アパート空き家の管理会社を調べる方法
1.不動産管理会社とは?
まず、不動産管理会社とは何かという点から確認していきましょう。
不動産管理会社とは、不動産を他人に貸して家賃手入を得る「不動産経営」において、不動産のオーナーに代わって様々な業務を行ってくれる会社のことをいいます。
不動産管理会社の仕事内容は、大きく①仲介業務と②管理業務の2つがあります。一口に「不動産管理会社」といっても、①と②の両方を行う会社もあれば、どちらかを專門で行う会社もあります。
以下、①仲介業務と②管理業務がそれぞれどのようなものか解説していきます。
①仲介業務
仲介業務は、物件の入居者や購入希望者を広く募集するところから、最終的に物件のオーナーに代わって入居希望者と賃貸借契約を結んだり、購入希望者と売買契約を結んだりするところまでを行う業務のことです。
- 仲介業務の具体的仕事内容・物件を査定し、家賃や売買価格を提案
- 物件の広告宣伝資料を作成
- 実際に物件を広告宣伝
- 入居希望者や買取希望者に物件の下見・現地案内
- 売買契約書、賃貸契約書などの書類作成
- 決済の対応
- 仲介業務に対して支払う報酬(仲介手数料)には上限が決められています。
②管理業務
管理業務は、物件建物自体の管理や、賃貸の管理を行う業務です。
管理業務の具体的仕事内容管理業務が具体的にどんなものかをまとめると、以下の表のようになります。
建物管理(ハード面) | 定期清掃 共用部分(電気設備、給排水設備、エレベーターなど)の保守点検 不具合箇所の小修繕 など |
賃貸管理(ソフト面) | 家賃集金の代行、滞納時の対応 入居者クレームの対応 など |
オーナーと不動産管理会社との間で、上記の中からオーナーが委託したい業務について「管理委託契約」を結びます。その契約に定められた業務内容によって、管理委託料は異なってきます。
2.不動産管理会社への依頼方法
不動産管理会社に仕事を依頼する場合、いくつかの依頼方法の形があります。
2-1.媒介(仲介)業務のみ依頼する場合
媒介(仲介)業務のみを依頼する場合、不動産管理会社と媒介契約を結ぶことになります。
媒介契約には、以下の3種類があります。
2-1-1.専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、
㋐オーナーが他の不動産管理会社に重ねて仲介を依頼することができなくなると同時に、
㋑売主は媒介契約を結んだ不動産管理会社が紹介する入居希望者以外とは取引ができなくなる
タイプの媒介契約です。
専属専任媒介契約のメリットは、不動産管理会社の積極的な努力が期待できることです。専属専任媒介契約を結んだ不動産管理会社には、媒介契約締結の日から5営業日以内に不動産指定流通機構(※)に情報登録する、1週間に1度以上オーナーに業務状況の報告をする、などの義務が課されます。これらによって、不動産管理会社の積極的な努力が期待できるのです。
※「不動産指定流通機構(通称レインズ)」とは、宅地建物取引業法に基づき国土交通大臣が指定した不動産流通機構で、不動産情報の交換業務等をおこなっています。
専属専任媒介契約のデメリットは、一度専属専任媒介契約を結んでしまうと、もうその不動産管理会社に任せるしかなくなってしまう点です。ほかの不動産管理会社に変えたいと思っても、変えることはできませんし、重ねて別の不動産管理会社に依頼することもできません。そういう意味で、オーナーの自由が制限されます。
2-1-2.専任媒介契約
専任媒介契約は、オーナーが他の不動産管理会社に重ねて仲介を依頼することができなくなるタイプの媒介契約です。ただ、専属専任媒介契約と異なり、オーナーは媒介契約を結んだ不動産管理会社が紹介する入居希望者以外でも、自分で見つけた入居希望者となら取引することが可能です。
専任媒介契約のメリットは、専属専任媒介契約ほどではないにしろ、不動産管理会社の積極的な努力が期待できることです。専任媒介契約を結んだ不動産管理会社には、媒介契約締結の日から7営業日以内に不動産指定流通機構に情報登録する、2週間に1度以上オーナーに業務状況の報告をする、などの義務が課されます。これらによって、仲介業者の積極的な努力が期待できるのです。
