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- マンション売却の虎の巻!!マンション売却を不動産の専門家がしっかり解説!マンション売却を知ろう!
どんな内容が書いてあるの?
マンション売却を徹底解説!不動産の専門家が売却前、売却活動中、売却契約時、売却活動終了後のそれぞれの場面の注意事項の解説やマンション売却かかる費用・時間等をわかりやすく徹底解説します!
「マンションを売却したいけど手順が分からなくて不安」「マンションを高く売却して上手に住み替えしたい」とお悩みではないでしょうか?
マンション売却は手順と注意点、先人の失敗例をしっかり押さえておけば大丈夫です。
費用感やかかる時間も事前に知っておき、焦ることのない売却活動を始めましょう。
この記事では、不動産売却の専門家「株式会社FGH」のマンション売却専門のスタッフが、マンション売却のすべてを網羅して解説します。
この記事を読めば、より高く、トラブルなくマンションを売却できるでしょう。
マンション売却の手順を説明!全体の流れをしっかり押さえよう!
実際にマンションを売却する前に、全体の流れをぜひ把握しておきましょう。
マンション売却は以下の手順で行います。
- 売却査定を受ける
- 不動産会社を選ぶ
- 不動産会社と契約する
- 売却価格を決める
- 売却活動を開始する
- 売買契約を結ぶ
- 引き渡しを行う
- 確定申告をする
すべての手順について、詳細に解説します。
【マンション売却手順1】マンション売却査定を受けよう
まずは不動産会社によるマンション売却査定を受けましょう。
マンション売却査定の3つのポイントは以下になります。
- 訪問査定を依頼する
- 複数社に査定を依頼し、査定金額を比較する
- この時点でハウスクリーニングをする必要はない
マンションの売却では、売り出す際の価格を自分で決定しなければいけません。
不動産会社なら、売り出し価格を想定したマンションの査定が可能です。
不動産会社によるマンションの査定には以下2つの方法があります。
- 机上査定
いわゆる簡易査定。不動産のデータを基に価格を算出する
- 訪問査定
実際に現地調査をして、不動産のデータと併せて価格を算出する
本格的にマンションの売却を検討する場合には、必ず訪問査定を選びましょう。
査定は必ず複数社に依頼してください。マンション査定には明確な査定基準が存在しないため、査定結果の高い・安いの判断には複数社の査定金額を比較する必要があります。
また、この時点での部屋の汚れ・損傷などの状態は査定に影響しません。
部屋が汚い場合のハウスクリーニングは、実際に売り出し始めて内覧が始まってからにしましょう。
【マンション売却手順2】不動産会社を選ぼう
各社の査定が出揃ったら、契約する不動産会社を選びましょう。
不動産会社選びの2つのポイントは以下になります。
- マンションの販売実績が多い
- 担当者が親身で対応がスピーディー
不動産会社選びで最優先に確認したいポイントはマンションの販売実績です。
査定や売買の取り扱いはできても、メインは土地売買でマンションにはあまり力を入れていない不動産会社があります。
販売実績を確認し、直近に同じマンション内の別の部屋や、似た立地・条件のマンションが売れている不動産会社を選びましょう。
また、担当者の対応力も重要です。こちらの質問に対しスピーディーに、親身に答えてくれる担当者がいる不動産会社をおすすめします。
【マンション売却手順3】不動産会社と契約しよう
不動産会社を決定したら、媒介契約を結びます。
不動産会社との契約の2つのポイントは以下になります。
- 媒介契約には3つの種類がある
- 自分で買い手を探さないなら専属専任媒介契約がおすすめ
媒介契約とは、不動産会社に売却の支援や販売広告を提供してもらう代わりに、売却時に手数料を支払う契約です。
媒介契約には3つの種類があり、それぞれできること・不動産会社がやることが異なります。
契約の種類 | 2社以上との契約締結 | 自分で見つけた買い手との取引 | 売主への販売状況の報告義務 |
一般媒介契約 | 〇 | 〇 | なし |
専任媒介契約 | × | 〇 | 2週間に1回 |
専属専任媒介契約 | × | × | 1週間に1回 |
3種類の媒介契約については、この記事の後半でより詳しく解説しています。
自分で買い手を探すつもりがなく、不動産売却に不安要素がある場合は専属専任媒介契約がおすすめです。
手厚い支援を受けられ、ほぼ不動産会社にお任せで買い手探しを進行できます。
【マンション売却手順4】マンションの売却価格を決めよう
媒介契約を結んだら、マンションを売り出すために売却価格を決めます。
マンションの売却価格決定の3つのポイントは以下になります。
- 売り出し価格は売主が決めるもの
- 査定額+20%を上限に価格設定しよう
- 値下げ情報はチェックされるので早く売りたい場合は慎重に
初めてマンションを売り出す際の価格を「売り出し価格」と呼びます。
売り出し価格は売主が自由に決められますが、相場とかけ離れているマンションはなかなか売れません。
目安としては、査定額+20%程度を上限に価格を設定するのがおすすめです。
売り出し価格からの値下げも売主の自由ですが、最近の買い手は値下げの情報をくまなくチェックする傾向があります。
「まだ値下げされるのでは」と、多くの買い手はなかなか購入に踏み切りません。
早期に売却したい場合は、より慎重に不動産会社と販売戦略を相談して売り出し価格を決定しましょう。
【マンション売却手順5】マンション売却活動を開始する
売却価格が決まったら、本格的な売却活動のスタートです。
マンション売却活動の3つのポイントは以下になります。
- 売主が対応するのは「内覧」
- 玄関やキッチンなど買い手が気にする箇所を重点的に掃除しておく
- マンションに大きな傷や劣化がある場合は必ず買い手に伝える
インターネットやチラシを使った販売広告は、不動産会社がすべて行ってくれます。
売主が対応するのは「内覧」への対応です。
買い手にマンションを買いたいと思ってもらえるような内覧の準備と、当日の対応が必要になります。
なおすでに新居へ引越しており、売却するマンションに何もない場合には内覧に立ち会う必要はありません。
この場合には、不動産会社による内覧対応となります。
内覧の準備
内覧の前の準備は、主にマンションの部屋内の掃除です。
買い手は「部屋が汚い」というだけで、購入の選択肢から外すことは少なくありません。
多くの買い手は内覧の際、特に以下のような点をチェックしています。
- 玄関の綺麗さ
- キッチン・お風呂などの水回りの汚れ
- 空間の広さ
- ペット・たばこの臭い
第一印象を決める玄関は重点的に掃除しておきましょう。
水回りはクエン酸や重曹などを上手に使って掃除するのがおすすめです。
掃除にはハウスクリーニングを利用する手もあります。ある程度の費用が掛かりますが、どうしても自分で取れないひどい汚れがある場合は検討しましょう。
また不動産会社によっては掃除のオプションサービスを受けられる場合があります。
オプションについてはこの記事の後半で解説しているので確認してみてください。
内覧当日の対応
内覧当日は不動産会社、売主、買い手の3者で部屋を見て回ります。
買い手からの質問に答えられるように、不動産会社と打ち合わせてマンションのアピールポイントを整理しておきましょう。
内覧時の注意点として、補修できなかった大きな傷・劣化などの不備がある場合には買い手に必ず伝えてください。
後から発覚すると、契約不適合責任を問われる可能性があります。
契約不適合責任についてはこの記事の後半で詳しく解説しているのでご確認ください。
トラブルを避けるため、マンションの傷や劣化の有無は確実に買い手に伝えましょう。
【マンション売却手順6】マンションの売買契約を結ぶ
内覧した買い手から実際にマンションを購入したい買主が現れたら、売買契約を結びます。
マンション売買契約の2つのポイントは以下になります。
- 売買契約書への署名捺印とお金のやり取りを行う
- ローンが残っている場合は、契約後早めに管理組合と金融機関への連絡が必要
売買契約時には以下の2つの手続きを進めていきます。
売買契約書は売主・買主ともに記載内容を確認し、必ず合意の上で契約しましょう。
売買契約書の記載内容については、こちらで詳しく解説しているので確認してください。
またこの際マンション・設備の不具合を買主に伝える「告知書」と「付帯設備表」も渡すので、事前に打ち合わせて記載しておきましょう。
告知書と付帯設備表の注意点は、こちらに記載しているのでご確認ください。
売買契約書には、売却金額に応じた収入印紙を貼る必要があります。
事前に不動産会社に金額を確認し、用意しておきましょう。
署名・捺印した売買契約書は売主・買主でそれぞれ1冊ずつ保管してください。
このタイミングで、売主は仲介手数料の50%を不動産会社に、買主は手付金として購入金額の5~10%を売主に支払います。
また、マンションのローンが残っている場合は、引き渡し日にローンの一括返済が必要です。
売買契約を結んだら、早めに以下の2か所へ連絡してください。
- マンションの管理組合
- ローンの融資を受けている金融機関
マンションの管理組合には、引き渡し日に「組合員資格喪失届」を提出しなければいけません。
やりとりは不動産会社の担当者が行ってくれますが、管理組合への事前連絡は必ず行ってください。
ローンの一括返済には事前の手続きが必要ですので、金融機関にも忘れずに連絡しましょう。
特に金融機関には、引き渡しまで2週間を切った時点で連絡すると、手続きが進行できなくなるので注意してください。
【マンション売却手順7】マンションの引き渡し
売買契約を結んだら、1~3ヶ月ほどでマンションを引き渡します。
マンション引き渡しの3つのポイントは以下になります。
- 引き渡しまでに必ず引っ越しを完了させる
- 必ず司法書士に渡す書類を用意しておく
- 当日は代金の支払い・鍵のやり取り・登記情報の変更手続きを行う
売主がまず考えなければならないのは引き渡し日までの引っ越しです。
早めに引っ越し業者を手配して引っ越しを完了させてください。
時期によって(特に3月頃)は引っ越し業者をなかなか手配できないことがあるので、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
引き渡し当日は売主、買主、不動産会社、司法書士の4人(住宅ローンの利用がある場合は銀行の担当者も)が集まります。
司法書士は不動産会社が手配してくれるので、売主からコンタクトを取る必要はありません。
引き渡し当日に行われる手続きは主に以下の4つです。
- 買主から売主への購入代金の支払い
- 売主から買主への鍵の受け渡し
- 司法書士による登記情報の変更
- 売主から不動産会社への仲介手数料の支払い
司法書士による登記情報の変更や税金・公共料金精算のため、以下の9つが必要になります。
書類の種類 | 取得場所 |
マンション登記簿謄本 | 行政機関(市役所等) |
印鑑証明書 | 行政機関(市役所等) |
固定資産税評価証明書 | 行政機関(市役所等) |
売買契約書 | 引渡し前に買主と結んだもの |
登記識別情報(権利証) | マンション購入時にもらっている |
管理規約やパンフレット | マンション購入時にもらっている |
公共料金領収証 | 自分で取得したもの |
実印 | 自分で取得したもの |
本人確認書類 | 自分で取得したもの |
事前に市役所に行き、必要な書類を必ず用意してください。
不動産会社への仲介手数料の支払いまで終わったら、マンションの売却手続きは終了です。
【マンション売却手順8】マンションを売却したら確定申告も忘れずに!
