オーナーチェンジ物件で入居者を追い出すことはできる?立ち退きの条件と進め方
投稿日2025/05/19

オーナーチェンジ物件は「入居者付き」で売買されるため、購入後すぐに自由に使えるとは限りません。とくに住居の賃貸借は借地借家法で借主保護が強く、退去(立ち退き)にはルールと手順があります。
この記事では、オーナーチェンジ物件の基本から、契約種類による難易度、立ち退きが認められる正当事由、悪質入居者への対応策、交渉のコツ、メリット・デメリットまでを整理します。無用なトラブルを避けつつ、現実的な落としどころを見つけるための判断軸を提示します。
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オーナーチェンジ物件とは
オーナーチェンジ物件は「所有者だけが変わり、入居者は住み続ける」ことを前提とした収益物件です。まずは契約がどう引き継がれるかを押さえることが、立ち退き可否の判断の出発点になります。
オーナーチェンジでは、売買で所有者が変わっても、賃貸借契約そのものは原則として存続します。つまり、新オーナーは入居者に対して、前オーナーが持っていた「貸主としての立場」を引き継ぎます。
引き継がれるのは家賃を受け取る権利だけではありません。敷金の返還義務、設備不具合があれば修繕する義務、賃料や契約期間など契約条件も基本的にそのまま承継されます。
このため、オーナーが変わったこと自体を理由に、一方的に退去を求めたり、家賃や条件を変更したりするのは難しいのが実務です。追い出しを考えるなら、まず契約形態と解約のルールを確認し、無理筋の要求をしないことが結果的に最短ルートになります。
入居者はそのまま引き継がれる仕組み
オーナーチェンジの売買では、物件の所有権が移っても賃貸借契約は継続し、貸主の地位が新オーナーに承継されるのが原則です。入居者から見れば、住む権利が突然消えるわけではなく、支払先や窓口が変わるイメージに近いです。
この承継には、家賃受領権だけでなく、敷金を預かっている立場や、退去時の精算責任も含まれます。給湯器や水漏れなど生活に直結する不具合があれば、修繕対応を行う責任も基本的に新オーナーが負います。
入居者にとって特別に影響するようなことはなく、売買成立後も変わらず居住し続ける権利があります。
したがって、売買が発生するという理由だけでは入居者に出ていってもらうことはできません。
立ち退きが必要な事情があるなら、その事情が法律上どれほど強いのか、どの手段で合意形成できるのかを整理してから動くことが重要です。
賃貸借契約の種類と立ち退き難易度
立ち退きの難しさは、入居者の性格や事情だけでなく「契約の種類」で大きく変わります。普通借家か定期借家かを最初に確認しましょう。
オーナーチェンジ物件での立ち退きは、まず契約書の「契約名称」と「更新の有無」を確認するところから始まります。住居では普通借家が多く、定期借家は割合としては少ないものの、当たれば進め方が大きく変わります。
普通借家契約
普通借家契約は更新が原則可能な契約で、借主の居住を強く保護する仕組みです。期間満了が近いからといって、貸主が自由に終了させられるわけではなく、更新拒絶や解約申入れには正当事由が必要になりやすいです。
正当事由が弱い場合、実務では立ち退き料などの条件提示で不足分を補う形になりがちです。言い換えると、法的に勝てるかだけでなく、交渉として相手が納得できる設計ができるかが成否を分けます。
また普通借家は、合意がまとまらなければ長期化しやすいのが特徴です。強い言い方や突然の通告は反発を招き、結果として時間も費用も増えやすいので、最初から「交渉前提」で段取りを組むことが重要です。
定期借家契約
定期借家契約は更新がなく、契約期間満了で終了する契約です。適法な定期借家であれば、満了による終了に正当事由や立ち退き料が不要となり得るため、貸主にとっては見通しが立てやすい形態です。
ただし、重要なのは「適法に成立しているか」と「残存期間がどれくらいあるか」です。定期借家は書面での契約や事前説明などの要件があり、要件を欠くと普通借家として扱われるリスクもあります。
また、契約期間中に退去を求める場合は別論点です。満了まで待つのか、期間中の解除や合意解約を目指すのかで進め方が変わるため、購入時点で契約書と満了日、更新や再契約の取り扱いを必ず確認しておく必要があります。
立ち退き要求が認められるケース
