ペット可の賃貸経営は大変?メリット・デメリットを考える

公開日2020/06/13
更新日2021/07/31

賃貸住宅でペットは受け入れるべきか


現在賃貸アパートやマンションは、供給過剰状態にあります。
今後少子高齢化により人口は減少していくことが予測されており、賃貸物件の供給過剰はより深刻化していくでしょう。
これまでと同じやり方では、入居者を獲得することが難しくなってしまうのです。
そのためペットを不可としていた物件でも真剣に、ペットを受け入れるべきかどうか考えていく必要があります。
他の物件と差別化を図るために、ペット可にしたというオーナーも少なくありません。
今回は、ペットの数と賃貸住宅の空室率の現状、ペット可のメリット・デメリットをまとめてみました。
 

日本では2000万世帯以上がペットを飼っている


全国には、どれくらいペットを飼っている人がいるのでしょうか。
一般社団法人ペットフード協会による「全国犬猫飼育実態調査」では、平成30年度の全国犬・猫推計飼育頭数は、犬が890万3000頭、猫が964万9000頭。合計約1854万頭の犬・猫がペットとして飼育されています。
もちろん全世帯で1匹ずつ飼っているわけではなく、多頭飼育している場合もあるでしょう。
世帯の飼育世帯率を見てみると、犬が12.64%、猫が9.78%でした。
つまり2000万世帯以上がペットを飼っており、5699万世帯の日本ではおおよそ3世帯に1世帯がペットを飼っていることになります。
これは犬・猫の数だけなので、爬虫類や熱帯魚、ハムスター、ウサギ、その他特殊なペットなどを含めると、その数はもっと増えるでしょう。
 

ペット可賃貸物件の数


今度はペットを飼育することができる賃貸物件の数を調べていきましょう。
総務省統計局の調べによると、日本の家屋の数は、平成30年度時点で約6240万戸です。
その中で人が住んでいる住宅は5366万戸(86.0%)、空き家・建築中など居住世帯のない住宅は848万戸(13.6%)
人が住んでいる住宅5366万戸のうち持ち家は3280万戸で、全体に占める割合である持ち家住宅率は61.2%
賃貸物件の数は、およそ1900万戸で全体の35.6%でした。
その中でペット可物件は何戸であるのか調べようとしましたが、正式な統計はありませんでした。
そこで複数の大手不動産情報サイトで、全国のペット可賃貸物件の数を検索してみると、ペット可物件は、全賃貸物件の12%程度でした。
この数字はマンション、アパート、戸建てといった絞り込みが行われていない全体的な数字ではありますが、ペット可物件はまだまだ少ないということが分かります。
つまり、全国で2000万世帯以上がペットを飼っているのに、ペット可物件の供給数は1900万戸のうちの12%で228万戸程度なのです。
また。青空計画という不動産会社の調べでは、ペット可賃貸物件の供給率は首都圏で10%前後、地方都市で5%前後でした。
首都圏の方がペット可物件の割合が大きいのは、それだけ賃貸物件の数が多く、他の物件との競争に勝つために入居条件をできるだけ緩和しているという背景があります。
 

潜在的ペット賃貸住宅希望者

また、2009年のデータではありますが、ある首都圏の不動産会社が、賃貸物件利用者に「許可があればペットを飼いたいですか?」と調査を行ったところ、65.9%の人が「飼いたい」と答えたそうです。
続いて「なぜ飼わないのですか」という質問には66.6%の人が「契約で禁止されているから」と答えました。
つまり、賃貸物件に住む人の6割以上が、潜在的ペット賃貸住宅希望者なのです。
ペット可物件にすると、ペット連れのニーズはもちろんのこと、「契約で禁止されているから飼いたくても飼えない」という潜在的ペット賃貸住宅希望者のニーズにも応えていくことができるのです。
しかし、なぜペット可の賃貸物件が増えないのでしょうか?
 

ペット可物件のメリット

入居希望者の母数が大きくなる

ペット可物件では、ペットを飼っている人も飼っていない人も、どちらも入居できるので募集する入居者の幅・母数が広がります。
特に空室率の高い場合では、ペット可にするだけで入居率を上げることができるでしょう。
入居条件を1つ緩和するだけで、リフォームなどの追加投資もなしで空室率が改善されるので、最も手軽な入居率を上げる方法です。
 

長く入居してもらえる

ペット可物件はそもそも供給数が少ないので、「他の物件に引っ越したい」と思っていても、受け入れてもらえる物件が多くありません。
ペット可物件は他の物件より契約継続率が高いので、不動産屋でペット可物件を紹介される確率も低いです。
そのためペットを飼う入居者は、物件探しに苦労することが多く、簡単に引っ越そうと思いません。
ペット可物件は長期間入居してもらえることが多く、安定的な家賃収入を得ることができます。
駅から遠い、日当たりがよくない、マンションの3階だがエレベーターがない…など、さまざまなデメリットもある物件もあるでしょう。
しかし、ペット可物件の入居希望者は。ペットと暮らすことが最優先なので、多少のデメリットは目をつぶってくれることが多いです。
他の賃貸物件との競争に勝てない物件でも、ペット可にすることで勝てる可能性が高くなります。
 

