資金が必要。
【純金積み立て】
設定した金額分の重量を毎月自動購入するので、月によって購入量が異なる。逆に定量を設定して毎月購入するプランも。少額から始められる。
【金ETF】
金地金等を証券化した上場投資信託。決まった金商品をみんなで購入するイメージ。金融不安時の保険やインフレヘッジ機能として投資家が活用。
【金投資信託】
ゴールドや純金と商品名に入っている金連動型投資信託。少額から始められる。金ETFなど多商品の投資ファンドへ出資するイメージ。
【商品先物取引】
将来の売買を約束する証拠金取引、レバレッジ取引で投機としての見方が大勢。
いずれも手数料や信託報酬、保管料など維持や購入になんらかのコストがかかります。
投資対象としての金
そもそも投資としては「買って上がったら売って差額が儲かる」という単純な取引で、株取引や投資信託、不動産投資のようなインカムゲイン等の恩恵はありません。
無国籍通貨として共通する点では、最近流行りの仮想通貨(がゆるやかになった)取引が近いかもしれません。
運用としては、下落リスクがしっかりとあり、経済安定期は動きが小さく物足りなさからあまり魅力を感じない人が多いと思います。
希少価値が高く、比較的安全資産という位置づけから、宝飾品や工業品(何かの部品)として手元にあるのが資産になっているというのが一番上手な運用方法かもしれません。
中国やインドでの現物人気は圧倒的です。
過去の高騰で注目を集め、インフレに強く分散投資の保険役など、他の投資商品とは特徴が異なることからラインナップが増え、なじみが深い安心感もあり、投資人口が増えているようです。
近年は街中で「買取専門」「高価買取」などの看板が増え、金現物を取り扱うお店が身近になりましたが、訪問買取などでのトラブルが増えていますので、特に貴金属類の購入や売却先などは、失敗のないようにきちんと調べて取引しましょう。
資産形成としての金
文部科学省新学習指導要領で告示され、今年度から高等学校家庭科授業で「金融商品」について学習することになりました。
本コラムでもたびたび取り上げられている老後資金2000万円問題や成人年齢引き下げに端を発してのことだと思われますが、将来の経済計画・資産形成を高校の授業で学ぶことになります。
高校生が休み時間にスマホで老後のための資産形成という時代になってきます。
このゴールデンウィーク、平時ではない今だからこそ、これまでとは違う分散投資先の一つとして「金」を使った資産形成について、粘り強く検討してみるのはいかがでしょうか。
‘’納豆カンパニーの納豆社員をキャッチフレーズに、あきらめることのない粘り強さを持った、めげない人になろう‘’
このコラムを書いている人
石倉 直樹
1973年大阪生まれ 好きなキャラクターはねり丸、エルちゃんカルちゃん、昨年94年の歴史に幕を閉じたとしまえん、たくさんの思い出をありがとう。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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