不動産投資の出口戦略とは?ベストなタイミングで売る方法

公開日2025/04/25
更新日2025/04/29

不動産投資の 出口戦略とは? ベストなタイミングで 売る方法

はじめに

不動産投資の成功のカギは、出口戦略です。
「投資用不動産を売却したいけれど、どのタイミングで売るのが一番得なのか」は投資家にとって永遠のテーマでもあります。

実は、不動産は「どのタイミングで」「どの方法で」「どの業者で」売却するかで結果が大きく変わります。

本記事では、投資用不動産売却を成功させるタイミングやコツを徹底解説します。

不動産投資は出口戦略が重要

購入した投資用不動産を、いつ、どのように売却するかという出口戦略を誤ると、これまで得てきた家賃収入を含めた全体の収益を大きく損なう可能性があります。ここでは、不動産投資における出口戦略の重要性について解説します。

不動産投資の出口戦略とは

不動産投資における出口戦略とは、購入した投資用不動産を最終的にどのように手放すかという計画のことです。これは単に売却するだけでなく、いつ、いくらで、誰に、どのような方法で売るかまで含めた総合的な計画を指します。

不動産投資は家賃収入を得るだけでなく、市況の良いタイミングで売却し、売却益を得ることも重要な目的です。そのため、物件購入時から将来の出口戦略を考えておくことが、不動産投資成功の鍵となります。

明確な出口戦略があれば、市況やライフプランの変化にも対応しやすくなり、計画的な資産運用が可能になるでしょう。

収益性が低下する前に売るメリット

投資用不動産の収益性は、永久に続くわけではありません。築年数の経過とともに、家賃の下落、空室率の上昇、修繕費の増大などのリスクが高まります。

とくに大規模修繕工事には多額の費用が発生する可能性があります。また、ローンの元金返済額が減価償却費を上回るデッドクロスも、築年数が経過した物件で起こりやすくなります。

こうした原因によるコスト増加や資金繰り悪化が顕著になる前に物件を売却することは、資産価値の目減りを防ぎ、より多くの利益を確保するうえで有効な手段です。

事態が悪化してから売却しようとしても、買い手が見つかりにくかったり、低い価格でしか売れなかったりする可能性があるため、状況を見極めて早めに判断することが重要となります。

タイミング次第で数百万円の差が出ることも

不動産を売却するタイミングは、最終的な手取り額に大きな影響を与えます。不動産価格は、経済状況、金利動向、不動産市況、政策・税制など様々な要因で常に変動しており、売却時期によって受け取れる金額が数百万円単位で変わることがあります。

例えば、不動産価格が上昇局面にあるときに売却できれば、大きな利益を得られる可能性があります。逆に、価格が下落している時期に売却すると、損失を被るリスクもあります。

このように、売却タイミングの見極めは非常に重要です。常に市場の動向を注視し、自身の物件の状況と照らし合わせながら、最適な売り時を判断しなければなりません。

投資用不動産を売るベストタイミングとは?

投資用不動産の売却に最適なタイミングは、いつなのでしょうか。判断基準となる代表的なタイミングを5つ紹介します。

市場価格が高騰しているとき

最も有利な売却タイミングの一つが、市場価格が高騰しているときです。需要が供給を上回り、価格が上昇している局面では、保有資産も高く評価され、有利な条件で売却できる可能性が高いでしょう。

市場動向を把握するためには、国土交通省の不動産価格指数や金融機関の住宅ローン金利の推移、大手不動産会社の市況レポート、日々の経済ニュースなどが参考になります。加えて、不動産会社の担当者や他のオーナー様との情報交換も有効な方法となるでしょう。

これらの情報を分析し、市場が活況で価格が高値圏にあると判断できる時期は、売却を検討する絶好の機会といえます。価格のピークを正確に予測するのは難しいため、「そろそろ天井かもしれない」と感じたら、早めに査定を依頼することをおすすめします。

