不動産投資における「瑕疵担保責任」とは?リスクやトラブル対策についても解説

公開日2020/10/22
更新日2021/09/03

不動産投資における、瑕疵担保責任(免責)とは?


不動産投資を始めるのであれば、かならず「瑕疵(かし)担保責任」のことを理解しておく必要があります。
買主・売主いずれの立場に立っていても、瑕疵担保責任がもたらす影響は、たいへん大きなものです。
「瑕疵担保責任について、よく知らなかった」というだけで、大きな損害を出す可能性もあります。
とはいえ、不動産投資を始めたばかりの人は、「瑕疵担保責任」について詳しくは知らないはずです。
そもそも「瑕疵」が何であるかわからない、という人もいるでしょう。
本記事では、瑕疵担保責任や、それにまつわるリスクをおさえる方法について、詳しく解説します。
不動産投資に取り組むのであれば、目をとおしておいて損はないはずです。
 

そもそも、不動産投資における「瑕疵」とは何か?


不動産投資における瑕疵とは、わかりやすく言えば「不動産にある欠陥」です。
具体的には、
・なんらかの損傷がある
・本来あるべき性能が機能していない
といったものが、瑕疵として扱われます。
そして瑕疵担保責任は、そういった瑕疵に対して、きわめて重要な影響を与えるものです。
 

不動産投資における「瑕疵担保責任(免責)」とは?


まずは、瑕疵担保責任の基本的な定義についておさえておきましょう。
瑕疵担保責任とは、基本的には「不動産に、通常では見つけられるはずのない瑕疵があった場合、その責任を売主が負う」というものです。
これは新築・中古マンションや一戸建てなど、さまざまな不動産において、深く関係してきます。
「通常では見つけられるはずのない瑕疵」は、一般に”隠れたる瑕疵”と呼ばれます(”隠れたる瑕疵”については、後ほど詳しく解説します)。
仮に隠れたる瑕疵があって、売主の責任を認められた場合、買主は売主に対して、損害賠償契約の解除
などを求めることが可能です。
売主は、”隠れたる瑕疵”を知っていても知らなくても、瑕疵担保責任を負わなければいけません。
よって瑕疵担保責任は、「売主側に課せられる責任」というわけです。
瑕疵担保責任があることで、買主は「不備のある不動産を購入してしまう」というケースを回避しやすくなります。
売主からしてみれば、瑕疵担保責任によって、「不備のある不動産を、不備がないと偽って売却できない」というわけです。
以上のことから、瑕疵担保責任は、「正常な不動産売買の取引」を保つうえで、たいへん重要な役割を担っているのです。
 

不動産投資の瑕疵担保責任における、”隠れたる瑕疵”と、売主ができること


瑕疵担保責任においては、とにかく”隠れたる瑕疵”のことをよく理解しておく必要があります。
なぜなら”隠れたる瑕疵”によって、大きな損害をこうむる可能性があるからです。
まずは、”隠れたる瑕疵”が具体的に何を意味しているのか、おさえておきましょう。
不動産流通経営協会による「標準売買契約書」のフォーマットでは、以下が”隠れたる瑕疵”として定義されています。
1.雨漏り
2.シロアリによる侵食
3.建築構造上、重要な部位となっている木材が腐食している
4.給排水管の故障
上記の4つが、一般的に言われる”隠れたる瑕疵”です。
つまり不動産を購入した場合、上記のような不具合があったとしても、買主に責任を負わせられる、というわけです。
そのほか、「土壌汚染」「居住が困難なほどの損傷」なども、瑕疵として扱われるケースがあります。
そして売主は、上記したような”隠れたる瑕疵”があった場合、上記のとおり瑕疵担保責任を負わなければなりません。
たとえば売却時には気づかなかった「シロアリによる侵食」が発覚したとしましょう。
その瑕疵については、買主から請求される限り、補習費や損害賠償の支払いをする必要があるというわけです。
 

民法改正による瑕疵担保責任の変化


2020年4月より、民法改正によって、瑕疵担保責任の見直しが実施されました。
見直しの結果、瑕疵担保責任は大きく変化しています。
また厳密には「瑕疵担保責任」というものは撤廃されていて、「契約不適合免責※」という名称の新しいルールへと変化しており、基本的には「より買主側に有利なルール」へと改正されています。
※本記事では便宜上、「契約不適合免責」を「瑕疵担保責任」として記述します。
 

