賃貸経営にポイント制度導入で入居者を囲いこむ!
【目次】
賃貸経営にもポイント導入の時代
日頃の買い物などで、ポイントカードやアプリでポイントを貯めているという人も多いですよね?
ポイントを貯めれば次回の買い物で割引されたり、景品がもらえたり、ポイントカードはとってもお得です。
最近では、決済の手段としてクレジットカードを利用し、クレジットのポイントを貯めている人も多くなってきました。
キャッシュレス化が進んでいることもあり、クレジット利用者は今後益々増えていくでしょう。
そんな中、賃貸経営でも「ポイント制度」を取り入れる動きが少しずつ広まっています。
今回は。賃貸経営におけるポイント制度の導入、メリット・デメリットについてまとめてみました。
賃貸経営でどんな風にポイント制度を取り入れる?
大手不動産会社ではクレジット機能付きのカードで家賃を支払うと、ポイントが付与されるというシステムを導入しています。
毎月支払う家賃でポイントが貯まれば、入居率アップに繋がりますし、貯まったポイントをキャッシュバックしたり、ポイントで景品をもらうこともできます。
また、友達紹介でポイントを付与するケースもありますね。
それでは、不動産各社がどんな取り組みをしているのか見てみましょう。
ピタットハウス「家賃deポイント」
総合不動産ショップである「ピタットハウス」の親会社である、スターツコーポレーション株式会社と三井住友カードが提携し、夢なびVISAカードを発行しています。
ピタットハウスで契約する際、対象物件でこのカードを使い家賃を支払うと、1000円につき1pt(=3円)のワールドポイントが貯まります。
ワールドポイントはキャッシュバックもできますし、夢なびポイントに交換し食品やホテル・旅館の宿泊など様々な景品に交換できます。
UR賃貸住宅「家賃でPontaポイント」
独立行政法人である都市再生機構UR賃貸でも、ポイント制度が導入されています。
UR賃貸は「URでアール」という吉岡里帆さんのC Mの放送で、一躍知名度が上昇しました。
UR賃貸住宅では契約後、引越し先物件にハガキが送られてきます。
そこに住戸キーという15桁の番号と、Pontaカードに書かれた会員IDを書いて申し込めば、支払家賃500円に付き1ptのポンタポイントが貯まります。(ウェブでも申し込み可能)
ポンタポイントはコンビニの支払いでも使えますし、旅行、グルメなどにも使うことができます。
使えるお店が多いので、ポイント消費の選択肢の幅も広いです。
中央ビル管理の「Room’sポイント」
ポラスグループで賃貸住宅の管理・仲介等を行なう「株式会社中央ビル管理」では、Room’sポイントという入居者向けポイントサービスを取り入れています。
中央ビル管理の管理戸数は2万戸以上ですが、住み替えの際に、他社仲介で退去してしまうことが多いのが悩みの種でした。
賃貸仲介の件数は、過去10年間横ばいだったそうです。
そこで中央ビル管理では、住み替え時にも自社の仲介で自社の管理物件に住んでもらうという入居者囲い込みに向け、Room’sポイントを導入しました。
Room’sポイントでは、自社の管理物件に住む入居者に対し家賃・共益費の支払い、更新手続きの完了の際にポイントを付与します。
貯めたポイントは、住み替え時に同社営業所ルームスポットで利用でき、自社の賃貸物件に住み替える場合は、仲介手数料が無料になります。
他社管理物件では仲介手数料やルームクリーニング代、鍵交換費等にポイントを利用できます。もちろん自社管理物件でもルームクリーニング代や鍵交換費等にポイントが利用できます。
更に住宅を購入し住み替えるケースでは、ポイントを売買仲介手数料に充てたり、インテリア商品券に交換することが可能です。
レオパレス「友達紹介ポイント」
レオパレスでは知り合いや友達を紹介すると、Gポイントが貰えるというシステムを採用しています。
Gポイントは航空マイレージや電子マネー、各種ギフト券などに交換可能。
紹介者には2万円分のGポイント、紹介された人は契約金が1万円安くなります。
MASTクラブ「MASTポイント」
積水ハウスの賃貸住宅を取り扱うMASTのお店では、積水ハウス不動産グループの賃貸住宅に住むだけで、ポイントが貯まります。
住むだけで自動的にポイントが貯まっていくので、負担も面倒もありません。
MASTポイントは積水ハウス不動産グループの賃貸住宅に住み替えた場合に使え、最大3ヶ月家賃が無料になります。
ポイントは家を買う場合や建築する場合にも使え、最大150万円の割引にもなります。
ダイワハウス「D-room Card」
ダイワハウスでもお得なポイント制度を導入しています。
ポイントは物件に住むだけで貯まり、貯まったポイントは、住み替え時に4倍になって使えます。
ダイワハウスで戸建て住宅を購入する場合は、ポイントが10倍になります。
「今後住み替えの予定はあるがダイワハウスではない」「家を建てるけど他社で決まった」という場合でも、貯まったポイントはダイワハウスグループのリゾート施設などで使うことが可能です。
これなら貯めたポイントが無駄にならないので、助かりますね。
