不動産売却における囲い込みとは?その仕組みや防ぐ方法を徹底解説
投稿日2021/10/26

不動産の売却活動において、仲介会社だけが物件情報を独占し、売主・買主双方から仲介手数料を得ようとする“囲い込み”は深刻な問題です。特に両手仲介を成立させやすくするために、他社への情報公開を意図的に制限するケースが多いといわれています。実際に囲い込みが行われることで、売却期間が長引くだけでなく、売主が不利な条件を飲まされてしまうリスクが高まります。
囲い込みは不動産取引の透明性を損ない、健全な不動産市場の発展を阻害する要因とされています。また、買主の立場からも、物件選択の幅が狭められたり、公正な価格交渉が難しくなったりするなどのデメリットが生じやすい行為です。こうした業界慣習を是正するため、法的規制の強化が進められており、2025年以降さらに厳格化される見込みです。
本記事では、不動産売却における囲い込みの仕組みや背景から、実際に行われる手口、そしてこれから施行される規制内容までを幅広く解説します。売主・買主双方にとって重要なチェックポイントや具体的な対策法も紹介しますので、安心かつ有利な不動産取引を実現するために、ぜひ最後までご覧ください。
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囲い込みの基本概念と背景
まずは囲い込みの定義や、その背景にある不動産業界特有の構造について押さえておきましょう。
不動産業者による「囲い込み」とは?
不動産会社が囲い込みを行う第一の目的は、物件の売主と買主の両方から仲介手数料を得る“両手仲介”にあります。両手仲介は不動産会社にとって収益性が高いため、他社への物件情報の公開を制限し、自社だけで買主を見つけようとするのです。この行為が常態化すると、本来多くの買い手候補から公平に選ばれるはずの物件が、狭い情報網の中に閉じ込められてしまいます。
結果として、売主は提示された条件で早期成約を迫られるなど、不利な立場に置かれる可能性があります。一方、買主側も多くの物件選択肢を見落としてしまうため、公平な価格交渉が難しくなるのが実態です。
囲い込みが起こる理由
囲い込みが起こる最大の理由は、不動産会社が両手仲介の仲介手数料を最大の収益源と見なしている点にあります。片手仲介の場合、仲介手数料は売主または買主のいずれか一方からしか得られませんが、両手仲介なら双方から受け取れるため、収益性が高いのです。
不動産取引は、不動産会社の実績や企業規模によって顧客が集まりやすいケースもあるため、市場原理において競合他社と物件情報を共有しないインセンティブが働きやすいという背景もあります。このような構造的な要因が、囲い込みの温床を生み出しているといえます。
両手仲介と片手仲介の違い

両手仲介とは、不動産会社が売主と買主の双方を担当し、二重に仲介手数料を得る形態です。メリットとしては、一社で仲介が完結するため情報共有がスムーズになりやすい一方、囲い込みの温床となるリスクがあります。
片手仲介の場合は、物件の売り手か買い手のどちらか一方のみを担当します。売主としては、多くの買い手候補を得やすいというポイントもあり、囲い込みリスクを低減しやすいとされています。そのため、より透明性を求めるなら、片手仲介重視の不動産会社を選ぶことも検討材料となるでしょう。
2025年から厳格化された囲い込み規制とは
不動産取引の透明性を高めるため、法制度の改正によって囲い込みへの規制が強化される方向に進んでいます。
これまで囲い込みに対する直接的な罰則は限られていましたが、ブローカー側が意図的に不正行為を行っている実態が多くの消費者から問題視されてきました。そこで、法改正によりレインズへの積極的な登録義務や取引状況の更新義務が強化され、買主・売主が適切に情報を得られるようになる仕組みが整いつつあります。
法改正の背景と目的
本法改正の背景には、長年にわたり続いてきた不透明な商慣習を改善し、不動産流通の公共性を高めるという狙いがあります。囲い込みによる売主・買主双方の被害報告が相次いだことが、法規制強化を後押ししました。
目的としては、売主が適切な価格で早期に買主を見つけられ、買主が十分な物件選択肢を確保できる市場を作ることにあります。こうした透明性の向上は、不動産取引全体の信用力アップにもつながると期待されています。
レインズ登録の義務強化
法改正の要点としては、媒介契約を結んだ際のレインズ登録義務が徹底され、更新情報の反映も義務付けられることが挙げられます。改正後は、売却の進捗やステータス変更があった際には速やかに登録内容をアップデートしないと違反となる見通しです。
