古民家投資は需要アリ?メリット・デメリットを徹底解説!

公開日2020/09/07
更新日2024/01/09

古民家投資を始めよう!

古民家
近年では、インバウンド産業の低迷が進んでいます。
 
このような状況下で古民家投資をする場合、変化していく古民家の需要に対し、投資家はどう戦略を立てればよいのでしょうか?
 
今回は、古民家投資の需要について、古民家投資のメリットとデメリットを交えながら解説します。

古民家の特徴・投資活用方法・需要

昔ながらの街並み
古民家投資とは、”中古物件や空き家を購入してリノベーションをし、投資商品として利益を得る”投資スタイルです。
 

古民家とは「伝統的な建造物の住宅」

一般社団法人全国古民家再生協会によると、古民家とは「昭和25年の建築基準法の制定時にすでに建てられていた伝統的建造物の住宅」だと定義されています。
 
しかし、実際のところ、古民家には明確な定義はありません。
 
国が制定する文化財登録制度においては、50年以上の経過が対象とのこと。
 
したがって、原則としては「50年以上経過した住宅物件を古民家と呼ぶ」と考えてよいでしょう。
 
古民家のなかでも、店舗併設の都市型住宅である町家(町屋)は、通りに沿って均一に軒が建ち並ぶ点が特徴的。
 
たとえば、京都府にある京町家は、一棟貸しの宿泊施設として有名な古民家だといえます。
 
つまり、古民家とは単に築年数が経っているだけの建築物ではなく、日本の歴史や伝統の風情が、建築物の中に残るライフスタイルや考え方から感じられる点に価値があるのです。
 

古民家の投資活用方法は多種多様

古民家には、具体的に次のような投資活用方法があります。
 
•民泊や別荘のような宿泊施設
•カフェやレストランなどの飲食店
•オフィスやコワーキングスペース
•子育てや退職後のセカンドライフの住居
 
最近では、都心ではなかなか見かけることのないような、趣のある古民家が若者や訪日観光客を中心に人気を集めています。
 
民泊サイトを検索してみると、古民家をリノベーションして宿泊施設として活用している物件を数多く見つけられます。
 
また、新型コロナウイルス感染症拡大による三密回避の影響から、地方移住が注目を集めており、地方での新しい住まいとして古民家暮らしを希望する人は少なくありません。
 
地方分散型社会への移行は、コロナ後にも続く、新しいライフスタイルや価値観として位置付けられるでしょう。
 
しかし、古民家投資をすれば簡単に顧客のニーズを得られるというわけではなく、古民家物件の位置する周辺状況や顧客ニーズによって、リノベーション内容や顧客への売り込み方を変えることが必要となります。
 

古民家投資の需要は変化しつつある

これからの古民家投資はインバウンドだけに依存せず、国内需要にも目を向けながら、場所や空間を時代の流れに合わせるなど、ビジネスモデルの柔軟性が求められます。
 
なぜなら、新型コロナウイルス感染症拡大による訪日外国人の減少により、インバウンド需要は急激に減少しているからです。
 
コロナが収束してもすぐに訪日客数が戻る確証のないなか、観光需要が回復する起点を国内に位置づけ、投資戦略や取り組みを進めなければならないのです。
 
そのためには、今までの固定観念を打ち破るような発想の転換が必要。
 
たとえば、従来的にはカフェとして利用してきた古民家の場合、「店内飲食だけではなく、デリバリーも行っている」というだけでは、他の飲食店との差別化ができずに競争から取り残されてしまいます。
 
したがって、「少人数に時間単位だけ貸す」「飲食店としてだけでなくファミリー向けの宿泊施設として貸し出す」など、フレキシブルな戦略が重要なのです。
 
また、不動産物件の活用の方法だけでなく、買い手との強い繋がりも、投資の安定的な収益になります。
 
利便性や顧客量に依存するのではなく、「また利用したい」「他の人にも勧めたい」と思えるような”質”に重きを置いた上で顧客との関係性を構築できなければ、新たな顧客獲得の機会損失につながってしまう恐れもあります。
 
