原油高騰による賃貸への影響
昨今、「値上げ」という言葉を耳にすることが増えました。
ガソリンからはじまり、食品、生活用品、電気代、高速道路料金と私たちの生活への影響は計り知れません。
先月、サントリーホールディングスから2008年9月以来14年ぶりにビールやチューハイなどの酒類507品目の値上げの発表がありましたが、晩酌を楽しみにしている私としては残念でなりません。
みなさんも、今日もまた値上げのニュースかとため息がでる日々を過ごされているのではないでしょうか。
賃貸業界もまた例外ではなく、値上げの影響を受けています。
生活を支える石油商品
私たちの生活に、石油商品は欠かせません。
ペットボトル、日用品、衣料、インテリア品、産業資材、塗料、洗剤、タイヤなどのゴム製品など、数え上げたらきりがないほどさまざまな製品に使用されています。
ちなみに、油田から産出されたままの未精製の状態を原油、原油から不純物を取り除いたものを石油といい、ガソリンも石油の一種です。
不動産において影響を受けるものは、燃料が高騰して運送費が上がることで間接的に値上がりする鉄筋、鋼材、木材のほか、石油が原料で直接的に値上がりするウレタン、シーリング材、塩化ビニルなどがあります。
さらに、原状回復工事で使用するクロスやクッションフロアなども直接的に値上がりしている資材の一つです。
賃貸運営のランニングコストの増加
2020年1月15日に日本で最初の新型ウィルス感染者が確認された同年には、既に各工務店からクロスやクッションフロアなどの値上げ相談が始まりました。
2021年の秋頃には、ハーネスと呼ばれる部品が不足することで給湯器の供給状況が厳しくなり、現在も商品によっては注文をしてから納品まで3ヶ月ほどかかるものもあります。
さらに最近では、半導体不足によるエアコンの供給不足が懸念され、交換に限らず修理にも影響を及ぼしています。
私見ではありますが、物の需要が増え供給が減れば物の価値は高まるため、今までのように定価より安く手に入れることが難しくなります。
そうすれば必然的に賃貸運営のランニングコストは増えていくことでしょう。
まとめ
新型コロナウィルスの影響で私たちの環境は大きく変わりましたが、いつまでも悪い状況が続く訳ではありません。
一時期はマスクが不足し購入できない状況に陥ったものの、今はどうでしょうか。コンビニ、薬局、ディスカウントストア、どこに行っても購入ができます。
マスクを購入するために抽選を受けたり、定価の何倍もの金額で販売されたりしていた時期が嘘のようです。
給湯器やエアコンが今までのような価格で購入することができない状況が続くと、オーナー様にとってはかなりの痛手になってしまいますが、何より最悪な事態は商品が手に入らずに交換ができないことです。
給湯器が使えなければ、入居者はシャワーを浴びることもお風呂に入ることもできません。
夏場にエアコンが使えなければ熱中症などのリスクも高まるため、入居者の生命にも関わります。
当然に入居者からは家賃の減額を求められ、場合によっては入居者の退去につながる可能性もあるでしょう。
賃貸運営において、苦しい時こそ頼りにしたいのは、信用、信頼、安心が持てる管理会社。
給湯器にしてもエアコンにしても、自社でストックを確保している、独自の仕入れルートを持っている、専門業者と密な関係にあり優先して商品が納品可能かなど、みなさまが物件を任せている管理会社が本当の意味で頼りになるのか見定めるいい機会なのかもしれませんね。
このコラムを書いている人
徳永 裕幸
1982年 神奈川県出身 2014年アーバンフォース入社 保有資格:宅地建物取引士/不動産賃貸経営管理士/管理業務主任者