REIT(リート)の特徴・メリット・デメリットを徹底分析!
【目次】
REITとは?
REITは不動産投資法の一種で、投資法人が投資家から資金を集め、複数の不動産を購入する不動産投資信託です。
そして投資した不動産を運用することで得た賃料収入(インカムゲイン)や、購入した不動産を購入価格以上で売却することで得た売却利益(キャピタルゲイン)を、配当金として投資家に還元します。
一般的な不動産投資であれば、投資家自らが物件を選定し、購入、運用、売却していきますが、REITでは出資するだけで、投資法人が物件の選定から売却まで全て代わりに行います。
投資家に欲しい物件があり、投資法人が代わりに欲しいと思う人を見つけて一緒に投資するということはできず、物件の選定は投資法人が行うので、自分で物件を選んで投資することは基本的にできません。
REITは多数の投資家が一緒になって投資し、投資家はあくまで出資しか行わないことが、一般の不動産投資とは大きく異なります。
つまりREITでは、間接的に不動産に投資したことになるのです。
REITは株のように証券化されており、1口10万円〜投資することができます。
証券会社から購入することができるため、不動産会社に行ってもREITは取り扱っていません。
REITは不動産投資と株が組み合わさった面白いシステム。
株のように毎日のように価格が上がったり、下がったりします。
そのため、保有することで得られる配当金目的で購入することもできますし、安く買い、高くなった時に売ることで得られる売却益を狙って購入することもできます。
REITの投資対象は、主にオフィスビル、ホテル、マンション、商業施設になります。
REITは単一用途の不動産に投資されたものから、複数用途の不動産に投資された総合型のものまで多数あります。
また、単一用途と言っても、数件〜数百件の同じ用途の不動産に投資されています。
つまり”オフィスビルのみに投資する”という単一用途のREITに投資しても、実際に投資を行っているのは数十件以上のオフィスビルです。
あるオフィスビル単体に投資するという訳でないのでご注意ください。
なぜ数十件以上に投資を行うかというと、一つの物件の運用にマイナスが出ても、別の物件でプラスが出ればマイナス分を補え、リスクが分散できるからです。
複数用途の総合型のREITは、オフィスビル、ホテル、マンション、商業施設など様々な物件に投資するという点が、単一用途のREITと異なっているだけで、他の仕組みは単一用途のREITと同じです。
ちなみに日本版不動産投資信託を、「Japan Real Estate Investment Trust」の頭文字を取って、J-REITと呼びます。
REITのメリット
高利回り
REITの配当利回りは、株式投資の配当利回りの平均よりも高い傾向にあります。
アイビー総研株式会社の「J-REIT市況月次レポート」によると、2020年 3月末現在のREITの平均分配金利回りは、4.84%です。
予想分配金利回りの最低は2.97%、最高は14.28%と、驚きの利回り予測を叩き出しています。
一方、日本取引所グループ(JPX)の2020年 3月末現在の株式平均利回りは、1.6%前後。
そのためREITは株式に投資するよりも、多くの配当金に期待できるということが分かります。
また株式投資は、複数銘柄購入することで一つの会社がダメになっても、他でカバーするというリスクヘッジしか取ることができません。
しかし、REITであれば、1口の購入でも投資対象は多数の物件なので一つの物件の損失を他の物件でカバーできます。
つまりREITは株式と違いリスク分散を図りながら、高利回りを期待できるのです。
小額(10万円〜)投資が可能
不動産に投資をしようと思えば、数百万円の自己資金と銀行からの融資が必要です。
これが不動産投資を行うにあたって、一番の障害となるでしょう。
しかしREITであれば、一口10万円〜投資が可能なため、気軽に始めることができます。
プロの目線で物件を厳選
初めての不動産投資は分からないことの方が多く、その中でも物件を選定し、投資しなくてはいけません。
しかしREITであれば、不動産投資に熟知した投資法人の専門家が、物件の選定から運用・維持管理・賃貸募集・売却まで全て行ってくれます。
素人が選ぶよりも専門家が選ぶ方が、利益が期待できる物件を選ぶことのできる可能性が高いことは自明の理です。
また不動産を運用する上で生じる維持管理や入居者募集、クレーム対応なども原則全て投資法人が行ってくれるので、投資家に手間がかかりません。
換金性が高い
REITは証券取引所に上場しています。そのため株式と同じように取引でき、換金性が高いのが大きな特徴。
投資したREITを手放したい時には数日で現金化できる上に、取引の方法も簡単。通常の株式取引所と同じルールが適用されます。
一方で不動産投資は物件を売り出し、現金にするまで数ヶ月の時間がかかります。
値段を指定する指値注文や値段を指定しない成行注文も使え、全国の証券会社の本支店やインターネットを通じて取引可能です。
REITのデメリット
災害・倒壊・焼失リスク
投資した物件が地震で倒壊したり、火事で焼失してしまえば、投資額を失います。
地震は広範囲で起こるため、複数の物件に投資するREITでもリスクの分散に限界があるのが現実。
しかし、REITの投資対象である多くの物件が、大地震の際の予想最大損失率(PML値)を出しており、地震PML率は軒並み10%以下と、災害リスクは低いことが分かります。