マンション売却後は確定申告をしましょう。
確定申告の3つのポイントは以下になります。
- 確定申告は譲渡所得が発生した場合には必ず行う
- 損失が出た場合も節税のために確定申告した方がよい
- 確定申告はマンション売却の翌年に行う
マンション売却で出た利益は「譲渡所得」のため、年末調整を会社で行っている給与所得者でも確定申告が必要になります。
確定申告は「確定申告書」を作成し、翌年2月16日~3月15日に税務署へ提出してください。
利益が出たのに確定申告を忘れた・やらなかった場合には税務署からの調査が入り、余計な税金を支払わなければならなくなる可能性があるため注意しましょう。
なお譲渡所得は以下の式で計算します。
- 譲渡所得
譲渡価格(売却価格)-取得費(減価償却後のマンション価格)-譲渡費用(仲介手数料など)
譲渡所得がマイナスになった(損失が出た)場合は、税金が発生しないので確定申告は不要です。
ただし損失は給与などの所得と損益通算ができます。
給与などの所得を損失が上回っている場合には、複数年にわたる損益通算が可能です。
これにより数年単位での大幅な節税もできます。
そのため損失が出た場合でも確定申告をした方が良いでしょう。
また各種控除が利用できるので、こちらも参考に確定申告を進めてください。
マンション売却にはこれだけ【費用】がかかる!
マンション売却は、全体を通していくつか費用がかかります。
資金計画とのズレが起きないよう事前にしっかり把握しておきましょう。
マンション売却にかかる主な費用は以下の通りです。
費用がかかる項目 | 費用目安 |
仲介手数料 | (物件価格の3%+6万円)+消費税 |
ハウスクリーニング代 (必須ではない) | 3~5万円(物件による) |
司法書士依頼費用 | 1万円前後 |
所得税・住民税 | 譲渡所得の20.315% 保有期間5年以下なら39.63% |
ローンの返済費用 | 人による 手数料が1~3万円かかる |
印紙税 | 売却金額により1,000円~6万円程度 |
引っ越し費用 | 運び出す物による 10万円~ |
マンション売却時にかかる費用のうち、特に金額の大きいものは以下の3つです。
- 仲介手数料
- ハウスクリーニング代
- 司法書士依頼費用
それぞれの金額相場や必要な理由について解説します。
【マンション売却でかかる費用1】仲介手数料
不動産会社に仲介してもらった場合には、仲介手数料がかかります。
仲介手数料の相場は「(物件価格の3%+6万円)+消費税」です。
不動産会社によって実際の金額が異なるので確認しておきましょう。
なぜ仲介手数料がかかるのかというと、不動産会社は以下のような業務をやってくれるからです。
- 広告の作成・掲載
- チラシのポスティング作業
- 内覧や契約等の立ち合い
- 各種書類作成の代行・支援
一般的に仲介手数料は、売買契約を結ぶタイミングで半分、引き渡しのタイミングで残りの半分を支払います。
売買契約時には手付金を買主にもらうので、手持ちがない場合には手付金を仲介手数料に充てることも可能です。
【マンション売却でかかる費用2】ハウスクリーニング代
ハウスクリーニングは義務ではありませんが、買い手をつけるためにはほぼ必須になります。
ハウスクリーニング代の相場は3~5万円です。
部屋の面積や設備によってはこれ以上の金額も想定しておきましょう。
ハウスクリーニング代は売却価格への上乗せは難しいので、基本的には損失と考えておいてください。
またハウスクリーニングと合わせてリフォームをする方がいますが、リフォームは不要です。
リフォームをしても売却価格への上乗せが難しく、費用回収にならないケースが多いので注意しましょう。
【マンション売却でかかる費用3】司法書士依頼費用
不動産登記を司法書士に代行してもらうために、依頼費用がかかります。
司法書士依頼費用の相場は1万円前後です。
登記情報の変更は自分でも行えますが、ミスが許されないので司法書士に依頼しましょう。
なお司法書士の依頼費用は後日の振り込みが一般的ですが、引き渡し日に現金精算も可能です。
マンション売却にはこれだけ【時間】がかかる!
マンション売却は事前の準備からすべての手続きが完了するまでに、4~6ヶ月程度かかります。
公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)」によると、2021年のマンション売却における、売り出しから成約までの平均日数は74.7日です。
売り出してから買い手が見つかるまでにおよそ3か月の期間と、事前の準備期間・成約後の手続き期間を見ておかなければいけません。
マンション売却のそれぞれの工程における「かかる時間」を把握しておきましょう。
マンションの売却には以下の9つの工程があります。
工程 | かかる時間(平均) |
事前準備 | 1週間 |
売却相場の調査 | 1~3日 |
査定依頼 | 1週間 |
不動産会社の選定 | 1週間 |
売り出しスタート | 1週間 |
売却活動 | 3か月 |
売買契約 | 1週間 |
引き渡し・決済 | 1ヶ月 |
確定申告 | 時期・内容による |
工程別に時間がかかる理由や作業内容を見ていきましょう。
【マンション売却でかかる時間1】事前準備をする
書類名 | 失くした場合の対応 |
権利証or登記識別情報 | 司法書士・弁護士に相談3~10万円程度の費用がかかるので注意 |
住宅ローンの残債が分かるもの | 金融機関に相談 |
マンション購入時の売買契約書・重要事項説明書 | 購入した不動産会社へ連絡・再発行 倒産の場合は後述 |
マンションの間取りがわかるもの | マンションの管理会社へ連絡・再発行 |
固定資産税評価証明書or納税通知書 | 役所の税務窓口に相談 |
基本的にはすべてご自宅にあるはずなので探しておきましょう。
失くした場合は、上記のように対応してください。
なおマンション購入時の売買契約書を失くしてしまい、すでに購入時の不動産会社が倒産してしまった場合には、売買契約書の代わりに以下のいずれかを用意します。
- ローンの償還表or金銭消費貸借契約書
- 登記簿謄本
- マンションのパンフレット(価格の記載があるもの)
- 銀行口座の入出金履歴
内容によっては売買契約書の代わりとして認められないので、複数用意しておくのが無難です。
不足の無いように、すべての書類を揃えましょう。
【マンション売却でかかる時間2】売却相場を調べる
売却相場を調べるだけなので、この工程は早くて1日で終わります。
マンションの売却相場は「Reins Market Information」などで調査可能です。
不動産会社に査定してもらう前に、自分でもマンションの売却相場を把握しておきましょう。
ただしマンションの価格相場は、上記のレインズマーケットによる相場や、マンションの基本情報のみでは決まりません。
マンションの価格相場については、こちらでも詳しく解説しているのでご確認ください。
【マンション売却でかかる時間3】マンション売却の簡単な査定を依頼する
不動産会社への査定依頼から実際に査定をしてもらうまでに、平均1週間程度かかります。
この工程では複数の不動産会社に連絡をし、現地に来て査定をしてもらいます。
現地で対応する必要があるので、以下に該当する方は1週間を超える期間を想定しておきましょう。
- 忙しくなかなか時間が取れない方
- 多くの不動産会社を吟味したい方
【マンション売却でかかる時間4】不動産会社を選定する
査定金額が出揃い不動産会社を選定するまでには、平均1週間程度かかります。
あなたのマンションが高く、早く売れるかどうかは、不動産会社とその担当者にかかっています。
後述する担当者選びのポイントも押さえながら、急がずにじっくり決めましょう。
【マンション売却でかかる時間5】売り出し価格を決めマンション売却スタート!
