不動産投資の失敗例から見る管理会社との付き合い方

公開日2019/10/22
更新日2022/12/20

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不動産投資はどうなると失敗なのか?

手堅い物件であると考えたにも関わらず、不動産投資に失敗するようなこともあるでしょう。
 
不動産投資は、株式やFXなどよりも価格変動が少なく、月々安定した賃料収入が獲得できるメリットがあるので、割合手堅いミドルリスク・ロングリターンの投資であるといわれています。
 
しかし、不動産投資は、入居する人が現れないと賃料収入が獲得できないデメリットもあります。
 
また、物件で問題がある箇所を見落としていたことによって、非常に損するリスクもあるでしょう。
 
物件を十分にチェックしていなかった、賃貸需要の判断を誤ったなど、不動産投資の失敗例を見ると、不動産投資で失敗しないためにはどうすればいいかがわかります。
 
ここでは、不動産投資の失敗例についてご紹介します。
 

不動産投資の失敗例1

郊外の大学が移転したために、不動産投資に失敗した事例です。
 
不動産投資家は50代の男性です。
 
買った物件は1Kマンションで価格は約900万円、買ったときは30年の築年数でした。
 
投資家が買ったマンションは、私立大学の近くにありました。
 
2階建てのアパートが大学の近くには多くありましたが、投資家のマンションは駅からちょっと離れてはいましたが、高い防犯性があるため賃貸需要が女子学生をメインに期待できました。
 
関東地方でもちょっと郊外に私立大学はあったため、6万円くらいの家賃で、約8%の利回りを見込んでいました。
 
マンションは築30年程度としても悪くなく、学生で1人暮らしをしたい賃貸需要があると、不動産投資が安定してできるだろうと考えて買ったそうです。
 
買ってからの数年間は、考えていたように空室になることもなく、入居率は100%をほとんど維持することができました。
 
しかし、5年間を経過した頃に、驚くことに大学が移転することを発表しました。
 
定員割れが少子化によって目に付いてきていたため、都心に学生から避けられる傾向があった学部を移転して、1学部だけを現在のキャンパスには残すというような対策を大学側がとりました。
 
この影響のために大学の周りで生活していた学生も一緒に引越しするようになって、新入生を期待していましたが次の年から非常に少なくなりました。
 
マンションを買ったのはもともと大学から近いというのみであったため、利便性が駅へのアクセスなどあまり良くなかった投資家の物件は、入居者付けに一気に苦労するようになりました。
 
また、3月ギリギリまで住人が入っていたため、内覧できるのは4月になって、年度が切り替わる時期で入居者付けが上手くできなく、空室に1年間近くなるというようなことも発生しました。
 
そのため、利回りはその年には0%になりました。
 
最終的に、投資家は売ることにしましたが、大学が移転したことによって新しく買いたいという人も現れなく、買ったときの価格の3分の1くらいでしか売れなかったそうです。
 

不動産投資の失敗例2

素人が競売物件に安易に買ったために、不動産投資に失敗した事例です。
 
投資家は40代の男性です。
 
買った物件は、2DKマンションで、価格は約2,000万円でした。
 
買ったときの築年数は25年でした。
 
投資家は、アパートをもともと1棟持っており、不動産投資を安定して行っていました。
 
都心のマンション投資をアパートの次は考えていましたが、相当価格が高く、せいぜい5%程度の実質利回りのもののみで、考えているようなマンションがなかなかありませんでした。
 
そのため、投資家は競売物件に着目しました。
 
競売物件というのは、税金の未払いや債務の返済が停滞したなどによって裁判所が債権として売り出すものです。
 
現在はネットでも競売を専門に扱うサイトがあり、相当着目する人が多くなりましたが、2000年代の前半は普通の人が情報を簡単に集められませんでした。
 
しかし、投資家は知り合いの不動産業者に聞いたり、本を読んだりして学習して、2,000万円程度の繁華街の近くにあった2DKのマンションを買うことに成功しました。
 
同じような条件の周りのマンションは2,800万円程度の相場であったそうで、相当安く買ったといえるでしょう。
 
賃貸物件としても賃料収入で15万円は月に期待できるようなものであり、転売するためにリフォームすることも考えられました。
 
しかし、実際に買って、部屋の中を見れば返済が停滞していた人が暮らしていたため、山のように溜まったゴミや残置物があり酷い状態でした。
 
部屋の内装も、床の貼り替えや壁紙の交換が必要であるだけでなく、風呂やトイレなどにも錆や垢が目に付くようになっており、賃貸物件にするためには、このようなものも交換しなければ使えませんでした。
 