これにより、物件が実際には売り出し中であるにもかかわらず“商談中”や“契約済み”と偽り、他社や買主候補の参入を妨げる手口が難しくなるでしょう。売主としてもレインズで物件のステータスを確認しやすくなるため、より公平な取引の実現につながるとみられています。
違反時に科される罰則の内容
改正後は、レインズへの登録義務違反や虚偽のステータス操作が発覚した場合、監督官庁からの厳しい指導や業務停止処分、さらには罰金などのペナルティが科される可能性があります。これまでは罰則が曖昧だったため囲い込みが横行していましたが、法改正により一定の抑止力が期待できます。
ただし、実効性を確保するためには、監督機関の監視体制強化や消費者の通報意識向上なども欠かせません。不動産業者だけでなく、市場全体が協力して健全な取引を推進することが求められています。
囲い込みによる売主側のデメリット
囲い込みの被害を最も直接的に受けるのは売主です。
囲い込みが行われると、本来より多くの買主に情報を公開するはずが、仲介会社の都合で制限されることになります。売却活動に支障が出る具体的なデメリットを確認しましょう。
売却期間の長期化リスク
囲い込みによって物件情報が他社に渡らなければ、買主候補が減り、成約までの時間が延びやすいのは明らかです。特に不動産市況が動向的に下落傾向の場合、長期化するほど売却条件は悪化しがちです。
売主は、予定していた資金計画が狂い、次の住まいへの引越しやローン返済計画にも影響が出る可能性があります。実際、売りたい時期に売り抜けられないまま、価格下落が進んで大きな損失を被る事例も少なくありません。
価格下落や値下げ交渉の発生
売却期間が長引けば、売主は早期に売却したい気持ちから妥協しやすくなり、その結果として値下げ交渉に応じる可能性が高くなります。実際には他の買主もいるにもかかわらず、囲い込みによって需要が乏しいと思い込まされるケースは珍しくありません。
結果として、市場価格よりも安い金額で物件が売れてしまい、売主が損をすることになります。景気の変動リスクも含めて考慮すると、囲い込みは売主にとって深刻な影響をもたらす要因の一つといえるでしょう。
囲い込みによる買主側のデメリット
囲い込みの影響は売主にとどまらず、物件を探している買主にも大きな不利益を与えます。
物件情報が制限されることで、市場には実質的に流通していない物件が存在することになります。買主はその事実を知る術がないため、本来検討できたはずの選択肢を逃してしまう可能性が高まるのです。また、買主が気づかないうちに不利な条件で契約させられる事例もあるなど、公平性が損なわれる問題点が存在します。
こうした囲い込みの弊害は、買主が慎重に情報を収集し、複数の不動産会社にアプローチすることである程度避けることができますが、十分な知識や時間がない場合には対策が難しいといわれています。
検討できる物件が限られてしまう
囲い込みによって買主が実際に目にする物件情報が限定されると、理想に近い物件を見逃すリスクが高まります。一社から強く勧められた物件のみを検討していては、比較検討の幅が狭く、より良い選択肢を逃してしまうかもしれません。
特に人気エリアや売りやすい物件ほど、仲介会社は両手仲介で利益を得ようと囲い込む傾向があります。これは買主の視点から見ると、良物件ほど情報が閉ざされやすいという逆説的な状況を生み出します。
不公正な条件で契約させられる可能性
囲い込みが行われると、買主は交渉条件について十分な情報を得られないまま契約を進める恐れがあります。市場価格の相場や他物件の比較がしにくいため、過度に高い価格で購入してしまうリスクも否定できません。
また、契約内容に不利な特約が含まれていても、他に選択肢がないと感じてしまうことで妥協してしまうケースもあります。こうした不公正な状況を回避するには、複数の不動産会社や専門家にチェックしてもらうなどの対策が必要です。
囲い込みの具体的な手口・事例
囲い込みが現場でどのように行われているのか、その典型的な手法を把握しておきましょう。
囲い込みには様々な手口が存在し、不動産会社が意図的に物件情報を隠匿したり、ステータスを偽装したりするケースが挙げられます。一般消費者にはその実態がわかりにくく、気づいたときにはすでに不利な状況になっている場合も少なくありません。
こうした手口を理解することで、売主や買主が不審に思うタイミングを見極めやすくなります。以下では代表的な事例を取り上げますので、疑わしい兆候を感じたら早めに対処することが肝心です。
