賃貸管理会社とのトラブルに巻き込まれないためには?

公開日2019/05/12
更新日2023/12/12

実は賃貸管理業界は生まれて40年程度と歴史の浅い業界です。
そのため未だにノウハウも確立されておらず、手探りな状態でもあります。
提供するサービスの内容も管理会社によりけりで、管理の質にもばらつきがあります。
そのため管理会社とトラブルを引き起こす大家も少なからずいます。
本来管理会社とオーナー様は同じ目標を持って、2人3脚で歩むべきなのに、これでは経営がうまくいきません。
 
そこで過去に実際に起こったオーナー様と管理会社のトラブルをご紹介し、良い管理会社の見極め方を探っていきます。

サブリース契約を結んだら、家賃の見直しを要求された

管理会社と大家とのトラブルの中で一番多いのがこのサブリース契約問題です。
サブリース契約とは、空室リスクを無くすためにオーナー様の所有する物件の居室を全て管理会社が借りきるサービスのことです。
 
全て借りきってもらえるので、オーナー様は空室に悩むことがなく安定した収益を確保できるというメリットがあります。
リース料は家賃の10%程度が相場で、オーナー様の収入は家賃の90%になりますが、その分空室がないので経営が安定します。
またサブリース契約は、10年以上という長期契約が前提であるため、大家は10年以上安心して賃貸経営を行うことができるのです。
 
ただし、この契約には大きな落とし穴もあります。それは賃料の見直しです。
必ずと言っていいほど、サブリース契約には賃料の見直しに関する記述があります。
賃料の見直しが成立しない場合、管理会社は契約を解除できるとの記載がある場合もあります。
そのため、例えば最初は家賃10万円で10%が手数料、オーナー様は9万円の収益と契約していたのに、見直しの時期になると家賃を8万円にまで引き下げて欲しいなどという交渉が入るのです。
 
ではなぜ管理会社がオーナー様にそのような要求をするのか、深掘りしてみましょう。
 
まず新築や築浅の物件は、高額な家賃を設定したとしても、努力なしで入居希望者は集まります。
特に日本人の新築信仰は顕著であるため、それほど築年数の経っていない物件は人気があります。
しかし5年、10年と築年数が経過するうちに建物の劣化も進み、選ばれない物件へと変わってしまいます。
管理会社としては、全部屋借りきってしまっているので何とかして入居者を見つけようと家賃を下げます。
 
しかしオーナー様に10万円の家賃を約束してしているため入居者から徴収する家賃を10万円以下にはどうしても下げることができません。
当然ながら、10万円以下で転貸すると管理会社が赤字になってしうためどうにかしてオーナーに家賃を下げるようにと迫ります。
 
オーナーからすると10万円の家賃で長期間借りてくれるものと想定していたので、経営計画が崩れてしまいます。
こうしてオーナー様と管理会社が揉めるという図式が出来上がってしまうのです。
 
このようなトラブルの大きな原因は管理会社にあります。
管理会社が将来家賃交渉を行うということをオーナー様に明確に伝えていなかったり、コミュニケーション不足により誤解を生んでしまっているのです。
 
サブリース契約自体はメリットもあり、決して悪いものではありません。
契約に結びつけるために、サブリースのデメリットを説明しないままオーナー様と契約を結ぼうとする管理会社が悪いと言えます。
 
サブリース契約に関するトラブルは非常に多いので、契約を結ぶ際は慎重に会社を選んで、契約内容を精査して下さい。

共有部分の備品や植物がなくなっていた

入居者のために共有部分に置き物を置いたり、観葉植物を置いているオーナー様も多いでしょう。
計画段階から外構を整え、植栽にこだわっている方もいらっしゃると思います。
 
共用部分の手入れを、通常管理会社に任せていると、気づけば置き物や観葉植物がなくなり、お花も引き抜かれてしまっていた・・というケースがありました。
このケースで管理会社は入居者のものだと思ったが、落し物の届け出がないので処分した。
 