事件や事故が何かあったということではないため、心理的瑕疵物件ではありませんでしたが、投資家の心情的としては、これに近いような状態であったそうです。
 
最終的に、残置物を処分してから設備や内装を全てリフォームした結果、費用が500万円以上になったそうです。
 
それまで以前の持ち主が滞納していた管理費などもあり、これを支払うことによって安く物件を競売で買った意味が全くなくなって、メンタル的な疲労感のみが残ったということです。
 
完全にリフォームしてからは管理するのも面倒になって、そのまま売ってしまったそうです。
 
税金や管理費、仲介手数料などを余計に支払って、無駄に時間も使ったのみで、勉強代が高くなったということです。
 

不動産投資の失敗例3

利回りのみを見て中古のワンルームマンションを東京の郊外で買ったために、不動産投資に失敗した事例です。
 
投資家は30代の男性です。
 
買った物件はワンルームマンションで、価格が約800万円、築年数が30年でした。
 
投資家は、買った価格が安いことと利回りが高いため、中古のワンルームマンションを東京の郊外で買いました。
 
買った中古のワンルームマンションの価格は約800万円で、賃料収入は月5万円を想定していたため、表面利回りを計算すると7.5%になります。
 
すぐに入居する人も現れて、賃料収入を問題なく獲得できていましたが、入居していた人が契約を更新する時期に退去しました。
 
投資家にとっては、ここからが想定外でした。
 
築年数がもともと古く、物件は駅から15分程度のところにあったこともあり、なかなか入居する人が現れませんでした。
 
そのため、4万円まで家賃を下げた結果入居する人はやっと現れましたが、4ヶ月間も空室になってしまいました。
 
最終的に、初めに考えていた利回りの7.5%も、4%までその年は低下するようになりました。
 
家賃を低下したことによって、さらに月々の持ち出しが多くなってしまいました。
 
売ることも一時は考えましたが、駅からちょっと離れており築年数が古いので、買主が現れなかったそうです。
 
利回りのみを見て買っても、基本的に入居する人がいないと0に利回りはなります。
 
投資家は、初めに利回りのみを見て買ったことを悔やんでいるそうです。

不動産投資の失敗はどうすれば防止できたか?

ここでは、不動産投資の失敗を防止する方法についてご紹介します。
 

1つの会社や大学に頼る不動産投資は止める

会社の大きな工場があるため、そこで仕事をする人の需要を期待して不動産投資をするのはリスクがあります。
 
また、現代は少子化の時代であり、地方では、特にいつ転居するかわからないような大学に頼るのは少しリスクがあります。
 
物件を買うときは1つの会社や大学での需要を期待しないで、交通のアクセスがいいところなど、一人暮らしの需要が生活面や環境面でなくならないものを選択しましょう。
 

競売物件は内覧ができなく高いリスクがあるため投資しない

普通の物件と違って、競売物件は内覧ができない、瑕疵担保責任を売主が負わない、入居している人は買主自身が退去させる必要があるなどのリスクがあります。
 
当然ですが、相場よりも非常に安く買えるのは大きなメリットに見えますが、初めて不動産投資をする人にはハードルが相当高いといえます。
 
不動産投資を安全にしたいのであれば、競売物件は買わない方がいいでしょう。
 
また、一般の入札者も近年は多く、落札価格が高くなっており、ほとんど市場価格と違いが無いようです。
 

目先の儲けや高利回りに惑わされない

周りの家賃と比較して家賃が高くなっているのであれば、次に入居する人が入る時期に家賃が低下する可能性があることはわかるでしょう。
 
しかし、例えば、やっと探した高利回りの物件であれば、数値に惑わされて買うときもあるでしょう。
 
周りの家賃相場だけでなく、物件のグレードや築年数を良く見ないで高利回りであるということのみで買うと失敗しかねません。
 
確実に安定した賃料収入を確保したいのであれば、利回りで判断しないで、物件が家賃に応じたグレードか、適正な家賃であるかなどを判断する必要があります。

不動産投資の具体的な失敗事例とは?