不動産会社との媒介契約締結から売却スタートまでには、平均1週間程度かかります。
この期間にやることは以下の3つです。
- 売り出し価格の決定
- 掲載する写真の撮影
- 部屋内の片付け
売り出し価格はマンションが早期に売れるかを左右する重要なポイントです。
じっくり担当者と戦略を話し合って確定させましょう。
またホームページなどに掲載する写真を撮影するので、この時点である程度部屋の片付けが必要です。
売却活動がスタートしたら購入希望者の内覧対応が入ってきます。
特に買い手が気にする水回りがあまりに汚い場合は、ハウスクリーニングの使用も検討しましょう。
ハウスクリーニングの費用などはこちらで解説しています。
【マンション売却でかかる時間6】マンションの売却活動を行う
マンションの売却活動をスタートしてから買い手が見つかるまでに、平均1~3か月程度かかります。
この工程でやることは以下の2つです。
購入希望者が現れるたび、内覧対応が入ってきます。日程を合わせて都度対応しましょう。
この工程にかかる期間はマンションの立地条件や、不動産会社の担当者の手腕によって大きく変わってきます。
人気のエリアなら2週間もかからず買い手が見つかるケースも少なくありません。
逆に条件が悪いと4か月以上の期間を見込んでおく必要があります。
場合によっては担当者と、価格を下げるなどの戦略を話し合いながら進めていきましょう。
【マンション売却でかかる時間7】マンション売買契約を結ぶ
買主の決定から売買契約を結ぶまでには、平均1週間程度かかります。
売買契約はこの後行う引き渡しの1~3か月前に行うのが一般的です。
この工程は1度売主・買主・不動産会社が集まって、売買契約書の取り交わしや金銭のやり取りを行うのみです。
詳しい内容についてはこちらを参照してください。
【マンション売却でかかる時間8】マンションの引渡し・決済を行う
売買契約を結んでから引き渡し・決済までには、平均1か月かかります。
不動産会社や金融機関は準備期間が必要なため、この工程にかかる時間はほとんど縮められません。
(住宅ローンがなく引っ越しがもう済んでいる場合は、最短1週間程度で進行できます)
この工程では以下の4つをしっかり漏れなく行いましょう。
やること | 期限 |
管理会社への連絡 | 早め(できれば売買契約締結直後) |
(ローンがある場合)金融機関への連絡 | 引き渡しの2週間前まで |
登記に必要な書類を揃える | 当日まで |
(居住している場合)引っ越し | 当日まで |
手続きの内容や必要書類に関してはこちらを参照してください。
2,3月に行う場合、混んでいて引っ越し業者がなかなか手配できない可能性があります。
ギリギリでよいと思わずに、なるべく早めに行いましょう。
【マンション売却でかかる時間9】確定申告をして納税する
確定申告をするのは、マンションを売却した翌年の2月から3月の間にしなければなません。
それまでに確定申告書の記入と必要書類の準備を完了させましょう。
確定申告に必要な書類は以下の7つです。
書類名 | 取得場所 |
売買契約書のコピー | 売買契約締結時のものをコピー |
登記事項証明書 | 法務局の窓口またはホームページ |
マンション取得時の領収書 | マンションの購入時に取得済み |
源泉徴収票 | 会社から発行 |
マイナンバーがわかるもの (マイナンバーカードor住民票) | 市役所など |
保険料控除にかかる書類 | それぞれの保険会社 |
仲介手数料などの領収書 | 引き渡し時などに取得済み |
登記事項証明書は窓口ならすぐもらえますが、郵送の場合は3日~1週間程度かかります。
直前になって慌てないよう、余裕を持って準備しておきましょう。
マンションの売却における主要な売却方法3つをご紹介!
マンションの売却の方法は、不動産会社に支援してもらう「仲介売却」のみではありません。
大きく分けて以下の3つの売却方法があるので、それぞれの違いを押さえておきましょう。
項目 | 取得場所 | 買取売却 | 任意売却 |
売却価格 | 相場の前後 | 相場の70~80%前後 | 金融機関による |
かかる期間(平均) | 4~6か月 | 1~3か月 | 4~6か月 |
依頼する相手 | 不動産会社 | 不動産会社or 不動産買取業者 | 不動産会社or 専門業者 |
仲介手数料 | あり | なし | あり |
前項で紹介した通り、マンション売却には主に以下の3つの売却方法があります。
それぞれの違いやメリット・デメリットについて詳しく解説します。
【マンション売却方法1】仲介売却
仲介売却とは不動産会社にマンション売却を支援してもらう方法です。
契約した不動産会社に店頭やインターネットで宣伝を打ち出してもらったり、手続きや書類作成を代行・支援してもらえます。
先ほどまで解説した「売却手順」は仲介売却の手順を紹介しています。
仲介売却のメリットは以下の通りです。
不動産会社による査定を受けたうえで売却を進行できるので、適正な市場価格での取引が可能です。
特に「立地が良い」「日当たりが良い」などの付加価値のある物件なら、相場以上で売れるケースがあります。
また素人には難しい、専門的な知識のいる手続きや書類作成を代行してもらえる点も安心のポイントでしょう。
仲介売却のデメリットは以下の通りです。
最大のデメリットは時間がかかることです。仲介売却には売り出しをスタートしてから平均3か月ほどの時間を要します。
需要が低い立地のマンションなど条件が悪い場合は、半年以上かかるケースも少なくありません。
後述する「買取売却の利用シーン」に該当する場合は、仲介売却は使用せず買取売却にしたほうが無難でしょう。
また仲介売却には少なくない額の仲介手数料がかかります。
仲介手数料の相場の金額は「(物件価格の3%+6万円)+消費税」です。
仲介手数料を理由に買取売却を選択するほどの額ではないですが、それなりの金額がかかることは覚えておきましょう。
【マンション売却方法2】買取売却
買取売却とはマンションを不動産会社に直接買取してもらう方法です。
主に以下のようなシーンで利用します。
- 事故物件を売るとき
- 老朽化したマンションを売るとき
- 離婚したとき
- 相続税を支払うとき
買取売却のメリットは以下の通りです。
- 1ヶ月程度で売却できる
- 引き渡し時期を調整できる
- 手間がかからない
買取売却は不動産会社の提示する金額に合意した時点で、売買契約へと進行します。
そのため最短で1週間、最長でも1ヶ月程度でマンションの売却が可能です。
すぐに次の入居者が現れるわけではないので、引き渡しの時期もある程度融通が利きます。
売却にかかる広報活動や内覧などの手間もかかりません。
買取売却のデメリットは以下の通りです。
買取売却を利用すると、買取価格は仲介売却を利用した場合の70~80%程度になるのが一般的です。
また不動産会社に次の買い手が見つからないと判断され、買取してくれないケースもあります。
その場合は買い取ってくれる不動産会社が見つかるまで、査定してもらいましょう。
【マンション売却方法3】任意売却
任意売却とは住宅ローンの残債を、マンションの売却価格と自己資金で完済できない場合に使う売却方法です。
主にリストラや病気・離婚などの理由で、住宅ローンの支払いが困難になった場合に使用します。
住宅ローンの支払いが数か月滞った場合には、競売によりマンションを強制売却されてしまうので、これを避けるために任意売却を利用するのです。
競売にかけられてしまうと、任意売却をした場合より住宅ローンの債務が大きくなります。
任意売却のメリットは以下の通りです。
- 仲介売却とほとんど変わらない価格で売買できる
- 費用を売却価格から捻出できる
- 住宅ローンの残債を分割できる
任意売却の利用には金融機関の許可が必要です。
ですが許可を得た後の流れは、仲介売却と大きく変わりません。
売却価格は売却に必要な手数料を差し引いてから、住宅ローンの返済に回せます。
また売却後の住宅ローンの残債は本来一括返済になりますが、任意売却を使用すれば分割での支払いが可能です。
任意売却のデメリットは以下の通りです。
- 金融機関・連帯保証人の同意が必要
- 期限内に売れないと競売になってしまう
任意売却の利用には金融機関と連帯保証人の許可が必要です。
住宅ローンの残債を分割でも支払えなくなった場合には、連帯保証人に費用負担をしてもらうことになります。
また個人差や金融機関による差はありますが、10~12か月ほど経過しても任意売却が成功しない場合、そのまま競売にかけられてしまう可能性があります。
リスクが高いので不動産会社選びと売却価格設定は、仲介売却以上に慎重に行いましょう。
マンションを売却するにあたっての注意事項を紹介!
