不動産投資の査定で高く売るためのポイントを解説

公開日2025/04/25
更新日2025/05/05

不動産投資の査定で高く売るためのポイントを解説不動産投資をしているオーナー様の中には、今まさに「売り時だ」と感じている方も多いのではないでしょうか。
不動産価格が高騰している今、売却を検討するのは賢明な選択と言えます。
しかし、実際に売却を進めるにあたっては不安や疑問が浮かんでくることもあるはず。
✅査定額が予想より低くて困っている
✅どの不動産業者に依頼すればよいか迷っている
✅売却のタイミングをどう決めるべきか悩んでいる
実は、不動産投資の売却は「準備」が成功の鍵を握ります。
戦略を間違えなければ、手元に残る金額には数百万円の差がつくこともあります。
本記事では投資用不動産の売却に必要な査定のポイントや準備方法、最適な業者の選び方を専門家がわかりやすく解説します。
売却を成功させるためには、賢い準備から始めましょう。

不動産における「査定」とは?

投資用不動産を売却する際、知りたいのは「いくらで売れるのか」という点です。

「いくらで売れるのか」を知るために必要なのが「査定」です。

査定とは不動産会社の専門家が物件の立地や築年数・建物の状態、家賃収入や空室率といった収益性までを総合的に評価し、想定される売却価格を算出するもの。

見た目が似ている物件でも収益性の差で価格が変わることはよくあります。

査定価格は売却の出発点であり資産戦略の判断材料にもなります。

現在の価値を把握し、複数社に査定を依頼することが高く売るための第一歩でしょう。

実際の売却価格と異なる査定価格

査定価格と売却価格が一致することは、意外と少ないのが現実です。
理由は査定が「相場と物件の状態から導き出される目安」である一方で、売却価格は買主の希望や交渉・タイミングなど様々な要因によって変動するためです。

例えば、物件の査定価格が3,000万円だったとしても買主側の事情や市場動向・競合物件の存在などにより、実際に売れる価格が2,800万円だった…ということもよくあります。

逆に需要が集中して思いがけず高く売れるケースもあるため、査定価格は「参考値」として捉えておくのが賢明です。
査定価格は売却戦略を立てるうえで非常に重要な指標です。
複数社に査定を依頼し、見解を比較することで自分の物件が「市場でどの程度評価されているか」を把握できます。

高く売りたいと思うなら、複数社に査定を依頼した情報をもとに根拠ある価格設定と売却の準備を進めることが大切です。

査定の主な目的

査定を受ける目的は「売却価格の目安を知る」だけではありません。
投資用不動産では査定を通じて、物件の収益性や将来的な価値・リスク要素を冷静に見直す機会にもなります。

資産の棚卸しのような役割も果たしているのです。
例えば長年所有している物件が、今どれくらいの価値を保っているかを知るだけでも意味があります。
今の賃料が適正かどうかを確認すれば「持ち続けるべきか?」「売却して他の資産に変えるべきか?」といった判断の材料になります。

不動産会社によっては、査定時に売却戦略のアドバイスも受けられるため「どうすれば高く売れるのか」「どんな時期がベストか」といった実践的な情報も手に入ります。
無料で査定を受けられるサービスも増えているため情報収集のひとつとして、気軽に活用してみるのもおすすめです。
最高の無料査定先を見つけることができれば、売却もスムーズに進みます。

収益物件の査定方法

収益物件の査定では、単なる見た目や築年数だけでなく「どれくらいの収益が見込めるか」が重要な評価軸になります。
査定方法にも独自の視点が取り入れられており、物件の特性や目的に応じて複数の手法が使い分けられます。
本章では3つの査定方法を紹介します。
✅取引事例比較法
✅収益還元法
✅原価法
それぞれの特徴を知っておくことで、ご自身の物件がどのように評価されているかを理解しやすくなります。

