不動産投資に頭金はいくら必要?自己資金なしで成功する可能性は…
【目次】
不動産投資において頭金はいくら必要?
不動産投資を0円から始めるのは不可能ではありませんが、0円から始める不動産投資にはリスクが大きいのが現実。
正直なところ、ある程度の頭金は用意しておいた方がいいでしょう。
不動産投資において頭金は、最初に必要となる自己資金。
一般的に頭金は不動産購入価格の3割程度だと言われているので、5,000万円の物件の購入には、1,500万円の自己資金が必要です。
自己資金を元に購入できる物件の目安は、以下のようになります。
自己資金500万円 購入可能物件価格の目安1,600万~2,500万円
自己資金1,000万円 購入可能物件価格の目安3,000万~5,000万円
自己資金2,000万円 購入可能物件価格の目安6,000万~1億円
自己資金3,000万円 購入可能物件価格の目安9,000万~15,000万
500万円貯金しても買える物件の最高額は、2,500万円程度。驚いた人も多いでしょうが、これが現実です。
つまり、欲しい物件の価格帯から貯金を始めるか、貯金額に応じて物件を選ぶしか選択肢はありません。
しかし、「500万円貯めても2,500万円以下の物件しか買えない…」と諦めるのはまだ早い!
今回は、不動産投資に必要な頭金や融資についてのお話と、少額でも不動産投資を成功させる方法についてご紹介します。
不動産投資における自己資金の意味
不動産投資においる自己資金とは、預貯金の減少と金利負担の多寡を意味します。
具体的に説明すると、全額自己資金で物件を購入すると預貯金は減少してしまいますが、金利負担はほぼありません。
一方、フルローンで物件を購入すると、預貯金の増減はありませんが、金利負担が大きくなります。
不動産投資において、預貯金と金利のバランスはとても大切です。
全て自己資金を注ぎ込んでしまうと、キャッシュフローに悪化が生じた時に自己資金を入れるだけの体力がなくなってしまいます。
しかし、フルローンで借り入れを行なってしまえば、金利負担が重くのしかかってしまいます。
そのためある程度の自己資金を入れ、残りを融資で補うのが一番リスクを抑えた投資だと言えるでしょう。
金融機関は、頭金のバランスにより利益と融資リスクの増減を決めます。
投資家が全て自己資金で投資を行なってしまえば、金融機関の利益は0円ですが、リスクもありません。
一方で投資家がフルローンで借り入れを行い、物件を購入すれば、金融機関の利益は最大化されますが、融資のリスクも大きくなります。
金融機関も利益とリスクのバランスを投資家に求める必要があるので、自己資金3割と言うのが融資を行う上での一つの目安となっているのです。
自己資金0で不動産投資を始めるには?
自己資金が一切ない段階でも、不動産投資を始めることは可能です。
まず物件を購入する場合の融資の中にはフルローンとオーバーローンがあります。
通常融資を利用する場合は、3,000万円の物件に対し700万円を頭金として、入れ残りの2,300万円のローンを組みます。
オーバーローンは、自分で頭金を用意する必要があるのです。
反対に、頭金分の資金を用意せず、全てローンで物件を購入することをフルローンと呼びます。
ただし不動産を購入するには、物件の購入価格以外にも、手付金・収入印紙代・銀行への手数料・火災保険代・登記費用・固定資産税などの諸経費がかかります。
フルローンであったとしても、カバーできるのは物件価格のみ。
これらの諸経費を支払うために、自己資金が必要になるのです。
自己資金0円で不動産投資を行うリスク
自己資金0円での不動産投資は可能ではあるものの、リスクが大きいため、あまりオススメできる投資法ではありません。
不動産会社の中には、銀行がオーバーローンを認めていないにも関わらず、書類を改ざんし、物件価格の中に諸経費を含めてしまうケースもあります。
これが問題となってニュースでも取り上げられたため、このようなことをする業者は減りましたが、一部にはまだ違法行為を行う業者がいるのも現実。
宅建業法上では、「手付金は例え1万円でも支払う必要がある」という文言があります。
そのため、手付金までローンで借りることは昔から論議されており、自己資金0円での投資は法律的にはグレーゾーンです。
自己資金0円での投資は、金融機関の融資が厳しいというリスクもあります。
自己資金が全くない状態でスタートすると、退去者が出たり、建物の修繕に費用が必要となった場合、すぐにキャッシュフローが悪化し、ローンの返済が滞る危険性が高いからです。
実際にローンの返済ができなくなり、物件を銀行に差し押さえられ、自己破産した人もいます。
また、銀行がオーバーローンを認めるケースは例外的なので、そもそもローンの審査に通らない可能性の方が高いのです。
自己資金がないのであれば、少額から始めることのできる不動産投資に切り替えて少額投資を行うか、自己資金の3割が貯まるまで待つべきだと言えるでしょう。
少額でも不動産投資を成功させるには?
