マンション投資での現地調査と管理組合調査の確認ポイント
【目次】
マンション投資と現地調査
マンション投資をする際に、投資者ができる現地調査は具体的にどのようなことがあるのでしょうか?
マンションを投資する際には、「不動産業者から紹介された物件を調査してまわる」という方法もありますが、「投資者自身が物件を選定して能動的に物件を選ぶ」ことも可能です。
しかし、実際には収益性の高い物件について学んだり見て回ったりする時間がないため、物件選びは業者任せになってしまいがち。
本当はさらに安く購入できる高利回り物件があったのに、チャンスを逃してしまうというケースも少なくありません。
そこで今回は、マンションにおける現地調査の確認ポイントについて徹底解説。
管理組合調査についても、あわせてご紹介します。
マンションの現地調査におけるチェックポイント
気になる投資物件がピックアップできたら、現地調査をするのは必須です。
しかし、具体的にどのような点をチェックすればよいのでしょうか?
この章では、マンションの現地調査における確認ポイントについて、みていきます。
マンションの周辺環境のチェックポイント
まずは、マンションの周辺環境に関するチェックポイントを、いくつかご紹介します。
駅前の様子
駅前の様子は、時間をあけて複数回確認することが大切です。
調査する時間によって、街並みの雰囲気は大きく変化する可能性があります。
たとえば、昼間の駅前は静かでとくに問題のない様子であっても、夜になって、居酒屋や飲食店が始業すると街中の雰囲気が変わったり、酔っ払いが多くなったりすることがあるからです。
また、駅から他の交通機関のアクセスのしやすさについてもチェックをしましょう。
たとえば、鉄道の近くにバス停はあるのか、タクシー乗り場はあるか交通の便はよいかなどです。
駅から現地までの様子
駅近の物件ほど人気が高いのは、もはや常識だと言ってもいいでしょう。
どのくらい近いとよいかですが、おおよそ駅から徒歩で10分以内の物件だと、空室率はグッと下がります。
しかし、そのようなマンション物件は、購入費も高い場合があるので、最低でも徒歩20分以内の物件に絞って調査していくとよいでしょう。
現地周辺の様子
現地周辺の様子も、必ず確認しておきたい項目の一つ。
地図やインターネットからだけでも現地周辺の情報は得られますが、実際に現地調査をしてみると「思っていたよりも道幅が狭い」「地図には載っていなかった嫌悪施設が新しく建築されている」など、思わぬ気付きがあるかもしれません。
物件を購入した後に後悔することがないように、周辺の調査は怠らないようにしましょう。
マンション物件そのもののチェックポイント
マンション物件において、チェックすべき点は次のとおりです。
外観と内装に分けて、それぞれ解説します。
建物の共有部分
まずは建物の外観に関して、次の項目のチェックをしましょう。
・外壁
・エントランス
・駐車場
・駐輪場
・集合ポスト
・ゴミ集積所
・セキュリティシステムの確認(オートロック/防犯カメラ)
・掲示板・管理人や清掃スタッフの業務態度
・エレベーター/非常階段/消防用設備
現在の管理状態を端的に指し示しているのが、共有部分の状態です。
とくに、集合ポストやゴミ集積所の周辺の清掃が行き届いておらず、駐輪場が乱れていて放置自転車が目立つようであれば、管理上に問題がある可能性が考えられるからです。
管理がしっかりしていないと、盗難の被害やモラルの低い住民とのトラブルに発展することもあり得ます。
共有部分は”物件の顔”とも言えるので、自分が実際に住むことになったら、「本当に安心して家族と生活できる環境か」という目線で確認することが重要です。
建物の内部
建物の内部に関しては、次の項目を確認しましょう。
・室内(水回り設備/雨漏り跡/木部腐食)
・採光/通風/臭気/騒音の確認
一戸建ての場合と同様に、水回りの設備や給排水設備を中心とした設備類の状態、改修履歴を正確に把握しましょう。
「マンションだから」という理由で、雨漏りや木材の腐食被害がないと思いがちですが、マンションでもそのような被害はあり得ます。
