不動産流通のしくみって?投資に役立つ確実な情報を得る方法

公開日2020/09/24
更新日2022/12/24

不動産投資と不動産流通の仕組み

不動産査定
物件を検索した際に、同じ物件が複数の不動産会社のサイトから公開されているのはなぜなのか、疑問を持ったことはありませんか?
 
不動産投資を成功に導くうえで、よりよい物件に巡り会うことは重要です。
 
しかし、実際に物件を探そうと思っても、「どの情報を信用したらよいのかわからない」というケースも少なくありません。
 
そこで本記事では、不動産流通の仕組みについて徹底解説。
 
投資に役立つ確実な情報を得るための方法や、投資を考えている人ならぜひ利用したいサイトについて、詳しく紹介していきます。

不動産流通の仕組み

ノートPCとスマートフォン
不動産の情報が顧客の目に触れるまで、どのような流通経路をたどるのでしょうか?
 
この章では、一般的な物流の仕組みと不動産売買(仲介)の流通の仕組みについて、比較しながら解説していきます。
 

一般的な物流の仕組み

まずは一般的な物流の仕組みとして、八百屋を例にみていきましょう。
 
たとえば、1個100円のトマトを市場で仕入れた場合、店頭にて150円でお客さんに売却すると、店頭側には50円の利益となります。
 
この場合、八百屋とお客さんの間に仲介する業者はなく、八百屋の仕入れた値段と売値の差額が八百屋の利益です。
 

不動産売買(仲介)の流通の仕組み

では、不動産売買(仲介)の流通の仕組みはどうでしょうか?不動産売買(仲介)の場合は、売主と買主それぞれに仲介不動産業者がサポート役として、不動産物件を受け渡すまでのお手伝いをします。
 
原則として、不動産売買(仲介)は物件の仕入れを想定していない点で、八百屋の仕入れとはまったく異なる仕組みです。
 
また、八百屋のケースでは買値と売値の差額が利益でしたが、不動産売買(仲介)の利益は取引成立後の報酬を売主や買主(もしくは両方)から、法律で定められた範囲内で得る仲介手数料が利益となります。
 

不動産情報の流通の仕組み

投資物件をインターネットで調べていると、なぜか同じ物件が違う不動産会社のサイトでも紹介されている場合があります。
 
それは、インターネットや住宅情報誌などで市場に流通する不動産情報が「情報となる売主→売主から直接依頼を受けた媒介業者→媒介業者から情報掲載の承諾を得た不動産会社→顧客」という流れで巡っているからです。
 
したがって、興味のある投資物件を発見した場合は、まずは情報源となる売主や、売主から直接依頼を受けている媒介業者を特定して、検討する価値のある信頼性の高い物件なのかどうかを、よく確認する必要があります。

投資家が効率的に物件情報を入手する方法

スマートフォンを見て悩む男性
不動産流通の基本的な部分が把握できたところで、この章では投資家が効率的に物件情報を入手する方法について、みていきます。
 

知りたい物件情報を明確にする

効率的に物件情報収集をするには、まず投資の軸を明確に決める必要があります。
 
なぜなら、インターネット上にあるだけでも、不動産投資用の物件数は膨大なので、自身の投資の軸がはっきりしないと、情報をうまく取捨選択できないからです。
 
たとえば、「儲かりそうな物件があれば買いたい」と漠然と思っていても、優良物件とは何かをわかっていなかったり、自分が拠出できる予算が明確でなかったりすると、物件を探しようがないのと同じです。
 
したがって、物件情報の収集の際には、予算や物件のタイプ、物件のエリアなどの明確な希望条件や投資スタンスなどをあらかじめ固めておくことが大切。
 
明確な軸が決まったら、あとは条件さえ合えば物件の購入へと進めるので、優良な物件情報を手に入れるチャンスも広がります。
 

不動産物件検索サイトの利用

優良物件を見つける一番手っ取り早い方法は、不動投物件検索サイトを活用することです。
 
条件が合う物件を見つけた場合、すぐに取り扱い業者に連絡すれば、詳細な情報を入手することもできます。
 
しかし、不動産物件検索サイトと一口にいっても、その種類は多岐に渡ります。
 
ここからは、不動産物件検索サイトの特徴をいくつかみていきましょう。
 

不動産を一括で検索できるサイト

不動産を一括で検索できるサイトのなかには、不動産投資家と不動産会社のマッチングサービスとして機能しているものがあります。
 
膨大な数の不動産を一括で検索できるのが、このようなサイトを利用するメリットだといえるでしょう。
 

有名投資家のコラムが読めるサイト

不動産投資・収益物件の情報サイトは不動産投資のための物件検索だけでなく、有名な不動産投資家によるコラムや、投資経験者のブログも閲覧できるので、投資に関する学びや知識を深められると人気を集めています。
 