火災で焼失する可能性もありますが、火災は通常1棟から隣接する建物数軒に被害が出る程度で、オーストラリアの山火事のように広範囲に延焼が広がることはほぼありません。
複数物件に投資するREITは、1つの物件に火災が起こっても、他の物件で損失を補填できる可能性が高いと言えるでしょう。
上場廃止になる可能性
株式同様にREITも上場を維持するために必要な基準を満たすことができない場合、上場廃止になります。
投資家は上場廃止までに売却する以外選択がないので、その時の基準価値によっては大損してしまう可能性も0ではありません。
実際、2008年には、REITを扱うニューシティ・レジデンス投資法人が、上場を廃止しました。
投資法人の倒産
REITでは投資を行った投資法人がキャッシュフローの悪化等から、資金調達が出来ず倒産するリスクがあります。
ただし株式投資と違いREITでは、投資法人が破綻したからといって投資を行っていた不動産の価値がなくなる訳ではありません。
そのため投資法人が所有していた不動産を売却すれば、投資資金が投資家に分配される可能性があります。
融資がつかない
不動産投資では銀行から融資を受けることができますが、REITのような金融商品は融資を受けることができません。
そのため配当金の良い投資法人に投資したいと考えていても、自己資金のみで投資を行うしかなく、レバレッジをかけることができないのです。
しかしもちろん、個人的に借金をするなど別の方法での資金調達であれば可能です。
配当金の減少
REITは平均して株の2倍以上の配当金を誇っていますが、それでも配当金が減少するというリスクはあります。
実際平成25年にMIDリート投資法人が、分配金予想金額を7210円から418円に減額しました。
なぜここまでの大幅減配になったかと言うと、MIDリート投資法人は所有する「パナソニック大阪京橋ビル」を売却する際に、13億1800万円の売却損が出たためです。
当時のMIDリート投資法人は所有する物件11件中、含み益が出ている物件が1件しかなく、含み益も2億9000万円程度だったため、売却損を相殺することができませんでした。
その結果、分配金の大幅減少につながったのです。
正直なところ、投資法人は物件の売り買いを行い、ポートフォリオを整理するため、数十億円の売却損が出ることは珍しいことではありません。
しかし、通常であれば物件を売却し損が出ても、含み益が出ている物件を売却して売却損益を相殺できるので、分配金に大きな影響が出ることはないでしょう。
長期投資向けではない
REITは数十年という長期投資には向いていません。
近年では在宅ワークやリモートワークが推奨されており、以前のように大きなオフィスビルを構える法人も少なくなってきています。
そのため、”家や近所のカフェで働く”という働き方が浸透すると、オフィスが不要となり、REITの価値が下がってしまう可能性があります。
しかしREITは比較的新しい不動産投資商材ということもあり、短期投資に強いとも言えるでしょう。
REITに向いている人
様々な投資商材がある中でREITに向いているのは、どのような人なのでしょうか。
投資リスクを抑え、手間を省きたい人
REITでは投資法人が複数の不動産に投資するため、1軒あたりの空室や家賃の下落は、全体の収益に大きく影響しません。
日々の運用によって生じる建物の維持管理や賃貸人の募集の募集業務も全て、投資法人が代わりに行ってくれます。
REITは現物資産への投資ではないので、不動産の維持費も税金もかかりません。
そのためREITは投資のリスクを抑え、手間と時間をかけずに安定的に収益を得たい人に向いています。
少額から投資を始めたい人や投資初心者
REITは不動産投資に比べ、少額の資金から購入できます。
そのため、10万円〜投資を始めたいという人や初めて投資にチャレンジするという人にオススメです。
手持ちの自己資金(現金)のみで、不動産投資を行いたい人
手持ちの自己資金のみで不動産投資を行うことができる人は、正直そう多くはないでしょう。
よっぽど裕福でない限り、現金のみでの不動産投資であれば、中古物件や小額の戸建てが投資対象になり、オフィスビルやホテルなどに投資を行うことは不可能です。
中古物件は建物が古い分、修繕が必要で利回りも低くなってしまいます。
小額の戸建ても1軒のみしか所有できなれば、高い利益・利回りは期待できません。
しかしREITであれば、手持ちの現金のみで、オフィスビル・ホテルといった大規模物件に投資可能です。
面倒なメンテナンスも不要なため面倒は一切なく、自己投資による収益を考えても、REITの配当金の方が大きくなる可能性が高いです。
いざという時に即現金化をしたい人
REITのメリットで前述した通り不動産物件は手放したいと考えていても、売却から現金になるまで早くても3ヶ月間は必要です。
一方でREITは証券市場で取引されているので、売却も簡単。
いざという時に数日で現金化できるので、急に資金が必要になった際にも安心です。
REITの情報まとめ
REITの仕組みと特徴、メリット・デメリットまで解説しましたが、いかがでしたか?
REITは株式投資より高い配当が望める点で、個人投資家だけではなく、機関投資家からも注目されているのです。
しかし、REITを含めた不動産投資には必ずリスクとデメリットがあるので、それを踏まえた上で投資をスタートさせてくださいね。
このコラムを書いている人
マンション経営ラボ 編集者
最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。
関連する記事