ゆえに、顧客に直接気持ちを伝えたり、イベントをもちかけたりといった、「顧客との縁」を大切にする姿勢が、不動産の付加価値を守るうえで、ますます重要になるでしょう。

古民家投資のメリット・デメリット

和室
古民家の需要対象が変化しつつある今、新しい価値観をもって投資戦略を考える必要があります。
 
古民家投資のメリットとデメリットを把握し、投資計画に活かしましょう。
 

古民家投資のメリット

古民家投資のメリットを知ることで、ムダなコストの削減や入居希望者への適切な物件のアピールにつながります。
 
この章では、古民家投資の代表的なメリットについてみていきましょう。
 

メリット1:相続税対策になる

古民家を相続する際、被相続人の宅地に対して330㎡まで80%税金の減額を受けられる「小規模宅地等の特例」があります。
 
特例は誰でも受けられるわけではなく、「親子二世帯で同居しているか」「被相続人の住居や事業として使用された土地か」などの要件を満たすことが必要です。
 
また、古民家の所有者を親とし、子どもを事業主登録とすると、贈与税や相続税をかけずに家賃収入で得た利益を子どもに譲渡できます。
 
そのほか、築年数の経った木造の古民家を購入する場合は、減価償却期間を短くして経費計上し、所得税や住民税の納税額を抑えることも可能です。
 
税金対策の適用は物件によって細かく変わるため、事前に税理士や不動産業者へ相談するとよいでしょう。
 

メリット2:築年数の経過が資産価値になる

原則として、不動産物件は築年数が経過するにしたがい、資産価値は低下する傾向にあります。
 
しかし、古民家の場合は古さが資産価値になるため、物件によっては年数が経過しても取引価格がほとんど変化しません。
 
ゆえに、古民家には一般的なマンションや一戸建てにはない希少価値があるのです。
 
日本の人口減が進む中、不動産業界においても空き家の問題は深刻化しつつあります。
 
これから先、何十年と入居者の絶えない人気物件にするためには、他の競合物件との差別化が急務なのです。
 
その点、古民家は一般的な中古物件との違いが入居者に伝わりやすく、築年数が経っても古さに資産価値を見出せるため、賃貸だけでなく物件の売却時においても有利に交渉を進められる出口戦略が期待できます。
 

メリット3:固定資産税を抑えられる

固定資産税は、建物の築年数が経過しているほど安くなります。
 
したがって、築年数が数十年ないし、多くて百年以上のケースも少なくない古民家物件の場合、新築物件と比べて固定資産税を安く抑えることも可能です。
 
たとえば、木造中古住宅の場合、固定資産税の評価1点あたりの価格が非木造住宅よりも安くなります。
 
ただし、土地については築年数にともなう劣化がないため、物件時のような築年数に応じた固定資産税の算出に違いはありません。
 

古民家投資のデメリット

古民家投資のメリットだけでなく、デメリットについても目を向けることで、リスクを最小限に回避できます。
 
この章では、古民家投資の主なデメリットを3つみていきましょう。
 

デメリット1:改修や修繕の費用を要する

「物件の古さが古民家の魅力」とはいっても、シロアリ被害により躯体が腐敗していたり、雨漏りがする物件は、欠陥があるといわざるを得ません。
 
住居の傷んだ部分の修繕や設備の交換は、表面的にはわかりにくいケースが多く、規模や内容によっては予期せぬ大きなコストとなるリスクがあります。
 
入居者の安全に関わる物件の構造的な問題に関しては、費用をかけての修繕はマストです。
 
ですが、「必ずしも改築を要するわけではないけれど、リノベーションした方が快適に生活できる」というケースもあります。
 
たとえば、トイレが汲み取り式だったり母屋から離れた場所にある古民家の場合、現代の暮らしに寄り添い、顧客からの印象を高めるためには、「水洗トイレにする」「古民家内に新しくトイレを設置する」などの施工が必要でしょう。
 
「快適な暮らしを優先するか、住居のレトロな部分を尊重するか」という点は、投資家自身が顧客ニーズやリノベーション予算などと照らし合わせて検討する余地があります。
 

デメリット2:金融機関がローンを敬遠する可能性

田舎にある土地や物件は担保になる可能性が低いため、築年数が数十年経過している古民家の場合、担保評価の対象とならない可能性があります。
 
しかし、田舎の物件だからといって、必ずしも融資がおりないというわけではありません。
 
なぜなら、借り入れできるかどうかは、物件の築年数だけでなく、物件自体の資産価値や借手の返済能力などに依拠するからです。
 
ゆえに、古民家の融資を受ける場合は、「耐震性や劣化状態などの物件検査(適合証明)を受ける」「申し込み時に借り手に安定的な収入があることを証明する」などの対策を講じる必要があります。
 