ローン残債を売却価格が上回ったとき

ローンを利用して投資用不動産を購入した場合、売却価格がローン残債を上回るかどうかは重要な判断基準です。売却代金でローンを完済し、さらに手元に現金が残る状態であれば、売却のメリットは大きいといえます。

一方、売却価格がローン残債を下回るオーバーローンの状態は、自己資金で差額を補填する必要があり、売却が困難になることもあります。

売却検討時には、まず金融機関で正確なローン残債額を確認し、次に不動産会社に査定を依頼して売却可能価格を把握することが大切です。

査定価格から仲介手数料などの諸費用を差し引いた手取り額がローン残債を上回る見込みが立ったタイミングは、売却を具体的に検討する良い機会となります。

築年数・経年劣化が進む前

建物は築年数とともに劣化し、一般的に資産価値は下落します。また、法定耐用年数が近づくと金融機関の評価も低くなり、買主がローンを組みにくくなる可能性もあります。

さらに、築年数が経過すると外壁塗装、屋上防水などの大規模修繕が必要となり、多額の費用負担が発生します。マンションの場合は修繕積立金の値上がりや一時金徴収のリスクも考慮が必要です。室内の設備交換費用もかさみます。

さらに近年では、築年数の古い物件の火災保険の保険料が高くなっている傾向がある点も、見逃せません。

空室率が高まり始めたとき

保有物件の空室率の上昇や空室期間の長期化は、賃貸経営悪化のサインであり、売却を検討すべきタイミングかもしれません。

空室は家賃収入の減少に直結します。原因としては、周辺の賃貸需要の変化、競合物件の増加、物件自体の魅力低下などが考えられます。

まずは周辺の家賃相場や競合物件の状況を定期的に調査し、自身の物件の競争力を確認しましょう。レントロールで入居状況や賃料推移を把握することも重要です。

家賃値下げやリフォームなどの空室対策をしても改善が見込めない場合や、将来的にさらなる悪化が予測される場合は、損失が拡大する前に売却を決断することも選択肢となります。

ライフステージ・資金需要に合わせて

市場動向や物件状況だけでなく、オーナー様自身のライフステージの変化や資金需要も、売却タイミングを決定する重要な要因です。

例えば、相続対策、老後資金の確保、子供の教育資金、マイホーム購入資金、他の投資への資金シフト、健康上の理由、管理の手間軽減など、様々な個人的事情で売却が必要になることもあるでしょう。

不動産は現金化に時間がかかるため、将来的な資金需要が見込まれる場合は、余裕を持ったスケジュールで売却準備を進めることが重要です。

必要に迫られてから行動を起こすと、最適な売却タイミングを逃してしまうかもしれません。ライフステージの変化を感じた段階で、早めに不動産会社へ相談したり、査定を依頼したりすることを検討してみましょう。

投資用不動産を高く売るための3つのポイント

投資用不動産を少しでも高く売却するために、何をすれば良いのでしょうか?高値で売るために押さえておきたい3つのポイントを解説します。

査定は1社ではなく、複数社に依頼する

投資用不動産の売却活動の第一歩は査定依頼ですが、その際は複数の不動産会社に依頼することが重要です。主な理由として、まず各社の査定結果を比較することで、客観的な相場観を養い、適正な価格を把握できる点が挙げられます。

また、不動産会社間に競争意識が生まれるため、より良い条件や高い査定額を引き出せる可能性も期待できるでしょう。さらに、査定額だけでなく、その算出根拠や担当者の提案内容、対応などを比較検討することによって、安心して売却を任せられる信頼できるパートナーを見極めることにも繋がります。

近年では、インターネットの一括査定サービスを利用すれば、手軽に複数社へ査定を依頼することも可能です。ただし、査定を依頼する際には、提示された価格がどのような根拠に基づいて算出されたのかを、確認することが大切です。