ここでは、不動産投資の具体的な失敗事例についてご紹介します。
 

空室が埋まらない(33歳の男性)

1年前に都内の近郊の中古の一棟アパートを買いました。
 
アパートは近くの駅から徒歩で13分、買ったときの表面利回りは12%、買ったときの入居率は80%、利回りは約10%でした。
 
買った後1年間は利回りが約10%を保っていましたが、この後退去する人が相次いて、30%まで入居率が低下してしまいました。
 
そのため、月々の赤字額は約10万円になりました。
 
空室がどうして埋まらないのかと思って賃貸ポータルサイトの大手を自分で見てみると、自分の物件が載っていないことがわかりました。
 
そのため、管理会社にすぐに頼んで載せてもらいました。
 
この後も入居する人がなかなか現れず、1年経ってから家賃を下げてやっと80%の入居率までになりました。
 
空室になっていた時期は、月々赤字で補填が100万円程度発生しました。
 
家賃をさらに下げたので、同じ80%の入居率でも利回りは悪くなって8%になったそうです。
 

新築ワンルームマンション(31歳の男性)

2年前に都内の新築ワンルームマンションを買いました。
 
・東京都内の物件
・駅から徒歩10分
・購入時の表面利回り4.8%
・購入時の家賃は10万4000円
 
老後に不安があったので、女性向けのお金のセミナーに参加したら不動産投資を勧められました。
 
セミナー主催会社の営業の方から「ちょっと駅から遠いけど、物件の設備は最新だし同じ家賃で10年間は貸せる」と言われて新築のワンルームマンションを購入しました。
 
実際、新築ということで入居者はすぐ見つかり、購入後すぐ家賃収入がありました。
 
しかし、最初の入居者は2年で契約更新せずに退去してしまいました。
 
空室のタイミングは年度末の3月。
 
しかし退去通知があってもなかなか管理会社さんは客付け活動を行ってくれていませんでした。
 
退去通知から1ヶ月後の4月からようやく広告開始。
 
その後2ヶ月も入居が決まらず焦ってしまい、家賃を5000円下げることにしました。
 
そうするとすぐに入居は決まりましたが、利回りはかなり悪化してしまいました。
 

「値下げ」につられて選んでしまった

中古ワンルームマンション K.Iさん/34歳男性
 
・2年前に中古のワンルームマンションを購入
・ターミナル駅から徒歩10分
・購入時の表面利回り5.2%
・購入時の家賃は9万4000円
 
不動産を購入したのは、ポストに入っていた一枚のチラシがきっかけでした。
 
物件はターミナル駅から徒歩10分の好立地で、築10年の築浅マンションでした。
 
「物件価格を値下げしました」という書き出しに惹かれ、早速問い合わせをし、お得感に背中を押されてほとんど迷いなく購入しました。
 
本当は購入前に、自分で物件価値を調べておけば良かったのですが……事情があって物件購入わずか2年で、売却することになりました。
 
業者から提示された売却価格は、なんと購入時より30%も下がっていました。
 
わずか2年でこんなに下がるのかと思っていたら、私が購入した金額が高かったようです。
 
その時、「値下げ」という言葉につられて物件を高掴みしてしまったことに気づきました。
 
高い勉強料となってしまったようです。
 

こんなに掛かった?修繕費

その1:中古ファミリータイプマンション A.Sさん/32歳男性

 
・3年前に中古のファミリータイプマンションを購入
・購入時の表面利回り7.2%
・購入時の家賃は11万4000円
 
購入後、毎月の修繕積立金がどんどん上がって行きました。
 
そこで気づいたのが(時すでに遅しですが)、購入前は表面利回りばかり気にして修繕積立金を意識できていなかったことです。
 
事前のシミュレーションが十分でなかったのです。
 
あまりにも修繕積立金がかかるので、入居者がいるのに赤字となってしまいました。
 
修繕積立金が増えていくのは知っていましたが、規模が大きい分、こんな短期間で増えていく場合があるんですね。
 
事前にきちんと、シミュレーションしておかないといけないですね。
 

その2:中古ワンルームマンション Y.Tさん/29歳男性

 
・中古のワンルームマンションを購入
・購入時の表面利回り5.6%
・購入時の家賃は8万4000円
 
物件の購入にあたり、管理費・修繕積立金は通常すでに支払われていると思いますよね?
 