アプラス家賃サービス「家賃でTポイント」
新生銀行のアプラスでは家賃の建て替えを行っており、家賃をアプラスが入居者の口座から引き落とします。
その際に引き落とした額に応じ、Tポイントを加算してくれます。
そのためクレジットカード不要で、Tポイントもすでに持っている人はそのカードを使うことができ、新たに発行する必要もありません。200円につき、1pt加算されます。
Tポイントもポンタポイント同様、街の様々なお店で使えるので利便性が高いでしょう。
さまざまな業者が、家賃のクレジットカード決済にポイントを付けたり、グループ内のサービスで使えるポイント制度を導入しています。
家賃の引き落としではポイントをつけられないけど、入居時の初期費用のみクレジット決済可能という業者も増えてきています。
利用者からすれば毎月数万円も支払う家賃なので、少しでもポイントなどの優遇がつくと嬉しいものです。
しかし、不動産オーナーにとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ポイント制度を導入するメリット
家賃滞納のリスクがなくなる
賃貸経営を行う上で大きなリスクとなるのが家賃の滞納です。
家賃を滞納されてしまえば、賃料収入は0になってしまう上に、家賃の取り立ては、精神的にも肉体的にも負担が大きいです。
最悪の場合、家賃滞納者が、夜逃げしてしまうかもしれません。こうなってしまえば、回収は不可能に近いでしょう。
しかし、クレジットカードで家賃を支払うようにすれば、最初に家賃をクレジットカード会社が立て替えて支払うことになります。そのため物件オーナーは家賃滞納されないのです。
入居者がクレジットカードの請求を支払わないと、カードの滞納になりますので、オーナーには一切関係がありません。
請求の取り立てはクレジットカード会社が行います。
また多くの人はクレジットカードを滞納すると、信用情報に直結してしまうので、滞納を嫌がりできるだけ早く支払おうとします。
クレジットカード契約者は、クレジットヒストリーにカードの延滞という履歴が残ってしまい、滞納が重なるとカードの利用や発行ができなくなってしまいます。
しかし、家賃の滞納は信用問題に直結しません。
滞納の記録は管理会社やオーナーの帳簿上には残りますが、私生活に何の影響も及ぼさないのです。
家賃の滞納が履歴に残らないことと、カードの延滞が履歴に残るというのは、信用問題に関わるので大きく異なります。
そのためクレジットで家賃を支払うと、滞納の抑止に繋がりリスクを抑えることができます。
ポイント制度を導入するデメリット
導入により大きく入居者が増えるわけではない
入居者希望者の増加を狙って、家賃をクレジットで支払えるように変更したとしましょう。
しかし、クレジット支払いに替えたからと言って、大きく入居希望者が増えるわけではありません。
ポイントは付かないよりも付いた方がお得なので、導入するメリットはあります。
仮に似たような物件が近くにあり、入居希望者の取り合いになっている場合は、導入した方がより入居希望者を取り込めるでしょう。
しかし、ポイントが付与されると言っても、基本的に毎月数百円程度でしょう。
毎月数百円のお得と高クオリティの物件では、高クオリティの物件にどうしても負けてしまいます。
中にはポイントを付与しなくてもいいから、家賃を下げて欲しいという人もいるかもしれません。
ポイント代金を負担しなければいけない
ポイント制度は日本独特の文化で、ポイント還元を負担するのは物やサービスの提供者となっています。
つまり、賃貸業界では不動産会社かオーナーが負担することになります。
仮にオーナーが負担することになった場合、ポイント還元率が100円につき1ptの場合、家賃10万円では毎月1000円のポイントを負担することになり、年間1万2000円です。
戸数が増えれば負担の割合も大きくなり、アパート1棟8戸では年間9万6000円もポイントを負担することになってしまいます。
家賃収入に対し、毎月の負担額が増えると利回りが悪化します。
そのため、今まで不動産業界ではポイント制度が普及していませんでした。
賃貸物件におけるポイント制度導入のまとめ
デメリットもありますが魅力も大きい、賃貸物件のポイント制度。
しかし、導入していないというオーナーは、一度導入の検討をしてみてもいいかもしれません。
友達紹介ポイントであれば気軽に導入できますし、1回限り1〜3万円程度の出費であれば導入のハードルも低いです。
入居者はお得なポイント制度が大好きなので、上手く活用できれば入居者の囲い込みができるかもしれません。
ビットコインなどの仮想通貨で家賃が支払うことができるなど、他物件にはない方策を打ち出してみても面白いかもしれませんね。
このコラムを書いている人
マンション経営ラボ 編集者
最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。
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