「責任が発生する期間」の変更

第一に、“責任が発生する期間”が変更されています。
改正前は、「契約が成立するまでに存在する瑕疵」に対して、瑕疵担保責任が生じていました。
しかし改正後は、「引き渡しが完了するまでに存在する瑕疵」に対して、瑕疵担保責任が生ずるようになっています。
つまり、売主からしてみれば”隠れたる瑕疵”について、責任を負う期間が延長されたということです。
不動産を売却するときは、この点についてよく注意する必要があるでしょう。
 

「追完請求」ができるようになった

また、買主は売主に対して、「追完請求」ができるようになりました。
追完請求とは、簡単に言えば「瑕疵があった場合、売主に対して修繕費を請求する」というもの。
改正前、買主が請求できるのは、損害賠償や精神的苦痛に対する慰謝料などに限定されていました。
たとえば購入後に、「マンションに建築構造上、重要な部位の木材が腐食している」ことがわかったとしましょう。
当然、買主は木材を交換する必要が生じます。
そして「追完請求」をかければ、木材の交換にまつわる費用は売主に負担させられるというわけです。
また、追完請求と共に、状況次第では損害賠償などを併せて請求することも可能
不動産を売却する際は請求がかけられないよう、いっそう注意しなければいけません。
 

代金の減額を請求することが可能になった

改正によって、買主は「代金の減額を請求できる」ようになりました。
先ほど解説した「追完」を実施されない場合、不動産そのもの代金を減額することで、損害を補填することが可能です。
要するに、「不備を修繕してくれないなら、その分値引きしてくれ」という言い分が一方的にとおるようになったということですね。
 

損害範囲が拡大された

また、損害範囲にも変更がありました。
改正前は、「信頼利益(”隠れたる瑕疵”が原因となって生じた、買主の損失)」に対してのみ、損害として定義されていました。
しかし改正後は、信頼利益とは別に「履行利益(”隠れたる瑕疵”がなければ、得られていたであろう利益)」も、損害として定義されています。
 

瑕疵となる範囲が広くなった

現行法では、「瑕疵」として認められる範囲が広くなっています。
改正前は、先ほどの触れた上記の”隠れたる瑕疵”だけが、責任対象となっていました。
つまり状況によっては、「隠れていない瑕疵に対しても、瑕疵担保責任が生じる可能性もある」という形へ変わっているというわけです。
以前までは、瑕疵担保責任が生ずるか否かは、「瑕疵が隠れていたか、それとも隠れていなかったか」という点を重要視して決定されていました。
しかし現在は、「瑕疵が契約の内容に含まれているか否か」が、ひとつの基準として考えられるようになっています。
他にも例外的に、「一般的に考えて、その不動産には備わっていないとおかしい性能がない」と判断されれば、瑕疵担保責任が生じる、ということも考えられます。
 

権利行使ができる期間の縮小

買主が権利を行使、つまり「売主に対して何らかの請求をかける」ことができる期間が、短くなりました。
改正前は、不動産を購入してから10年間、請求する権利が与えられていました。
しかし改正後は、
1.買主が、「自分自身に請求する権利がある」と認知してから5年間
2.買主が、「不動産に瑕疵がある」と認知してから5年間
のいずれが、権利行使の期間として再設定されています。
そしてAとB、いずれかの認知があってから5年経過すると、請求する権利は消滅する、という仕組みです。
たとえば「瑕疵があると気づいてから5年経てば、権利を知っていなかったとしてもが手遅れである」というわけですね。
もちろん、その逆でも同じことが言えます。
権利行使の期間は、純粋に10年から5年へと縮小されています。
これは瑕疵担保責任の改正における、数少ない買主側が不利となる変更点です。
自らが買主となるときは、権利行使の期間と消滅する仕組みについて、よく理解しておきましょう。
 