レインズ未登録やステータス操作
媒介契約を結んでいるにもかかわらず、レインズへの登録を意図的に遅らせたり、まったく行わなかったりする手口は典型的です。これにより、他社や一般の買主が物件の存在に気づけないよう工作します。
また、レインズのステータスを“商談中”や“契約済み”に偽装することで、他社からの問い合わせを排除する手段も用いられます。こうした行為は売主と買主双方に大きな損害を与えかねない重大な問題です。
“商談中”や“契約済み”の虚偽表示
本来はまだ契約が成立していないにもかかわらず、物件ステータスを“商談中”や“契約済み”と見せかけて他社の問い合わせを拒む手法です。外部から見ると取引が進んでいるように見えるため、売主が気づくまでの間に囲い込みが進行してしまいます。
購入を検討している買主も、“情報が開示されていないが実は募集中の物件”を見つけにくくなるのが大きな問題です。単に表面上のステータス表示を信じるだけでは不十分であることを物語っています。
他社からの問い合わせ制限
レインズ上では物件情報が公開されていても、実際に他社から内覧の申込みや問い合わせがあった際に、わざと応答を遅らせたり断ったりする行為が見受けられます。これも隠れた囲い込みの手段として知られています。
売主には「問い合わせがほとんど来ていない」と報告する一方で、実際には買主候補を意図的にブロックしているケースもあります。売主としては、不動産会社から得られる情報だけで判断すると、正確な市場状況を把握できなくなる恐れがあるのです。
売主が気づきづらい囲い込みの実態
不動産会社が囲い込みを行っているかどうかは、外部からは非常に見えにくいのが現実です。レインズには登録されていると言われても、ステータス操作などを巧妙に行われれば、売主自身での確認が難しくなる場合もあります。
さらに、売主側が囲い込みを知っても、既に売却の遅れや価格下落などのダメージが発生していることも多く、後から取り返すのは容易ではありません。こうした理由から、早期のチェックが肝要となります。
囲い込みを見抜く方法とチェックポイント
被害に遭わないためには、売主が自ら動いて物件の流通状況を確認することが欠かせません。
不動産会社のアクションを逐一把握し、客観的なデータをもとに判断することで、囲い込みの防止や早期発見が可能になります。具体的には、レインズ登録の確認や問い合わせ履歴のチェックなど、複数の視点から対応状況を把握することが重要です。
また、媒介契約書の内容や種類によって囲い込みのリスクが変わってくるため、契約段階での注意も欠かせません。よりオープンな取引を望むなら、一般媒介契約を検討したり、複数の不動産会社へ相談して比較するなどの対応が有効です。
レインズ登録証明を確認する
実際にレインズへ登録されているかどうかは、売主自身が確認できるようになっています。媒介契約を結ぶ際や、契約後にレインズの登録証明書を提示してもらうとよいでしょう。
登録証明書だけでなく、物件の詳細情報やステータスも隅々までチェックすることが大切です。もし不明点や不審な点があれば、不動産会社に直接問い合わせて説明を求めるようにしましょう。
問い合わせ履歴や内覧数の確認
通常、人気物件であれば一定の問い合わせ件数や内覧の希望が発生しますが、それが異常に少ない場合は囲い込みを疑う材料になります。売主はこまめに問い合わせ履歴や内覧日の調整状況を確認し、不自然な点がないかチェックしておきましょう。
問い合わせ数や内覧の希望が極端に低いと感じたら、他社に同じ物件の査定を依頼して現状を確認するなど、複数の角度から検証する手段も効果的です。
媒介契約書の種類と条件を再確認する
媒介契約書には一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があり、それぞれ他社への依頼やレインズ登録の条件が異なります。専任契約や専属専任契約は囲い込みリスクが高まる可能性があるため、契約前に十分な説明を受けましょう。
特に、レインズへの登録義務がある専任媒介や専属専任媒介でも、不動産会社によっては登録が遅れたり情報更新が不十分なケースもあります。契約書に記載された情報を定期的に見直すことで、囲い込みのリスクを低減できます。
囲い込みを防ぐための売主向け対策
売主が主体的に動くことで、囲い込みのリスクを最小限に抑えることができます。
売却契約を結ぶ前から、複数の不動産会社に相見積もりを依頼し、査定額や仲介戦略を比較検討することは大切です。また、媒介契約の種類や担当者の実績を確認し、信頼できる会社かどうかを見極める必要があります。