そうではない場合もあるので、注意が必要です。
 
物件購入3ヶ月後に、マンション管理会社から管理費・修繕積立金滞納金約60万を支払ってくださいとの通知が届きました。
 
なんと前のオーナーは転勤でずっと海外にいたので、その期間中全く支払いをしていなかったのです。
 
管理会社に交渉をしましたが、管理会社は事前に「重要事項に関わる調査報告書」を提供して、その中にマンション全体、そしてこの物件に関する管理費・修繕積立金の滞納金額も明記してあるので、知らなかったのは自分の責任だと言われました。
 
再度書類を見直し、確かに明確な記載がありました。
 
仕方なく滞納金を支払うことにしました。
 

その3:中古ワンルームマンション K.Tさん/33歳女性

 
・中古のワンルームマンションを購入
・築年数30年
・購入時の表面利回り6.8%
・購入時の家賃は6万3000円
 
築年数の割に立地が良く、入居も途切れていないということもあり、築年数が少し古い30年もののマンションを購入しました。
 
都内のワンルームマンションでは利回りも高く喜んでいました。
 
キャッシュフローもプラスです。
 
しかし購入して半年後に、管理会社から修繕積立金が来月から値上げする旨の通知が届きました。
 
その金額は今までのより7,000円も高くなっていて、利回りが下がってしまいます。
 
驚いて当時の仲介業者に電話をしたら、物件購入時に渡した「重要事項に関わる調査報告書」に書いてありますよと言われ、確認をしたら、確かに書いてありました。
 
そのときに渡された書類をすぐきちんと確認すれば、今回の失敗は防げたのかもしれないと後悔しました。
 

返済計画をきちんと考えていなかった

一棟アパートを購入し、オーナーとなったCさん。当初の家賃収入で返済シミュレーションをしたら、15年で返済可能でしょうとのことで、15年返済の融資を組みました。
 
1年目は満室で順調に返済できましたが、2年目から空室が出てしまい、赤字となってしまいます。
 
また、アパートの修繕も予定より多くなり、出費が増える一方という状況になりました。
 
さらに資金繰りが苦しくなり、購入してわずか3年で泣き泣き手放すことになりました。
 
この失敗原因は、キャッシュフローシミュレーションの現実的可能性が甘かったことです。
 
きちんとキャッシュフロー計画を立てていれば、ローン返済期間をもう少し長くするという判断をできたでしょう。
 
また、空室が出たということは客付けにも問題があった可能性があります。
 

家賃を払ってもらえない!

ワンルームを購入したAさん。
 
前の入居者が出ていって、すぐに決まった新規の入居者。
 
管理会社がきちんと審査したはずなのに、いきなり家賃を滞納しました。
 
サブリース契約ではなかったので、すぐに赤字に転落してしまいました。
 
その後も支払いがなく、半年後に弁護士に依頼して建物明け渡し訴訟をして退去させました。
 
かかった持ち出し金額は、弁護士費用含めて200万円となり、貯金はなくなってしまいました。
 

入居者がまさかの自殺?!

