株主優待がもらえる!?REIT購入で得られる投資主優待について

公開日2020/07/06
更新日2022/12/23

REITと投資主優待制度

悩む人
REITの利点として知られているのが、少額からでも気軽に不動産投資ができることです。
 
しかしながら、REITのメリットはこれだけではありません。日本企業の株主になれば株主優待がもらえるように、REITを購入することで「投資主優待」と呼ばれる特別な特典を得られます。
 
すべてのREITではありませんが、近年宿泊券などの優待制度を設ける企業は増えてきており、個人投資家にとってのメリットが拡大しています。

投資主優待とは?

不動産投資イメージ
投資主優待とは、株式投資における株主優待のようなものです。
 
日本で最初に投資主優待制度を設けたのは、2009年10月13日に投資主優待制度を導入することを発表したジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人でした。
 
現在、ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人は2012年4月1日に日本ホテルファンド投資法人と合併し、ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)となっています。
 
2020年6月現在、64本あるJ-REITのうち、9本のREITから投資主優待がもらえます。
 
ちなみに、投資主優待制度はJ-REITのみにある特典です。
 
海外REITにはこうした優待制度は存在せず、株主優待同様に企業の義務ではありません。
 
投資をしたからといって必ずしも還元されるわけではなく、企業側から廃止することも可能なのです。
 
実際に、星野リゾート・リート法人は2016年9月に投資主優待制度を廃止しています。
 
REITの収益は、基本的に90%以上を受益者に還元することになっており、直接投資法人から投資主に配布しているものではありません。
 
REITの投資主優待は、投資先となる不動産関連のものに限られるなど、株主優待に比べると限定的です。
 
しかしながら、宿泊券などの利用価値の高いものが多く、投資主としての投資冥利を実感できるのが大きな魅力となっています。

投資主優待でもらえるものとは?

投資主優待は、投資主であれば優待が受けられる場合と、必要な口数を保有しないともらえないケースが存在します。
 
基本的には「権利確定日に保有しているかどうか」が基準となるため、権利確定日以降に売却しても優待の対象になることがあります。
 
投資主優待では、投資している不動産経由で、宿泊施設の割引券や遊興施設の利用券などを提供するのが一般的です。
 
最近は株主優待同様に、各投資法人が知名度向上のために投資主優待を導入している傾向があります。
 
REITの種類によっては、優待を受け取るために必要な口数が異なります。
 
それぞれの投資主優待制度ついて、確認していきましょう。

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主な投資主優待紹介

ネットワーク

投資主優待紹介①ジャパンホテルリート法人(8985)

ジャパンホテルリート法人は、ジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ株式会社が運用するJ-REIT。
 
中長期的な視点から選び抜かれた、ホテル特化型のREITです。
 
シンガポール系ファンド会社SC CAPITAL PARTNERSをメインスポンサーとして、サブスポンサーに共立メンテナンス・オリックスが出資しています。
 
2012年に、ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人と日本ホテルファンド投資法人が合併して誕生した投資法人で、ホテルREITとしては最長の運用期間になっています。
 
こちらはJ-REITには珍しい、年1回決算のREIT銘柄です。
 
6月の基準日を基準とし、10口以上保有する投資主に以下の2種類の優待が送付されます。
 
・ホテル宿泊割引券(宿泊料金のベストレートから10%割引)5枚
・レストラン割引券(10%割引)5枚
 
ホテル宿泊割引券は、東京ディズニーランドに近いオリエンタルホテル東京ベイなどで利用可能なほか、ヒルトン東京お台場やイビス東京新宿などの都心部のホテルでも活用できます。
 
2019年6月権利日の投資主優待については、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛要請によって3ヶ月の期間延長が発表されています。
 

投資主優待紹介②大和ハウスリート投資法人(8984)

大和ハウスリート投資法人は、大和ハウス・アセットマネジメント株式会社が運用するJ-REITです。
 
物流施設・居住施設・商業施設およびホテルの4つの中核資産に投資する総合型REITで、首都圏だけでなく、中部圏・近畿圏の三大都市圏が主な投資先です。
 
大和ハウスグループをスポンサーにもち、大和ハウスグループの開発物件を中心に取得しているため、管理・運営の面でもコスト削減になっており、安定的な財務運営をウリとしています。
 