専任媒介契約のデメリットは、専属専任媒介契約と同じくオーナーの自由が制限されることです。ただ、オーナーは自分で入居希望者をみつけて取引するという余地は残ります。
2-1-3.一般媒介契約
一般媒介契約は、オーナーが複数の不動産管理会社に重ねて仲介を依頼することができるタイプの媒介契約です。自分で見つけた入居希望者と取引することも可能です。
一般媒介契約のメリットは、オーナーの自由が制限されないことです。これまで紹介した2つの媒介契約のような制限がありませんので、その分オーナーは自由に行動することができます。
一般媒介契約のデメリットは、不動産管理会社の積極的な努力が上記2つの媒介契約ほどは期待できないことです。一般媒介契約の場合、上記2つの媒介契約であったような仲介業者への義務は発生しませんので、不動産管理会社の努力は保証されないのです。
以上3つのタイプの媒介契約について、それぞれのメリットとデメリットを比較すると下の表のようになります。
メリット | デメリット | |
専属専任媒介契約 | 仲介業者の積極的努力が期待できる | オーナーの自由が制限される |
専任媒介契約 | 仲介業者の積極的努力が期待できる(専属専任媒介ほどではない) | オーナーの自由が制限される(専属専任媒介ほどではない) |
一般媒介契約 | オーナーの自由が制限されない | 上記2つほどは仲介業者の積極的努力が期待できない |
2-2.管理業務も一緒に依頼する場合
媒介業務に加えて管理業務も一緒に依頼する場合、自分がどんな管理業務を依頼したいかを不動産管理会社に説明しましょう。
先ほども載せましたが、一般的に依頼できる管理業務を表にまとめておきます。
建物管理(ハード面) | 定期清掃 共用部分(電気設備、給排水設備、エレベーターなど)の保守点検 不具合箇所の小修繕 など |
賃貸管理(ソフト面) | 家賃集金の代行、滞納時の対応 入居者クレームの対応 など |
これをサブリース契約といいます。サブリース契約を利用すれば不動産経営上のリスクを回避できるのですが、サブリース契約には様々な問題点も存在します。
3.良い不動産管理会社を選ぶ方法
不動産管理会社に業務を依頼するのであれば、絶対に質の良い不動産管理会社に依頼するべきです。そこで最後に、不動産会社の探し方や良い不動産会社を選ぶ方法についてご紹介します。
3-1.不動産管理会社の探し方
まず、管理会社の探し方についてご説明します。
管理会社の探し方は、以下の3通りあります。
- インターネット検索
- 投資用物件購入時の不動産会社から紹介してもらう
- 口コミ
3-1-1.インターネット検索
1つ目は、インターネット検索で探す方法です。
以下のサイトで全国の不動産管理会社を調べることができます。
また、賃貸物件の有名なポータルサイトから調べる方法もあります。
まず、有名なポータルサイト(アットホーム、スーモ、ホームズなど)で、自分の投資用物件のエリアにある他の物件を調べます。
すると、その物件のページからどの管理会社が掲載している情報か調べることができますので、その管理会社のHPを見ます。
管理会社のHPを見たら、WEBサイトの見やすさ、物件の写真の見やすさ、インターネット上での広告量を確認します。それらの情報から、広告に力を入れている管理会社を絞り込みます。
3-1-2.投資用物件購入時の不動産会社から紹介してもらう
2つ目は、投資用物件購入時の不動産会社から紹介してもらう方法です。
不動産会社であれば不動産業界の情報を多く持っているはずですから、信頼できるところを紹介してくれるでしょう。
この時、「賃貸仲介に強いところはどこですか?」と聞くようにします。
3-1-3.口コミ
知り合いに不動産経営をしている人がいる場合、そこからの口コミを得るというのも1つの方法です。
3-2.選ぶときのポイント
不動産管理会社を選ぶ時のポイントは、以下の通りです。
- 会社・営業所の雰囲気が良いこと
- 積極的に広告を出していること
- その管理会社が現に管理している他の物件の空室率が低いこと
- 建物管理をきちんと行っていること
- 顧客にチラシのコピーを渡すだけでなく、きちんと物件の案内をしていること
- 募集間取図面が見やすいこと(古い、汚い、そもそも無い、などはNG)
- 物件のあるエリアについて詳しいこと
- 土日祝日に休んでいないこと
- 財務面において信用できること
