「売却仲介手数料が無料」をどう捉えるか?
マンションを売却するために不動産仲介業者へ依頼をすると・・
成約時に手数料として成約価格の3%+6万円+消費税分を請求されるのはご存知の方も多いと思います。
例えば・・
2000万円の取引きなら72.6万円、5000万円の取引きなら171.6万円
500万円であれば23.1万円です。
決して安い金額とは言えない額ですので、これが”無料”となればなんだか得をした気がします。
じつは、どこの不動産業者と媒介契約を結んでも「レインズ」という仲介業者の物件情報を共有するシステムに登録します。(一般媒介だと登録しない場合も多々あります)
多くの不動産業者たちは、このレインズを見て現在市場に出ている物件の一覧を入手できます。
カンタンに言ってしまうと媒介契約をするということは・・”オークションに不動産を出品した”こととほとんど同義といえます。
不動産業者はそれぞれの営業リソースによって購入希望者の情報を保有しています。
その物件が魅力的であればたくさんの購入希望が入り、結果高い金額で成約することがあります。
インターネットで「仲介手数料無料」と検索すると・・2020年5月現在、たくさんの不動産業者が表示されます。
それがどこの業者であれ”仲介手数料”が収入源なのに変わりはありません。
彼らはどのようにして収益を上げるのでしょうか?
「売主仲介手数料無料」の業者は、自分たちで買主を見つける「両手仲介」を成立しなければ手数料収入がなくなってしまうため他社(いわゆる客付け業者)からの問合せがあったとしても理由をつけて断ることになります。
そうなると・・売却仲介手数料無料の業者の顧客だけが参加できるオークションのような状態・・と、例えると伝わりやすいでしょうか。
果たしてプレイヤーの少ないオークションとプレイヤーの多いオークションどちらで良い値が付く確率が高いでしょうか?
どんな業者であれ、利益を生むことが出来なければ企業が存続していくことは出来ません。
全ての情報が開示されていない不動産取引の世界ですから不可能なのかもしれませんが仲介手数料無料の成約事例と仲介手数料を支払った成約事例を統計上必要数用意できたなら・・平均的には「仲介手数料分以上程度」の価格差が出ることになるでしょう。
なぜなら、「売主仲介手数料無料」で募集する業者は1件取引当たりのコストをかけずに高回転で取引を成立させる代わりに「買主の仲介手数料のみ」で収益を上げる構造なわけですから早期に売却が出来る「価格的優位」を求められます。
その「価格的優位」は仲介手数料よりも少額で収まるのでしょうか?
曲がりなりにも販売コストをかけずに売ることが必須の「売主仲介手数料無料」ですから本来支払う予定であった仲介手数料の分以上に物件価格が安くなってしまうのは当然かもしれません。
それでも”無料”というキーワードには人を引き付ける力があります。
「タダより高い物はない」と昔から言われていることですが・・「タダに越したことはない」の気持ちが勝ってしまう心理を突いた、とてもよく出来た集客法だと思います。
このコラムを書いている人
高松 大樹
営業三部部長・執行役員 1986年生まれ 埼玉県育ち 2010年2月よりフォースグループで投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。中古ワンルームを中心に800件に迫る成約実績。 イレギュラー案件の交通整理も得意。実体験からモアベターな選択を提案致します。 保有資格:宅地建物取引士
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