【実例付き】暦年課税と相続時精算課税どちらがお得?

公開日2024/04/12
更新日2024/07/16

  • 日本にはさまざまな税金がありますが、身近な税金といえば住民税・消費税・所得税といったところでしょうか。
  • 特定の人にとっては酒税・たばこ税などもありますし、他にもいろんな税金が存在しています。
  • その中でも今回は贈与税、特に相続時精算課税について、経験を踏まえながら複数回に分けて解説していきます。

暦年課税と相続時精算課税制度のうまみ

相続時精算課税制度のうまみ

前回の「相続時精算課税について」ポイント⑦について「相続時精算課税制度を使用した受贈額は結果的に相続税の計算の際に課税価格として加えられるから、魅力がないじゃないか~?」という話で終わりました。
 

前回の記事はこちら

▶暦年課税と相続時精算課税の違いを詳しく解説!

 
しかしそれは間違いです。上記の点について今から解説していきます。
 

暦年課税で計算した場合、相続時精算課税で計算した場合

 

暦年課税で計算した場合

受贈時:受贈額1,500万円-基礎控除額110万円=1,390万円が課税価格になります。 
父からの贈与なので、今回は特例贈与財産用の暦年課税税率を適用します。
 
贈与税の速算表<特例贈与財産用>
 参考資料 国税庁HP 贈与税の速算表<特例贈与財産用>より
 
390万円が課税価格ですから上記速算表にあてはめると税率は40%となります。
1,390万円×40%=556万円-控除額190万円=366万円が贈与税額になります。
 
申告・納付期限は受贈者が贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの間です。

 
 

相続時精算課税制度の場合

受贈時:受贈額1,500万円-特別控除額2,500万円=▲1,000万円の特別控除額残額がありますので、贈与税は0円です。
 
相続時:1,500万円+3,000万円(相続遺産)=4,500万円
 
相続時基礎控除額3,000万円+600万円×1(法定相続人の数)=3,600万円
 
4,500万円-3,600万円=900万円が相続税課税価格
 

相続税の速算表

参考資料 国税庁HP 相続税の速算表より
これを上記の相続税の速算表にあてはめると、900万円×10%=90万円が相続税額となります。
 
贈与税は0円でしたから、相続税の90万円のみとなります。

 
申告・納付期限は受贈者が贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの間です。

 
366万円と90万円納付するとしたら、みなさんはどちらを選択しますか?

 
ここまで話したことで、私の言いたいことは理解していただけたかなと思いますが、これは贈与額や相続遺産額によっては効果がない場合があります。
けして鵜吞みにせず、自分で調べて税理士さんや税務署に相談しましょう。
 
さて、ここまで長々と贈与税、並びに相続時精算課税制度について話してきました。
正直、読み疲れた方もいるかと思いますが、あとは実務に必要な内容ですのでもう少し
お付き合いください。
 

相続時精算課税制度に必要な書類について

次は相続時精算課税制度の申告に必要な申告書類と補助的書類についてお話しします。
なお、今回は区分所有建物(マンションの1室)の実際の申請経験に基づいて解説しますが、ご自分で申告をチャレンジされる際は、税理士・税務署に確認しながらおこなうことをおすすめします。
 
申告書類(e-TAXを使う場合は直接打ち込むことになるので不要ですが、入力前の確認用に使用すると良いかもしれません)
相続時精算課税選択届出書
☑贈与税の申告書(兼贈与税の額の計算明細書)
☑贈与税の申告書(相続時精算課税の計算明細書)
☑土地及び土地の上に存する権利の評価明細書
 
補助的書類
① 地図(なければ公図)
② 路線価図
③ 土地・建物謄本
④ 土地及び土地の上に存する権利の評価についての調整率表
⑤ 「地積規模の大きな宅地の評価」の適用要件チェックシート
⑥ 住民票(マイナンバーが記載したものがいいかも。)
⑦ 戸籍謄本
⑧ 固定資産税評価額通知書(もしくは固定資産税関係証明書を役所で取得)
 
以上の書類を用意します。必須ではありませんが、プラスで「贈与税の申告の仕方」という冊子を持っていると、記入例が載っているので便利です。次回は各書類の画像などを交えつつ。私が感じたポイントを説明します。

 

 

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このコラムを書いている人

相馬將志

相馬將志

千葉県出身 お風呂での鼻歌がいつの間にか熱唱にギアチェンします。 保有資格:宅地建物取引士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士/マンション管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/簿記2級

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