マンション売却は、事前に流れをしっかり押さえておかないと失敗しがちです。
多くの方が失敗しているポイントを参考に、「売却前」「売却中」「売却後」の3ステップに分けて、マンション売却の注意事項を紹介します。
マンション売却前に躓きやすいポイントは以下の17つです。
マンション売却前に躓くポイント17つをしっかり解説!
- 権利証または登記識別情報通知書を確認しなかった
- マンション購入時の書類を確認しなかった
- 不動産登記内容を確認しなかった
- マンションの相場を自分で確認しなかった
- 住宅ローンの残債を把握しないで進めた
- 賃貸マンションを普通に売ろうとした
- 遠方からの売却で現地の不動産会社をリサーチしなかった
- 購入希望者への配慮をせずなかなか売れなかった
- 手付金を買い替え先の物件に使ってしまった
- 売り出し前にリフォームをしてしまった
- 共有マンションの売却で確認を怠った
- 面倒で査定をあまり受けなかった
- 担当者選びに失敗した
- 査定額が売却額だと思っていた
- 取得から5年以内のマンションを売却してしまった
- 不動産会社のオプションを把握していなかった
- 売却までにかかる時間を見誤った
それぞれ詳しく解説します。
【マンション売却前に躓くポイント1】マンション売却前に権利証または登記識別情報通知書をしっかり確認しよう
マンションの購入時期 | 書類名 |
2005年3月6日以前 | 権利証 |
2005年3月7日以降 | 登記識別情報 |
権利証および登記識別情報通知書を紛失してしまった場合、そのままでは売却の手続きが進められません。
ですが再発行はできないので、以下の2つの方法で「本人確認」をするのが一般的です。
項目 | メリット | デメリット |
公証人役場で本人確認する | ・費用が数千円と安い | ・近くにあるとは限らない ・事前に司法書士とのやり取りが必要 |
司法書士・弁護士に本人確認する | ・どこでも行える ・すぐ終わる | ・3~10万円の費用がかかる |
本人確認できる公証人役場は日本公証人連合会の公証役場一覧で確認できます。
もっとも利用されているのは法的効力の強い「司法書士・弁護士に本人確認する」方法です。
このほかにも「事前通知制度」という制度を利用する方法がありますが、買主にリスクが発生するのであまりおすすめしません。
【マンション売却前に躓くポイント2】マンション売却前にマンションを購入した際の書類をしっかり確認しよう
マンション購入時にはさまざまな書類をもらっています。
いずれも不動産会社の査定の参考にする、買主に渡す、手続きに使うといった用途に使うのですべて揃えておきましょう。
具体的には以下の書類があります。
書類名 | 必須かどうか |
権利証・登記識別情報通知 | 必須(ない場合はこちらの方法で代用) |
売買契約書 | 必須(ない場合はこちらの方法で代用) |
管理費・修繕積立金の確認書 | 必須(ない場合は管理組合に連絡) |
設備取扱説明書 | 原則必須(なくても進行は可能) |
管理規約 | 原則必須(なくても進行は可能) |
パンフレット | 原則必須(なくても進行は可能) |
耐震基準適合証明書 | あったほうがよい |
設備取扱説明書、管理規約、パンフレットは原則必須ですが、なくても手続き自体は進行可能です。
ですが通常これらは引き渡し時に買主に渡す書類のため、できれば管理組合に用意してもらいましょう。
【マンション売却前に躓くポイント3】マンション売却前に不動産登記内容をしっかり確認しよう
マンションの売却を不動産会社に依頼する場合は、不動産の登記内容を正確に伝えるべきです。
不動産の登記内容は、「登記簿謄本」もしくは「登記事項証明書」にすべて記載されているので、こちらを用意するとスムーズに進行します。
登記簿謄本も残っていますが、現在では登記事項証明書がメジャーです。
登記簿謄本および登記事項証明書には以下のことが記載されています。
- マンションの所在
- 地番
- 地目
- 地積
- 登記の原因・日付
- 所有権に関する情報
- 抵当権(住宅ローン)・担保情報
登記事項証明書は法務局に依頼し取得する必要があります。
法務局の登記ねっとでオンライン請求が可能です。郵送もしくは法務局に赴いての取得もできます。
好きな方法で取得し、不動産会社に渡せるように用意しておきましょう。
【マンション売却前に躓くポイント2】マンション売却前にマンションを購入した際の書類をしっかり確認しよう
マンションの売却価格の相場をしっかりと把握しておきましょう。
相場を把握せずに売却し、売れ残ったり、安く売らざるを得なくなったりするケースが多いので注意が必要です。
マンションの売却価格を左右する条件には以下のようなものがあります。
- マン売りに出ている近隣のマンションの価格相場ションの所在
- 立地
- 広さ
- 築年数
- 設備
- 耐震性
- 実際の室内状況
立地・広さ・築年数といった条件で、マンションのベースとなる価格は決定します。
しかしマンションはそれ以上に、売りに出ている近隣のマンションの価格に大きく左右されるのです。
ほぼ同条件のマンションが売りに出ている場合、そのマンションより高く売れることは滅多にありません。
自身で周辺地域のマンションの価格相場を確認したり、複数の不動産会社で相場をチェックしたりなど、損をしない・売れ残らないための行動は惜しまず行いましょう。
【マンション売却前に躓くポイント5】住宅ローンが残っている際には住宅ローンの残債を把握しよう
マンションの住宅ローンを完済していない場合には、引き渡し時に住宅ローンを精算する必要があります。
また契約する不動産会社にも、住宅ローンの残債を伝えておく必要があるので忘れずに伝えましょう。
住宅ローンの精算には2通りのパターンがあります。
パターン | 特徴 |
売却金額+自己資金で完済できるパターン | 旧マンションのローンに利息が発生しない |
住み替えローンを利用するパターン | 新居のローンと一本化する |
売却金額と自己資金で完済できる見込みがなく、住み替えに新たなローンが発生しない場合(実家に入る場合や賃貸に移る場合など)はそもそもマンションを売却できないので注意しましょう。
また住み替えローンは審査が厳しいので、必ずしも行える訳ではありません。
早めに金融機関に相談し、マンション売却・住み替えローンの利用が可能か確認してください。
基本的には売却金額と自己資金でローンを完済する前提で、マンション売却を進めていきましょう。
【マンション売却前に躓くポイント6】マンションを賃貸している場合は特に注意が必要!
