不正融資報道が市場に与える影響は?~不動産投資コラム~
こんにちは、あるいはこんばんは。高松です。
2年前に書き始めたコラムでしたがはじめて書いたのが
不動産投資営業マン目線で「スルガ銀行は大丈夫?」でした。
当時は”スルガショック”なんて言われそれを境に木造一棟アパートへの融資が閉鎖されました。
今回の報道もいずれ、なんちゃらショックと呼ばれるのでしょうか?
信販会社アプラスの親会社のアプラスフィナンシャルは30日、アルヒと提携して手がけている投資用マンション向け融資で、審査書類の改ざんなどの有無を調査していると発表した。不動産の価格が不当につり上げられた疑いのある物件を含め、調査対象は100件を超えるという。
アプラスとアルヒの提携ローンでは、借り入れ希望者の源泉徴収票や課税証明書が改ざんされたり、周辺相場を大幅に上回る高値でマンションを買ったりする事例が判明している。不動産販売事業者から持ち込まれた案件をアルヒがアプラスに仲介し、アプラスが融資を実行している。
現時点で、誰が不正行為を主導したのか分かっていない。アプラスは「審査書類の改ざんに関わった販売事業者が判明すれば、ただちに取引を停止し、法的措置も含めて対応していく」としている。同社は投資用マンション向け融資の借り手を対象に、問い合わせ窓口を設置した。
2020年1月30日 日本経済新聞より引用
私たちが心配してしまうのはこの報道がきっかけで投資用不動産に対する融資がネガティブに転じ相場が下落してしまわないか・・というところです。
私たちFGHで取扱いの多い首都圏のワンルームマンションを築浅と築古に分けて考察してみます。
都心築浅物件について
私が知る限り、都心築浅物件(2000~4000万)の融資をアプラスさんが取り扱うケースは極稀で他社さんの融資がシェアを持っている事から直ちに影響があるようには感じませんが、たまに聞く「都心の物件はまだまだ値上がりする」という話には共感できません。
その根拠は不動産融資の多寡以外に私たち日本人の年収増加率と不動産価格の増加率のギャップにあります。
不動産価格の低かったリーマンショック後と比較すると
平成21年度の平均年収はおおよそ406万円
平成30年度の平均年収がおおよそ441万円
108.6%と回復はしているものの保険料や消費税の増加によって実収入が増えたと実感できる方は多くないかもしれません。
対して東京23区のマンション㎡単価は平成21年と平成30年で対比すると40%近く高騰しています。
仮にこれ以上価格が高騰すると”購入できる人”の絶対数が減少してしまう為、現実的ではないのです。
首都圏築古物件について
近年に売買された首都圏築古物件(築25年~35年前後)の謄本を拝見するとアプラスさんの抵当権が設定されていることが非常に多いです。
おおよそ投資用ローン大手で審査の通らないであろう属性の方向けに水増しサブリース契約で融資額を引っ張り上げた築古物件をあてがいかつ収入証明を改ざんして融資実行に導く・・というのが今回の報道の大枠かと思います。
私が確認したものでは・・一般的に600万円前後で流通している物件に1160万円の抵当が設定されていたものもありました。
実は報道よりもずいぶん前から築古ワンルーム物件への融資は基準が厳しくなっていて既に冷え込みは体感していたりします。
築古物件の売却を検討する場合には少々急ぎ足で良いのかもしれません。
スルガショックほどのダメージになるのか?
スルガショックと呼ばれる一棟アパート不正融資問題は・・あとからあとから他行さんや不動産業者の不正報道が連なり、結果的に一棟アパート市場は冷え込む事となりました。
今回のアプラスさんの報道につづく何かが出てくるのであれば、市場に大きな影響を及ぼすことがあるのかもしれません。
・・と、書いているうちに
長期固定金利の住宅ローン「フラット35」が投資目的のマンション購入に悪用されていた問題で、住宅金融支援機構は利用者に融資額の全額・一括返済を求め始めた。返せない場合は、物件を競売にかけて売却したうえで残額も分割で返済を求める。一方、投資用マンションの仲介案件で審査書類の改ざんが発覚したアルヒは特別チームをつくり社内調査を始めた。
2020年2月4日 日本経済新聞より引用
え、うーん・・
このコラムを書いている人
高松 大樹
営業三部部長・執行役員 1986年生まれ 埼玉県育ち 2010年2月よりフォースグループで投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。中古ワンルームを中心に800件に迫る成約実績。 イレギュラー案件の交通整理も得意。実体験からモアベターな選択を提案致します。 保有資格:宅地建物取引士
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