サブリース、する?しない?

公開日2021/02/26
更新日2023/02/06

不動産投資

不動産投資を始めたとき、そうです、一番最初の始めるか始めないかの判断の次・・
 
新築マンションを購入した場合、「サブリースが付くので安心ですよ」と、勧められています。
 
本当にそうなのでしょうか?今回のコラムでは、二番目に判断することになるサブリースをするかしないかについてお話ししたいと思います。

まずサブリースとは?

分からない人

サブリースと言ってもサービス形態や契約約款によって内容は異なります。
 
一般的に言われるサブリースとは・・
 
不動産会社が「賃借人」として契約し、対象物件を第三者に転貸する代わりに所有者へ賃料を支払うというものです。
 
上記の「賃借人」として契約するというのがキモで、自ら当事者として貸借する行為は宅建業の扱いにはなりません。
 
「賃借人」は借地借家法で弱者として保護され、賃貸人から解除を勧告されても拒絶できる権利を賃借人側が行使できる為、昨今のサブリース解除できない問題に至ります。

借地借家法

空室期間中も賃料が支払われるというメリットがある替わりに実際の賃料よりも低い金額(80~90%程度)で契約することになります。
 
また、礼金や更新料が発生しない為オーナーの総収入は低くなってしまいます。

東京圏の物件はサブリースしない

サブリース契約

上記の通り、サブリース契約には礼金も更新料もありません。
 
東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)では礼金をいただけないケースもありますが、更新料(一般的に賃料の一か月分です。)は、ほとんどの場合頂くことができます。

 

家賃8万円の物件をモデルに10年間の収支をシミュレーションしてみます。
※家賃下落率は、年間0.7%、平均入居年数を3年、空室期間は2か月、礼金は一か月分、更新料も一か月分で試算。
 
サブリースは、比較的良い90%でシミュレーションします。
 

普通賃貸 サブリース 差異
1年目 80000*12月=960000円 72000*12月=864000円 96,000円
2年目 79440*13月(更新料+1)=1032720円 71496*12月=857952円 174,768円
3年目 78884*11月(空室-2礼金+1)=867724円 70995*12月=851940円 15,784円
4年目 78331*12月=979972円 70498*12月=845976円 133,996円
5年目 77783*13月(更新料+1)=1011179円 70005*12月=840060円 171,119円
6年目 77238*11月(空室-2礼金+1)=849618円 69515*12月=834180円 15,438円
7年目 76698*12月=920376円 69028*12月=828336円 92,040円
8年目 76161*13月(更新料+1)=990093円 68545*12月=822540円 167,553円
9年目 75628*11月(空室-2礼金+1)=831908円 68065*12月=816780円 15,128円
10年目 75098*12月=901176円 67588*12月=811056円 90,120円
合計 9,344,766円 8,372,820円 971,946円

 
空室期間が確実に2か月出るとしても、更新料を貰える東京圏の場合、
 
サブリースが得になる期間は一度も発生しない可能性が高いのです。
 
このケースでは、3年毎に必ず入居入れ替えが起こる前提でシミュレーションをしていますが、
 
1人でも長い期間入居してくれた方いる場合、差額はもっと大きくなるでしょう。

近畿圏、名古屋圏、福岡圏では検討価値あり?

ところ変わって東京圏以外では・・
 
礼金が貰えないだけでなく、賃貸募集をする際に広告料が掛かります。
 
また、更新料も頂けないのが慣行(自動更新がほとんど)ですので、東京圏とはずいぶん毛色が変わります。
 
賃料6万円の物件でシミュレーションしてみると・・
※家賃下落率は1%、平均入居年数を3年、空室期間は2か月、募集時広告料1か月、サブリースは85%で試算。
 

普通賃貸 サブリース 差異
1年目 60000*12月=720000円 51000*12月=612000円 108,000円
2年目 59400*12月=712800円 50490*12月=605880円 106,920円
3年目 58806*9月(空室-2広告料-1)=529254円 49985*12月=599820円 ▲70,566円
4年目 58217*12月=698604円 49485*12月=593820円 104,784円
5年目 57634*12月=691608円 48990*12月=587880円 103,728円
6年目 57057*9月(空室-2広告料-1)=513513円 48500*12月=582000円 ▲68,487円
7年目 56486*12月=677832円 48015*12月=576180円 101,652円
8年目 55921*12月=671052円 47535*12月=570420円 100,632円
9年目 55361*9月(空室-2広告料-1)=498249円 47059*12月=564708円 ▲66,459円
10年目 54807*12月=657684円 46589*12月=559068円 98,616円
合計 6,370,596円 5,851,776円 518,820円

 
サブリース率が85%でも、入退去の発生する年にはサブリースの方が得になる事があります。
 
また、東京圏よりも空室期間が長くなる傾向もありますので、
 
リスクを極端に嫌う、または管理を任せきりにしたい!という場合には検討する価値があるかもしれません。

まとめ

物件紹介する女性

基本的にサブリースはコスト高です!
 
コストが高い分、オーナー自身のお手間がないのをメリットと捉えられる方や
 
空室期間が長くて困っている物件であれば検討の価値があります。
 
しかし空室で困っている物件であれば、サブリースするよりも売却を検討したほうが良いのかもしれません。

サブリース売却

このコラムを書いている人

渡邉 幸也

渡邉 幸也

1990年 秋田県鹿角市生まれ 東京都日野市育ち 2013年 株式会社FGH入社。不動産業界歴10年のノウハウを生かし収益不動産のプロフェッショナルとして、数多くの不動産を仲介する。 現在は、投資用不動産の売却・販売など幅広く担当している。 保有資格:宅地建物取引士

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