サブリースの契約をする前に(賃貸住宅管理業法)

公開日2021/09/21
更新日2021/09/23

前回コラムのあらまし

前回、賃貸住宅管理業者の登録制度について話をさせて頂きました。まとめると賃貸住宅管理業者はより一層オーナー側に寄り添った能力や行動が求められるという事、その為の指標の一つとして登録制度があるという事です。

しかしここで、ちょっと気になる事があります。賃貸住宅管理は今後、管理の行き届いた会社が残っていくであろう事は想像できる。じゃあ、サブリースはどうなるのでしょう?

 

マスターリース・サブリースとは

マスターリース・サブリースとは不動産業者自らが借主として物件を借りる契約を指します。その不動産業者は、借りた物件を貸主の立場として、借主を募集し、貸す事(又貸し)により収入を得て、借主として支払う賃料と貸主として受取る賃料の差額にて収益を得ます。ここで、重要なのは、業者はあくまで借主であるという事です。

 

所有者を苦しませる事になった「名文句」

今は、あまりテレビやラジオで聞く事は少なくなりましたが、【●●年一括借り上げ】という所有者を安心させる定番文句が以前は、よく聞かれました。家賃収入を重要視している所有者にとっては、家賃収入がなくなるリスクは一番に挙げられる不安要素でしょうから、この「名文句」は多くの所有者の心に刺さるものだったでしょう。

しかし、ここに大きな落とし穴がありました。

 

2つの落とし穴

  1. 借主である「不動産業者」は、賃料減額請求ができる。

不動産は生鮮食品と同じで、時間が経つにつれて「価値」が下がります。

それによって、周辺の他物件の相場を鑑みて、割に合わないと見るや、賃料を下げる交渉ができるのです。スタート時の家賃収入を見込んで収支を考えていた所有者からすると寝耳に水の話です。

 

  1. 借主である「不動産業者」は、解約の申し入れができる。

原則としては、期間の定めのある賃貸借契約では、期間中の中途解約は認められないのですが、特約により解約できる旨を定める事ができます。更に、貸主は解約日の6か月前までに正当な理由において解約できるのに対し、借主は期間の制限も正当な理由の有無も必要ありません。その為、特約に1か月前までに解約申し入れをする事と書かれていれば、成り立ってしまうのです。「えっ!【●●年一括借り上げ】って約束したよね?」と言ったとしても、「当時と状況がかわりまして・・・。」と言われば、それまでです。

 

誕生した【賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律】

これらの不安を払拭するために誕生したのが【賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律】です。この条文の中には、不動産業者が物件を借主として借りる際に、どういった条件で契約をするのか契約前に貸主である所有者に書面を交付し、説明の上、理解・納得頂く事を求めています。更に契約時においても、内容について契約書面の交付・説明が求められており、事実を隠す行為や都合の悪い内容を載せず、実際よりも優良な契約であると誤認させることのないよう、求めております。これらの業務を不動産業者に課す事により、所有者の立場を守ろうとしたのです。

 

所有者の責務

以上の様に、所有者を守る対策が講じられるようになりましたが、あくまで法律は手助けに過ぎません。結局のところ、最後は、所有者であるあなた自身の理解が必要になるのです。

これから、所有物件を貸し出そうとしている所有者の方!

管理を管理会社に任せるにしろ、直接貸し出すにしろ、不動産業者任せにだけはしないようにしましょうね。

このコラムを書いている人

相馬將志

相馬將志

千葉県出身、お風呂での鼻歌がいつの間にか熱唱にギアチェンします。 保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、FP2級

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