賃貸しているマンションでも売却できます。
賃貸中のマンション売却は入居者に配慮しつつ行うため、通常よりも長い期間がかかるケースが多く注意が必要です。
賃貸中のマンションを売却することを、家主が変わるので「オーナーチェンジ」と呼びます。
入居者に負担がかからないため、できれば入居者を退去せずに進められるとベターです。
オーナーチェンジのメリット・デメリットを買主・売主別に解説します。
項目 | メリット | デメリット |
買主 | ・すぐに家賃収入を得られる | ・内覧ができない ・すぐに入居者の立ち退きや改築ができない |
売主 | ・家賃収入を得ながら売却を進められる ・立ち退きまでの期間を考慮する必要がない | ・買い手が見つかりづらい |
取引前後で家賃収入が得られるのが、買主・売り主お互いの最大のメリットです。
ただし入居者がいるために買主は内覧ができず、万が一マンションに劣化が見られてもすぐに改築できません。
買主にとって若干不利な条件となるため、なかなか購入希望者が現れない場合があります。
賃貸中のマンションを売却する場合は、ある程度長めの時間がかかると想定しておきましょう。
【マンション売却前に躓くポイント7】遠方からのマンション売却はしっかり現地の不動産会社をリサーチしよう
遠方のマンションを売却する際は余計な費用をかけないために、現地に行くのは最小限に抑えたいところです。
居住中のマンションやすぐに足を運べる位置にあるマンションの売却以上に、不動産会社選びが重要になります。
手続き自体は郵送で完結させられますが、早く・高く売れるかどうかは不動産会社の腕にかかっています。
以下のポイントにより注意しましょう。
- 現地のマンション販売実績が多い不動産会社を選ぶ
- 真摯に電話対応してくれる不動産会社を選ぶ
- なるべく多くの不動産会社に査定してもらう
遠方のマンション売却は、現地の土地勘があり販売実績の多い不動産会社を選ぶべきです。
都会のマンションなら大手、地方のマンションなら中小企業の方が適しています。
また売却活動の状況把握がしやすい「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」のどちらかの契約方法がおすすめです。
遠方の場合訪問査定は都度鍵を不動産会社に送らないといけないため面倒ですが、なるべく多くの不動産会社に査定してもらい、信頼できる相手と契約しましょう。
【マンション売却前に躓くポイント8】 居住中のマンションを売却する際には購入希望者への配慮を
居住中のマンションを住み替え目的で売却する場合は、居住したまま売却活動ができます。
不動産会社のみが閲覧できる「レインズ」の統計データによると、約40%が居住しながらマンションの売却活動をしています。
ただし内覧対応などをスムーズに行うために、購入希望者の配慮は欠かせません。
具体的には以下の点に注意しましょう。
- いつでも内覧対応できるよう整理整頓しておく
- なるべく購入希望者の都合に合わせて内覧予定を組む
- 内覧の際は住んでいて良い点・悪い点を正直に伝える
売却活動が始まる前から、できるだけ掃除・整理整頓を進めておきましょう。
特に第一印象を左右する玄関や水回りは、念入りに掃除することをおすすめします。
内覧予定の設定は不動産会社の担当者が行ってくれますが、購買意欲を下げないよう購入希望者の予定に都合を合わせるのがベストです。
内覧対応の際は購入希望者に良い点も悪い点も正直に伝えましょう。
購入希望者が生活感をイメージしやすく、購入を決断する材料になります。
【マンション売却前に躓くポイント9】 マンションの買い替えにする際は手付金等に注意しよう
マンションの買い替えの際にありがちのが「マンション売却の手付金を次のマンション購入の手付金に充ててしまう」というミスです。
手付金は売買契約を結ぶ際に支払い・受領する、いわゆる「前金」になります。
万が一買主都合でキャンセルされた場合、手付金はすべて「契約解除費用」として売主の手元に残るので問題ありません。
ですが買主がローンの審査に通らなかった場合に限り、マンションの売買契約は無条件で解除となり、売主は手付金を満額買主に返金しなければならないのです。
資金的に余裕があれば問題ないですが、この場合に手付金を返金できないと詰みます。
消費者金融などから借金をしなければいけないような状態に陥らないよう、手付金は引き渡しまで手元に残しておくのが無難です。
もしくは最初から、「ローンの事前審査を通った買主」のみと売買契約を結ぶようにしましょう。
【マンション売却前に躓くポイント10】 マンション売却前にリフォームする際は「売却価格に上乗せ」に注意しよう
結論から言うと、マンションの売却時にリフォームをする必要はありません。というよりは、しない方が良いでしょう。
非常に高額なリフォーム代金を、売却価格に上乗せして回収できないケースが約4分の1を占めています。
(参考:国土交通省「リフォームを実施することにより価値の向上等が図られた例」)
購入したマンションを自分好みにリフォームしたい買い手も多く、リフォーム済みの物件は敬遠されがちです。
また単純に掲載される価格が上がってしまうため、いくら内装が良くても買い手にとっては検討の土俵にすら上がらない可能性があります。
損をしないためにはリフォームをせず、ハウスクリーニング程度にとどめておきましょう。
ただしあまりにもマンションが売れない場合、傷や汚れのせいで買い手が購入を敬遠してしまっている可能性があります。
あまりに目立つ床の傷や壁の穴などがある場合には、リフォームを検討しても良いかもしれません。
【マンション売却前に躓くポイント11】共有のマンションを売却する際は共有している所有者に注意しよう
1つのマンションを複数人で所有する「共有マンション」の場合も売却が可能です。
ただし民法では以下のように定められており、所有権を持つ人全員の同意が必要になります。
第二百五十一条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
参考:「e-Gov法令検索」
誰かひとりでも同意が得られなければ、売却はスタートできないので注意しましょう。
共有者が認知症などで同意を得られない状態の場合は、共有マンションの売却ができません。
「成年後見制度」を利用すれば売却可能な状態にできますが、手間がかかる上に家庭裁判所の許可が必要になります。
できれば認知症になる前に他の共有者に贈与・売買するか、マンションの売却を済ませておきましょう。
また共有マンションは、それぞれの所有者の所有割合である「持分」を参考に、売却時の現金配分を決めるのが一般的です。
共用で居住していたマンション売却の確定申告の際は、所有者それぞれが「3000万円特例控除」を利用できます。
上手く使えば大きな節税になるので、こちらを参照して確認しておきましょう。
【マンション売却前に躓くポイント12】査定は本当にそれだけで大丈夫?査定は複数社受けよう
マンションの査定は最低でも3社受けるようにしましょう。
適正な価格で査定している優良な不動産会社かどうかは、より多くの不動産会社から査定を受けて初めて分かります。
極端に低い査定価格を出してくる不動産会社は、もちろん選ぶべきではありません。
逆に極端に高い査定価格を出してきたからと言って、優良な不動産会社とは限らないので注意が必要です。
「このくらいで売れます」と極端に高い価格を提示してくる不動産会社は、「契約を取ってしまえば何とかなる」という売主の立場から見ていない査定をしている可能性があります。
実際にこのような不動産会社に依頼して高い売り出し価格を設定したものの、最終的に大きく金額を落として売却することになった方は少なくありません。
そのためできるだけ多くの不動産会社に査定してもらい、極端に査定価格が高い・低いところからはじいていくべきです。
相場から大きく乖離しない価格を提示してきた不動産会社の中から、契約する先を選ぶようにしましょう。
【マンション売却前に躓くポイント13】その担当者で大丈夫?しっかり担当者を見極めよう
マンションが早く・高く売れるかは、不動産会社そのものよりも担当者の手腕によるところが大きいです。
査定金額や販売実績だけでなく、担当者が信頼できる相手かどうがしっかり見極めましょう。
具体的には、以下のポイントに注意して選ぶのがおすすめです。
- 査定額の根拠を説明できる
- 宅地建物取引士・FP資格を持っている
- マンションの周辺地域に詳しい
レスポンスが早い
- 物件のデメリットを説明できる
マンション売却に関連する資格を持っており、査定額の根拠を説明できる担当者が安心です。
宅地建物取引士を持っている担当者は、売買契約までしっかり同席してくれます。
実際にマンションの売り出しを決定する際、周辺地域に詳しい担当者なら地域情報を加味した提案が可能です。
より高い金額で売れる可能性があるので、できる限り周辺地域に詳しい担当者を選びましょう。
根本的にレスポンスが早く、親身に対応してくれることも重要でしょう。
また物件のデメリットをしっかり説明できる担当者は、トラブルが発生しにくいです。
契約することばかり考えており、メリットしか見ていない担当者がたまにいます。
「後から物件の不具合が見つかり買主とトラブルになった」というケースを避けるためにも、メリット・デメリットを説明できる担当者を選んでください。
【マンション売却前に躓くポイント14】査定額=売却額ではないけど大丈夫?査定額の仕組みを知ろう
マンションの売却の際は、不動産会社の査定額でそのまま売却をするわけではありません。
査定額はあくまで「マンションの状態・周辺マンションの取引事例をもとに割り出される、マンションを売却が可能と思われる価格」です。
実際に売却する際の価格(売り出し価格)は、査定額を参考に売主が決定することはしっかり覚えておきましょう。
また詳しくはこちらで解説しますが、売り出し価格のまま売れるわけでもありません。
買い手から値引き交渉をされたり、早く売るために若干の値引きを加えるケースが大半です。
不動産会社の担当者ともよく相談しながら、理想の売却額で売れるように売却活動を行いましょう。
【マンション売却前に躓くポイント15】マンション売却はマンション購入から5年以上経ってからが良いってホント?
