賃貸経営を行うなら知っておきたい!賃貸の専任媒介と一般媒介の違い
【目次】
まず賃貸物件オーナーにとって、空室問題は重要な課題です。
空室があると収益が上がりませんし、投資額を回収することさえ難しくなります。そのため必死に入居者募集を行います。
通常オーナーが自分で入居者を募集するのではなく、地元の不動産仲介会社や大手仲介会社に仲介を依頼します。
仲介会社に依頼すると、仲介店に部屋を探しにきた人に自分の物件を勧めてもらうことができます。
同じような条件の物件は多数あるので、その中から自分の物件を優先的に紹介してほしいと思うことは普通です。
そして不動産業者がそれに応じてくれることもあれば、応じてくれないこともあります。またいいですよと言っておきながら、実際には他の部屋ばかり紹介していることも多いです。
なぜなら不動産店が扱う物件は全てのオーナーから、同じように優先的に物件を紹介してくれと頼まれているので、特別扱いはできないのです。
ここからがポイントですが、不動産店にも仲介するにあたって、どの物件から紹介していくかというある一定のルールがあります。
このルールを知らないと、効果的に空室を埋めていくことができません。
まずはルールについて紐解く前に、入居者募集をする上で、不動産仲介会社と結ぶ契約についてご紹介します。
一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約とは?
不動産店に入居者募集を依頼する場合には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類の中からいづれかの方法で、契約を結ぶ必要があります。
どの契約を結ぶかによって有利、不利がありますので、少しでも早く空室を埋めるのであればどの契約がいいのか見ていきましょう。
一般媒介契約
一般媒介契約では、複数の仲介会社に部屋の仲介を依頼します。
この媒介契約方法の場合、自分で借主を見つけることもできます。たまにあるのが知り合いに貸してほしいと言われた時です。
自分で見つけてきた入居者を入れることができるので、より一層入ってもらえる可能性が広がります。
また自分で契約まで全て行うのであれば、不動産業者にお金を支払う必要さえありません。
一般媒介では契約期間も特に決まりがありません。
いつまで契約しないといけないという縛りがないので、フレキシブルです。
専任媒介契約
専任媒介契約とは物件の管理を管理会社に委託している場合、入居者募集もそのまま管理会社に任せることです。
一般媒介契約のように複数の業者に依頼することはできず、仲介会社を選ぶこともできません。
専任媒介契約は独占して仲介を行うことができます。
専任媒介契約は窓口が一本化されているというメリットもあります。
オーナー様は依頼した不動産業者のみと連絡を取ればいいだけですが、一般媒介であれば複数の不動産店と連絡を取り合わなければいけないというデメリットがあります。
例えば、しばらく賃借人がつかずに条件変更することに決めた場合、専任媒介契約ですとその業者のみに伝えれば事足ります。
しかし一般媒介契約では、A社にもB社にもC社にも条件変更の連絡をしなければならないのです。
専任媒介契約であれば1社としかやり取りしなくて済むので、オーナー様の負担は少ないです。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は専任媒介契約の縛りをもう一段階きつくしたものです。
専任媒介契約では自分で入居者を見つけた場合、不動産会社を通すことなくその相手と契約をすることができます。
しかし専属専任媒介ではそれすらも禁止しています。
もし自分で見つけてきた相手が入居するのであれば、必ず依頼した不動産店を通して契約しなければいけないのです。
一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約ならどれを選ぶべき?