1.取引事例比較法

取引事例比較法は「過去に売買された類似物件の価格」を基準にして査定額を算出する方法です。
収益物件の査定においても広く使われており、物件の立地や築年数・構造・規模などが似た不動産の売却実績をもとに、現在の価値を割り出します。

取引事例比較法の大きなメリットは、市場の動きをリアルタイムで反映しやすい点です。
たとえば周辺エリアで同じようなマンションが4,000万円で売れていれば、自分の物件もそれに近い価格で取引される可能性が高くなります。

ただし比較できる取引事例が少ない場合や物件の個別性が強いときは、査定額にブレが出やすくなる傾向もあります。
他の査定方法と併用して判断するケースが一般的です。
取引事例比較法は、今の市場価値を「相場」という視点から把握するのに非常に有効な方法です。

2.収益還元法(DCF法・直接還元法)

収益還元法は、投資用不動産の査定で特に重視される手法です。
物件が将来どれだけの収益を生み出せるかをもとに、価値を金額として算出します。
不動産を「収益を生む資産」としてとらえる投資家視点に立った評価方法です。
主な手法は次の2つです。
直接還元法:年間家賃から経費を引いた純収益を利回りで割って価値を算出

DCF法:将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価

直接還元法はシンプルで使いやすく、DCF法はより精密な分析が可能です。
収益力を軸にした評価は、査定額に納得するための大きなヒントになります。

3.原価法

原価法は物件を「新しく建て直すとしたらいくらかかるか」という再調達価格をベースに、経年による劣化分(減価)を差し引いて査定額を出す方法です。
建物の価値を客観的に評価するうえで、一定の根拠がある手法です。

原価法は特に新築や築浅の物件、市場での取引事例が少ないケースで使われることが多くなります。
しかし投資用物件の場合、家賃収入などの収益面が重要視されるため単独で原価法だけを使って査定するケースは多くありません。
建物の価値を再確認するための補助的な資料としては、十分に役立ちます。
たとえば老朽化が進んでいる物件であっても建物自体に修繕やリノベーションの可能性があれば、価格交渉がしやすくなることもあります。

査定額に影響を与える5つのポイント

投資用不動産の査定額は、建物の広さや新しさだけで決まるものではありません。
さまざまな要素が関係していて、それぞれが評価に大きく影響しています。

(1) 物件の所在地・立地
(2) 築年数・建物の状態
(3) 家賃収入・利回り
(4) 管理状態・修繕履歴
(5) 金融機関の評価のつきやすさ
本章では査定額に特に影響を与える5つのポイントを紹介します。

(1) 物件の所在地・立地

査定額を左右する最も大きな要素のひとつが物件の「立地」です。
駅から徒歩圏内かどうか、周辺にコンビニやスーパー・病院といった生活利便施設が整っているかといった点は大きく評価に影響します。
再開発エリアや大学・工業団地の近くなど、将来的に人口が増える見込みがある地域も評価が高くなりやすいです。
一方で同じ都内でも郊外のエリアや交通アクセスが不便な場所になると、賃貸需要が限定的になり、査定額が下がることもあります。
収益物件は「住みたい人が多い場所」にあるかどうかが鍵になるため、エリア特性を正しく理解することが重要です。

(2) 築年数・建物の状態

築年数も査定の際に重視されるポイントですが、重要なのが「建物の状態」です。
築20年を超えていても定期的なメンテナンスが行われていたり、外壁や共有部の清掃・修繕がきちんとされている物件は高評価につながりやすい傾向があります。
一方でリフォームについては物件タイプによって評価のされ方が異なります。
ファミリータイプのマンションでは室内の改装が査定にプラスに働くことがありますがワンルームタイプの場合、リフォームの影響は限定的です。
ワンルームは投資目的で選ばれることが多く入居者も頻繁に入れ替わるため、内装の状態にこだわらない傾向があるからです。