地球温暖化防止や水資源保護など、ESGへの配慮に取り組んでいるREITでもあります。
 
2月・8月を基準日に年2回の投資主優待が受け取れます。
 
ダイワロイヤルホテルズは、1人7,620円(1室2名以上の利用)の特別価格で利用することが可能です。
 
年末年始など割引適用が除外される日もありますが、期間中の回数制限が一切ないのが大きな魅力。
 
1回の投資主優待で半年間利用可能なので、1口以上の口数を保有し続ける限り、年中特別価格を利用することができます。
 

投資主優待紹介③インヴィンシブル投資法人(8983)

インヴィンシブル投資法人は、コンソナント・インベストメント・マネジメント株式会社が運用するJ-REITです。
 
首都圏のホテルを中心に投資を行う、ホテル系J-REIT最大手の法人です。
 
安定した収益確保を図るため、首都圏だけでなく国内の政令指定都市などへの投資をしています。
 
国内物件は、ホテルやオフィス、商業施設など多岐に渡ります。
 
また、サブアセットとして海外先進国のホテル投資も進めています。
 
ソフトバンクグループの子会社である、Fortress Investment Group LLCがメインスポンサーです。
 
投資主優待は、6月と12月の権利日を基準としています。
 
年2回、1口以上の保有者が受け取れるのは、系列ホテルであるシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルやマイステイズホテルグループのホテルの宿泊が10%割引となる優待券です。
 
以前は10口以上の保有が必要でしたが、2020年6月から1口投資主でも優待がもらえるように優待拡充されています。
 
また、2019年の12月分の投資主優待については、期限が2020年9月31日までのところ、2020年12月31日まで期限延長されています。
 

投資主優待紹介④タカラレーベン不動産投資法人(3492)

タカラレーベン不動産投資法人は、タカラPAG不動産投資顧問株式会社が運用するJ-REITです。
 
マンションデベロッパーとして有名なタカラレーベンがメインスポンサーとなっています。
 
タカラレーベンの他、アジア最大級の独立系オルタナティブ投資運用会社であるPAG、ビジネスホテルやリゾートホテルの管理運営を主な事業内容とする共立メンテナンス、家電量販店の国内最大手であるヤマダ電機などがスポンサーになっているのが特徴です。
 
複合型のREITですが、約8割をオフィスが占めています。
 
2月・8月の権利日を基準に、投資主優待が受け取れます。
 
10口以上の保有で、全国のヤマダ電機で活用できる「お買い物優待券」合計2,500円相当(500円相当×5枚)が送付されます。
 
この優待は投資主本人以外利用できませんが、1000円毎に1枚利用することができ、残金はヤマダ電機のポイントで支払うことが可能です。
 

投資主優待紹介⑤大江戸温泉リート投資法人(3472)

大江戸温泉リート投資法人は、大江戸温泉アセットマネジメント株式会社が運用するJ-REITです。
 
2016年に上場し、主に大江戸温泉物語などの宿泊施設を中心に投資しています。
 
大江戸温泉物語グループをスポンサーとし、運営基盤の長期的な確保による相互成長を目指しています。
 
投資主優待は年2回、5月・11月の権利日が基準となっています。
 
5口保有者に1,000円相当、10口保有者には2,000円相当の、大江戸温泉グループが運営する施設の宿泊割引券をもらうことができます。
 
一部利用できない使用除外日が設けられてはいますが、投資主以外に家族や友人・知人など誰でも利用できます。
 
その上、他の割引券と併用して使うことができるなど、汎用性が高いのが魅力です。
 
最近では、新型コロナウイルスの影響を受け、2019年5月権利の優待割引券の期限の延長が発表されました。
 
2020年8月末までだったものが2020年11月末までの期限となっています。
 
そういった面でも、使い勝手の良い投資主優待として注目されています。
 

投資主優待紹介⑥ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人(3278)

ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人は、ケネディクス不動産投資顧問株式会社が運用するREITです。
 
