意外と知らない?家賃保証のはなし~不動産投資コラム~

公開日2019/02/22
更新日2022/12/03

今回は、家賃保証のことを書いていきたいと思います。
 
家賃保証とは、所有者(オーナー様)からお部屋を不動産会社が借り上げて、一般の方に転貸することで、オーナー様には一定額の賃料が支払われるサービスです。
 
『サブリース契約』、『一括借り上げ契約』などとも呼ばれています。

 

新築の家賃保証

新築で物件を購入された方は、このサービスをご利用されていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
 
最近では投資物件を販売する多くの不動産会社が謳っているサービスでもあります。
 
先日ご相談に来られたお客様から、そんな家賃保証に関するお話を伺いました。
 
ご購入の当初は、マンション経営に関して全く知識がない初心者オーナー様で、購入に踏み切った最大の理由は、「10年間の家賃保証」という、販売会社による保証システムがあったからだそうです。
 
当初は、「10年間も家賃を保証してくれるのであれば、月々の返済は全て賃料でまかなえるし、負担なく返済していけるな」と安心して、家賃保証の内容などをよく確認せず、営業マンに言われるがまま新築マンションを購入してしまったとのことでした。
 
物件を購入して5年が経過したある日、家賃保証をしている販売会社から一通の手紙が届いたそうです。

内容は、『保証金額の見直し』です。
 
5年間受け取れていた賃料が減額されるというもので、それも一方的な内容です。
 
10年間家賃を保証すると約束した販売会社からの突然の通知。保証賃料が振り込まれていた口座には、翌々月から家賃が減額されて入ってきたそうです。
 
家賃が減額されたからといって返済する金額は変わりません。そこで、転貸先の賃借人と賃貸借契約を結び直そうとしましたが、そこでさらに驚愕の事実が判明。

その家賃保証の契約は、保証会社が賃借人となり契約している“賃貸借契約”でしたので、基本的には契約期間内に解約ができないとのこと。
 
また、解約には半年分の賃料を解約金として支払わなければならないというものでした。
 
そんな販売会社への不安と、月々のローン返済にかなりの負担を感じるようになり、今後どうすればいいのか弊社に相談にきたというわけです。

 

家賃保証物件は売却しづらい

ここ最近では、転貸している不動産会社が借地借家法を盾にして解約に応じないケースが増えてきたように思います。
 
家賃保証が解約できない場合、今後のマンション運営でも、売買する時でも大きな影響を与えます。
 
賃貸でそのまま運用するにしても、相場に合わせた保証賃料の見直しや、転貸先の賃借人を選べない(どんな方が入居しているのか知れない)、自己使用したいと思った時もその契約が壁となります。
 
売買時には、保証契約を新しい買主の方に引き継がなければならないという制約がつきます。
 
そうすると、購入していただける方は限られてきますので、いざ売却を考えたとしても想像以上に時間が掛かってしまいます。

 

残念ながら不動産会社の中には「家賃保証」という、本来ならオーナー様を安心させるべきシステムを悪用して販売をしている会社があるようです。
 
家賃保証を隠れ蓑にして、あたかも高額家賃が取れる物件と見せかけて販売するケースも何件か聞いたことがあります。
 
この販売会社の場合、倒産にこそなってはいませんが、逆ザヤ家賃保証のような禁断の販売手法を常習的に使って利益を拡大していったツケが、景気停滞によって一気にマイナスだけが露呈して破綻に向かっていった販売会社もございました。
 
不動産業界では「家賃保証システム」や「設備(エアコンや給湯など)の修理保証システム」など、様々な保証システムがあります。
 
これらのシステムそのものはお客様に安心を与えるということでは良いことだと思いますし、弊社のグループ会社でも導入しています。
 
ただ、それが今回のケースのようなオーナー様のための家賃保証でなければ、いつか破綻すると私は考えています。
 
うまい話には裏があります。
 
当たり前のことですが、高額商品である不動産を購入するわけですから、これから始める皆様には冷静に契約書を読んでいただき、ご判断していただければ幸いです。

このコラムを書いている人

渡邉 幸也

渡邉 幸也

1990年 秋田県鹿角市生まれ 東京都日野市育ち 2013年 株式会社FGH入社。不動産業界歴10年のノウハウを生かし収益不動産のプロフェッショナルとして、数多くの不動産を仲介する。 現在は、投資用不動産の売却・販売など幅広く担当している。 保有資格:宅地建物取引士