メディアや口コミなどで得られる第三者の評判も重要な情報となるため、時間をかけて把握しておくとよいでしょう。以下では、具体的な対策ポイントを紹介します。
一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の特徴
一般媒介は自由度が高く、複数の不動産会社に同時に売却依頼できるため、囲い込みリスクを低減しやすい契約形態です。一方、専任媒介や専属専任媒介では、レインズへの登録が義務づけられるものの、他社への依頼が制限される点に留意が必要です。
囲い込みを防ぎたい売主は、まずこれらの契約形態の違いを正確に理解し、自身の売却ニーズに合った形を選択することが重要となります。
複数の不動産会社からセカンドオピニオンを取る
一社の査定や見解だけで契約を決めてしまうと、囲い込みリスクを未然に察知できないまま契約を結ぶ危険性があります。複数社に見積もりを依頼することで、売却価格や販売戦略の違いを比較でき、囲い込みに関わる不審点にも気づきやすくなるでしょう。
特に気になる条件や費用項目があれば、セカンドオピニオンとして他の不動産会社に相談することが効果的です。複数の視点を得ることで、契約相手をより適切に選べるようになります。
信頼できる不動産会社の選び方
担当者の対応や説明が丁寧であるか、査定根拠や販売計画を具体的に提示してくれるかなど、コミュニケーションの質は判断基準として大切です。また、過去の実績や口コミ評価を確認することで、囲い込みを行っていないかを間接的に探ることもできます。
法改正やレインズ登録のルールについても積極的に説明し、透明性の高い取引を提案してくれる会社を選ぶと良いでしょう。売主に寄り添って適切なアドバイスをくれるかどうかも、信頼度を見極める一つのポイントになります。
囲い込みが疑われる場合の対処法
囲い込みが疑われる場合、正しい手順を踏めば被害を食い止められます。
媒介契約そのものを解除する、または別の契約形態に変更することで、囲い込みを解消できる可能性があります。
契約解除や媒介契約の見直し
囲い込みの疑いが強い場合、まずは当該不動産会社に説明を求め、その対応次第で契約解除を検討することが有効です。法律上も、信義則に反する行為が確認された際には解除を主張できる可能性があります。
また、専任媒介や専属専任媒介契約を結んでいる場合は、一般媒介契約へ切り替える方法も考えられます。複数社に依頼できるようにすることで、囲い込みの実行が難しくなります。
行政機関や不動産流通機構への通報
明らかな囲い込み行為が見られた場合には、監督官庁である国土交通省や各地方自治体の不動産行政担当部署、または不動産流通機構(レインズ運営団体)に情報を伝えるのが有効です。これらの機関は悪質な業者を取り締まる権限を持っています。
ただし、通報する際には客観的な証拠や状況説明が求められるため、メールや電話の記録、契約内容などを整理しておくとスムーズに問題解決へつなげられます。
まとめ
不動産取引でトラブルを避け、最大限の利益や満足度を得るためには、囲い込みのリスクを理解し、対策を講じることが欠かせません。
売主・買主それぞれが情報を積極的に収集し、複数の不動産会社や専門家の意見を取り入れることで、囲い込みを未然に防げる可能性が高まります。2025年からは規制強化も予定されており、囲い込み行為に対して厳しい処分が下される見通しです。
それでも、業者による巧妙な手口が完全になくなるわけではないため、消費者が賢く行動し、不審に感じたら早めに確認や相談を行う姿勢が重要となるでしょう。
\ FGHにおまかせ /
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / インテリアコーディネーター
株式会社FGH マーケティング部
新卒以来、不動産業界・建設業界に一貫して従事し、投資用ワンルームマンションの売買・管理・活用に関する豊富な実務経験を積む。
専門知識を活かしつつ、初心者の方にもわかりやすく情報を届けることをモットーに、コラム執筆や監修にも携る。
プライベートでは2児の母。家庭でも「お金の大切さ」を子どもと一緒に学びながら、楽しく金融教育に取り組んでいる。
このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者
最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。
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