(3) 家賃収入・利回り

収益物件では「毎月いくらの収入があるか」がポイントです。
現時点での家賃収入が安定している物件は将来の収益見込みが立てやすいため、査定額も高く評価されやすくなります。
利回りに関しても、運営費や空室リスクを差し引いた「実質利回り」に注目する傾向があります。
数字が良ければ良いほど「投資効率の高い物件」とみなされ、高額査定の可能性が高まります。
長期間安定して賃貸が続いている履歴があると投資家からの信頼性が高まります。
賃貸管理会社の対応状況や入居者トラブルの有無なども、間接的に査定に影響するポイントとなります。

(4) 管理状態・修繕履歴

建物の「見えない部分」こそ、査定額に大きく影響することがあります。
共用部の清掃が行き届いているか・ゴミ置き場やエントランスの整備状況はどうか、といった管理状態の良し悪しは物件の印象を大きく左右します。
特に評価されるのは「長期修繕計画」があるかどうかです。
長期修繕計画は今後どのように建物を維持していくかをまとめた計画書で、長期修繕計画があれば物件の価値を長く維持しやすいと判断され、査定でも好評価を受けやすくなります。
さらに定期的な外壁塗装や防水工事の実施記録があると、物件の安心感にもつながります。

(5) 金融機関の評価のつきやすさ

投資用不動産を売却する際、買主が融資を利用するケースがあります。
「金融機関から担保評価がつきやすい物件かどうか」も間接的に査定額に影響します。
評価がつきやすければ融資が通りやすく買主にとっても購入のハードルが下がるため、売却もしやすくなるのです。
逆に築年数が古すぎる・構造が特殊・エリアの評価が低いといった理由で担保評価が低いと融資が難航し、査定額が抑えられてしまうことがあります。
金融機関の評価が査定額に与える影響は売主側が見落としやすいポイントです。
購入希望者がスムーズに融資を受けられる物件かどうかは売却のしやすさにも直結しており、売却戦略を考える上で重要な視点となります。

査定を依頼する方法

不動産査定を依頼する方法は2つあります。
目的や状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
✅不動産会社に直接依頼する方法
✅一括査定サイトを活用する方法

本章では査定依頼の2つの方法の詳細について紹介します。

不動産会社に直接依頼する

不動産査定を依頼する一般的な方法は、不動産会社に直接依頼することです。
直接依頼には3つの特徴があります。
✅投資物件専門業者を選ぶ
一般的な仲介業者よりも投資物件に特化した業者のほうが、物件の収益性やマーケットの動向に精通しています。
より正確な査定が期待できます。

✅売却戦略とアドバイス
投資家向けに提供される戦略やアドバイスも非常に有益です。
専門性の高い業者を選ぶことで物件の収益性や特徴をしっかり評価し、売却後のアフターフォローも安心です。

✅アフターサポートの充実
専門的な業者は売却後の手続きや必要な対応についてもサポートしてくれるため、安心して任せられます。

一括査定サイトを活用

一括査定サイトを利用する方法は便利で複数の業者に同時に査定を依頼できるため、時間を節約できます。

メリットは3つです。
✅複数社から査定結果を受け取れる
一度に複数の業者から査定結果を得ることができ、市場価格や相場感覚を把握するのに役立ちます。

✅手軽に比較できる
複数の査定額を簡単に比較できるため、適正価格を確認しやすくなります。

✅業者の選定が容易
複数の業者の査定結果を一目で比較できるので、最適な業者を選ぶ際に便利です。

注意点として相場より高い査定額を提示する業者もあるため、慎重に選ぶことが求められます。

【注意点】査定額だけで判断しない

査定額が高いからと言って、必ずしも良い業者とは限りません。
高額な査定額を提示する業者の3つの注意点。
✅実際の売却時に値引きされる可能性
査定額より大幅に値引きされることがあるため査定額だけで判断せず、他の要素も考慮することが重要です。