投資用不動産に強い会社を選ぶ

不動産会社には得意分野があります。投資用不動産を売却する際は、その分野の取り扱い実績が豊富で、専門知識を持った会社を選ぶことが大切です。

投資用不動産の売買には、利回り計算、キャッシュフロー分析、税金に関する知識など、特有の専門性が求められます。投資に強い会社であれば、これらの知識に基づいた的確な査定や投資家目線での販売戦略、さらには独自の投資家ネットワークを活かした買主探しなどが期待できます。

ウェブサイトで実績を確認したり、担当者と面談して専門知識や経験を見極めたりすることも大切です。物件タイプ(区分マンション、一棟アパートなど)の取り扱い実績についても確認しましょう。

専任媒介と一般媒介を適切に選ぶ

不動産会社に売却の仲介を依頼する際には、媒介契約を締結します。

この媒介契約には、主に以下の3つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。ご自身の状況や売却戦略に合わせて適切な種類を選択することが大切です。

  一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数社への依頼 可能 不可 (1社のみ) 不可 (1社のみ)
自己発見取引 可能 可能 不可
レインズ※への
登録義務
任意 義務あり
(契約から7日以内)
義務あり
(契約から5日以内)
業務状況の報告義務 任意 義務あり
(2週間に1回以上)
義務あり
(1週間に1回以上)
契約の有効期間 法令上の定めなし
(標準媒介契約約款では3ヶ月以内)
3ヶ月以内
(宅地建物取引業法で定められている)
3ヶ月以内
(宅地建物取引業法で定められている)

※Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称。登録すると全国の不動産会社に物件情報が共有されます。

どの契約形態を選択するかは、物件の特性、売却を希望する期間、不動産会社との信頼関係などを総合的に考慮して判断しましょう。

投資用不動産売却でよくある失敗とその対策

不動産投資は高額な取引のため、失敗をすると大きな損失につながりかねません。ここでは、投資用不動産売却でよくある失敗とその対策を紹介します。事前にリスクを知り、適切な判断をするために、ぜひご活用ください。

安易に安値で売ってしまう

情報収集不足や焦りから、相場より安い価格で売却してしまうケースがあります。

対策としては、複数社査定の徹底、ご自身での相場調査、余裕を持った売却スケジュールの確保、そして仲介と買取の違いを理解しておくことなどが重要です。特に買取は、現金化が早いというメリットがある反面、一般的に価格は仲介よりも低くなる傾向がある点に注意が必要です。

高値売却を狙いすぎて結局売れない

相場からかけ離れた高すぎる価格設定は、売却活動の長期化や物件イメージの悪化を招き、最終的に大幅な値下げにつながる可能性もあります。

対策としては、客観的なデータに基づいた現実的な価格設定を心がけ、市場の反応を見ながら定期的に価格を見直すことが必要です。

売却後にトラブルがおきる

物件の引き渡し後に、契約時には分からなかった欠陥が見つかり、買主から修補や代金の減額などを求められる場合があります。

対策としては、まず、把握している欠陥や不具合を含む物件の状況を正確に買主に伝える(告知)ことが大切です。

また、必要に応じて専門家によるインスペクション(建物状況調査)を実施し、その結果を開示することも検討しましょう。

さらに、売買契約書に契約不適合責任に関する取り決め(免責期間など)を明確に記載しておくことも重要です。

投資用不動産売却でよくある質問

投資用不動産の売却に関して、よくある質問とその回答をご紹介します。売却活動をスムーズに進めるための参考として、ぜひご活用ください。

Q. 空室のままでも売れる?

可能です。空室だと内覧がしやすく、買主がリフォームしやすいメリットがありますが、家賃収入がないデメリットもあります。

逆に、入居中(オーナーチェンジ)だと、安定収入をアピールできますが、内覧調整が必要で、買主は賃貸契約を引き継ぐことになります。どちらの状態で売却するのが有利かは、物件の特性や売却方針によって異なりますので、不動産会社に相談することをおすすめします。