人気の物件は、一般媒介契約
一般媒介契約であれば、複数の不動産仲介店にアプローチ可能なためその分早く入居者を見つけることができます。
一般媒介契約は何社とも契約が結べるので、幅広く入居者募集ができ入居者も見つかりやすいです。
賃貸仲介を専門に行っており、知名度の高い会社は客付け力が高く、入居希望者が見つかりやすいです。知名度の高さから成約数も多いです。
条件の悪い物件であれば、専任媒介・専属専任媒介がおすすめ
不動産店のスタッフになって考えてみると、条件の悪い物件と良い物件の2つがあった場合、成約に結びつけるためには良い条件の物件から紹介していきます。
そのため条件の悪い物件の優先順位は必然的に落ちていくのです。
また不動産仲介会社がどの物件も平等に紹介を行なっているかと言えば、決してそう言うわけではありません。
不動産仲介会社がまずもって成約させたいのは、自社管理物件です。
自社保有の物件が空室続きだと、利益となる家賃が入ってこないため、収益減に直結してしまいます。
自社が保有する物件の空室を解消することが最も収益性が高いので、優先順位も一番です。
続いて成約させたいのは、専任媒介・専属専任媒介物件です。
専任媒介物件は管理契約を結んでいることが多いため、入居者が入ると管理料も発生します。
そのため仲介をして終わりではなく、仲介後も自社の収入源となるのです。
更に成約すればオーナーから広告料がもらえ、入居者からも仲介手数料がもらえます。
不動産仲介会社が最後に仲介するのが、一般媒介契約の物件です。
一般媒介契約の物件はオーナーからの広告料と入居者からの仲介手数料だけしか収入源がありません。
そのため辛口に評すると、最も成約に結びつくことを努力したくない物件だともいえます。
以上の背景を踏まえると、条件の悪い物件でも専任媒介・専属専任媒介なら一般媒介よりも先に紹介してもらえるので入居してもらいやすくなります。
専任媒介・専属専任媒介なら、積極的な活動が期待できる
専任媒介契約・専属専任媒介契約の物件では、不動産会社も積極的に物件の仲介を行います。
しかし一般媒介であれば、積極的に仲介を行うメリットが少ないので、必死さはありません。
積極的に売り込んで欲しいのであれば、専任媒介契約・専属専任媒介契約です。
また専任媒介契約の場合、仲介の際に貸主が支払うべき仲介手数料を無料にすることがあります。
仲介会社は仲介した成功報酬として仲介手数料をもらうことができなくても、入居者が入ってくれるとその後、管理手数料を家賃としてもらうことができます。
そのため1回限りの仲介手数料という収入源を捨ててでも、今後長期間入ってくるであろう管理手数料に重きを置くのです。
どの契約形態を選ぶか・・正解は信頼関係を作れる会社を選ぶこと
1社だけに任せるのも複数の会社に任せるのも、どちらにもメリット・デメリットがあります。
そのため一番の正解は信頼関係を築ける業者を選ぶことです。
賃貸経営も賃貸仲介も管理会社と二人三脚で行うものです。
オーナー様と不動産業者との間に信頼関係ができれば、どの方法を使ってもきっと賃貸経営は成功するでしょう。
どうしても空室リスクが心配であればサブリースという選択肢もあり
賃貸管理において空室のリスクというのは避けられないものです。
特に条件の悪い物件では入居者の獲得争いに勝つことができません。
そのような物件をお持ちであれば、サブリースという契約を考えてみるのもいいかもしれません。
サブリースとは賃貸管理会社が大家と結ぶ賃貸借契約のことで、サブリース契約を結ぶと全部部屋を借りきってもらうことができます。
そのため空室への不安なく、安定した賃貸経営が可能になります。
最近では自分で管理をする時間が限られているサラリーマン大家がサブリースで賃貸経営を行なっています。
あくまで副業なので、クレームや空室のリスクの少ないサブリースという選択肢を取る方が多いようです。
サブリースでは賃貸管理会社がさらに、一般の入居者と賃貸借契約を結び又貸し状態になります。
サブリースで受け取れる家賃は90%程度と自主管理や管理委託方式に比べ、収入は少なくなりますが、リスクを極限にまで減らすことができるというメリットがあります。
空室が本当に心配であれば、サブリースを一考してみるのもありでしょう。
管理会社やサブリース会社と専任媒介契約を結ばないといけない決まりがある?
「管理会社に管理を依頼している場合でも、賃貸募集の媒介契約をその管理会社と専任媒介契約で結ばなければならない」という法律上の決まりはありません。
ただし、実務上は管理会社が優先されやすいという慣例があります。
実務では、管理会社が「入居者募集も当社でお願いします」と条件づけることがあります。
特にサブリース契約や一括管理契約では、募集窓口を管理会社に限定することが契約条項に明記されている場合もあります。
管理を委託しただけで媒介契約はしていないつもりが、実は媒介契約まで行っていたというケースがあります。
管理委託契約は内容を確認の上、サインしてください。
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宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / インテリアコーディネーター
株式会社FGH マーケティング部
新卒以来、不動産業界・建設業界に一貫して従事し、投資用ワンルームマンションの売買・管理・活用に関する豊富な実務経験を積む。
専門知識を活かしつつ、初心者の方にもわかりやすく情報を届けることをモットーに、コラム執筆や監修にも携る。
プライベートでは2児の母。家庭でも「お金の大切さ」を子どもと一緒に学びながら、楽しく金融教育に取り組んでいる。
このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者
最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。
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