普通借家での更新拒絶や解約申入れは、貸主側の「正当事由」が鍵になります。正当事由は単独で決まるのではなく、貸主・借主双方の事情を総合して判断されます。
正当事由は「貸主が困っているから」だけでは足りず、借主が退去する不利益と比較して、退去を求める合理性があるかを総合評価します。たとえば借主の居住年数が長い、子どもの通学や介護など生活基盤が強い、代替物件が見つけにくいといった事情は、借主側に有利に働きやすいです。
一方で貸主側は、事情の具体性が重要です。単なる収益改善や気分の問題では弱く、客観的資料で裏付けられる必要性があるほど評価されやすくなります。
さらに実務上は、立ち退き料などの財産上の給付が、正当事由を補完する要素として扱われることがあります。正当事由の議論と補償の設計は切り離さず、セットで考えるのが現実的です。
✅オーナーが自宅として使用する場合
✅建て替え・老朽化で使用継続が難しい場合
✅再開発など第三者要因がある場合
✅家賃滞納・迷惑行為など契約違反がある場合
オーナーが自宅として使用する場合
オーナー自身や家族が住むためという理由は、正当事由になり得ますが、単なる希望だけでは弱いことが多いです。転勤で戻る必要がある、家族構成の変化で住み替えが不可避、介護の都合で立地が必要など、居住の必要性を具体的に示せるかが重要です。
判断では借主側の事情も比較されます。長期居住で地域に生活基盤がある場合や、高齢で住替えが難しい場合は、退去の不利益が大きいとして、貸主側の必要性が相当程度強くないと認められにくくなります。
オーナーチェンジ後にこの理由を主張する場合、購入前からその目的があったのか、なぜ他の選択肢ではだめなのかを説明できるようにしておくと、交渉でも信頼を得やすくなります。
建て替え・老朽化で使用継続が難しい場合
建物の老朽化や安全性の問題は、正当事由として評価されやすい典型です。耐震性不足、重大な劣化、漏水や躯体の問題など、修繕での対応が難しいレベルであれば、退去の必要性が高いと判断されやすくなります。
ただし「建て替えたい」という希望だけでは足りず、計画の具体性が問われます。設計の検討状況、資金計画、工事スケジュール、行政手続きの見通しなど、客観的に実行可能な計画であることが説得力を高めます。
交渉では、工事時期が曖昧だと不信感につながりやすいので、退去期限の相当性と補償の根拠をセットで提示することが重要です。
再開発など第三者要因がある場合
再開発事業、道路拡張、行政の計画など、第三者要因で立ち退きが必要になるケースもあります。この場合、貸主の都合というより外部事情による必要性として説明できるため、合理性が伝わりやすい傾向があります。
ポイントは、口頭の説明ではなく客観資料を示すことです。行政からの通知、事業計画の資料、説明会資料などを提示できると、入居者も状況を理解しやすくなります。
もっとも、第三者要因があっても入居者の生活への影響が消えるわけではありません。代替物件の確保支援や移転費用の補償など、現実に困る点を具体的に埋める提案が合意形成を進めます。
家賃滞納・迷惑行為など契約違反がある場合
家賃滞納や迷惑行為などの契約違反が深刻で、信頼関係が破壊されたといえる場合、解除や明渡しの根拠になり得ます。この場合は「追い出し」というより、契約違反への適正な対応として進める発想が重要です。
家賃滞納は、督促の履歴や滞納期間などの証拠化が極めて重要です。軽微な滞納や一時的な遅れだけでは直ちに解除が認められにくく、段階を踏んだ催告、支払猶予の提示、履行がない事実の積み重ねが必要になります。
迷惑行為も同様で、感覚的な不満ではなく、日時・内容・被害状況の記録、近隣からの苦情記録、注意文書、改善の有無を残すことが要点です。証拠が弱いまま強硬に出ると逆に不利になりやすいので、早めに管理会社や弁護士と進め方を整えると安全です。
悪質入居者を追い出す方法
悪質入居者への対応は、感情的に進めるほど不利になりがちです。契約と事実関係を起点に、実務で取られる選択肢を段階的に検討します。
悪質入居者対応で重要なのは、いきなり「出ていけ」と迫らないことです。強い言動や嫌がらせと受け取られる対応は、こちらが不利になるリスクを高めます。
実務では、契約書と事実関係を確認し、注意や是正要請を積み上げ、必要なら合意解約や法的手続へ移行するという順番で進みます。結果的に、段取りが丁寧なほど早く終わることが多いです。
追い出しを目的に手段を選ぶのではなく、解除に耐える違反があるのか、交渉で解決できるのか、時間を待つべきかを見極めることが、費用対効果を大きく左右します。
