ADって何?不動産賃貸仲介の専門用語とウラ話!
のっけから聞きなれない言葉が登場しましたが、これはアシスタントディレクターでもなければ、アートディレクターでもありません。今回記事のテーマとなる「AD」とは、不動産業で使用されている用語で広告料を意味します。
不動産業とかかわりがない人はあまり馴染みのない単語かもしれませんが、今回は「AD(広告料)」の定義と現状についてまとめてみました。
広告料とは?
まずは、不動産業におけるAD(広告料)の定義を確認していきましょう。
一般的に所有者が自分の物件を賃貸する場合、不動産仲介業者に依頼して広く世間に募集をかけてもらいます。
しかしほかの物件と同じように募集をかけていたら目立たないため、多くの物件の一つとして埋もれてしまいます。
ほかの物件よりもたくさんの人の目に留まる機会を増やす目的で、所有者が広告料として仲介業者に予算を伝えて、「これだけ広告にかけて構わないからお客さまを連れてきてください」とお願いするのです。
このような流れで、広告にかかった費用がAD(広告料)として仲介業者に支払われます。
広告料って費用なの?
一時的に仲介業者が費用を払うケースもありますが、この場合は広告宣伝費ではなく立替金となります。
ただし、所有者から徴収できないと最終的には債権の貸し倒れになるので、予算については所有者とあらかじめ取り決めておきましょう。
業界の広告料における現状
ここまでは、宅建業法に則った内容のADについて説明してきましたが、業界の中ではさまざまな解釈をされているところもあるようです。
今までの説明でいけば、AD(広告料)は元々かかったお金を回収しているだけなので収益とは関係のない存在のように思えます。
しかし、広告を広くおこなうとなると実務上の負担が増えてしまいますよね。
仮にみなさんが仲介業者の社員になったとして収益が増えないのに業務負担だけ増やしたいでしょうか。
そんな人の良い方は、ごくわずかでしょう。
所有者の方もそれを分かっているので、多少広告料に上乗せされていたとしても必要経費として認識しているようです。
これくらいならまだかわいいものですが、さらに深く踏み込むとADを立替金としてではなく初めから収入源と考えている仲介業者も存在しており、特別な広告をすることなく収益として受領するケースもあるので注意しましょう。
このような場合はADの金額次第で仲介業者の優先順位が変わってくるので、早く入居者を決めたい所有者はADの金額を増やさざるを得ない状況に陥ってしまいます。
まとめ
本来、仲介業者が賃貸において得られる収益は家賃の1か月分までで、それより多く仲介業者が受領することは宅建業法違反となります。
しかし所有者からすれば入居者が決まらないことのほうが死活問題なのでこの慣習がなくなることは難しく、仲介業者にとってもこの慣習がなくなれば多くの会社が危機的状況を迎えることになるので手放したくないでしょう。
このような慣習がなくても、両者が生きられる道が見つかることを期待しています。
このコラムを書いている人
相馬將志
千葉県出身 お風呂での鼻歌がいつの間にか熱唱にギアチェンします。 保有資格:宅地建物取引士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士/マンション管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/簿記2級
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