不動産投資における”団信”とは?概要やメリットとデメリットを解説
【目次】
不動産投資をするなら考えておきたい”団信”
不動産投資においては、大きなリターンを得られる可能性がある一方、さまざまなリスクも存在します。
特に住宅ローンは、大きな危険性を持っているものです。
住宅ローンによって、きわめて厳しい状況へ追い込まれることも、決して少なくありません。
住宅ローンのリスクを解決するためには、「団信」というものが活用されます。
とはいえ不動産投資についてよく知らない人は、「団信とは何か?」「どのように役立てられるのか?」などの疑問を持っていることでしょう。
本記事では、不動産投資における団信の概要や、メリットとデメリットについて解説します。
団信は、不動産投資においてかなり重要度が高いキーワードとなるので、かならず理解しておきましょう。
不動産投資における団信とは何か?
団信とは、「団体信用生命保険」のことを指します。
団信は、「住宅ローンを組んでいる人の病気や死亡などで、ローン返済が困難になった場合」を想定した保険です。
もしこのようなことが起こった場合、団信が住宅ローンの支払いを肩代わりしてくれます。
万が一のことがあっても、住宅ローンの支払いによる問題を解決できる、たいへん重要な保険です。
金融機関側にも、「住宅ローンを回収できないケースが避けられる」ということから好まれて利用されており、不動産の世界ではとてもポピュラーな存在。
団信にはさまざまな種類があり、
・一般的な団信
・三大疾病保証団信
・八大疾病保証団信
などが存在します。
加入する団体に応じて、保障されるケースや保険料が変わります。
いずれを選んでも「住宅ローンの残債が重くのしかかる」という事態は、たいてい回避できる仕組みとなっています。
不動産投資をするなら、万が一のことを考えて、団信には積極的に加入しておきたいところです。
保険料はどのくらい?
団信の保険料は、「金利の0.1%~0.3%程度」で、これを「上乗せ金利」と呼びます。
後述するように、団信の保険料は、上乗せ金利という表現からもわかるように、ローン返済に組み込まれるものです。
よって、団信へ加入している不動産にまつわるトータルな月額返済額は、「金×101.1~101.3%」で求めることが可能です。
上乗せ金利の割合については、加入する団信によって変わります。
将来的にどれだけの保険料が必要となるかは、申し込み時に担当者へ確認しておきましょう。
団信は二重に加入できるか?
不動産投資をするのであれば、団信には勧誘しておきたいところ。
複数の不動産に投資している場合、「団信は二重で加入できるか?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
結論から言えば、二重で加入することは可能です。
団信は、「不動産単位で締結される保険」です。
したがって、ある不動産について団信へ加入している場合でも、別な不動産において新たな団信を利用することは、当然ながら問題ありません。
また、(必要かどうかは別にして)ひとつの不動産について、二重の団信へ加入することも可能です。
具体的には「住居としている不動産に、住宅ローンで団信へ加入していたとしても、投資用のローンで団信を追加する」といったこともできます。
加入は強制か任意か?
団信への加入は強制ではなく、あくまでも任意の加入です。
ただし、金融機関によっては、「団信へ加入しなけれローンを提供しない」というケースもあります。
先ほども触れましたが、基本的に金融機関は、「できる限り団信に加入してもらいたい」と考えています。
なぜなら団信があれば、最悪の場合、団信によって貸したお金を回収できうるからです。
団信への加入が必要か否かは、担当者に確認しておきましょう。
中には団信の保険料を肩代わりしてくれるケースもあります。
この場合は保険料を負担せず、保険だけが有効となり、リターンだけを得られます。
生命保険と団信の違いとは
団信(団体信用”生命保険”)と通常の生命保険は、よく混同されるものです。
しかし両者には、さまざまな違いが存在します。
ここからは、両者の違いについて、詳しく解説します。
期間が違う
まず、生命保険と団信では、
・保険料の支払いが生じる期間
・保険(保証)がはたらいている期間
が異なります。
保険料の支払いが生じる期間
生命保険において、保険料の支払いは、「保険がはたらいている期間」とほとんど同一です。
一方で団信の場合、支払いが生じる期間は、「完済時年齢」によって決まります。
団信へ加入する場合、保険会社は「いつまでに完済するか」という時期を決定する仕組みとなっています。
よって保険料が支払いが生じる期間は、「完済時年齢をむかえるまで」と定義されます。
保険がはたらいている期間について
生命保険の場合、「保険がはたらいている期間」は、10年・20年などの一定期間や、一生涯においてなど、商品によってさまざまな形で定められています。
要するに、いつまで保険をはたらかせるかは、商品選択時にある程度決められるというわけです。
団信の場合は、「完済時年齢をむかえるまで」が、保険がはたらいている期間となります。
加入する手順が違う
加入方法にも違いがあります。
生命保険の場合は、店舗もしくはWebサイトなどから加入を申し込むことになります。
インターネット回線などを申し込む場合などと、ほとんど同様ですね。
団信の場合、金融機関で加入することになるのが大半です。
団信は、保険会社のみならず金融機関もかかわっているものなので、保険会社単体では扱われていません。
基本的に金融機関でローンを申し込む際、同時に加入するかどうか選択する形です。
支払いの方法が違う
生命保険と団信とでは、支払いの方法も異なります。
生命保険は、通常、「口座振替」か「カード払い」が用いられます。
つまり、携帯電話料金などとほとんど同じような扱いだと言えるでしょう。
団信の場合、保険料はあらかじめ、「ローンの金利」に加算されています。
つまりローンを払いつづけることで、団信の保険料の支払いもおこなわれているというわけです。
不動産投資における団信は、生命保険代わりになる
団信は、生命保険と同じような役割を果たす能力が備わっています。
上記で細かい違いは挙げていましたが、期待される効果については、さほど差異がありません。
ご存知のとおり生命保険は、「主たる生計維持者(家計を支えている人)が亡くなった場合、十分な保険金が支給される」という保険です。
つまり万が一のことがあっても、一定以上の生活を保証するための保険と言えるでしょう。
団信を結んでいると、万が一の自体に、生命保険のようなはたらきを示します。
まず、団信によってローンの支払い義務がなくなったとしましょう。
すると、生前に所有していた不動産は、遺族の資産となるわけです。
つまり不動産を売却することで、遺族はある程度まとまった金額を得られます。
この点が、「団信が生命保険の代わりになる」と呼ばれている理由、もしくは根拠というわけです。
もちろん、「不動産を売却しない」という選択肢もあるでしょう。
不動産が効率的に収益を挙げている場合は、安定した収入源として存在し続けます。
生命保険の保険金は、「全額を分割して、少しずつ受け取る」ものですが、この部分を家賃収入が補っているというわけです。
よって「団信は、生命保険の代わりとなる」と言われています。
現在も多くの不動産投資家が、いざというときのリスクヘッジ的な意味合いで、団信を活用しています。
団信に入るメリットとは?