解除事由に該当するか確認する
最初に行うべきは、賃貸借契約書の禁止事項や解除条項の確認です。家賃滞納、騒音、無断転貸、用途違反、近隣迷惑などが条項上どのように定義されているかで、取るべき手順が変わります。
次に、注意・是正要求から始め、改善がなければ督促や警告を重ね、必要に応じて内容証明郵便で通知します。このプロセス自体が、後に紛争化した際に「貸主が適正に対応した」ことを示す材料になります。
証拠は勝敗を分けます。滞納なら入金状況と督促履歴、迷惑行為なら苦情記録、録音、写真、管理会社の報告書など、客観性の高い形で残しましょう。感情的な評価ではなく、事実の積み上げに徹することが最短ルートです。
更新時に退去交渉する
更新時期は、入居者にとっても意思決定の節目になりやすく、交渉の着地を作りやすいタイミングです。退去期限は現実的に設定し、転居準備ができる期間を確保するほど合意に近づきます。
条件設計の例としては、更新料の免除、退去時の原状回復負担の一部免除、引越し費用の補助などがあります。現金だけでなく、入居者の不安や負担を減らす提案にすると交渉が進みやすいです。
ただし普通借家では、更新拒絶そのものに正当事由が必要になり得ます。更新時だから必ず出てもらえるという誤解は避け、正当事由の見通しと補償の妥当性を併せて検討する必要があります。
定期借家契約への切り替えを検討する
普通借家から定期借家への切り替えは、入居者が合意すれば、期間満了で計画的に明渡しを目指せる方法です。すぐの退去ではなく「次の期間で終える」設計にできるため、双方の心理的負担が下がることがあります。
一方で、入居者から見ると実質的な立ち退きと受け取られやすく、合意のハードルは高めです。そのため、賃料調整や設備更新など、入居者側のメリットを具体的に用意しないと前に進みにくいのが現実です。
定期借家は法的要件の確認が必須です。書面での契約、重要事項の説明など要件を欠くと後で普通借家扱いとなるリスクがあるため、切り替えを行う場合は管理会社や専門家と手続を整えて進めるのが安全です。
立ち退き料を提示して合意解約する
正当事由が弱い、争いたくない、スピードを優先したいといった場合に現実的なのが、立ち退き料を提示して合意解約を目指す方法です。
強制ではなく合意で終わらせるため、結果として時間とストレスを抑えられることがあります。
ただし、立ち退き料は提示すれば必ず退去してもらえるものではありません。入居者の事情によっては金額の問題ではなく、転居先が見つからない、生活基盤が崩れるといった理由で合意に至らないこともあります。
合意できた場合は、期限、明渡し条件、支払時期、残置物や原状回復の取り扱いを合意書で明確にしてください。口頭合意のままだと、退去直前に条件が蒸し返されるなど、再トラブルの原因になります。
立ち退き料の相場・目安
立ち退き料に法定の一律基準はなく、基本は移転に必要な実費補償に、個別事情を上乗せして決まります。
一般的に家賃の6〜12カ月分と言われていますが、あくまで貸主借主双方の事情に左右されます。
論点になりやすいのは、引越し費用、仲介手数料、新居の敷金礼金など初期費用、転居に伴う家賃差額、家具家電の買い替え、場合によっては通勤通学の負担増などです。入居者が「何に困っているか」を分解し、数字に落とすほど交渉は前に進みます。
金額は正当事由の強弱や居住年数で増減し得ます。貸主側の理由が弱いほど補償を厚くしないと合意が取りにくく、逆に安全性の問題など理由が強いほど補償は相対的に抑えられる傾向があります。最終的には、支払額と退去後に得られる価値上昇を比較し、経済合理性があるかで判断することが重要です。
立ち退き交渉を成功させるコツ
立ち退きは「交渉」であり、強硬策は長期化・紛争化のリスクを高めます。相手の不利益を具体的に埋める設計と、手続の丁寧さが成功率を左右します。
立ち退き交渉は、法律論だけで押し切るより、入居者の不安と負担をどれだけ具体的に解消できるかが鍵になります。入居者の反発の多くは「住む場所がなくなる恐怖」と「費用負担の不安」から生まれます。
そのため、退去理由の説明、期限の相当性、補償の内訳を丁寧に提示し、検討時間を確保するほど合意しやすくなります。強い口調で迫ると、入居者は防衛的になり、弁護士相談や紛争化に進みやすくなります。
交渉を成功させる最大のコツは、いつでも第三者が見ても適正といえるプロセスを踏むことです。誠実な手続と記録は、交渉の信頼を作るだけでなく、万一の紛争時に自分を守る材料になります。