マンションの売却は、なるべく購入から6年経過後に行いましょう。
マンション売却にかかる譲渡所得税の税率が、5年を境に大きく変わるからです。
所有期間ごとの税率は以下のように設定されています。
所有期間 | 税率 |
5年以下(短期譲渡所得) | 39.63% |
5年超(長期譲渡所得) | 20.315% |
所有期間は売却した日付ではなく、売却した年の1月1日を基準に計算されるので注意しましょう。
例えば2020年6月1日に購入したマンションを、2025年12月1日に売却したとします。
この場合は購入から売却までに5年半が経過しています。
ですが譲渡所得税における所有期間の計算方法の場合は、2020年6月1日から2025年1月1日まで、すなわち4年7か月しか所有していないことになってしまうのです。
実際には5年半の所有期間であるにもかかわらず、所有期間5年以下の高い税率で計算されてしまいます。
タイミングを間違えて余計な税金がかかることを避けるために、マンション売却は6年経過してから行うのが無難でしょう。
ただし譲渡所得が3,000万円以下の居住用マンションであれば、この限りではありません。
居住用マンションは3,000万円分の控除が受けられるので、税金がかからないのです。
明らかに譲渡所得が3,000万円を超えない見込みの場合は、所有期間5年未満で売却しても問題ないでしょう。
【マンション売却前に躓くポイント16】マンション売却の際は不動産会社のオプションをしっかり把握しよう
不動産会社によって、マンション売却に役立つ「オプションサービス」が利用できます。
オプションサービスを活用すれば、マンションがより高く売れる可能性を上げたり、万が一のトラブル時の費用を保証してくれたりします。
利用できるオプションは不動産会社によって異なりますが、例えば以下のようなものです。
オプション名 (不動産会社により異なる) | 内容 |
建物保証 | 引き渡した物件に不具合が見つかった場合、一定の期間内の費用を負担してくれる |
設備修理保証 | 引き渡した物件の水回りなどの設備が故障した場合、一定の期間内の費用を負担してくれる(一般には売主に支払い義務がある7日間) |
掃除 | キッチン・風呂など部屋の一部を掃除してくれる |
ポイント補修 | 床や壁などの軽微な傷を補修してくれる |
写真のCG加工 | 掲載写真をCG技術で魅力的にし、買い手を見つけやすくする |
ホームアレンジ | 居住中のマンションのレイアウトを変えるなどして、より買い手にとって魅力的に見せる |
買取保証 | 一定の期間が経過しても売れなかったマンションを買い取ってくれる |
最低限契約不適合責任を保証する「建物保証」がついている不動産会社を選んだ方が良いでしょう。
マンションの売却期限を決めている場合は、「買取保証」を利用すれば必ず期限内に売却できます。
大手の不動産会社であれば一般的なオプションは必ずついていますが、中小企業では利用できない場合があるので注意が必要です。
必ず契約する不動産会社に、利用したいオプションがあることを確認してから契約しましょう。
中小企業独自のオプションもあったりするので、そちらも加味して選ぶことをおすすめします。
【マンション売却前に躓くポイント17】マンション売却には時間がかかる!売却期間には余裕を持つことが重要
こちらで解説したように、マンション売却には平均4~6か月の時間がかかります。
もちろん立地が悪い場合や、不動産会社があまり力を入れてくれなかった場合はこの限りではありません。
半年~1年程度の時間がかかる前提で、マンション売却に取り組むのが無難です。
どうしてもすぐにマンションを売却したい場合は、以下の2つの方法を使いましょう。
- 「買取保証」がある不動産会社を選ぶ
- はじめから仲介売却ではなく買取売却を使う
買取保証とは仲介売却で一定期間売れなかったマンションを、不動産会社が買い取ってくれるサービスです。
買取保証はすべての不動産会社が行っているわけではないので、不動産会社を選定する時点で考慮しておきましょう。
ただし買取保証で買い取ってもらった場合も、買取売却を利用した場合も、仲介売却より高く売れることはまずないので注意が必要です。
マンション売却活動中に躓くポイント5つをしっかり解説!
マンションの売却活動中に躓きやすいポイントは以下の5つです。
- 契約形態の違いを知らなかった
- 売り出し価格を適当に決めてしまった
- マンションの状況を不動産会社に伝えきれていなかった
- 売却のタイミングを間違えた
- マンション売却に余計な費用がかかった
それぞれ詳しく解説します。
【マンション売却活動中に躓くポイント1】マンション売却には複数の契約形態が?契約の種類を知ろう
売却手順の項で紹介したように、マンション売却における不動産会社との契約には、3種類の契約形態があります。
それぞれメリット・デメリットが異なるので、しっかり違いを押さえて選びましょう。
契約の種類 | メリット | デメリット |
一般媒介契約 | ・複数社と契約できる | ・売却活動の状況が分かりづらい ・売却活動にあまり力を入れてもらえない |
専任媒介契約 | ・2週間に一度状況報告してもらえる ・自分で買い手を見つけても良い | ・2週間に一度状況報告してもらえる ・自分で買い手を見つけても良い |
専属専任媒介契約 | ・1週間に1度状況報告してもらえる ・もっとも売却活動に力を入れてもらえる | ・1週間に1度状況報告してもらえる ・もっとも売却活動に力を入れてもらえる |
一般媒介契約は不動産会社にとって、仲介手数料が入ってこないリスクがあるので、あまり売却活動に力を入れてくれません。
対して専任媒介契約・専属専任媒介契約は、物件が売れれば必ず不動産会社に仲介手数料が支払われるので、力を入れた売却活動をしてくれます。
ただし競争がなくなるがゆえに、売却活動の手を抜く悪質な不動産会社もいるので注意が必要です。
またこちらで紹介している買取保証・設備保証などのオプションサービスの大半は、専任媒介契約・専属専任媒介契約でないと受けられません。
そのためマンションの状況によって、どの契約方法にするか選ぶとよいでしょう。
一般媒介契約は以下のようなマンションに向いています。
- 立地が良い
- 築年数が浅く、大きな不具合が想定されない
そこまで力を入れて売却活動をしなくても売れやすいマンションに向いています。
築年数が浅く契約不適合責任を負うリスクがほぼない物件の場合は、保証がつかない一般媒介契約でもよいといえるでしょう。
対して、専任媒介契約・専属専任媒介契約は以下のようなマンションに向いています。
力を入れた売却活動をしないと売れ残りが懸念されるマンションは、専任媒介契約または専属専任媒介契約を選ぶのがおすすめです。
売れ残った際の買取保証や、物件に不具合があった場合の設備保証も、基本的にこちらでしか受けられません。
ただし3か月ごとにしか契約を更新できず、途中解約には費用がかかるので、契約する不動産会社はより慎重に選びましょう。
【マンション売却活動中に躓くポイント2】マンション売却の際は売り出し価格は少し高めに設定しよう
売り出し価格は、査定額に最大20%程度上乗せした価格を上限に設定するのをおすすめします。
マンションの売り出し価格は、査定額をもとに売主が決定します。
この売り出し価格は、マンションの最終的な売却価格を決定する重要なポイントです。
例として首都圏でのマンションの売り出し金額・売却価格は築年数ごとに以下のようになっています。
築年数 | 売り出し価格 (万円) | 売却価格 (万円) | |
0~5年 | 6,203 | 5,883 | 105% |
6~10年 | 4,988 | 5,071 | 98% |
11~15年 | 4,320 | 4,484 | 96% |
16~20年 | 4,534 | 4,174 | 108% |
21~25年 | 3,370 | 3,202 | 105% |
26~30年 | 2,107 | 1,884 | 111% |
31年〜 | 2,275 | 1,904 | 119% |
(参考:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2020年)」)
前年度から掲載されたままのマンションもあるので、築年数6~15年は売り出し価格の方が安くなっています。
ですが上記のように、最終的な売却価格は安くなるものです。
ほぼ間違いなく、一度は値引き交渉をされると思っておいてください。
はじめから低い価格を設定してしまうと、そこからさらに値引きをする必要が出てくるので注意が必要です。
かといって極端に高い価格を設定するのは、売れ残りの最大の要因になります。
理想の金額で売却するために、少し高めの金額から売り出し始めましょう。
【マンション売却活動中に躓くポイント3】マンションの状況を不動産会社にしっかり報告しよう
マンションの状況は不動産会社にしっかり報告しておきましょう。
不動産会社が知らないマンションや設備の不具合があった場合、後から問題が起きるケースがあるので注意が必要です。
マンションが契約まで進むと、物件の状況・不具合を事細かに買主に伝える「告知書」や「付帯設備表」の書類を記入することになります。
これらの書類の内容が事実と異なる場合、契約不適合責任を負う可能性があるのです。
売却活動の時点で、マンションの状況は不動産会社と認識を一にしておきましょう。
なお告知書と付帯設備表については、こちらで詳しく解説しているのでご確認ください。
【マンション売却活動中に躓くポイント4】マンションにも売り時がある?マンション売却の適切な時期を知ろう
マンション売却は適切なタイミングをしっかり押さえておきましょう。
前提として、2023年現在はかなりのマンションの売り時です。
マンションの㎡単価は2021年2月に57.66万円/㎡でしたが、2022年2月には62.51㎡と大幅に上昇しており、2023年も上昇が続くと想定されます。
(参考:レインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅長期動向グラフ【2011年7月~2022年6月】」)
また住宅ローンの金利も、平成11年頃から低金利が続いています。
住宅ローンが安いタイミングは購入希望者が増えるので、マンションが売れやすいです。
上記のことから2023年現在は間違いなく、マンションの売り時であると言えます。
ただし所有しているマンションの状況によってはこの限りではありません。
一般に「マンションの売り時」と言われるのは以下のようなタイミングです。
- 外壁やエントランスなど共用部分の修繕が行われた後
- 近隣に商業施設など生活が便利になる施設ができた後
- 引っ越しの多い2~3月
- 税金が安くなり、売却価格も高くなりやすい築年数5~10年
共用部分の修繕後や近隣に施設が建つなどのタイミングは大きなチャンスです。
築年数と買い手がつきやすい時期も考慮しながら、売り出しのタイミングを決めていきましょう。
【マンション売却活動中に躓くポイント5】マンション売却にかかる費用はなるべく抑えて、賢い売却を
マンション売却には多額の費用がかかります。
抑えられる大きな費用は仲介手数料です。仲介手数料の金額は不動産会社に交渉できます。
マンション売却における不動産会社の利益は仲介手数料のため、不動産会社は契約を取りたいのです。
そのため、以下のような文言で交渉できます。
- 専任媒介契約で御社1本に決めるから値引きしてほしい
- この条件のマンションなら高く売れるから値引きしてほしい
- エアコンなどの設備を残していくから値引きしてほしい
- リフォームするからその分手数料は値引きしてほしい
必ず成功するわけではないですが、成功すればラッキーだと思い挑戦してみましょう。
マンション売却契約時に躓くポイント3つをしっかり解説!
