住んでいたマンション売却時の税金をお得に!3000万円の特別控除の概要や申請方法、注意点を解説
【目次】
住んでいたマンション売却時の税金をお得に!3000万円の特別控除の概要や申請方法、注意点を解説
「マンション売却時に使えるらしい、3000万円の特別控除ってなに?」
3000万円の特別控除とは住んでいたマンションを売却した際に、譲渡所得から3000万円までの所得控除が受けられる制度です。
マンションに住んでいたほとんどの方が使える特例なので、必ず押さえてお得にマンションを売却しましょう。
この記事では「3000万円特別控除」の概要や、申請方法、注意点などを解説します。
マンション売却でお得な「3000万円特別控除」とは
3000万円特別控除とは、住んでいたマンションを売却した際に、譲渡所得(売却益)から3000万円までの所得控除が受けられる特例制度です。
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」)
つまり購入時より3000万円以上高く売れるごくまれなケースを除いて、住んでいたマンションの売却には所得税や住民税が1円もかかりません。
なお譲渡所得は以下の式で計算します。
- 譲渡所得 = 譲渡収入金額 - 取得費 - 譲渡費用
本来であれば譲渡所得の約20~40%もの多額の税金がかかるので、この特別控除を使わない手はないでしょう。
ただし控除を受けるためには条件があるほか、他の特例とは併用できないことがあります。
ポイントを押さえて、お得に税金をかけず売却しましょう。
「3000万円特別控除」を受けられる条件は?
3000万円特別控除を受けるためには、以下の6つの条件を満たす必要があります。
- 今住んでいるマンションの売却である
- 節税目的のごく一時的な入居ではない
- 生計を一にする親族同士の売買ではない
- 前年・前々年内で同様の特例を使っていない
- 別荘など娯楽・保養を目的としたものではない
- 住まなくなってから3年経過した年の12月31日までの売却である
普通に生活が目的で居住していたマンションの場合、ほぼ間違いなく3000万円特別控除が受けられます。
注意すべきは、「住まなくなってから3年経過した年の12月31日までの売却である」という条件です。
期限を過ぎると控除は一切受けられなくなるので、売却は期限内に行いましょう。
特別控除の申請期間や必要書類
特別控除の申請は確定申告のタイミングで行います。
売却の翌年、2月16日~3月15日の間に、必要書類を揃えて確定申告を行いましょう。
必要な書類は以下の通りです。
必要書類名 | 取得場所 |
確定申告書B様式 | 税務署または国税庁ホームページ |
譲渡所得の内訳書 | 税務署または国税庁ホームページ |
購入時・売却時の売買契約書のコピー | 購入時・売却時に取得 |
購入時・売却時の費用の領収書 | 購入時・売却時に取得 |
戸籍の附票 | 役所 |
住民票の写し(マイナンバーカードでも可) | 役所 |
登記事項証明書 | 法務局・法務局ホームページ |
税務署、法務局、役所で取得する書類もありますが、いずれも申請すればすぐに取得できます。
とはいえ3か所に行かなければならないので、余裕をもって揃えておくのが得策です。
また購入時・売却時の書類は早めに準備しておきましょう。
3000万円特別控除の手続き方法
手続きは確定申告で必要書類を提出すれば自動的に行われます。
そのため必ず売却の翌年、2月16日~3月15日の間に必要書類を揃えて法務局に必要書類を提出してください。
提出方法は以下の4つです。
- 窓口に提出する
- 時間外収受箱に入れる
- 郵送する
- e-Taxで送信する
直接窓口に行かなくても、さまざまな方法で提出できるようになっています。
期限までに確実に提出できる方法を選びましょう。
住宅ローン控除と3000万円特別控除は併用できるか
結論から言うと、住宅ローン控除と3000万円特別控除は併用できません。
譲渡所得が少額で特別控除による控除額が大きくならない場合は、新居の住宅ローン控除を受けた方がお得になるケースがあります。
譲渡所得と新居の住宅ローンの情報があればすぐにシミュレーションできるので、どちらが得か確認して決めましょう。
3000万円特別控除と併用ができる特例
