人口減少が不動産投資に与える影響って?攻略方法を紹介します

公開日2020/08/06
更新日2022/12/23

不動産投資と人口減少

人の流れ
2008年以降、日本の人口は減少の一途をたどっています。
 
「人口減少による不動産投資への影響が心配」「これから不動産投資をしても大丈夫なのか」と不安になる不動産投資家の方も多いことでしょう。
 
そこで今回は、人口減少が不動産投資に与える影響と、人口減少社会における不動産投資の攻略法について、紹介していきます。

日本は人口減少が続く見込み

遊ぶ子供
日本では、人口減少とともに、少子高齢化が進んでいます。
 
総務省が提供している「平成30年度情報通信白書」によると、2050年には日本の総人口が”1億人を下回る”と予想されています。
 
特に深刻なのが、15歳から64歳までの「生産年齢人口」の減少
 
2017年には7,596万人と、総人口に占める割合が60.0%だったのに対して、2040年には5,978万人と、総人口に占める割合が53.9%まで減少すると見込まれています。
 
生産年齢人口とは、”経済的に余裕があり、最も賃貸に対する需要がある人口層”のことで、20年後には1,500万人も減少すると見込まれており、「不動産投資市場にも大きな影響を与えるのでは?」と、懸念されています。
 
実際に、人口減少が不動産投資に与える影響はあるのか、次の章で具体的に解説していきます。

人口減少は不動産投資に直接的な影響を与えるわけではない

模型の家を持つスーツの男性
結論から言うと、人口の減少は不動産投資に大きな影響を与えるわけではありません。
 
その理由は、以下の2点にあります。
 
•すでに空き家は多いが、市場には出回っていない
•家賃は需要と供給で決まるため、供給が減少すると影響は小さくなる
 

すでに空き家は多いが、市場には出回っていない

総務省が行っている「住宅•土地統計調査」によると、空き家率は1993年の時点にすでに9%を超えていたという調査結果があります。
 
つまり、人口が減少する前から、人よりも家の方が多かったと言えます。
 
しかし、家賃や物件売買価格は下がらず、むしろ物件売買価格に関しては右肩上がりで上昇していました。
 
空き家の数の多さが、不動産投資に大きな影響を与えなかった理由としては、”空き家が市場に出回っていない”ことが挙げられます。
 
これは、空き家を賃貸に出したり売却せず、単に放置している人が多いだけとも考えられます。
 
空き家が多い=不動産投資に直接的なダメージを与えるとは限りません。
 

家賃は需要と供給で決まる

家賃は、「入居者」という需要「不動産」という供給で決まります。
 
総人口とともに入居者の需要が減ったとしても、不動産の供給が同じように減少した場合、家賃や入居する人の比率は変わりません。
 
逆に、総人口とともに需要が増えても、不動産の供給が入居者の需要以上に増えると、家賃が下がります。
 
つまり、家賃の下落や入居者率に対し、人口減少が直接的な影響を及ぼすわけではないのです。

不動産投資をすると危険なケース

うなだれる人のイメージ
一方、不動産投資をするにあたって、人口減少による影響を受けると危険なケースもあります。
 
代表的なケースは、下記の2点です。
 
•人口減少のスピードが速い地域で不動産投資をする
•限界集落の不動産を購入する
 

人口減少のスピードが速い地域で不動産投資をする

人口減少のスピードは各自治体によって異なり、かなり速いスピードで人口が減少している市町村もあります。
 
速いスピードで人口が減少している場合、賃貸需要が建物の供給を下回り、家賃が下落してしまう恐れがあります。
 
人口が流出してしまうほどの地域においては、「ここに住みたい」と思わせるような魅力に乏しく、将来的に入居者が集まらないことも考えられるため、このような地域での不動産投資は避けたほうが良いでしょう。
 

限界集落の不動産を購入する

限界集落とは、”人口の50%以上が65歳以上の高齢者”である地域です。
 
「令和元年版高齢社会白書」によると、60歳以上の人の約9割が、持ち家に住んでいるとのこと。
 
そのため、限界集落においては賃貸需要が少なく、不動産投資をするにはリスクが高いと言えるでしょう。
 
また、限界集落の不動産は、建物はもちろん土地の値段も安く、今後買い手が見つからない恐れもあります。
 
限界集落の不動産は、家賃を生み出す資産どころか税金や管理費のみがかさみ、負債にもなりかねないので注意が必要です

人口減少に対する攻略法7選

家を選ぶ女性
人口減少は、確かに不動産投資で不利になることもあります。
 
しかし、しっかりと対策を練ることで、人口減少による影響を最小限に食い止めることができるのです。
 
人口減少社会における不動産投資の攻略法は、下記の7つです。
 
•地域を選択して不動産を購入する
•短期間で投資を回収する
•ライバルの少ない地域にしぼる
•人の移動が多いエリアにしぼる
•土地の価格が高いエリアを避ける
•単身世帯向けの物件に絞る
 

地域を選択して不動産を購入する

人口減少は、各自治体一律に起こるものではなく、「人口が減らない地域」「人口が現状維持の地域」「人口が増えている地域」と、地域によってさまざまです。
 
また、都道府県単位では人口が減少していても、市町村単位では人口が増えているという場合もあります。
 
そのため、「市町村単位で人口が現状維持」または「人口が増えている地域」を選び、不動産投資をしていくことをオススメします。
 

短期間で投資を回収する

もし不動産の購入希望者がいた場合、「すでに利益が出ているのであれば、即時に売却する」という手法を取れば、人口減少により将来的に想定されるリスクを最小限に抑えることができます。
 