マンションの売却契約時に躓きやすいポイントは以下の3つです。
- 売買契約書の記載内容をしっかり確認しなかった
- 売買契約後にローンが白紙解約になる可能性があると知らなかった
- 契約不適合責任について知らなかった
それぞれ詳しく解説します。
【マンション売却契約時に躓くポイント1】契約書の記載内容をしっかり確認しよう
売買契約書の記載内容はしっかり確認しましょう。
売買契約書の内容は、捺印・サイン後は変更できないからです。
トラブルを防止するため、特に以下の6点はしっかり確認しましょう。
チェック項目 | チェック内容 |
マンション価格 | 事前に決定した金額と相違がないか |
設備・備品 | 引き渡す備品・撤去する設備と不具合内容が合っているか |
土地の利用権 | 「敷地利用権」になっていることを確認 |
契約違反による契約解除 | 買主の認識と相違がないか確認 |
危険負担 | 買主の認識と相違がないか確認 |
契約不適合責任 | 買主の認識と相違がないか確認 |
土地の利用権が「敷地利用権」になっていないと、建物土地が別の扱いになってしまい、建て替え・修繕時の手続きが煩雑になってしまうので注意してください。
自然災害の影響でマンションに不備が発生した場合の「危険負担」の割合や、契約違反時・契約不適合責任発生時の取り決めについて、不動産会社を通して買主としっかり認識を一にしておきましょう。
再三になりますが、売買契約書の内容は後から変更できないので、必ず内容をしっかり確認してください。
内容に問題があれば、不動産会社に遠慮なく伝えましょう。
【マンション売却契約時に躓くポイント2】購入主のローン審査否決の場合は白紙解約になるので要注意
売買契約書を取り交わした後でも、無条件で契約が白紙解約になるケースがあります。
それは「買主がローンに通らなかった場合」です。
ローンの本審査は「売買契約の後」に行うので、このようなケースが発生するリスクがあります。
こちらでも解説していますが、もっとも注意すべきは売買契約書を結んだ際に貰った手付金の扱いです。
白紙解約となった場合、手付金は買主にそのまま返金することになるので、手持ちの資金に余裕がない場合は使ってはいけません。
特にマンションを買い替える際は、購入するマンションの手付金に使わないように注意しましょう。
返金できずに消費者金融などからお金を借りることのないよう、手付金に手をつけるのは買主のローン審査が終わってからにしてください。
またローンの事前審査に通っている買主とだけ売買契約を結ぶのも一考です。
一般に不動産会社に頼めば事前審査をしてもらえるので、相談してみましょう。
【マンション売却契約時に躓くポイント3】マンションに不備があった場合契約不適合責任が発生する恐れも
マンションに重大な傷や劣化があることを隠したまま売買契約を結んでしまうと、場合によっては契約不適合責任を問われる可能性があります。
そのためマンション内の不備は、事前に不動産会社にすべて伝えておきましょう。
買主への伝え漏れがないよう、内覧の際に売主側から伝えるなどの配慮も必要です。
売買契約書とあわせて記載する「告知書」「付帯設備表」にも隠さず記載してください。
民法上では、契約不適合責任に関して以下の記述があります
第五百六十二条
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
参考:法務省「民法の一部を改正する法律(PDF)」
この記述によると、契約内容と相違があった場合に、買主は売主に以下のことを請求できます。
売買契約書には該当箇所の修理を請求する内容(追完請求という)を記載することがほとんどですが、いずれの場合も売主にとってはリスクしかありません。
またこの追完請求を無視した場合には、売買契約の解除や購入代金の減額を執行されてしまいます。
後からトラブルにならないよう、マンション内の不備は事前にすべて確認し、不動産会社・買主に伝えるようにしてください。
ただしこの契約不適合には、売主が知らなかった不具合が見つかった場合も含まれます。
不安な方は、こちらで紹介した設備保証がつけられる不動産会社を選ぶのがおすすめです。
マンション売却活動中に躓くポイント5つをしっかり解説!
マンションの売却活動終了後に躓きやすいポイントは以下の2つです。
- マンションの管理組合に報告するのを忘れた
- 確定申告について把握していなかった
それぞれ詳しく解説します。
【マンション売却活動終了後に躓くポイント1】マンションの管理組合にしっかり報告しよう
マンションの売却時には、売主の管理組合員資格が喪失するので手続きが必要です。
手続きに必要な「組合員資格喪失届」は不動産会社の担当者が管理組合から取得してくれます。
ですが事前の管理組合への連絡は、売買契約を結んだ時点で自分で行いましょう。
書類は引き渡し時の決済が終わったタイミングで不動産会社の担当者に提出し、管理組合に渡してもらいましょう。
管理組合に連絡せずに手続きを進めたり、「組合員資格喪失届」の提出を忘れたりすると、修繕積立金や管理費を引き落とされる可能性があります。
この場合の払い戻し請求は、管理会社に面倒な手続きをさせることになるので、絶対に管理組合への報告と書類の提出は忘れないようにしてください。
【マンション売却活動終了後に躓くポイント2】マンション売却後は確定申告を忘れずに
マンション売却後は確定申告を忘れずに行いましょう。
確定申告は「譲渡所得」が出た場合には必須です。
必ず「確定申告書」を作成し、翌年2月~3月に税務署へ提出してください。
譲渡所得は以下の式で計算します。
- ■譲渡所得
譲渡価格(売却価格)-取得費(減価償却後のマンション価格)-譲渡費用(仲介手数料など)
譲渡所得があるのに申告しなかった場合は、「無申告加算税」という罰則が適用されます。
無申告加算税が適用されると以下の税金が本来の納付税額に加算されます。
納付税額 | 加算される税額 |
50万円まで | 15% |
50万円を超える部分 | 20% |
確定申告をしても虚偽の申告をした場合や税金を長期間延滞した場合には、無申告加算税よりも重い罰則が適用されます。
必ず確定申告は正確に行いましょう。
「住み替えるためにマンション売却を検討している」という方必見!オトクにマンションを住み替えよう!