花壇は除草剤を撒いた。野草だと思ったなどの言い訳を繰り返しました。
管理会社の主張はあくまで綺麗にしたというものです。
こうした行き違いを未然に防ぐためにも、植栽や備品についての管理は最初から明確に示すようにしましょう。
また無くなって困る高価な備品は置かないようにしましょう。

外国人入居不可としたはずが、外国人入居者がいた

賃貸経営トラブルで最近になり多くなってきたのが、外国人入居者問題です。
外国人労働者受け入れ拡大により日本に住む外国人の数は年々増加しています。
外国人と一口に言っても、アジア系から中東系、ラテン、アメリカ、ロシア、ヨーロッパなど多岐に渡ります。
 
外国人はマナーや宗教、考え方が日本人とは異なるため、入居者間トラブルに発展しやすいというデメリットがあります。
また日本人よりルールを守るという意識が低いため、家賃滞納も起こりやすいです。
強制送還されると家賃滞納のまま帰国してしまい、取り立ては事実上不可能になります。
 
こういったリスクを回避するため、オーナー様の中には外国人の入居を断る人もいます。
しかし管理会社が勝手に外国人の入居を許可しているケースがあるのです。
 
管理会社の勝手な判断なら、管理会社の責任なので外国人を追い出すことができると予想する方もいらっしゃるかもしれません。
しかし基本的に国籍を理由に入居を断ることは違法なため、裁判をするとオーナー様側が負けてしまうのです。
 
オーナー様が承諾していない人を勝手に住まわせたことにることはできないので、損害があった場合は管理会社にある程度の交渉は受け入れてもらえるかもしれません。
しかしやはり一度入居した方に退去してもらうのはかなりの労力を必要とするケースが多いです。

もし外国人の入居を断りたい場合は、問い合わせがあった際には必ずその旨を伝えるなど管理会社に徹底させることが大切です。
 
もしくは外国人の受け入れを許可する代わりに、徹底した入居者向けルールを整備するのも一つの手です。
特に空室でお悩みであれば、外国人入居者の受け入れは満室経営に繋がるチャンスです。
日本人の人口予測は年々減少の一途を辿っていますが、外国人の数は今後益々増えていくことが予想されているので、有望な潜在的入居者です。
この事実を無視してしまうことはもったいないですよ!

頼んでいた仕事をしていない

管理会社に頼んでいた仕事が、実は何もされていなかったということもあります。
これは管理が甘かったり、適当だったりする会社に良くあることです。清掃を頼んだ箇所の清掃をしていなかった、相談に行く予約をしていたのに忘れられていたなど管理会社の不手際の内容は様々です。
 
個人契約の場合は保証会社に入るようにと頼んでいたのに、実際は加入していなかったということもあります。
頼んでいた仕事をしないような会社は信頼がおけません。一度でもこうした事態があれば二度とないように誓約させましょう。

管理会社から一切の連絡がない

管理会社からの連絡が皆無に等しいというのもよくある管理会社とのトラブルです。
連絡も相談も報告もないのであれば、不安になりますよね?
これは完全に管理会社の職務怠慢です。放っておいても悪いようにしか事態は働かないので、オーナー様から連絡を取り話し合いの場を設けましょう。
また必要とあれば弁護士を同席させたり、音声を録音するというのも有りかもしれません。
 