3000万円特別控除は「軽減税率の特例」と併用可能です。
主に3000万円以上の譲渡所得が発生した場合に使う特例で、マンションの所有年数に応じて税率が大きく軽減されます。
特例適用時の税率は以下の通りです。
課税所得額 | 所得税率 | 住民税率 |
6,000万円以下の部分 | 10.210% | 4% |
6,000万円超の部分 | 15.315% | 5% |
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」)
本来合計で20~40%ほどかかる所得税と住民税が大きく減額されます。
譲渡所得がかなり大きくなった場合は忘れずに利用しましょう。
3000万円特別控除で気をつけるべき点
よく勘違いをしている方がいますが、3000万円を控除すれば譲渡所得が発生しない場合でも、確定申告は必須です。
3000万円の特別控除は、あくまで確定申告をすることによって受けられます。
譲渡所得が1円でも発生したのに確定申告をしなかった場合は、脱税とみなされペナルティを受けてしまうので注意が必要です。
マンション売却における確定申告
マンションを売却し譲渡所得が1円でも発生した場合には確定申告が義務です。
確定申告の対象であるにもかかわらず申告書を提出しなかったり、虚偽の申告をしたり、理由なく提出が遅れたりした場合には、重い税金のペナルティが待っています。
特例を受けるためにも必要なので、絶対に2月15日~3月16日の期間内に確定申告を行ってください。
また譲渡損失が発生した場合にも、確定申告をすることで給与など他の所得と合算でき、節税効果が期待できます。
譲渡所得の額に関わらず、マンションを売却したら確定申告はするものと思っておくと良いでしょう。
3000万円特別控除に関するよくある疑問
3000万円特別控除に関するよくある質問とその回答をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
売却まで賃貸していても特例は受けられる?
住まなくなってから3年経過した年の12月31日までに売却すれば、売却まで賃貸していても特例は受けられます。
ただしこの際、借主との契約方法には注意が必要です。
一般的な「普通借家契約」の場合、こちらの都合で退去はさせられないので、特例適用期間内での売却が難しくなってしまいます。
必ず「定期借家」という、更新なしで契約期間満了時に退去させられる契約にしましょう。
譲渡所得3000万円までなら確定申告はいらないってこと?
譲渡所得が発生している場合は、確定申告が義務となります。
これは特別控除の適用により、譲渡所得が発生しない場合でも同様です。
特別控除の適用は確定申告をしないと適用されないので、脱税になってしまいます。
控除額を引く前の譲渡所得が1円でも発生している場合は、必ず確定申告を行いましょう。
共有名義のマンション売却の場合はどうなるの?
共有名義のマンションを売却した場合でも、3000万円特別控除が適用できます。
共有名義の場合は、共有者1人につき3000万円の控除が受けられるので覚えておきましょう。
ただしそれに伴い、共有者全員の確定申告が必須となります。
また土地と建物で名義を分けている場合は扱いが異なるケースもあるので、不動産会社や税理士等に相談しましょう。
まとめ
住んでいたマンションを売却する方のほとんどが、3000万円特別控除を利用して譲渡所得を0にできます。
特別控除の適用のためには必要書類を揃えて、売却の翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行ってください。
なお、新居をローンで購入した場合は、住宅ローン控除と併用できないため、それぞれの税額をシミュレーションし、お得な方を使うようにしましょう。
このコラムを書いている人
新田 知也
2015年 株式会社FGH入社 静岡県出身 不動産仲介営業、マーケティング戦略、DX戦略、当社独自サービス「投資スケルトン」開発の経験を経て、2021年にマーケティング部を立ち上げ。 2022年4月 同社執行役員に就任。 リアルとデジタルの融合をテーマに様々なコンテンツの企画、プロデュース、ディレクションを担当。お客様に「驚き」と「感動」をお届けいたします。