✅販売戦略の確認
売却戦略や手数料・アフターサポートの内容をしっかり確認しておきましょう。
売却の成功に大きく影響します。

✅信頼できる業者選び
複数の査定結果を比較し納得のいく選択をすることが後悔のない売却に繋がります。

高く査定してもらうためのポイント

不動産を高く査定してもらうためには物件の強みを最大限に引き出し、査定額を上げるためのポイントを押さえることが重要です。
物件の収益力や売却タイミング・市場環境を適切に把握し、しっかりアピールすることで高額査定を引き出せる可能性が高まります。
✅収益力をアピールする
✅市場が上昇しているタイミングで売る
✅複数の業者に査定依頼する
本章では、3つのポイントを詳しく紹介します。

収益力をアピールする

収益物件の場合、査定を依頼する際には物件がどれだけ安定した収益を生み出しているかをアピールすることが大切です。
✅入居率の提示
高い入居率は、安定した収益が得られている証拠です。
過去の入居率データを提供しましょう。

✅賃料推移
賃料が過去に安定しているか、または上昇している場合、資料として示すことで物件の価値が高く評価されます。

✅周辺相場との比較
賃料が周辺の市場相場よりも高い場合、または空室リスクが低い場合は、強調しましょう。

情報をしっかり伝えることで物件の収益性が非常に高いと印象づけることができ、査定額を引き上げる効果が期待できます。

市場が上昇しているタイミングで売る

不動産市場は常に変動しており売却タイミングが査定額に大きく影響します。

市場が上昇している時期に売却を行うことで高値で売却するチャンスが広がります。
✅都市開発やインフラ整備が進むエリア
不動産価格が上昇しやすいため、高く売れるチャンスが増えます。

✅人口増加が見込まれる地域
住宅需要が高まり、物件価格が上昇しやすいです。

✅低金利時期や投資家の活発な動き
売却を有利に進めることができます。

市場環境を見極め最適なタイミングで売却することで、高額査定を得やすくなります。

複数の業者に査定依頼する

高い査定額を得るためには、複数の業者に査定を依頼することが重要です。

✅複数の視点を得る
一社の査定だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼することで、さまざまな評価基準を知ることができます。

✅査定額の比較
複数社の査定額を比較することで、物件の市場価値を正確に把握できます。

✅最適な業者を選ぶ
査定額が大きく異なる場合、業者ごとの評価ポイントや戦略を確認し最適な業者を選ぶことができます。

複数の業者に査定を依頼し、最も適正で高い評価を受ける業者を選ぶことで売却価格を最大化することができます。

まとめ

不動産投資の売却は重要なターニングポイントです。
本記事で得た情報を基に、一歩先を行く戦略を立ててみてはいかがでしょうか。
不安や疑問を持ったまま進めるのではなくプロのアドバイスを受けることで、より良い決断に繋がります。
専門家の意見を参考にすることで安心感が持て、次のステップに自信を持って進むことができます。
ぜひ気軽にご相談いただき、ご自身の投資を最大限に活かしてください。

株式会社FGHは全国のワンルームマンション売却に特化した収益不動産の仲介業者です。

過去10,000件以上の取引実績、最新の取引事例、今後の経済情勢も踏まえ、お客様の様々な状況にあったオンリーワンプラン型のコンサルティングをさせて頂きます。

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高橋 咲百合
コラム監修 高橋 咲百合
資格

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / インテリアコーディネーター

プロフィール

マーケティング部

新卒以来、不動産業界・建設業界に一貫して従事し、投資用ワンルームマンションの売買・管理・活用に関する豊富な実務経験を積む。
専門知識を活かしつつ、初心者の方にもわかりやすく情報を届けることをモットーに、コラム執筆や監修にも携る。
プライベートでは2児の母。家庭でも「お金の大切さ」を子どもと一緒に学びながら、楽しく金融教育に取り組んでいる。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。

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