住み替えのためにマンションを売却する場合は、以下の3つのポイントを押さえておけばオトクに住み替えができます。
それぞれのポイントについて解説します。
【マンション売却ポイント1】住み替えなら買いを先行しよう
住み替え目的のマンション売却なら、先に新居を購入する「買い先行」がおすすめです。
買い先行をおすすめする理由は4つあります。
- 余裕を持った新居探しができるから
- 引っ越しが1回で済むから
- 空室は高値で売れる可能性が高いから
- 内覧対応をする必要がないから
売り先行では仮住まいと新居へ2回も引っ越しをする必要があります。
買い先行なら引っ越しは新居への1回だけです。
空室にすることでよりマンションの魅力を正確に伝えられるため、高く売れる可能性も大きく上がります。
また空室の内覧対応は不動産会社がすべて行ってくれるので、毎回立ち会う手間もありません。
ただし買い先行には明確なデメリットもあるので、押さえておきましょう。
買い先行のデメリットは以下の2つです。
- ダブルローン状態になってしまう
- いくらで売れるか不透明
旧マンションのローンが残っている場合、旧マンションが売れるまでの期間は、ローンが2本のダブルローン状態になってしまいます。
旧マンションが売れ残るほど、ローンの負担が大きくなるので注意が必要です。
また新居の購入時点で売却価格が確定していないので、「思ったより安く売れてしまう」リスクもあります。
上記のことを加味すると、以下の2つにあてはまる方は買い先行をおすすめしません。
- ダブルローンが金銭的負担になる
- 売れ残る可能性が高いマンションを売却する
そもそもダブルローンを支払うのが厳しいという方は、諦めて売り先行にすることをおすすめします。
また売れ残る可能性が高い条件の悪いマンションを売却する場合は、ダブルローンの期間がどんどん長引いていくリスクがあるため、売り先行にするか買取保証をつけるのがおすすめです。
【マンション売却ポイント2】ローンが完済できない際の方法をしっかり把握しよう
売却価格+自己資金でローンが完済できなくても、「住み替えローン」の制度を活用すれば売却は可能です。
住み替えの際に旧マンションのローンを完済できないケースはよくあります。
住宅ローンを組んでおり「抵当権」が設定されたマンションは、住宅ローンを完済するまでは原則売却ができません。
住宅ローンの金額がマンションの売却価格より大きく、手持ち資金で補っても足りない場合は、通常の方法ではマンションが売却できないのです。
これを回避するために「住み替えローン」という制度があります。
住み替えローンとは、住宅ローンの残債と新居の購入代金をまとめて、再度ローンを組み直せる制度です。
住み替えローンを使えば旧マンションのローンを完済できなくても。新居の購入ができます。
ただし住み替えローンには3つのデメリットがあるので押さえておきましょう。
- 通常の住宅ローンより金利が高い
- そもそも審査に通らない可能性がある
- 購入と売却を同じ日に行う必要がある
住み替えローンは通常の住宅ローンより金利が高くなります。
2023年1月現在、住宅ローンの金利は高くて1.6%程度ですが、住み替えローンの金利は2~3%です。
住み替えローンを使う場合は、最終的に負担する金額が大きくなることは覚えておいてください。
また旧マンションのローン残債を乗せる分、新居の担保金額よりも高額なローンになるため、通常の住宅ローンより審査が厳しくなります。
さらにもう一つのデメリットとして、購入と売却を同時進行しなければならない点があります。
旧マンションの残債をそのまま新たなローンに乗せ替える手続きをするため、売却と新居の購入は同日に行わなければいけません。
かなりタイトなスケジュールになることは覚悟しておきましょう。
【マンション売却ポイント3】控除をしっかり利用して、オトクに住み替えを
マンション売却は数千万円単位の譲渡所得が発生するケースがあります。
この場合は税額控除をしっかり活用しないと、とんでもない額の税金を負担することになってしまうでしょう。
住み替えなどマイホームを売却する場合には、「居住用財産の3,000万円特別控除の特例」が利用可能です。
この特例を利用すれば、譲渡所得から3,000万円が控除されます。
(参考:国税庁「居住用財産の3,000万円特別控除の特例」)
この控除を利用するには、確定申告の際に国税庁ホームページで取得できる「譲渡所得の内訳書」を記載して添付します。
記載内容は難しくないので、以下の適用条件にあてはまる場合は必ず申し込みましょう。
- 住まなくなってから3年目の12月31日を過ぎていない
- 売却年の1月1日の時点で所有期間が10年以上
- 売る相手が親族ではない
- 2年以内にこの特例や他のマイホーム買い替えに関する特例を受けていない
このほか10年以上所有したマンションを売却した場合は、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」により軽減税率が適用される場合があります。
(参考:国税庁「マイホームを売った時の軽減税率の特例」)
控除とは別ですが税金を抑えられるので積極的に活用しましょう。
マンション売却の失敗例を見て学ぼう!マンション売却に失敗しないポイントとは
マンション売却に失敗している人の例を確認し、同じ失敗を起こさないようにしましょう。
よくある失敗例は以下の通りです。
- マンション売却が不得意な不動産会社に依頼してしまった
- 住み替えした先での新生活までにマンションが売却できなかった
- マンション売却の売り出し価格が高くて売却できなかった
- ローン残債が高く、売り出し価格が相場と釣り合わなかった
- マンション売却益が出たのに確定申告を忘れた
- マンション売却の際に告知書と付帯設備表が原因で契約解除になってしまった
- マンション売却の際の手付金を使った後、解約になってしまった
それぞれの失敗例について詳しく解説します。
【マンション売却の失敗例1】マンション売却が不得意な不動産会社に依頼してしまった
マンション売却が不得意な不動産会社があるので注意しましょう。
不動産会社によって、マンションが得意なのか、戸建てが得意なのか…など、売却が得意な分野が異なるのです。
マンション売却が不得意な不動産会社を選んでしまうと、以下のようなリスクがあります。
- 適正な金額よりも安く売る羽目になる
- 住み替えした先での新生活までにマンションが売却できなかった
不動産会社選びの際に着目すべきポイントは「マンション売却の実績」です。
大手でも地域によってはマンション売却を不得意とする場合があります。
あくまで売却する予定のマンションがある地域の販売実績を確認しましょう。
実績は多いほど安心の不動産会社と言えます。妥協せずにしっかり選んでください。
【マンション売却の失敗例2】住み替えした先での新生活までにマンションが売却できなかった
買い先行で進めたもののマンションがなかなか売れず、長期間のダブルローンが大きな負担になってしまうケースはありがちです。
不動産会社によっては、一定期間内に売れなかったマンションを買取してくれる「買取保証」のオプションを用意しています。
買取保証を活用すれば、新生活のタイミングにマンションを買い取ってもらい、ダブルローンを回避できるでしょう。
ただし「買取保証」には以下の2つの注意点があります。
- すべての不動産会社で使えるわけではない
- 利用には専属専任媒介契約または専任媒介契約の締結が必要
すべての不動産会社が買取保証のオプションを用意しているわけではなく、一般媒介契約では基本的に利用できないので注意しましょう。
【マンション売却の失敗例3】マンション売却の売り出し価格が高くて売却できなかった
売り出し価格が相場より高すぎるマンションはなかなか売れません。
なるべく高い価格でマンションを売りたい気持ちは分かりますが、あまりに相場とかけ離れていると、そもそも内覧にすらこぎつけないでしょう。
売り出し価格はもちろん値下げできますが、大半の買い手は値下げ情報をしっかりチェックしています。
売り出し価格の値下げは「また値下げされるだろう」と思われ、さらなる値下げをするまで買い手がつかないリスクもあるので注意してください。
立地などの条件にもよりますが、売り出し価格は査定価格+20%までにとどめておくのが無難でしょう。
【マンション売却の失敗例4】ローン残債が高く、売り出し価格が相場と釣り合わなかった
ローンの残債を売却価格から支払うために、売り出し価格を非常に高く設定する方がいます。
先ほどと同じ理由ですが、高すぎる売り出し価格は、買い手がつかない最大の原因です。
結局ローンが残ってしまい、住み替えローンを使わざるを得なくなるケースがあります。
ローンの残債を売却価格から支払う場合は、少し安めの売却価格で売れても大丈夫かどうか試算してから進めた方がよいでしょう。
【マンション売却の失敗例5】マンション売却益が出たのに確定申告を忘れた
マンション売却時に利益(譲渡所得)が発生した場合は確定申告が義務です。
詳しくはこちらで解説していますが、確定申告を忘れた、もしくは意図的にしなかった場合には「無申告加算税」という罰則が適用されます。
必ず「確定申告書」を作成し、翌年2月16日~3月15日に税務署へ提出してください。
税額控除も確定申告をしないと受けられないので注意しましょう。
また逆に損失が出た場合でも、損益通算により税額控除が受けられるので確定申告することをおすすめします。
【マンション売却の失敗例6】マンション売却の際に告知書と付帯設備表が原因で契約解除になってしまった
売買契約書とあわせて記載する書類に、「告知書」と「付帯設備表」があります。
これらの書類は、売主が知っている物件・設備の不具合(瑕疵)を買主に伝えるために書くものです。
これらの書類の内容と事実に相違があると、最悪の場合契約の解除まで発展する恐れがあります。
なぜそうなるかというと、こちらで詳しく説明している「契約不適合責任」を問われる可能性があるからです。
そのため知っている物件の不具合は、漏らすことなくすべて自分で記載してください。
不動産会社によっては代わりに書くことを提案してきますが、絶対にやめましょう。
告知書や付帯設備表を原因とするトラブルの大半は、不動産会社に記入を代行してもらったことで起きています。
不動産会社に記入を代行してもらった場合に発生しがちな間違いは、以下のようなものです。
- 撤去する設備を不動産会社は置いていくと思っていた
- 単純に不動産会社が把握していない瑕疵を記載しなかった
マンション自体の契約不適合には責任を負いますが、設備に関しては責任を負わないのが一般的です。
付帯設備表には以下のような記載をすることを押さえておきましょう。
第○条
売主は、別添「付帯設備表」のうち「有」と記したものを、本物件引渡しと同時に買主に引渡す。
2 売主は、前項の付帯設備については、契約不適合責任を負わないものとする。
この記載があれば付帯設備に関して、契約不適合責任を負う必要はありません。
ただし明らかに告知を怠ったものに関しては修理を請求されます。
いずれの場合も告知書・付帯設備表は噓偽りなく記入してください。
また単純に「知らなかった不具合が多すぎる」という理由で、告知書と付帯設備表を見た段階で売買契約締結前に取りやめにされるケースもあります。
できれば内覧の時点で、伝えられる不具合は直接買主に伝えておきましょう。
【マンション売却の失敗例7】マンション売却の際の手付金を使った後、解約になってしまった
マンションは売買契約を結んでから引き渡しまでの間、「買主がローンに通らない」という理由で白紙解約になるリスクがあるので注意しましょう。
詳しくはこちらで解説していますが、売買契約時の手付金を先に使ってしまい、白紙解約時に返金を求められたが返金できないケースがあります。
売買契約時の手付金は引き渡しまで手をつけないのが無難です。
もしくはしっかりとローンの事前審査に通っている買主とだけ、売買契約を結びましょう。
ローンの事前審査は、不動産会社に依頼すれば行ってくれます。
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今回はマンション売却のすべてを解説させていただきました。
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