ワンルームマンションを持っていたYさん。
 
なんと仕事上の悩みが原因で、入居者が自殺してしまいました。
 
そのせいでなかなかその後入居者が付かず、かなり家賃を下げてようやく入居がある、という状況になってしまいました。
 
これは避けることが難しい失敗です。
 
また高齢化が進み、孤独死なども避けられない状況が考えられますのである程度資金は確保しておいた方が良いでしょう。

不動産投資に失敗する人の4つの共通点

不動産投資はミドルリスク(ミドルリターン)と言われるように、失敗するリスクが比較的高くはない投資といえる。
 
それにも関わらず、失敗して後悔する人も後を絶たない。
 
もちろんそれぞれに事情はあるのだが、失敗する人には、幾つかの共通点があるように見える。
 
負け組にならないためには、その共通点を知っておくべきだろう。
 

しっかり勉強しないで不良物件を掴まされる

共通点として最初に指摘しておきたいのが、失敗する人の多くはしっかりと勉強をしていないということだ。
 
不動産投資の対象は安いワンルームでも百万単位、RCの1棟物など億円単位の物件もある。
 
それだけ高額な投資をするにも関わらず、ロクに勉強もしないでスタートすれば失敗する確率が高くなるのは当たり前だ。
 
周囲に成功している投資家がいればなおさらで、「自分も成功するのではないか」と根拠のない自信を持ってしまうことも、失敗への歩みといえるだろう。
 
「不労所得」という言葉から、簡単に楽をして収入が得られると思っていたらそれは間違いだ。
 
しっかりと勉強せず、安易に他人の言うことを信用して業者任せにしていても、成功するはずがない。
 
基本的な知識がなければ人の言いなりになって、必要最低限の確認や検証をせずに物件を購入してしまう。
 
これは営業担当者の立場で考えれば分かることだが、収益が見込める優良物件は取引実績のある優良顧客に紹介する。
 
逆に問題があって知識や経験のある顧客には売り難い物件があったとして、それをどうしても売らなければいけなかったらどうするだろうか?
 
優良顧客に売るだろうか?勉強熱心な投資家なら物件のマイナス面も見抜くかもしれない。
 
こう考えると、あまり勉強していない初心者に勧める営業マンがいてもおかしくないことが分かる。
 
勉強しないで投資する人の中で、意外と多いのが比較的若い年代で、給与収入の高い人たちだ。
 
ここでは職種までは挙げないが、彼・彼女らは仕事に関しての専門分野の知識は豊富だが世間知らずの傾向がある上、本業が忙しいので投資について勉強をせず人任せになりがちだというのだ。
 