自己資金だけで物件を購入できる場合は問題ありませんが、借り入れが必要な場合は、公庫を扱っている金融機関にできるだけたくさん相談し、融資の可能性を探りましょう。
 

デメリット3:耐久性や耐震性が低く自然災害に弱い

古民家は、最新住宅のような耐震性や耐久性に乏しいので、大きな地震や台風があると、大きな破損を受ける可能性があります。
 
耐震性や耐久性を高めるためのリノベーションをする際に、1番のネックとなるのが費用面。
 
たとえば、古民家の耐震性を補強する場合、鉄製の器具を用いると1坪あたり10万円前後、基礎などの補強も合わせると1坪あたり15万円ほどかかります。
 
また、断熱性の高さも現代の住まいには必須ですが、土壁や茅葺屋根を残す場合、断熱材の施工はかなり困難です。
 
リフォームできたとしても、かなりの工期やコストを要する可能性がある点を頭に入れておく必要があります。
 
耐震リフォームや断熱リフォームなど、古民家のリノベーションで改善が必要になる部分については、行政のさまざまな支援制度が利用できる可能性があります。
 
古民家の改修費用を解決するための糸口として、支援制度の活用を検討してみるとよいでしょう。

古民家投資をはじめるための3ステップ!

風情ある通り
情報量の少ない古民家投資。いざ古民家投資をはじめようと決意しても、具体的にどのような行動指針を立てるべきか迷うところです。
 
そこでこの章では、古民家投資へ着実に踏み出すためのステップをご紹介します。
 

ステップ1:不動産投資について学ぶ

収益性の高い古民家物件の特徴や選別は、ある程度の汎用性があります。
 
したがって、不動産投資全般の知識を学ぶことは古民家投資においても有用です。
 
とくに、戸建ての木造中古物件の情報は、古民家投資にも当てはまる内容が多いでしょう。
 
その点をふまえ、「魅力ある古民家とは」「顧客は古民家にどのようなニーズを見出すのか」といった分析を進めることが重要です。
 
投資対象の古民家の魅力や顧客ニーズがある程度把握できたら、その強みを高めるための企画やデザインの構想を形作っていきましょう。
 
また、古民家への投資で1番のネックとなるリノベーションコストや修繕費用についても、早い段階から現実的なすり合わせが必要です。
 
古民家を賃貸物件として活用する場合は、修繕・改修コストをかけすぎると、家賃を高めに設定しなければ採算が取れなくなるなどのリスクがあります。
 
ムダなコストを極力減らし、本当に必要な部分にお金をかけるために、収支のシミュレーションや自己資金の状況を事前に把握することは非常に重要です。
 

ステップ2:地元の古民家を探してみる

古民家の物件を探す際には、縁もゆかりもない土地から探すのではなく、まずは土地勘のある場所からはじめましょう。
 
なぜなら、土地勘のある場所は知らない土地と違って馴染みが深く、周辺の情報全てをインターネットに頼る必要性が少ないからです。
 
どうしても「知らない土地の古民家がいい」という場合は、短期間でもよいので、その地域での暮らしを経験することをオススメします。
 
最近では、「移住体験ツアー」という各地自治体が主催するプランがあるため、自主的に旅行する以外でも、その土地が自分にあっているかどうか、移住目的に特化しながら肌で感じることが可能です。
 
そのほか、古民家を気軽に探す方法としてあげられるのが、不動産ポータルサイト。
 
古民家や地方移住に特化したサイトでは、首都圏にいながらも地方物件を見つけられるのが魅力です。
 

ステップ3:疑問点は古民家投資の専門家に質問する

古民家投資は、マンションやアパートなどの通常の賃貸運営とは異なるアプローチや専門的なノウハウが求められます。
 
なぜなら古民家には、現代の建築物には施工されていない伝統的な技術や魅力があるからです。
 
しかし、専門的なノウハウが求められるとなると、少しハードルが高いように思えてしまいますよね。
 
そんな時は、古民家専門の不動産会社を利用すれば、古民家の情報を集約的に知ることが可能なのです。
 
地域密着型かつ、専門性の高い詳細な視点からアドバイスを受けられるのが、古民家専門の不動産会社を利用するメリットだといえます。
 
古民家投資に関して疑問点がある場合は、古民家投資の分野に強い不動産会社に相談することで、収益性の高い古民家投資の実現にグッと近づくでしょう。

古民家投資の強みを活かして運用をしよう

昔ながらの店
今回は、「古民家投資の需要はあるのか」に焦点を当て、古民家投資のメリットとデメリットを解説してきました。
 
要点は、以下の3点です。
 
•古民家投資の需要は国内の顧客を起点とする方向へ移行する。
•古民家運営は「固定観念の打破」と「顧客との繋がり」がカギ。
顧客ニーズの分析商品性を高める企画・デザインを通して、魅力ある古民家物件を選別できる。
 
通常の不動産物件にはない、伝統的な構造技術やレトロな温かみが古民家の魅力。
 
物件だけに目を向けるのではなく、顧客との関係性を大切にしながら時代に即した柔軟な投資運営をすることで、今後も継続的な利益を生む古民家投資を実現できるでしょう。

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このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

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