交渉をオーナー優位に進めることができる

入居希望者から「家賃を下げて欲しい」と交渉を受けたことのあるオーナーも少なくないはず。
ペット可物件では、ペットが壁紙や床などを傷つけてしまう可能性を伝えれば、賃料の減額に応じられないことを納得してもらいやすいです。
またペット連れの入居者は入居できる物件が限られているので、そもそも家賃交渉をしてこないことの方が多いです。
ペット相談可物件の中には、ペット連れのみ家賃+5,000円など賃料をアップしているケースもあります。
 

ペットを選ぶことができる

ペット可物件でも、全てのペットを受け入れる必要はありません。
「猫アレルギーなので、猫以外の動物なら受け入れ可能」でもいいのです。
また、ペットの数の上限を決めておくのも大切です。
「3匹までなら受け入れ可能、それを超えると鳴き声などで近隣住民に迷惑がかかるので受け入れ不可」など、事情に合わせてペットの種類や数に制限を設けましょう。
ハムスターやウサギといった小動物や熱帯魚は、比較的簡単に受け入れられるでしょう。
 

ペット専用物件にすればトラブルを回避できる

ペットを飼っている人しか住めない「ペット専用物件」にすることも一つの手です。
ペット専用物件は、その名の通りペットを飼っている人しか入居できない物件。
ペットと快適に暮らすことを目的に作られているので、共用部や住戸内にペットのための設備を整えていることも多いです。
足洗い場やドッグフェンス、猫棚など様々な付属設備があります。
ペット可ではなく、ペット専門の物件にすれば、他の住民とのトラブルも抑えることができ、入居者も快適に暮らすことができるでしょう。
 

ペット可物件のデメリット


メリットの多いペット可物件ですが、それでも普及率が増えないのはデメリットも多いからです。
ここからは、ペット可物件のデメリットを見ていきましょう。
 

敷金や原状回復のトラブルが多い

国民生活センターには、賃貸住宅の敷金や原状回復のトラブルの相談が毎年寄せられています。
独立行政法人国民生活センターの調べでは、賃貸住宅の敷金、ならびに原状回復トラブルの中で最も多いのが、ペット飼育によるトラブルで、24~25%を占めています。
ペットを飼育するとどうしても部屋にペットの匂いがついてしまい、清掃だけでは取りきれないことも多いです。
賃貸マンション・アパートの場合、共有部にペットの糞や尿が放置してあることもあります。
そのペットを飼っている入居者が掃除を行うのが常識ですが、見て見ぬふりをしている場合はオーナーや管理会社が清掃をしなければいけません。
入居時にペット飼育に関する取り決めを行っても、全ての入居者が守るとは限りません。
またペットの鳴き声が、騒音トラブルに繋がることもあります。
ペット連れはペット無しの入居者に比べ手間が多く、室内、共有部の汚損も多いということから、敷金を多く取るケースも多いですが、これがまたトラブルに発展することもあります。
ペットに関するトラブルはオーナー側から見ると、大きなリスクになるので受け入れるべきか事前によく検討しましょう。
 

他の入居者に迷惑がかかり、最悪のケース退去される

新築で最初からペット可物件として入居者募集を行うのであれば、ペットを連れていない人もペット連れに理解を持っています。
しかし途中から賃貸物件をペット不可からペット可にするケースでは注意が必要です。
世の中にはペットが大嫌いな人やアレルギーを持つ人、神経質な人がいます。
そのためこうした人は、入居したペット連れの人と入居者間トラブルを引き起こしてしまいがちです。
空き部屋を埋めたいがために安易にペット可にしてしまうと、現在の入居者に迷惑がかかり、最悪の場合退去につながります。
また猫連れ入居者のせいで、猫アレルギーになってしまったと損害賠償を求められるケースも考えられます。
2011年には、俳優の反町隆史さんと松嶋菜々子さん夫妻の飼うドーベルマンが、同じマンションの住人にかみつき怪我を負わせるという事故が話題になりました。
この際、1725万円の損害賠償を反町夫妻が支払ったそうです。
 

一度ペット可にすると、簡単に不可に戻せない

ペット可物件にしたことでトラブルに見舞われ、やはりペット不可に戻そうと考えても、一度ペット可にした物件は簡単にペット不可に戻せません
まずペットを飼っている入居者全員に出ていってもらわなくてはいけません。その後、ペットにより汚損された箇所などを清掃、修繕する必要があります。
ペットの匂いが室内に染み付いた場合は、なかなか匂いが消えません。
そのため一度ペット可物件にしたら、大規模なリフォームを行わない限り簡単にペット不可に戻す事はできないのです。
ペット可物件は現状の管理費以外に、将来的な管理費もかさんでしまう可能性が高いです。
 

ペット飼育可賃貸物件のまとめ


少子高齢社会の日本では、15歳未満の子供の数よりペットの数の方が多くなっており、それだけペット可住宅の需要も高まっています。
賃貸物件は供給過多ですが、ペット連れの需要は満たしておらず空き部屋に悩むオーナーにはペット可物件は空き部屋対策として有効でしょう。
しかしトラブルやデメリットも大きいので、安易にペット可にするのではなく、よく考えてからペットを受け入れましょう。
ペット可ではなくペット専用物件にすることで、他の物件との差別化を図るオーナーもおり、入居者から人気を博しています。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

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