この方法は、3~5年程度で売却して投資分を回収するようなイメージとなるので、個人事業主の場合、短期譲渡所得として課税されてしまい、税金面では不利になってしまいます。
 
そのため、短期間で不動産を売却することを考えているのであれば、あらかじめ法人化しておき、税金負担を下げるのも一つの手です。
 

ライバルの少ない地域にしぼる

人口減少は、不動産投資家にとって共通の課題。
 
そのため、不動産投資家は、東京都や埼玉県•神奈川県などの首都圏をはじめとした、人口が多く賃貸需要の高いエリアを中心に不動産投資を行う傾向があります。
 
一方、地方都市での不動産投資については、人口減少による賃貸需要の低下が考えられることから、投資をしている人の数は少ないと言えるでしょう。
 
しかし、ちょっとしたサービスをつけるだけで、家賃をあまり下げることなく満室経営できる可能性があるのが、地方都市での不動産投資。
 
県単位で見ると人口減少率が高くても、実際には人口減少が進んでおらず、むしろ人口が増加している地方都市も存在しているので、ライバルが少ない地域での不動産投資を考えているのであれば、そのようなエリアを狙ってみるのはいかがでしょうか
 

人の移動が多いエリアにしぼる

人の移動が多いエリアとは、大企業や有名大学が近くにあり、転勤•就職•就学が多いエリアのこと。
 
人の移動が少ない地域では賃貸需要も少なく、空室がずっと続くということも少なくありません。
 
一方で、人の移動が多い地域では、それだけ人の移動に比例し多くの賃貸需要が見込めると言えるでしょう。
 
特に、人口が30万人以上の市町村で、なおかつ有名大学や有名企業の近くのエリアがオススメです。
 

土地の価格が高いエリアを避ける

土地の価格が高いエリアでの不動産投資は、人口減少により土地の価格が下落する可能性と、利回りが低くなるというデメリットが存在します。
 
土地の価格は人口と比例しやすく、現在土地の価格が高い地域でも、人口が減少するとともに土地の価格が大幅に下落する可能性もあります。
 
すると、不動産の売却益を期待できなり、最悪の場合、売れずに負債として残ってしまうことも。
 
そのため、土地の価格は現在の価格だけではなく、将来的な価格も予想しておきましょう。
 
また、土地の価格が高いと、利回りは低くなります。
 
土地の価格が高いからといって、家賃も同様に高いとは限らないのです。
 
実際に、一般財団法人日本不動産研究所が提供している「第41回不動産投資家調査」の”標準的ビルの期待利回り”を比較すると、六本木の利回りは3.9%、日本橋の利回りは3.8%など東京都内の利回りは4%前後だったのに対して、秋田市•宇都宮市•大分市の利回りは7.0%でした。
 
つまり、入居者がついていれば、土地の価格が高い都心部に投資するよりも、土地の価格が安い地方都市の方が高い利回りとなるということです。
 
土地の価格が高いエリアを避け、利回りを狙う投資スタイルは、人口減少時でも非常に有効だと言えるでしょう。
 

単身世帯向けの不動産に投資をする

近年の日本は人口こそ減少しているものの、単身世帯数は増加傾向にあるため、単身世帯に絞って不動産投資をすることも、人口減少に対する有効な対策です。
 
国立社会保障•人口問題研究所の2019年の統計である「日本の世帯数の将来推計の資料」によると、単身世帯の世帯数は2015年以降も増加が続く見込みとなっています。
 
2040年の単身世帯の数は19,944世帯と、2015年の18,418世帯よりも8.3%増加すると推測されています。
 
つまり、単身世帯の入居需要は今後も増加していくことが考えられるため、不動産投資においては伸びしろのある選択肢の一つになると言えるでしょう。
 
反対に、夫婦と子から成る世帯は1985年をピークに減少が続いており、2040年の夫婦と子から成る世帯は11,824世帯と、2015年の14,342世帯よりも17.6%減少すると見込まれています。
 
単身世帯向けの中古ワンルームマンションや、単身世帯向けのアパートへの不動産投資は、今後有望な選択肢になる一方で、ファミリー向けのマンションやアパート•中古の戸建投資では入居需要が減少し、厳しい状況になることが考えられます。

不動産投資と人口減少まとめ

人口減少イメージ
今回は、人口減少が不動産投資に与える影響と、人口減少社会における不動産投資攻略法について、解説してきました。
 
ポイントは下記の4つです。
 
•人口減少は急激に進み、2050年には総人口が1億人を割り込む
•人口減少が不動産投資に必ずしも悪い影響を与えるとは限らない
•過疎地や限界集落などへの投資は避けたほうが無難
•地域を絞る、単身世帯に絞るなどの対策が必要
 
人口減少は、不動産投資をする上で考えなければいけないリスクではあるものの、しっかり対策をすればそこまで怖くはありません。
 
それどころか、単身世帯は増えていることから、チャンスだと捉えることも可能なのです。
 
人口減少に対して警戒しすぎず、各地域の人口動態を確認しながら、不動産投資をしていきましょう。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

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