切っても切れない環境問題と不動産業界

公開日2021/11/30
更新日2021/11/27

ここ数年、環境保護意識の高まりとともに “これからの自動車はEV”という流れが来ているのを感じます。
自動車生産国であるドイツ・アメリカ・日本は長い歴史の中で、内燃機エンジンの技術を確立していますが、後発の国が巻き返して覇権を取ろうと思えばEV自動車しかありません。

EV自動車は構造が単純ですし、燃料となる電池の生産技術を確立すれば有利です。
電池の原料となる資源は、おもにコバルト・ニッケル・リチウムの3種類。
コバルト産地のコンゴを債務漬けにしたり、ニッケルを精製してリチウム産地のオーストラリアから輸出したりすれば、原料においても有利になります。
 
ちなみに、先進国は精製過程の廃棄物として硫酸ナトリウムや大量の残渣が発生しコストがかかるのでかさばる鉱石のまま輸入し、途上国にて精製している国が多いようです。

“環境に優しい”という漠然としたイメージがあるEVですが、元の電気は石炭・石油・液化天然ガスを燃やす火力発電所が8割という事実に、釈然としない思いを抱くのは私だけでしょうか。
そんな中、トヨタが水しか出さない水素エンジンを開発しています。
マツダやカワサキ、ヤマハ、その他の国内メーカーも共同開発に前向きのようなので、個人的には水素エンジンが主流になる時代もそう遠くはないのかもしれません。

カーボンニュートラル2050による不動産業界への影響

自動車業界ではEVや水素エンジンなどの開発が活発になる一方で、不動産業界は2050年までに温室効果ガスの排出ゼロを目指すことを宣言する「カーボンニュートラル2050」を旗印としてさまざまな政策が展開されています。
 
その施策の一環として、省エネ建築物には税制優遇が適用されるため、ZEH(ゼッチ)ZEB(ゼブ)が注目されそうです。
集合住宅においてもZEH化が進められており、具体的な施策としては建築物の断熱性を高めたり屋上の太陽光発電設備で電力をまかなったりすることで省エネを図ります。
また、企業価値を高めたいテナント事業者が、省エネ認証制度のBELSやeマーク、環境認証制度のWELLやCASBEE-ウェルネスオフィスのビルに入居したいというニーズもあるようなので、これらを満たした物件の場合は賃料を相場より高めに設定できる傾向にあります。
 
オーナーからすると、省エネ建築物を建築するのに国から補助はありますが、認証にかかる費用等も含め投資に見合うCFが得られるか等の判断が必要になってくるでしょう。
また、国は環境負荷を考え、ストック型社会の実現として既存住宅市場の活性化、空き家等の有効活用を推進しています。
しかし、活用する側のオーナーまたは不動産管理会社には、環境に対する意識の向上やニーズに沿ったリノベーションや設備更新の必要性に対する意識が求められていると思います。

このコラムを書いている人

北岡 貴夫

北岡 貴夫

1975年 高知県生まれ 宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 ビル経営管理士 2012年株式会社FGH入社。不動産業界19年、売買賃貸数千件の業務を取り扱ってきた。常に公正かつ客観的な立場から誠実な取引を心掛けている。

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