3-2-1.会社・営業所の雰囲気が良いこと
会社・営業所の雰囲気が良い会社を選びましょう。基本的ですが、大切なことです。実際に管理会社に足を運び、自分の目で確かめるようにしましょう。
具体的には、あいさつがしっかりしているか、対応が丁寧か、社員の身だしなみに問題はないか、活気があるか、などを見ます。
3-2-2.積極的に広告を出していること
積極的に広告を出している会社を選びましょう。
確認する方法としては、有名なポータルサイト(アットホーム、スーモ、ホームズなど)をいくつか検索してみて、検討している管理会社がどれだけ多くのサイトに広告を掲載しているかを見ます。
3-2-3.その管理会社が現に管理している他の物件の空室率が低いこと
空室対策で結果を出している会社を選びましょう。
確認する方法として、その管理会社が現に管理している物件の情報を上記のポータルサイトを用いて調べ、その物件の空室率が低いかどうかを見ます。
3-2-4.建物管理をきちんと行っていること
建物管理をきちんと行っている会社を選びましょう。これは特に管理業務まで委託したい場合はよく見ておく必要があります。
これを確認する方法として、検討している管理会社が実際に管理を行っている物件に自分で足を運び、自分の目で管理状況を確認するのが良いです。
その際、確認するポイントは下記の通りです。
- ポストにチラシが散乱していないか?
- 自転車置き場はきちんと整備されているか?
- 雑草が伸びてしまっていないか?
- 階段部分に放置荷物があったり、クモの巣が張ってしまっていたりしないか?
- 共同部分は清潔にされているか?
- 鉄部分が錆びていたり、塗装が剥げてしまっていたりしないか?
3-2-5.顧客にチラシのコピーを渡すだけでなく、きちんと物件の案内をしていること
顧客にチラシのコピーを渡すだけでなく、きちんと物件の案内までしている会社を選びましょう。
物件を案内する際に重要なのは、顧客とコミュニケーションを取ることです。よって、顧客にチラシのコピーを渡すだけでなく、きちんと物件の案内までして顧客とコミュニケーションを取っている会社を選びましょう。
3-2-6.募集間取図面が見やすいこと(古い、汚い、そもそも無い、などはNG)
募集間取図面が見やすい会社を選びましょう。
顧客がその物件を見に行ってみようと思う最大の決定打になるのが、募集間取り図面です。よって、募集間取り図面を見やすく作っている会社を選ぶようにしましょう。
インターネットの広告や、実際に管理会社の窓などに貼ってある間取り図面を見て判断します。
3-2-7.物件のあるエリアについて詳しいこと
物件のあるエリアについて詳しい会社を選びましょう。
具体的には、実際に管理会社で話を聞いてみて判断するのが良いです。
また、社員が安定しているかという点からも確認できます。社員がコロコロ変わってしまうと、会社全体としてエリアの情報に詳しくなれません。よって、社員が安定している管理会社が良いでしょう。
3-2-8.土日祝日に休んでいないこと
土日祝日に休んでいない会社を選びましょう。
部屋を探している人の80%近くが、土日祝日に動いています。この大事な日に休んでいるような会社では、営業に積極的とはいえません。
3-2-9.財務面において信用できること
財務面において信用できる会社を選びましょう。
これは、実際に管理会社に話をしにいって何かの見積もりを出してもらった時、細かく算出してくれているかどうかで見極めます。
3-3.管理会社にすべき質問
ここまでのポイントで管理会社をいくつかに絞ったら、直接管理会社に足を運んで話をきいてみましょう。
管理会社に足を運んだら、必ずしておくべき質問がいくつかあります。それらをまとめたものが以下になります。
- 入居者
- 購入希望者募集はどのように行うか?
- 空室対策のプランはあるか?
- 自分の物件でターゲットになる入居者層はどこか?
- 自分の物件で客付けしやすい家賃設定・売買価格設定はいくらか?
- 家賃滞納が発生した場合の対応はどのように行うか?
- リフォーム
- リノベーション費用はどれくらいか?
- 入居者トラブルにはどのような対応を行うか?
上記の質問をして、それに対し最も明確で丁寧で具体的で納得できる回答をくれた管理会社が、あなたが選ぶべき管理会社です。