瑕疵担保責任によるトラブルやリスクの損害を減らすための対策


以上が、瑕疵担保責任に関する概要です。
不動産投資に取り組むうえで重要になるのは、「瑕疵担保責任に関する損害を、いかにして減らすか?」という点。
先ほども触れたように、瑕疵担保責任によって、売る場合も買う場合も、損害をこうむるケースがあります。
いずれの立場でも、瑕疵担保責任によって損害を受けないよう、きちんと対策しておきましょう。
 

念入りに住宅診断を実施する

瑕疵について不安があれば、やはり住宅診断を厳しくおこなうのが大切です。
住宅診断とは、簡単に言えば「不動産に瑕疵となりうる不具合がないか、専門家からチェックしてもらうこと」
豊富な知識と経験を持つ専門家が、現地に入って診断してくれるので、たいへん安心できます。
また、専門家の観点からチェックしてもらえるので、見つけづらい瑕疵を見過ごしてしまうというケースも避けられるでしょう。
住宅診断には、およそ50,000円から70,000円程度の費用がかかります。
しかし瑕疵の懸念を払しょくできるメリットがあると考えれば、支払う価値はじゅうぶんにあると言えるでしょう。
 

不動産について、物件状況確認書を念入りに作成する

物件状況確認書によって、「不動産の現状を確認しておく」というのも重要です。
不動産の現状を確認しておくことで、たいていの瑕疵担保責任によるトラブルを避けられるでしょう。
特に自分が買主であったときは、物件状況確認書を参照するのは重要です。
そして物件状況確認書と不動産の現状に不一致があった場合、きちんと指摘するようにしましょう。
 

買取を選択する

また、「買取」という形態を選ぶのも、リスク回避のうえでたいへん有効です。
なぜなら買取であれば、「瑕疵担保責任そのものが生じないから」
ここでの買取とは、「不動産者会社に不動産を買ってもらう」という意味です。
不動産会社を介して、見つかった買主へ不動産が売り渡される場合、瑕疵担保責任は生じます。
一方で不動産会社が買主となって「買取」する場合、瑕疵担保責任は生じません。
特に、瑕疵担保責任の適用が懸念されるような不動産を売却するとき、買取は有力な選択肢となりえるでしょう。
ただし不動産会社に買取してもらう場合、基本的には買取額が低くなってしまうので、このデメリットには注意しましょう。
 

瑕疵保険へ加入する

瑕疵保険への加入についても、検討する余地があります。
瑕疵保険とは、名前のとおり「瑕疵担保責任が生じた場合、それに関する支払いを肩代わりしてくれる」というもの。
ただし、瑕疵保険が適用される範囲は、商品によって異なります。
その保険では、”何を瑕疵として認めていて、具体的に何が保障内容なのか”、確認しておきましょう。
また、瑕疵保険に加入するためには、先ほど触れた住宅診断を済ませておくことも必要です。
 

特約を結ばない

「特約を結ばない」という方法も考えられます。
実は「売主は”一切の瑕疵担保責任を負わない”」という特約を、契約時に盛り込むことが可能です。
しかし、買主である自分からしてみれば、瑕疵担保責任を負ってもらえないのはデメリットでしかありません。
仮に売主が特約を求めてきたとしても、応じないようにしましょう。
逆に自分が買主の場合は、別な条件を提示するとともに特約を結ぶ、という方法も考えられるでしょう。
 

不動産投資における瑕疵担保責任まとめ


不動産投資における瑕疵担保責任は、たいへん重要な概念です。
不動産投資に取り組むのであれば、かならずおさえておかなければいけません。
瑕疵担保責任を軽視していると、何かしらの名目で莫大な請求がかけられる可能性もあります。
 
また瑕疵担保責任は、2020年4月に大幅な改正を加えられたうえで、すでに適用されています。
基本的にこの改正は、売主へ優位性を高めるものでした。
自分が売主として取引する場合、よりいっそう瑕疵担保責任のリスクについて警戒しなければいけません。
上記したように、さまざまな形で対策を取る必要があるでしょう。
逆に買主として取引するなら、瑕疵担保責任は強力な後ろ盾となります。
いずれにせよ、現行の瑕疵担保責任がどのようなものか、深く理解しておかなければいけません。
取引の際は瑕疵担保責任について、ぜひ本記事を参考としてください。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

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