事前通告と記録化
立ち退きは早めの通告が基本です。退去期限が短すぎると、それだけで不合理と受け取られ、交渉の土台が崩れます。入居者が次の住まいを探し、引越し準備をする時間を見込んだスケジュールを組みましょう。
同時に、交渉経緯は必ず記録化します。メールや書面のやり取り、面談の議事メモ、必要に応じて内容証明郵便など、言った言わないを防ぐ形で残すことが重要です。
記録は相手を追い詰めるためではなく、誤解を防ぎ、合意を確実に実行するためのものです。丁寧に残しておくほど、合意後のトラブルや紛争化のリスクを下げられます。
代替物件を提案する
入居者が立ち退きを拒む最大の理由の一つは、代替物件が見つからない不安です。特に高齢者、収入状況に不安がある方、小さな子どもがいる家庭は、審査や環境変化への不安が大きくなります。
そこで、条件の近い代替物件を提案し、内見の調整や申込の段取りまで支援すると、交渉が一気に現実味を帯びます。初期費用の補助や仲介手数料相当の負担など、ボトルネックを直接解消する提案が効果的です。
立ち退き料を増やすより、入居者がつまずいている工程を前に進める方が、結果的に総コストを抑えられることもあります。相手の課題を特定し、解決策として提案する発想が重要です。
弁護士・管理会社に依頼する
立ち退きは法的要素と感情的要素が絡むため、専門家を入れることでリスクを下げられます。管理会社は現場対応や入居者との日常接点に強く、弁護士は正当事由の見立て、解除手続、書面作成、紛争対応に強いという役割分担があります。
本人が直接交渉すると、言い回し一つで関係が悪化したり、意図せず不利な約束をしてしまったりすることがあります。
第三者が間に入ることで、交渉が事務的になり、感情対立が緩和される効果も期待できます。
費用対効果の観点でも、長期化や裁判化はコストを押し上げます。早い段階で相談し、証拠整理と方針決定をしておくことが、結果的に安く早く終えることにつながります。
追い出しのメリット
立ち退きが実現すると運用面の改善余地が生まれますが、利益はケースによって異なります。どの価値が上がるのかを具体的に把握しましょう。
立ち退きのメリットは「気持ちの問題」ではなく、収益・資産価値・管理負担がどう変わるかで判断するのが重要です。とくにオーナーチェンジでは、購入時の利回りが入居者条件に強く影響されるため、退去後の改善幅を具体的に見積もる必要があります。
✅適正賃料で募集できる
✅物件によっては売却に有利になる
✅入居者トラブルを解消できる
適正賃料で募集できる
長期入居で賃料が相場より低い場合、退去後に相場水準で募集できる可能性があります。これは単なる値上げではなく、市場に合わせた再設定であり、収益改善の最も分かりやすい効果です。
ただし、賃料を上げれば必ず決まるわけではないため、周辺相場と競合物件、募集時期の需給、設備水準をセットで見直す必要があります。必要に応じて設備更新やリフォームを行い、賃料に見合う商品性を作ることが重要です。
賃料が上がると収益が増え、投資用としての評価が上がるため、売却価格が改善する可能性があります。投資家が利回りから価格を逆算する市場では、家賃の上昇が価格に反映されやすいです。
物件によっては売却に有利になる
空室化することで実需向けに売りやすくなる物件もあります。特にファミリータイプなどは、住む目的の買い手が多く、入居者付きだと購入後に使えないため買い手が限定されがちです。
重要なのは、立ち退き費用と価値上昇の比較です。立ち退きにいくらかけ、どれだけ価格や家賃が改善し、何年で回収できるのかを数字で判断すると、感覚的な判断ミスを避けられます。
入居者トラブルを解消できる
滞納、騒音、ゴミ出し、近隣クレームなどのトラブルを抱えた入居者がいる場合、それが解消されると、管理負担と精神的ストレスが大きく下がります。これは収益性には表れにくいものの、長期運用の安定に直結します。
一棟収益物件の場合は、問題入居者がいると他の入居者の満足度が下がり、退去連鎖や募集不利につながることもありご自身の収支に大きなインパクトを与えかねません。退去が実現すれば、建物全体の評判改善にも効果があります。
売却時にも、トラブル履歴は買い手の不安材料になります。管理が安定している状態を作れることは、将来の出口戦略にとっても重要なメリットです。
追い出しのデメリット
立ち退きはメリットだけでなく、時間・費用・リスクを伴います。最悪のケース(紛争化)も想定した上で判断することが重要です。
