2020年4月、民法改正で変わる違約金と危険負担~不動産投資コラム~

公開日2019/12/19
更新日2024/09/06

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2020年4月、民法改正で変わる違約金と危険負担

こんにちは、あるいはこんばんは。高松です。
 
2020年4月に民法(主に債権)が大幅な見直しにより売買契約における瑕疵担保責任という概念に代わって
 
「契約不適合責任」
 
という概念が導入されることになったことは以前、弊社青山さんのコラムでも触れました。
 
”任意規定”であった瑕疵担保責任という曖昧な表現は確かに法律用語として適していないモノだったのかもしれません。
 
今回のコラムでは改正民法の「違約金」と「危険負担」について書いてみます。

改正される2つの意味

法律が大きく変わることで不安になる部分もありますよね。
 
民法改正ではより現代社会に即して、今までハッキリしなかった部分が明確化するように配慮されています。
 
では、内容を見ていきましょう。
 

改正前民法の「違約金」

損害賠償の予定=裁判所は増減不可
 
例外「公序良俗違反は無効」
 

改正民法の「違約金」

損害賠償の予定=裁判所は増減可

 
ここでは大きく変わるポイントが違約金の額を裁判所が増減できることになるという点です。
 
不動産売買契約においての違約金は契約不履行をした当事者が相手方に対し売買代金の20%の違約金を支払うという契約条項が良く見られます。
 
よって損害賠償の予定を合意したものと推定されることになります。
 
本来債務不履行によって損害賠償を請求するには、損害の発生額を立証しなければならないのですが当事者が損害賠償の予定を合意すれば立証の必要なく違約金を請求できるといったものです。
 
改正の理由として、不当に巨額な賠償額を設定することによって債務者を不当に圧迫するおそれがあると指摘されていました。
 
改正前民法では、あまりに高い賠償予定額の場合には社会的妥当性を図るために公序良俗違反理由に損害賠償の予定を減額させていたのですが、改正民法では民法の文言と齟齬がないよう調整したものと考えられます。
 
ただし、売主が宅建業者で買主が個人の場合2割以内とする制限があり、売主が個人の場合でもこれに準ずるケースが多いため実務的な変化はほぼほぼないと思っています。
 

改正”前”民法534条:債権者の危険負担

特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合においてその物が債務者の攻めに帰すことのできない事由によって滅失し、または損傷したときは債権者の負担に帰する。

 
今までの民法では「危険負担は買主が負います」と規定されていました。
 
例えば、売買契約後、引渡し前に火災でマンションが滅失してしまい、買主がマンションの引き渡しを受けられないとしても代金の支払い義務はある。といった解釈です。
 
ちょっとあんまりな話なので(あんまりです)今の民法では実務上問題があるということで「物件の引渡し前に滅失したときには売買代金を請求することはできない」といった特約を設けることで対応していました。
 

改正民法567条:目的物の滅失等についての危険の移転

売主が買主に目的物を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責に帰することができない事情によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

 
民法改正では上述した通りの実際の不動産売買に即した内容になりました。
 
引渡し前に起こったことは売主さんで負担、引渡し後に起こったことは買主さんが負担するといった負担区分が明文化されています。
 
改正民法の危険負担に関わる部分は現在の実務とほぼほぼ同じです。
 
ほぼほぼと言いましたがもう同じでいいと思います。

感想

ネガティブな要素が取り上げられてしまいがちな民法改正ですが、現代社会に寄せてすっきりしたことがほとんどです!
 
前向きにいきましょう。前向きに。

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このコラムを書いている人

高松 大樹

高松 大樹

営業三部部長・執行役員 1986年生まれ 埼玉県育ち 2010年2月よりフォースグループで投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。中古ワンルームを中心に800件に迫る成約実績。 イレギュラー案件の交通整理も得意。実体験からモアベターな選択を提案致します。 保有資格:宅地建物取引士

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