
今回は投資用不動産の売買に関する、引渡しと残代金の決済を円滑に進めるコツについて解説していきます。
結論から言うと、「事前準備を入念に行い、漏れがないようにすること」がすべてです。
不動産売買の決済とは
不動産売買における「決済」とは、売買契約書に記載の期日までに、買主が売主に契約時に支払った手付金を引いた売買代金(以下「残代金」と記載)を支払い、売主が物件を引き渡すことです。
同時に行う所有権移転登記の手続きは、通常、司法書士に依頼をし、決済日当日は司法書士も同席するのが一般的です。
決済までにやっておくこと
■売主側が用意するもの
・登記識別情報通知書(または権利証)
・印鑑(実印)
・印鑑証明書(3か月以内のもの)
・委任状
・固定資産税評価証明書
・本人確認書類(運転免許証など)
・鍵、ポストダイヤルの番号、その他設備に関して引き継ぐもの
・賃貸借契約書の原本又はその写し(賃貸中の場合)
・区分所有者変更届(区分所有建物の場合)
・領収書
万が一、登記識別情報通知書(権利証)を紛失している場合は、事前に司法書士に依頼をしておけば、費用はかかりますが証明書を作成して登記手続きを行うことが可能です。
また、売主のローンが残っている場合は、抵当権の抹消手続きが必要になります。
事前に金融機関と連絡を取り、抹消書類の受け取り方法や当日の手続きについて確認しておきましょう。
金融機関によっては特定の日にちでしか対応できない場合もあり、準備に時間がかかることがあります。
そのため、早めに確認・手続きを進めておくことが大切です。
決済日当日に抵当権の抹消ができないと、決済が成立しないため、不動産会社が手配する司法書士に手続きを依頼するのが一般的です。
■買主が用意するもの
決済日に残代金を支払うため、ローンを利用する場合は本審査を完了させたうえで、融資実行日を調整し、残代金の準備を進めておきます。
資金の準備に加えて、以下のものが必要です。
・印鑑(実印)
・印鑑証明書(抵当権を設定する場合、3か月以内のもの)
・住民票(登記用)
・本人確認書類(運転免許証など)
・ローン契約書類(利用する場合)
決済当日の流れと必要なこと
決済当日は、以下のような流れで進んでいきます。
1. 司法書士による本人確認と書類の確認
2. ローン融資の実行(利用する場合)
3. 残代金の支払(買主 → 売主)
4. 領収書の授受
5. 司法書士・不動産仲介会社への報酬の支払
6. ローン完済・抵当権抹消
7. 所有権登記手続き
8. 鍵や必要書類の引渡し
決済日は手続きが多岐にわたるため、万が一のトラブルにも対処できるよう、平日の午前中に実施されることが多いです。
円滑に決済を完了させるためにも、当日に必要な書類を忘れず持参し、事前に内容をしっかり確認しておきましょう。
やむを得ずご本人が決済に立ち会えない場合は、代理人による対応も可能です。
この場合、以下の書類を事前に用意しておく必要があります。
・委任状(実印で押印)
・代理人の本人確認書類
・場合によっては追加の確認書類(司法書士の判断による)
代理人対応を希望される場合は、必要書類や手続きの確認のためにも、早めに司法書士や不動産会社に相談しておくことをおすすめします。
思わぬトラブルを防ぐために
決済当日は手続きが立て続けに行われるため、ちょっとした準備不足が思わぬトラブルにつながることもあります。
実際にあった例として、登記識別情報通知書(権利証)を当日忘れてしまい、急いで自宅に取りに戻ることになったケースや、ローン返済用の口座が生活費の引き落としと兼用で、決済直前に残高不足が判明し、急遽資金を用意してもらったといった事例がありました。
どちらも事前に確認していれば防げた内容です。
こうしたトラブルを避けるためにも、書類の確認や資金の準備は前日までにしっかり行い、当日は時間に余裕を持って臨むことをおすすめします。
まとめ
決済と引渡しの日程調整や書類などのセッティングは、仲介を依頼した不動産会社が行うため、基本的には不動産会社に任せれば大丈夫です。
ただし、当日持参すべき書類の準備や忘れ物には注意が必要です。
事前の準備をしっかり行い、当日は流れに沿って落ち着いて対応すれば、取引はスムーズに完了します。
不安な点がある場合は、遠慮せずに仲介会社や司法書士に相談しましょう。
株式会社FGHは全国のワンルームマンション売却に特化した収益不動産の仲介業者です。
過去10,000件以上の取引実績、最新の取引事例、今後の経済情勢も踏まえ、お客様の様々な状況にあったオンリーワンプラン型のコンサルティングをさせて頂きます。

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / インテリアコーディネーター
株式会社FGH マーケティング部
新卒以来、不動産業界・建設業界に一貫して従事し、投資用ワンルームマンションの売買・管理・活用に関する豊富な実務経験を積む。
専門知識を活かしつつ、初心者の方にもわかりやすく情報を届けることをモットーに、コラム執筆や監修にも携る。
プライベートでは2児の母。家庭でも「お金の大切さ」を子どもと一緒に学びながら、楽しく金融教育に取り組んでいる。