そのほか、不動産投資の最新ニュースの発見や、セミナーの開催情報も得られます。
 

掘り出しモノが発見できるサイト

不動産サイトの中には、掘り出しモノの投資不動産が紹介されているサイトもあります。
 
なかには、不動産投資に精通しているスタッフがサイト運営をしており、スタッフ独自の目線で投資者に有益な情報を発信していることもあるので要チェックです。
 
希望の物件をリクエストしたら物件情報が送られてくるサービスもあるため、コアな利用者からも評価の高い情報が得られます。
 

情報誌や新聞折り込み広告の確認

投資用不動産としての土地や中古住宅は、インターネットだけでなく紙媒体からも得ることが可能です。
 
ただし、なかにはおとり広告のような危険な広告が混じっている場合もあるので、広告の情報源と種類は取捨選択することが重要です。
 
宅地建物取引業法や、不動産の表示に関する公正競争規約を遵守している安全性の高い紙媒体の広告や情報源としては、主に次のような媒体があげられます。
 

新聞本体に載せられる不動産広告

新聞の本体に掲載されている不動産広告は、マンションや大規模分譲地など、大規模で長期的なスパンをもって営業活動をしている物件が多い傾向にあります。
 
広告内容は新聞社本体がチェックしているため、広告のルールに準拠した広告が出されるので、情報が誇大ではなく、安心だといえるでしょう。
 

有料の住宅情報誌

開発中の物件情報から、販売中の物件まで多種多様な情報が掲載されています。
 
有料の情報雑誌は、駅売店や書店などで販売されているリクルート社の住宅情報誌が有名です。
 

住宅サークル(友の会)

「住宅サークル(友の会)」とは、大手不動産会社が作っている交流組織で、入会金、会費は原則無料で不動産に関する情報が得られます。
 
会員になれば、その不動産会社の会員誌や発売予定物件なども送ってもらうことが可能です。

レインズとは

不動産評価
投資用物件は、不動産ポータルサイトから確認ができます。
 
しかし、より詳細で信頼性の高い物件情報かの確認は、「レインズ」というシステムの活用も有効です。
 
この章では、レインズとはどのようなシステムなのか、仕組みや役割について解説します。
 

レインズ(REINS)とは?

レインズ(REINS)とは、Real Estate Information Network Systemの頭文字を並べた略称で、国土交通大臣によって作られた組織が導入している情報システムです。
 
レインズには、現在の売却情報や過去の成約情報など、物件のさまざまな情報が集まっています。
 
現在の物件価格がお買い得なのか、通常よりも高値なのかの判断基準としても活用できます。
 

レインズの情報が届く仕組み

レインズに物件情報が掲載されて、顧客に情報が届くまでの仕組みは次のとおりです。
 
1.物件の売主から依頼を受けた不動産業者が売却情報をレインズに掲載する
2.掲載された物件情報がレインズ内で共有される
3.物件情報を求める人がレインズで物件を探す
4.希望条件に見合った物件情報を見つける
 

レインズの役割

なぜ、レインズのような不動産流通システムが、指定流通寄稿として情報流通をするのでしょうか?
 
その理由は、レインズの3つの役割にあります。
 

役割①:不動産情報を1つにまとめる

1つ目は、「不動産情報を1つにまとめる」というレインズの役割です。
 
売主が不動産会社に物件の売却を依頼する「媒介契約」では、宅地建物取引業によってレインズの登録が義務化されています。
 
登録された物件情報が1つにまとめられたことにより、全国の不動産業者が閲覧できるようになるので、物件の買主が見つけられやすくなり、より円滑な不動産の流通を促せます。
 

役割②:不動産の適正価格がわかる

2つ目は、「不動産の適正価格がわかる」という役割です。
 
レインズでは、登録番号や売買契約年月日、取引価格などの物件成約情報を登録しなければならないので、蓄積された取引事例は、不動産の適正価格を確認するための情報として活用できます。
 
