賃貸管理とプロパティマネジメント
投資家の方はよく勉強されていて、投資不動産を保有する期間や出口戦略を考えていたり、法人名義での貸し出し等の節税だったり、減価償却やキャッシュフローにとても敏感だったり、修繕や資本的支出といった支出に一定の理解はあるものの、極力キャッシュフローの悪化を防ぎたい気持ちが強いです。
投資家にとっての最大の関心事は、保有資産をいかにして有利に運用するかという事。
投資家からみるとアセットマネジメント(以下AM)とプロパティマネジメント(以下PM)とが分かれてそれぞれの強みを発揮できる分業制が望ましいと考えます。
AMを担当するのは資産運用会社。
事業ビル系かレジデンス系(住居)かは様々ですが、投資ファンドの総括管理として位置付けられています。
昔、PMの立場でAMの社員とやりとりしたことがありますが、AMの社員はPMに対して常に上から目線で指図するような関係性でした。
しかしAMの社員は、一体いつ寝ているの?と思うくらいの激務で気の毒でした。
PMは物件の実際の経営管理として位置付けられていて、賃貸管理 + 管理業務の企画立案から実施、予算作成など収益管理まで踏み込んで資産価値増加を図ろうとする。とされています。
賃貸管理会社は、オーナーと保有不動産の管理の実務を任せる「管理受託契約」を締結し、入居者募集・賃貸借契約業務・更新業務・解約業務・内装工事・クレーム対応・会計業務・「一棟だと建物管理(保守・清掃・修繕工事・警備)」などを行っていることが一般的だと思います。
賃貸市場の慣習として、オーナーは業務報酬費として賃貸管理会社に賃料の1ヶ月分を支払うにも係わらず、更にもう1ヶ月分の報酬を実際の入居者をつける客付け業者に賃貸管理会社を通して支払うことで、近隣物件より優位性を確保するというよく分からない支出があったりなかったり。
賃貸管理を長年してきた宅建業者が、PMを任されるケースがありますが、近所の地主さんの一棟アパートや相続した賃貸マンションを管理してきた感覚で引き受けると、新たに投資不動産を取得した投資家が求めるスキルとに乖離があり、投資家の要求になかなか応えられません。
要するに上記下線部のスキルが担当者には到達できていないことが多いのです。
とは言え、オーナー(投資家)からみても大切な資産の経営状況をつまびらかにするには余程の信頼関係がないと難しいことも理解できます。
投資家のみなさんは、賃貸市場の特徴や賃貸管理会社の事情等を考慮してお付き合いすれば、上手く活用でき、賃貸経営がスムーズにできると思います。
相談してみることで賃貸経営の悩みが解決することもあると思いますよ。
このコラムを書いている人
北岡 貴夫
1975年 高知県生まれ 2012年株式会社FGH入社。不動産業界20年以上、売買賃貸数千件の業務を取り扱ってきた。常に公正かつ客観的な立場から誠実な取引を心掛けている。 保有資格:不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/ビル経営管理士