住宅ローンでのオーバーローンは違法!過去の投資・悪徳業者に注意
【目次】
違法の不動産投資に注意しよう
違法だと知りながらも不動産投資で違法行為を行っているのであれば、逮捕されても自業自得です。
しかし、中には無自覚で違法行為を行っているケースもあります。
可哀想とも言えますが、違法行為である以上、「知らなかった」では済まされないのです。
そんな状況に陥る前に、違法の不動産投資について勉強していきましょう。
住宅ローンで投資用物件を購入するのはNG
自宅として不動産を購入する場合、住宅ローンを組むことができます。
しかし、投資を目的とした不動産の場合は、基本的に住宅ローンを組むことはできません。
投資目的で金融機機関から融資を受ける場合は、不動産投資ローンを組むことになります。
わざわざ住宅ローンを組み、投資用物件を購入する理由は、住宅ローンの方が不動産投資ローンより金利が安いからです。
住宅として最初は住むつもりでも、賃貸にすることで収入を得ようと方針転換した場合は、賃貸した時点で銀行に対し詐欺行為を働いたことになります。
これは、不動産を購入する目的が”住むか・貸すか”によって、利用できる融資の種類が変わるからです。
そのため原則として、住宅ローンを払い終えるまでは、賃貸として貸してはいけません。
悪質な不動産業者は住宅ローンを組み、投資用不動産を購入することは違法であることを認識しながら、投資家に「金利が安いから」と住宅ローンでの不動産購入を勧めてきます。
不動産業者の営業マンは自分の成績が第一なので、契約を取るために顧客に違法だということを知らせずに、契約させるのです。
違法だと知らない投資家は知らずに契約してしまうので罪はない…と言いたいところですが、発覚した時点で投資家は有罪となってしまいます。
違法だと知りながら住宅ローンを選ぶ投資家
また、投資家の中には「バレなければいい」と言う安易な理由で、住宅ローンを使う人もいます。
例えば、アパートローン金融機関提携基準と呼ばれるアパートを1棟買うための融資の基準には、さまざまな条件があります。
総持込(ローン申込)件数月間100件~など)・取引実績売上高(総融資金額)・資本金・過去実績・設立年数・過去の不正・不祥事実などを全てクリアしないと、アパートローンを組むことができません。
最初は不動産投資ローンを組むつもりであったにも関わらず、不動産投資ローンを組むことができなかったので、仕方なく住宅ローンを組んでしまったと主張する人もいます。
こうした住宅ローンの不正利用を受け、多くの金融機関が目を光らせるようになりました。
住宅ローンで投資用不動産を購入した人の末路
ではここで、実際に住宅ローンで投資用不動産を購入した人のエピソードをお話ししましょう。
都内に住むAさんは、住宅ローンでの投資用不動産物件購入が違法だと知らずにローンを組みました。
不動産業者からは”投資用物件は住宅ローンで買うと金利が安く、収益を最大化できる”とアドバイスを受けたそうです。
何年も金融機関に発覚することなくローンの返済を行っていましたが、ある時たまたま金融機関の担当者の目に止まり、調査を受けたことで不正利用が発覚。
すぐさま金融機関の担当者から連絡があったものの、違法と知らなかったAさんには寝耳に水です。
不動産会社に連絡を取り問い出したそうですが、不動産会社から納得のいく説明も、謝罪の一言もありませんでした。
物件を購入した時点で、責任は所有者であるAさんに移り、住宅ローンを利用するように説明した不動産会社に責任は全く問われません。
Aさんは銀行から一括返済を求められましたが払えるはずもなく、他の金融機関と高金利でローンの組み換えを行ったことで、不動産を失わずに済んだそうです。
しかし月々のローン返済額が重くなり、収支シミュレーションに大幅な狂いが生じました。
他の金融機関での融資が可能になったAさんの場合は、物件を失わずに済みましたが、住宅ローンの不正利用がバレて銀行に物件を差し押さえられるケースもそう珍しくありません。
銀行に黙ってオーバーローンはNG
まず一般的にローンを組む際は、頭金として物件金額の10〜30%を現金で支払い、残りをローンで払っていきます。
不動産を購入する場合は購入費だけではなく、不動産業者に支払う仲介手数料や保険料といった諸経費も必要です。
そのため、全てを物件購入費に当てるのではなく、諸経費分の現金を残しておき、残った現金でこの経費を支払うことがほとんど。
フルローンでは頭金を入れず、物件金額は全て融資を受けて支払い、諸経費のみ現金で支払います。
問題のオーバーローンでは、物件金額も諸経費も全て融資で支払い、自己資金は1円足りとも使いません。
オーバーローンは違法ではありませんが、銀行にオーバーローンであることを隠し、ローンを組むと違法に行為に当たります。
物件の取得金額を実際よりも多くすればいいだけなので、銀行にバレる可能性は低いと考える人もいるでしょう。
銀行がオーバーローンを認めればOKだが…
しかし、銀行は融資をする際に必ず物件の評価を行います。
この時に評価額より取得金額が高いと、オーバーローンの可能性を調査されてしまうのです。
オーバーローンを行うために書類を偽装する行為は私文書偽装罪、銀行を騙して融資を受けることは詐欺罪に当たります。
実際にオーバーローンがバレて、銀行に一括返済を求めるケースは過去に多々ありました。
長期固定金利型住宅ローン「フラット35」を利用したオーバーローンでは、住宅購入者と不動産販売員が逮捕されました。