立ち退きは、成功すれば価値を上げられる一方で、失敗や長期化のコストも大きい取り組みです。特に普通借家では、借主保護が強いため、思い通りのスケジュールで進まないことを前提に計画する必要があります。
また、立ち退きは相手の生活に直結するため、感情的な対立になりやすい分野です。手続のミスや強引な対応は、正当事由の評価を下げたり、損害賠償やクレームにつながったりするリスクがあります。
デメリットを織り込んだうえで、退去後に得られる利益が十分か、他の選択肢(オーナーチェンジのまま保有・売却など)が合理的ではないかを比較する姿勢が重要です。
✅時間がかかる
✅費用がかかる
✅精神的ストレスとトラブルリスクがある
時間がかかる
普通借家の立ち退きは、合意形成に数カ月以上かかることが珍しくありません。話し合いがまとまらない場合、調停や裁判に進み、年単位で時間がかかる可能性もあります。
定期借家でも、満了まで待つ必要があるため、残存期間が長いと計画が先延ばしになります。購入直後に使いたい、早期に売却したいといった目的がある場合は、時間軸が目的に合っているかを最初に見極めるべきです。
時間がかかるほど、空室化後の改善利益を受け取る時期も遅れます。立ち退きは「できるか」だけでなく「いつ実現できるか」を現実的に見積もることが重要です。
費用がかかる
費用として代表的なのは立ち退き料ですが、それだけではありません。代替住居の支援、引越し補助、原状回復費用の調整、リフォーム費用、さらに弁護士など専門家費用が発生し得ます。
争いが長引くと、追加の法的費用や、空室化を見込んだ資金計画の崩れなど、間接コストも膨らみます。結果として、当初の想定を大きく上回ることがあります。
だからこそ、最初に「最大いくらまでなら合理的か」を決め、退去後の賃料・売却価格の改善幅と並べて判断する必要があります。上限がない交渉は、判断がぶれて費用が膨らみやすくなります。
精神的ストレスとトラブルリスクがある
住居に関する交渉は、入居者にとって生活の根幹に触れるため、感情的対立が起きやすいです。クレーム、近隣巻き込み、風評などに発展すると、建物全体の運営にも影響します。
また、強引な対応は法的にもリスクがあります。執拗な連絡や嫌がらせと受け取られる行為は、逆にオーナー側が不利になる可能性があります。正当事由の有無以前に、手続の適正さが問われます。
トラブルを避けるには、説明の透明性、期限の相当性、補償の妥当性、記録の整備が重要です。必要に応じて第三者を入れ、冷静で再現性のある手続で進めることが、最も安全なリスク管理になります。
まとめ
オーナーチェンジ物件で入居者を「追い出す」ことは、契約種類と正当事由の有無で難易度が大きく変わります。現実的には交渉と合意形成が中心となるため、手順を踏み、記録を残し、必要に応じて専門家を活用することが近道です。
オーナーチェンジ物件では、入居者と賃貸借契約がそのまま引き継がれるため、オーナーが変わっただけで退去を求めるのは困難です。まずは普通借家か定期借家かを確認し、立ち退きの前提条件を整理しましょう。
普通借家での立ち退きは正当事由の総合判断が基本で、理由が弱い場合は立ち退き料などの補償設計が実務上の鍵になります。悪質入居者対応でも、解除事由の精査と証拠化、段階を踏んだ通知が不可欠です。
立ち退きは成功すれば賃料適正化や資産価値改善につながりますが、時間・費用・ストレスも伴います。退去後の利益と立ち退きコストを数字で比較し、必要なら管理会社や弁護士と進め方を整え、紛争を避けながら現実的な合意を目指してください。
\ FGHにおまかせ /
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / インテリアコーディネーター
株式会社FGH マーケティング部
新卒以来、不動産業界・建設業界に一貫して従事し、投資用ワンルームマンションの売買・管理・活用に関する豊富な実務経験を積む。
専門知識を活かしつつ、初心者の方にもわかりやすく情報を届けることをモットーに、コラム執筆や監修にも携る。
プライベートでは2児の母。家庭でも「お金の大切さ」を子どもと一緒に学びながら、楽しく金融教育に取り組んでいる。
このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者
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