いずれにせよ、勉強をしない人は悪意のある業者のターゲットになりやすい。
 
初心者が業者任せにして不良物件を掴まされたのでは、まず収益を得るのは不可能だろう。
 
勉強しないで投資をすれば、そういうリスクを自ら背負うということになるのだ。
 

不動産投資が事業経営であることを理解していない

株式やFXなどの投資と不動産投資の大きな違いの一つは、不動産投資には事業経営の要素があることだ。
 
税制面でのメリットもあるものの、不動産投資のために法人をつくることは珍しくない。
 
このことからも、事業経営との類似点、共通点があることが分かる。
 
今の不動産投資は、家賃収入で収益を得るインカムゲイン型の経営がポイントだ。
 
この点をしっかり理解していないと、負け組の仲間入りをすることになる。
 
安定した家賃収入を確保するには、入居者に住みたいと思う快適な住環境を整える努力や工夫が欠かせない。
 
日々の業務はどうしても専門の管理会社に任せることになるが、入居者目線で仕事のクオリティを検証し、必要に応じて改善するのは経営者の役目である。
 
何から何まで従業員任せの社長では、会社がうまくいくとは思えない。
 
さらにいえば、入居者目線で創意工夫をするのは大事だが、一方でコストパフォーマンスを考慮することも経営者の仕事といえるだろう。
 
ここで収支のバランスをとる経営センスが必要になる。
 
負け組になる投資家の共通点は、この経営センスを磨くための努力や勉強をしないことである。
 

人脈を広げようとしない。投資に関するあらゆる行動は一人で行うもの

不動産投資で成功するための要素として、「広い人脈を持っていること」がある。
 
不動産業者の人脈も大事だが、それ以上に不動産投資家、つまり同業者の人脈が成功のカギを握っている。
 
体験者の生の意見は、書籍やセミナーにはない重みと価値があるからだ。
 
すべての著者や講演者に当てはまるわけではないが、彼・彼女らは情報や物件を売ることがビジネス。どうしても「売らんかな」になってしまう面もある。
 
その点、個人の投資家には基本的にその心配をする必要がない。
 
また個人投資家はとかく孤独になりがちだ。事業経営と同じ要素があるとはいったが、投資に関するあらゆる行動は一人で行うもの。
 
これはいろんなことが一人で決めて責任をもって進められるともいえる反面、どうしても客観性やモチベーションを保つことが難しくなる時がある。
 
そうしたときに広い人脈を持っていれば、たとえば判断に迷った時に適切なアドバイスを受けられる。
 
人脈を持っていない人は、周囲に相談せずに自分で判断する反面、物件を購入した後は業者任せにしてしまう傾向があるという指摘もある。
 
経験豊富で自分なりの投資スタイルを確立している人なら良いが、初心者が一人で判断すれば誤った選択をする可能性が高くなるのだ。
 
いうまでもないことだが、多くの不動産投資家を知っていればいいというわけではない。
 
異業種交流会に出て名刺を集めることが目的になっているサラリーマンもいるが、あくまで切磋琢磨できる仲間、信頼できる知人を持つことが大事だ。
 
そのためには、相手にとって自分が刺激やいい情報、知見を与えられる人物であることも求められる。
 

計画性がないお金の使い方をする

これは不動産投資に限らない、ごくごく当たり前のことだが、失敗する投資家には、計画性のないお金の使い方をする人が多いようだ。
 
不動産収益は不労所得だからと散財し、不測の事態に備えて蓄えることをしない人は間違いなく失敗するのだが、散財とは言えないまでも、「管理」がしっかりできないと成功の可能性は下がってしまう。
 
たとえば物件の購入後に定期的にメンテナンスをしない、修繕する際など出費を強いられるときに相見積もりを取らずに業者を決めてしまうといったようなことが考えられる。
 
一件ごとでは大したコスト増ではないかもしれないが、これが積み重なると多額になるし、そういう緊張感のない姿勢は大きなロスやミスにつながりかねない。
 
よくある失敗例としては、メンテナンス状態を確認せずに高利回りの築古物件を購入してしまい、後に想定外の修繕費が必要になるパターンがある。
 
本人は安い買い物をしたつもりなのだが、結局高くつく結果となる。
 
いわゆる「安物買いの銭失い」といえる。
 
安い物件、掘り出し物の物件には、必ずそれなりの理由がある。
 
もちろん、売り手の事情でフェアに判断しても「安い!」という物件もあるだろうが、しっかりと見極める必要がある。
 
ほかのケースとしては、空室リスクを回避するために自ら創意工夫をせず、入居率を上げるためという業者の口車に乗って、無計画にリノベーションをしてしまう、というものもある。
 
こうしたケースでは、コストパフォーマンス、投資対効果を無視した自己満足的なリノベーションになりがちだ。
 
入居者ニーズを考慮せずにリノベーションをほどこしても、費やした資金を回収するだけの家賃収入を得るのは難しいだろう。
 
それでは適正な費用対効果は期待できず、持ち出しが多くなるだけだ。
 
結果として、収益を圧迫しキャッシュフローがマイナスになる。
 
また安易にフルローンを利用すると、返済比率が高くなって負のスパイラルに陥りやすい。
 
返済率とは、家賃収入に占める返済額の割合のことをいう。この数値が高いと、その分だけ管理費などのランニングコストを差し引いたキャッシュフローが少なくなる。
 
融資を受ける際は、キャッシュフローを維持できる最低レベルの基準を数値で把握しておく必要がある。
 
これは物件によって異なるので一概には言えないが、管理費などのランニングコストは家賃収入の20%程度が目安で、残りの80%から返済するといいといわれる。
 
しかしこの計算は入居率100%が前提なので、ここには周辺の物件や競合物件、もしくは同じ物件の過去の経験から空室率を考慮して計算に入れておく必要がある。
 
返済率が60%を超えるとキャッシュフローが20%を割り込み、空室や突発的な修繕費などが発生すると持ち出しになる可能性が出てくるので危険ゾーンと言える。
 
返済率は40%程度が理想だが、重要なのは不測の事態に備えた計画性である。

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このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

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