不動産の取引条件は物件の取引ごとに異なるので、売買価格は不透明になりやすい傾向にありますが、レインズを活用すれば相場をあらかじめ確認できるので、適正価格を知りながら安心に取引を進めることが可能なのです。
 

役割③:不動産取引安全性を高める

3つ目は、「不動産取引の安全性を高める」というレインズの役割です。
 
不動産売買の媒介契約では、不動産売却活動が適正に実施されているか確認できるシステムが構築されています。
 
たとえば、「物件情報をレインズに登録する義務」「レインズに登録した物件の閲覧数」「内見申込の有無」などが挙げられます。
 
これらの業務処理状況の情報は、売主に伝達することが義務となっているので、不動産売買を安心安全に進めるうえで役立ちます。
 

レインズを利用できない人

ここまで、レインズの仕組みや役割について解説してきましたが、実は”不動産業者(宅地建物取引士)ではない個人投資家”は、レインズを利用できません。
 
理由は、次の2つです。
 
・投資者への情報提供を主旨としたサービスではなく、不動産会社の情報を一元化しやりとりを簡易化することを目的としているから
 
・個人情報が多く掲載されており、守秘義務を法的に守れる確証のある免許業者のいる不動産業者しか閲覧ができないから

レインズと同程度の情報を個人が閲覧する方法

黒いシャツを着てスマートフォンを持つ男性
先述したとおり、レインズの物件情報は不動産会社(宅地建物取引業者)しか閲覧できません。
 
しかし、現在ではいくつかのサイトで、レインズと同程度の情報を個人でも閲覧できます。
 

レインズの関連サイトを利用する

全国指定流通機構連絡協議会が運営している物件取引情報を提供するサイトを利用すると、全国のマンション物件と戸建ての売買価格を調査できます。
 
調べられる物件情報は、次のとおりです。
 
・所在地
・売買成約価格と成約時期
・土地と建物面積
・間取り
・築年数
 
また、物件の周辺状況については、次のような項目を調査できます。
 
・物件の沿線と最寄駅
・物件と駅からの距離
・用途地域
 
投資したい物件が、過去のどの時期にいくらくらいの値段で成約したかを把握できる点は、通常の不動産サイトでは把握できない情報です。
 
検索結果は、直近1年の取引情報の分布グラフとあわせて確認できるものもあるので、視覚的にパッと情報を得たい人にも、物件情報がわかりやすいのが特徴です。
 
売買条件に近い数値データを入力して成約物件を絞り込むと、物件の相場を知ることもできます。
 
ただし、関連サイトにおいても掲載されている不動産の成約情報は守秘性が強いため、個別取引の特定ができないように、売買成約価格の10万円単位」「物件面積の明確な数字」「物件の明確な築年数」などについての詳細は、掲載されていません。
 

その他の留意事項

レインズの関連会社の情報をチェックすることで、レインズと同じレベルの情報を一般の投資家が得ることはたしかに可能です。
 
レインズを直接閲覧できない投資家にとっては、有益な情報がぎっしり詰まっていますが、レインズの成約情報がすべて掲載されているわけではないので、詳細を確認する際には情報が十分でないと不満に感じる方もいるかもしれません。
 
また、掲載されている情報は、買主や賃貸人を募集している不動産情報に限定されており、成約情報については掲載されていない可能性があります。
 
したがって、「どのような値段で取引が成立したのか」というような、取引の結果を調べるうえでは、利用しにくい情報元といえるでしょう。

不動産流通の仕組みと情報収集の方法まとめ

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今回は、投資家にとって役立つ不動産情報を得る方法を、不動産流通やネットワークシステムの観点などから解説しました。要点は次のとおりです。
 
・不動産物流の仕組みの理解は、投資を成功に導くうえで重要
・知りたい物件情報を絞って、幅広い媒体からの情報収集が大切
・レインズは宅建業者しか閲覧できないが、同程度の情報は別のサイトからでも閲覧可能
 
不動産の情報は、必ずしも広告のルールに則って掲載されているものばかりではありません。
 
したがって、しっかりとリテラシーをもって、情報を取捨選択することがポイントです。
 
本記事を、不動産投資の適切な情報収集にぜひお役立てください。

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このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

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