「賃貸住宅管理業」として登録された業者には、年に1回は書面による報告が義務付けられているので、きちんと業者登録している管理会社を選びましょう。

管理会社とトラブルを引き起こさないためには、事前によく選ぶことが大切

管理会社とのトラブルを防ぐ有効的な手立ては、現在のところ管理会社を事前に精査するということだけです。

良い管理会社を選べばトラブルに巻き込まれる可能性も最小限にまで抑えることができます。
そこで管理会社を選ぶ際のポイントについてご紹介します。
 

口コミ評価は裏切らない

管理会社の良し悪しを見極める一番の方法は口コミをチェックすることです。
口コミサイトで良い評価を得ている管理会社は、本当に良いケースが大半です。

一方で口コミでの評価が悪い管理会社は、管理の質が低く、トラブルにも発展しやすいです。

嘘偽りのない口コミは一番簡単な管理会社の良し悪しを見極める手段でもあり、最も裏切らない評価です。
 
また過去に違反を起こしていたり、オーナー様と裁判などのトラブルに発展していないか調べてみることも大切です。
中小の管理会社では口コミの母体数も少なく、判断に迷うことも多いので過去に不祥事を起こしていないか確認してみて下さい。
 

レスポンスの速い会社を選ぶ

レスポンスの速さは大事なポイントです。賃貸経営を行う上でトラブルに巻き込まれた際に、まずもって相談する窓口となるのが管理会社です。
その際に電話やメールをしても一向に返事が返ってこないのであれば困ります。
 
また入居者もトラブルがあれば、最初に管理会社に連絡します。
入居者からの問い合わせにスピーディーに答えることができなければ、入居者満足度が下がり、退去にも繋がっていくのです。
そのためレスポンスの速さを見ることも管理会社選びには必要です。
 
またオーナー様対応が早い会社であれば、空室が発生した際もすぐに入居者募集を始めてくれる可能性が高いです。
迅速に仕事に取り組んでくれるので、機会損失に繋がることもなく早く次の入居者を見つけることができます。
 

複数の会社で見積もりを取り多角度的に比較する

管理会社を選ぶ際に1社にしか見積もりを依頼せずに即決してしまうのはお勧めできません。
見積もりを出してもらうだけで、管理コストが全然違うということに気づくはずです。
また管理コストも大事ですが、入居率やエリアシェア、管理戸数、家賃回収率など比較すべきことは多数あります。
 
1社としか連絡を取らないというのは危険で、様々な会社にアポイントを取り話を聞いて、比較してみて下さい。
営業マンの態度や雰囲気など、数字だけでは比較しようがない項目に関してもオーナー自ら確認することが大切です。
 

提案力の高い会社を選ぶ

提案力の高さは管理経営の利益の最大化を図れるか否かを大きく左右します。
オーナーと管理会社はいわばビジネスパートナーという関係性になります。
一度管理会社を決めるとその後変更することは難しく、賃貸管理に関する相談は管理会社に行うことになります。
つまり管理会社はオーナー様にとってコンサルタントでもあるのです。
経営を行う上で空室対策についてや修繕工事についてなど相談したいことは多数出てきます。
しかし提案力が低い管理会社であれば、オーナーに最適な提案ができません。
それにより収益性が低減してしまうこともあるのです。
 
管理会社を選ぶ際には、提案力の高い会社にすること。
また資産税・相続税に強い税理士や会計士と連携している会社や修繕の提案ができる会社を選ぶことも大切です。
 

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オーナー様の満足度を最大化

管理会社とは円満な関係を築く

管理会社とのトラブルは、デメリットしかありません。
そのためトラブルになることなく、信頼関係を築き安定した経営を続けることが大切です。
過去に管理会社にはどんなトラブルがあったのか学ぶことで、自分の管理経営にも活かすことができるでしょう。
そして管理会社選びのポイントをしっかり抑えれば、きっと問題のない管理経営が可能になるでしょう。

悪質な管理会社には是正請求もできる

悪質な管理会社なのに契約期間がまだ残っているからと、我慢して付き合い続ける必要はありません。
管理会社が不動産会社の場合は、都道府県知事や大臣が免許を出しています。
そのため所轄官庁に求めれば、管理会社への指導や監督を行なってもらえるのです。
それでも改善がみられない場合は、是正措置請求や罰則適用等を求めることもできます。
骨の折れることですが、悪質な管理会社と付き合うことはオーナー様自身にもマイナスにしか働きません。
是正させることができるということを忘れないで下さい。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

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