戸建て以上に深刻な問題となる可能性があるので、十分に確認しておきたいポイントです。
マンション管理人へのヒアリング調査
マンションの現地調査において、とくに重要なのがマンション管理人とのコミュニケーションです。
日頃からマンションの管理人の話を聞いたり、挨拶したりといった交流をすることで、マンション内で抱えている問題や住民間のトラブルなど、管理会社の担当では詳細まで認識していないことを聞き出せる可能性があるからです。
日常的に、マンションの管理会社や管理組合と連絡を取り合っているのもマンションの管理人なので、購入を希望するマンション物件を絞れたら、出来るだけ早期からマンションの管理人と接点をもつようにするとよいでしょう。
また、管理人はマンションを購入する前だけでなく、購入した後にも頼りになります。
たとえば、マンション管理会社からの「重要事項調査報告書」では読み取れないマンションの事情や、買主の立場として気になる内容は、管理人に相談するのが一番です。
実際にマンションで生活するうえでの質を把握するためにも、管理人から得られる情報は非常に有益だといえるでしょう。
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マンション管理人に確認すべきポイント
管理人とのコミュニケーションが重要だと分かったところで、管理人に具体的にどのようなことを質問すればよいのでしょうか。
それぞれみていきましょう。
マンション内で問題になっていること
民泊についてどのような規定があるか、電波障害によって不便を感じることはあるのかなど、マンション内で問題になっていることについて質問してみましょう。
住民間トラブル
最近、住民間であったトラブルは具体的にどのようなものがあるか、騒音や臭気、ペットなどの問題についてどのような対応をしているかについても聞いてみてください。
事件・事故
過去に物件内で生じた事件や事故はあるのか、自殺・他殺・盗難・火災・漏水などのトラブルについて言い方に注意しながら質問してみると安心です。
暴力団事務所の存在
暴力団の事務所は物件の周辺にあるのか、暴力団員が出入りしているような事実はあるかについて、聞いてみましょう。
周辺住民について
高齢者・幼児・ペット飼育者など、周辺住民の属性の特徴について。
駐車場・駐輪場の空き状況もあわせて確認しましょう。
その際は、駐車場の利用料金はどれくらいか、空き待ち状況や使用制限、使用条件などについて詳細を質問しておきます。
町内会・自治会など
子ども会の活動や費用負担については、具体的にどのようなものがあるのか聞いておくことも大切です。
ゴミの分別方法
ゴミ出しのルールやゴミ集積所の使用方法は、誰もが知っておくべき情報です。
宅配ボックスの使用方法
荷物の預かりサービスはあるのか、電話やインターネット環境の環境はどのようになっているのかも念のため聞いておきましょう。
入居手続き・内装工事
入居するために、どのような書類を準備して、どのような手順を踏む必要があるのか。
また、内装の工事を希望する場合は、どのような規約があるのかについても、事前に確認しておきましょう。
分譲マンションの管理組合調査とは?
分譲マンションとは、一棟マンションを区分わけして一住戸ずつ販売しているマンションです。
分譲マンションでは、区分所有法にもとづいて所有者で構成される、管理組合の設立が義務付けられています。
管理組合の設立目的は「マンションを維持・管理すること」です。
したがって、分譲マンションでは、管理組合の管理方法次第で建物の傷み具合や修繕に要する資金の額などが異なります。
管理組合調査に関しては、管理会社から発行される「重要事項調査報告書」や「修繕履歴」「長期修繕計画書」などの資料をベースにして調査を進めていきます。
管理組合調査でチェックすべき項目
分譲マンションは、一般的な不動産におけるポイントとは異なる項目についてチェックする必要があります。
では、具体的にどのような点を確認する必要があるのでしょうか。
この章では、分譲マンションにおける管理組合調査でチェックすべき項目について、みていきます。
どのようにマンションを管理しているか?