Q. ローン残っていても売却可能?

可能です。通常、売却代金でローン残債を一括返済し、抵当権を抹消します。ただし、オーバーローンの場合は、差額を自己資金で補填する必要があります。事前にローン残債額を確認し、査定価格と比較することが重要です。

Q. 売却益が出たら税金はどれくらい?

投資用不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税が課税されます。譲渡所得は、基本的に「売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)」で計算されます。取得費とは、物件の購入代金や購入時の諸費用などから、建物の経過年数に応じた減価償却費を差し引いたものです。

税率は、不動産の所有期間によって大きく異なります。具体的には、以下の表のように税率が区分されます。なお、所有期間は不動産を売却した年の1月1日時点で判定される点に注意してください。また、譲渡所得が発生した場合は、原則として売却した翌年に確定申告が必要です。

 

区分 所有期間 (売却した年の1月1日時点) 所得税(※) 住民税 合計税率
短期譲渡所得 5年以下 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡所得 5年超 15.315% 5% 20.315%

 
※所得税には復興特別所得税(所得税額×2.1%)が含まれます。

Q. 売却活動にどれくらい時間がかかる?

売却スケジュール一般的に、査定依頼から引き渡し完了まで3ヶ月〜6ヶ月程度が目安ですが、物件や市況により変動します。場合によっては1~2年かかる場合もあります。

売却活動の各工程にかかる時間の目安としては、①準備・査定・媒介契約(数日〜2週間程度)、②販売活動(1ヶ月〜数ヶ月)、③申込・交渉(1~3週間程度)、④売買契約(1〜2週間)、⑤決済・引渡し(約1~2ヶ月)です。

投資用不動産売却でまずやるべきこと

投資用不動産の売却を検討する際、何から始めればよいか迷う方も多いでしょう。成功する売却には、事前の準備と計画が不可欠です。ここでは、売却活動をスムーズに進めるために、まず取り組むべきポイントをご紹介します。

不動産投資の「出口」は利益最大化の重要ポイント

不動産投資の最終的な成果は、売却という「出口」で決まります。購入時から売却までを見据えた計画性が、利益を最大化するうえで不可欠といえるでしょう。

売却タイミング+適切な準備で大きな差が出る

最適な売却タイミングを見極め、相場の把握や信頼できるパートナー探しといった適切な準備を行うことが、有利な条件での売却、すなわち投資成果の向上に直結します。

まずは「信頼できるパートナー探し・複数査定」から始めよう!

出口戦略の具体的な第一歩は、信頼できる不動産会社を探し、複数の会社に査定を依頼することです。投資用不動産に強いパートナーを見つけ、客観的な価格を知ることが、納得のいく売却活動のスタートとなります。

まとめ

不動産投資を最終的に成功させるには、購入時から売却を見据えた出口戦略が重要です。

市場価格の変動やローンの残債、築年数の経過、空室率の上昇、ライフステージの変化など、さまざまな要素を考慮し、最適な売却のタイミングを見極めましょう。

信頼できる不動産会社を見つけ、複数の査定を活用して客観的な相場を把握することが、納得のいく高値売却への第一歩です。

株式会社FGHは全国のワンルームマンション売却に特化した収益不動産の仲介業者です。

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高橋 咲百合
コラム監修 高橋 咲百合
資格

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / インテリアコーディネーター

プロフィール

マーケティング部

新卒以来、不動産業界・建設業界に一貫して従事し、投資用ワンルームマンションの売買・管理・活用に関する豊富な実務経験を積む。
専門知識を活かしつつ、初心者の方にもわかりやすく情報を届けることをモットーに、コラム執筆や監修にも携る。
プライベートでは2児の母。家庭でも「お金の大切さ」を子どもと一緒に学びながら、楽しく金融教育に取り組んでいる。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。

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