銀行が「オーバーローンでも構わない」と認めてくれれば、オーバーローンを使用することができます。
ただ、銀行に嘘をついたり書類を偽装することは絶対にやってはいけないNG行為なのです。
違法物件を売る業者に注意
不動産業者の中には建ぺい率・容積率がオーバーしている物件を取り扱う業者がいます。
これは違法物件にあたるため、購入をお勧めできません。
どうしてこのような違法物件の建築が可能なのか…まず新築物件を建てる際には、建築基準法に基づいて設計しなければいけません。
この時、役所に建築確認申請を行い、不備があれば役所から見直しを求められます。
しかし違法物件では役所から建築確認済証が発行されると、合格した設計案を変更してしまうのです。
グレーな不動産投資テクニック:車庫転
グレーな不動産投資テクニックの1つに、車庫転(しゃこてん)があります。
マンションを建てる際に、「1階部分を車庫・2階以上を住居」として申請し、建築確認済証が出た段階で、1階を車庫から住居に変えてしまうのです。
車庫が転じて家になることから、業界では「車庫転」と呼ばれています。
なぜこんなことをするのかと言うと、投資用物件を建てる際は収益性を上げるために一つでも多く部屋を作り、最大限土地と建物を使いたいからです。
しかし、建物が隣の建物と密接するほど近くまで建てられていたり、あまりにも高層に建てられてしまうと、防災機能が働かず風通しも悪くなってしまいます。
これらを避ける為に、建築基準法によって建物の大きさや体積があらかじめ決まっています。
しかし、車庫は建物の大きさや体積の計算式に算入されません。
許可が下りる前は車庫ということにして、許可が下りた後に住居に変更し、収益率をあげようとする狙いです。
実際に1階部分に車が5台駐車できるスペースを取れた場合、月の駐車場費を1万円と設定しても5万円の利益にしかなりません。
しかし同じスペースに住居を2部屋作り、家賃を1部屋5万円に設定できれば、10万円の利益を見込むことができます。
駐車場にしておくよりも、収益率はグンと上がります。
車庫転物件は利回りが非常によく、平均利回りは12~13%。
こうした違法建築物件を購入することは可能ですが、金融機関から融資を受けることが難しくなってしまいます。
また、将来売却しようとしても違法物件のため、なかなか買い手を見つけることができません。
さらに違法物件は、災害が起こった際に、倒壊や焼失の恐れさえあります。
違法物件を購入し、運用することは違法ではありませんが、リスクの大きい物件のため、あまりオススメできません。
グレーな不動産投資テクニック:宅建免許なしの不動産売買
不動産業には大きく分けて売買、仲介(媒介)、賃貸、管理業務があります。
個人の投資家が不動産を売ったり、買ったりすることは問題ではありませんが、もし売買や仲介を生業として行うのであれば宅建業免許が必要です。
例えば、宅建業免許を持たない個人が相続により物件を引き継ぎ、その物件を売却したとしても宅建業違法とはなりません。
しかし売買益目的で何度もそれを繰り返すと、宅建業法違反となる可能性があります。
もし仮に無免許営業と判断されると、懲役3年以下もしくは罰金300万円以下が課せられます。
上記のように個人がたまたま不動産を引き継ぎ、売却したことで利益が出たと言うケースもあるので、宅建免許なしの不動産売買はグレーゾーンでしょう。
キャピタルゲインを狙うなら宅建資格は持ってて損なし
賃貸収入を目的とした不動産の購入と運営は、無免許営業ではないためそこまで心配する必要はありません。
しかし、キャピタルゲインを得ることを目的に、不動産の売買を行っていきたいと考えている人は、念のために宅建資格を所有しておいた方が何かと有利です。
法人化する場合は、従業員の5分の1の宅建所有者がいれば問題ないため、宅建資格を持つ人を一人雇うのも有効な手段。
宅建業免許さえあれば、収益目的の売買も堂々と行うことができます。
また宅建業免許を所有していると、安く購入した土地と建物のうち建物を取り壊し、マンションやアパートの建設用地として転売することも可能です。
無資格の個人の投資家よりも資格があるとできることが増えてくるので、投資のバリエーションも広がります。
宅建業を行う上で注意すべき点としては、最寄りの供託所へ営業保証金1000万円を供託しなければいけないこと。
しかしこれは、不動産保証協会に加入し、営業保証金の代わりに弁済業務保証金分担金の60万円を納付することで回避できます。
またそれ以外にも、全国宅地建物取引業保証協会への入会費といった諸経費が設立時に発生します。
平均で150万円程度の資金が必要だと言われており、宅地建物取引業者票の看板を設置する事務所も必要となれば、テナント費用もプラスされますね。
ここまで行くともはや不動産投資は、副業ではなく専業になってしまいますが、法的に安心して不動産取引を行うことができるでしょう。
不動産投資には透明性が大切
バレなければいい、他にもしている人がいると言う軽い気持ちで、違法に物件を取得してはいけません。
不動産は購入した時点で自己責任が発生するため、知らなかった、不動産業者が教えてくれなかったでは済まされません。
最悪の場合は逮捕されてしまうので、自分の身は自分で守らないといけないのです。
そのためにもグレーな不動産取引はせず、いつ調査を受けてもクリーンだと自信を持って言えるような取引を心がけましょう。
このコラムを書いている人
マンション経営ラボ 編集者
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