2017年にケネディクス・レジデンシャル投資法人とジャパン・シニアリビング投資法人が合併してできた投資法人で、居住用施設やヘルスケア施設、ホテルなどの宿泊施設に投資をしています。
 
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人は、1月と7月の年2回、投資主優待があり、株式会社ケア21やSOMPOケア等、同投資法人が投資する施設の無料施設見学などができます。
 
株式会社エヌエムライフが運営するジョイステージ八王子ほか、一部の老人ホームに対しては入居一時金割引などの特典もあります。
 

投資主優待紹介⑦日本ヘルスケア投資法人(3308)

日本ヘルスケア投資法人は、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントが運用するJ-REITです。
 
スポンサーは大和証券グループ本社で、アドバイザーとしてAIPヘルスケアジャパン合同会社をむかえています。
 
社会インフラでもあるヘルスケア施設への投資に特化したREITで、各ヘルスケア施設の運営事業者に長期での賃貸借契約を締結しているのが特徴。
 
キャッシュフローも安定的といえるでしょう。
 
投資主優待は、10月の基準日に投資主名簿に記載がある投資主に付与されます。
 
優待内容は多岐に渡り、チャーム・ケア・コーポレーションが運営する全施設の入居一時金の割引券などがあります。
 
SOMPOケアネクストの有料老人ホームは、日帰り(昼食付き)施設見学が無料で行えるほか、毎月の家賃相当額の3%が終身割引となります。
 
ちなみに、これらの優待は、配偶者や二親等までの親族であれば利用可能です。
 
老人ホームだけでなく、ニチイ学館が運営するCOCO塾の入会金無料や受講料割引券などもあり、現役世代でも使える優待が受けられるのも魅力です。
 

投資主優待紹介⑧ヘルスケア&メディカル投資法人(3455)

ヘルスケア&メディカル投資法人は、2015年3月に上場を果たしたJ-REIT。
 
シップヘルスケアホールディングス株式会社•NECキャピタルソリューション株式会社•株式会社三井住友銀行がスポンサーとなっています。
 
高齢社会の進展によって必要とされる高齢者向け施設や住宅、医療関連施設等のヘルスケア施設へ継続的に投資し、長期安定的に保有することを目指すREITです。
 
1月と10月の年2回、優待が受け取れます。
 
内容は多岐にわたっており、介護に関する無料相談や無料体験入居・無料昼食付見学ができます。
 
投資主以外にも配偶者や2親等までの親族は対象範囲内なので、両親などの施設検討にも活用できる優待が魅力です。
 
さらに、運営施設については、入居一時金の割引や月額利用料の割引、前払金プランの割引や敷金の割引を受けることができます。
 

投資主優待紹介⑨投資法人みらい(3476)

投資法人みらいは、2016年12月に上場を果たしたJ-REITです。
 
三井物産グループと独立系アセットマネジメント会社であるイデラキャピタルをスポンサーとする、総合型REITとなっています。
 
投資対象としては、オフィスや商業施設、ホテルの他、六甲アイランドDCや東京衛星学園専門学校といった教育施設なども含まれています。
 
オフィスは、品川シーサイドパークタワーや新宿イーストサイドスクエアといった、都心を中心としたオフィスが中心です。
 
投資法人みらいの投資主優待は、1口で1枚付与される忍者タウン・金魚ミュージアムの入場料が500円になる割引券です。
 
4月と10月の年2回、優待を受けることができます。

投資主優待の制度まとめ

通帳を見ながらガッツポーズをするスーツの男性
投資法人は、基本的に利益部分を90%以上分配金として拠出することが義務付けられています。
 
その上で、分配金+投資主優待がもらえるとあって、投資主優待を実施する投資法人は株主優待同様に人気となっています。
 
しかしながら、投資主優待はJ-REIT特有のものであり、海外では一般的ではありません。
 
また、投資法人の義務でもないので、予告もなく現行の制度が改悪されたり、廃止されることも起こり得ます。
 
そうしたリスクを考慮した上で、お得な特典を受けられるのが投資主優待という制度です。
 
「優待を実施できる体力がある投資先であるか」は、投資先を選ぶポイントの1つにもなるでしょう。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

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