団信に入ると、さまざまなメリットが存在します。
先ほど解説した、「生命保険の代わりになる」というのも、一つのメリットとして数えられるでしょう。
他にも、以下のような点がメリットとして考えられます。
ローンが返済できないケースを避けられる
団信に加入する最大のメリットは、「ローンが返済できなくなる」という最悪なケースを回避できるところにあります。
つまり「遺族が多額のローンを抱えて、生きていく」といった、苦しいケースを避けられるわけです。
この点ひとつでも、団信へ加入する価値はあると言えるでしょう。
キャッシュフローの健全化
さらに、キャッシュフローが健全化するという点も、メリットとして挙げられるでしょう。
仮に団信でローン返済がなくなったなら、「不動産だけが残り、返済予定はなくなる」という状態になります。
つまり「大きな資産が残り、大きな負債は消えて無くなる」というわけです。
よってキャッシュフローは劇的に改善され、不動産自体の有効性も高まります。
加入が容易
団信は、一般的な生命保険と比較して加入しやすい仕組みになっています。
加入する際、「健康通知」で告知するべき項目が少なくなっており、たいていは審査に落ちません。
「重度のがんを抱えている」、「三大疾患を、最近になって患っている」というような極端なイベントがなければ、特別心配する必要はありません。
団信に入るデメリットとは?
一方で、団信には以下のようなデメリットも。
メリットとデメリットを比較したうえで、加入するか否か判断する必要があります。
ローン金利が高くなる
第一に、「ローン金利が高くなる」というデメリットが挙げられるでしょう。
利用する保険の種別にもよりますが、団信を利用することで、ローンの金利は「0.3~0.7%」程度、追加される仕組みです。
よって借入額が大きければ大きいほど、金銭的負担も膨らんでしまい、「上乗せされた金利だけは支払ったが、(保険がかかっている以外の)具体的なメリットはなかった」というケースも、多々存在します。
大きな借入に対して団信を利用する場合は、金利の上乗せ額がリスクリターンと合致するかどうか、見抜かなければいけません。
ローン金利が高くなるというデメリットについては、しっかりと理解しておく必要があります。
途中解約ができないケースも
また、たいていのケースでは、途中解約が認められていません。
これも団信における重大なデメリットとして考えられています。
先ほど、「団信は生命保険の代わりになる」と解説しました。
しかし団信は、生命保険ほど解約について、柔軟な対応ができるものではありません。
よって生命保険と同じ感覚で加入すると、将来的に後悔する可能性があります。
途中解約を必要とするケースが出てこないか、できる限り見通しておかなければいけません。
仮に途中解約する可能性が濃厚な場合、一般の生命保険のほうがフィットするケースもあります。
相続税の問題がある
さらに、相続税における問題があるというデメリットも、理解しておく必要があるでしょう。
団信に加入していると、相続税の面で不利になるケースがあります。
なぜなら団信が適用されると、相続できる財産が多くなるからです。
仮に団信が適用された場合、不動産という「資産」は残り、ローンという「負債」がなくなります。
相続される財産は、「資産から負債を引いた数値」です。
つまり、団信によって相続される財産のトータルが膨らみ、相続税も増えてしまいます。
ケースバイケースですが、団信でローンが相殺されたとしても、増えた相続税を支払うことのほうが損失が大きいというケースもあります。
よって団信に加入する場合、「相続税の面において、損失が増える可能性はないか?」という点には注意しなければいけません。
特に多数の資産を保有している場合は、このパターンに該当するケースが多くなります。
「とりあえず団信には加入しておけばOKだ」と雑にとらえていると、将来的な場面で後悔するかもしれません。
不動産投資における”団信”まとめ
不動産投資は、大きなリターンが得られる反面、ローンによるリスクも存在します。
不動産投資ローンの支払いがネックとなって、不動産投資からリタイアするケースは少なくありません。
また、多額の残債を抱え、遺族の生活が破綻してしまうというケースも。
こういった「万が一」のケースを想定したのが、「団信」です。
団信があれば、基本的には住宅ローンによる大きなリスクを、高いレベルでカバーできます。
不動産投資に取り組むのであれば、是非とも団信に加入しておきたいところ。
さまざまなリスクがともなう不動産投資ですが、団信を活用すれば、かなり安心して取り組むことが可能です。
もちろん遺族の生活を守ってあげる、といううえでも役立つと言えるでしょう。
このコラムを書いている人
マンション経営ラボ 編集者
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