先述したとおり、分譲マンションでは、マンションの維持や管理のために所有者全員から構成される管理組合があります。
しかし、実際はマンションの管理業務のすべてまたは一部を、管理会社に委託しているケースが多いようです。
したがって、まずは調査対象の分譲マンションが自主管理を行なっているのか、管理会社に委託しているのかなど、管理方法を確認することが重要になります。
また、過去に管理会社の変更はあったのか、現在の管理人がマンションを担当して何年目になるのかなども、一緒にチェックしておきましょう。
このように、管理の形態はそれぞれ異なるので、管理人の勤務形態(住み込み、日勤)や業務時間外・緊急時連絡先なども確認しておくと万全です。
重要事項調査報告書の記載内容
重要事項調査報告書を取得して内容を確認することは、分譲マンションの調査を実施するうえで必要不可欠です。
なぜなら、重要事項調査報告書には、マンションの管理や修繕なども詳細が記載されているからです。
たとえば、重要事項調査報告書には次のような項目が記載されています。
管理規約と使用細則
マンション生活における、大切なルールブック。
専用部分を賃貸として、人に貸す場合にも必要となる重要情報が満載。
管理費や修繕積立金
改定予定の有無が確認できます。
また、滞納額は区分所有者の変更とともに新しい組合員に継承される点に注意しましょう。
専有部分の用途制限
居住用兼事務所として利用しようとする人はいるので、規約の定めと買主の移行を十分に把握する必要があります。
石綿使用調査結果の有無
いまだに石綿(アスベスト)の調査を実施していない物件は数多く存在します。
したがって、管理組合として調査をしているか、調査結果はどうであったかという事実を物件の購入前に正確に理解することが大切です。
耐震診断結果の有無
昭和56年6月1日の建築基準法改正により、新耐震基準が導入されました。
地震に耐えうる建物の構造や強度に対して、より厳しい基準が設けられたのです。
近年は、旧耐震基準の物件に対しては金融機関が非常に厳しい判断をしているため、該当する物件で投資をしようとしても融資がおりない可能性があります。
したがって、事前に金融機関にも確認をとっておくとよいかもしれません。
これら以外にも、マンションの重要な項目について数多く記載されているので、必ず読むようにしましょう。
マンションの管理規約
何度もいうように、マンションの管理規約とはマンション内のルールを定めたものです。
原則として、マンションでは管理規約が定められていますが、築年数の経過した古いマンションの場合は、稀に管理規約が定められていない場合があります。
管理規約では共有部分の範囲や持分割合・使用方法・管理組合の運営・会計などが記載されています。
そのほか、使用細則にはペットの飼育や楽器の演奏・専用部分についてのルールが定められているので、確認しておきましょう。
マンションの長期修繕計画書
外壁や共有部分などの修繕工事には、多くのお金と時間がかかります。
長期修繕計画書は、マンションの実態を知る上で重要な書類です。
長期修繕計画書はマンションの管理会社に依頼すると見せてもらえるので、重要事項調査報告書を依頼する際に、一緒に取り寄せておくとよいでしょう。
マンションの間取り
分譲マンションの場合は、部屋によって間取りが異なるため、「契約前に確認していた間取りと実際の間取りが異なっていた」という事態にならないように、事前に間取りを確認しておきましょう。
入居した人が、内見の際の間取りとの違いに気づかず渡された間取り図を信じて暮らし続けると、購入した家具が家に入らなかったり、次にマンションを売却した際に新しい住人から虚偽と勘違いされたりなど、後々に大きなトラブルに発展する場合があります。
このような問題を防ぐためにも、資料の間取りと実際の間取りに異なる点がないかを、よく確認しておきましょう。
マンションの設備
マンションを売却する人は、物件に付属している設備の現状を記した「付帯設備表」を記入しています。
この付帯設備表には、マンション内の設備の有無や、故障などの状態が記載されているので、できれば設備の確認は売主と一緒に行うとよいでしょう。
売主の言葉だけを信じていると、実際には壊れているはずのない設備が実は動かなかったり、有ると記載されている設備がなかったりといった問題を事前に防げます。
自分で現地に行って、確認をとることが大切です。
マンションの近隣調査
戸建て物件とは違って、マンションは壁や床、天井などをはさんで隣の世帯が生活しています。
お隣さんとの距離が近い分、戸建てよりもご近所トラブルが発生しやすいデメリットがあります。
したがって、不動産取引を考える際にも、戸建て以上に近隣調査を入念にすることが重要です。
近隣調査の方法としては、近隣住民への聞き込み調査や管理組合・管理人への確認をするとよいでしょう。
マンションにおける現地調査の確認ポイントまとめ
今回は、マンションにおける現地調査の確認ポイントについて、管理組合調査もあわせてみてきました。
要点は次のとおりです。
・マンションの実情は管理会社ではなく、管理人とのコミュニケーションによって聞き出す。
・重要事項調査報告書は管理組合調査において、最も重要な基本情報。
・マンションの未来は、組合運営の質によって左右される。
マンションの不動産取引は、戸建てとは違う特徴があります。
あらかじめどのような規約があるのか、組合運営の形態などもしっかりと把握することが重要です。
このコラムを書いている人
マンション経営ラボ 編集者
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