自己資金0円の投資は勧められませんが、少ない自己資金でも不動産投資を成功させることは可能です。
※ここでの少額とは、100万円以下の自己資金を意味します。
レバレッジ効果を利用する
少額不動産投資は、少ない自己資金で大きな利益を得る”レバレッジ効果”を上手く利用することが成功のカギ。
自己資金が少額であればあるほど、レバレッジ効果は大きくなります。
このレバレッジ効果をうまく利用し、自己資金とローンを併用した不動産投資を行えば、自己資金の何倍もの不動産を購入し、運用することが可能です。
融資額の範疇で利回りの良い物件を購入することさえできれば、自己資金が少なくても高いリターンが獲得でき、ローンを返済していくことができるでしょう。
不動産小口化商品(不動産クラウドファンディング)を利用する
不動産クラウドファンディングでは、一人で収益物件を購入するほどの資金がない場合に、他にも購入したいと考えている人を集めて皆でお金を出し合い、収益物件を購入します。
資金提供者はパトロンと呼ばれ、資金支出額に応じたリターンを得ることができます。
不動産投資クラウドファンディングの場合、賃料収入を出資額に応じて分配することになります。
共有名義で収益不動産を所有するため、登記する際にも所有者の一人として名前が表示されます。
一口10万円程度〜投資可能なので、少額不動産投資として有望です。
不動産投資信託(J-REIT)に投資する
J-REITでは投資家から資金を集め、集めた資金を元手にオフィスビルやマンションなど複数の不動産を購入し、その賃料収入や売買益を投資家に分配します。
投資家はお金を出すだけで物件の選定から購入、運営、売却まで全て運営者である投資法人が行います。
不動産投資クラウドファンディングと似ていますが、不動産投資クラウドファンディングでは”物件の所有者の1人”になれますが、J-REITでは物件の所有者はあくまで投資法人になります。
また不動産投資クラウドファンディングでは1つの物件に投資しますが、J-REITでは複数の物件に投資します。
J-REITは証券化されているため、売り買いも自由で流動性も非常に高いのが特徴で、株のように売り買いして売却益を出すことも不可能ではありません。
J-REITも一口10万円程度〜投資できるので、少ない資金で不動産投資を始めたい人に向いている投資方法です。
自己資金はいざという時の保険にする
自己資金が少しでもあると、突発的な設備の不具合による修繕や家賃収入が低下した時に資金を入れるなど、いざという時の保険として使うことができます。
自己資金が少ない場合は、頭金や保険として残しておく資金の割合を、考えてから使うことが大事です。
少額で不動産投資を始めるメリット
早く資産形成・拡大ができる
「自己資金が少ないから貯まるまで不動産投資はできない」と、不動産投資を何年も先延ばしにしていては、資産を作るまでに時間がかかります。
しかし自己資金が少額でも投資をスタートさせると、1つ目の物件のローンを完済した段階で、その物件を担保に2軒目、3軒目と物件を購入することができるので、その分早く資産を形成、拡大することができるでしょう。
年齢が上がれば融資を受けることも難しいので、一般的に不動産投資を始める時期は早ければ早いほうが良いと言われています。
「まだ自己資金が100万円しかないから…」と、貯金が増えるまで待つよりも、今後の収支計画や事業計画が立っているなら、思い切って不動産に投資することで得られるメリットの方が大きいでしょう。
リスクを最小限に抑えることができる
投資額が少ないと、投資に失敗した時のリスクも少ないです。
できるだけローリターン・ローリスクを取りたい人は、少額投資が一番向いていると言えるでしょう。
万一投資に失敗した際も、損失額が少なくて済みます。
投資が上手く行った際は、少ないリターンになるかもしれせんが、その資金を元手に投資対象を増やしていけばいいだけの話。
もちろん、少ない金額でハイリターンを狙うことも不可能ではありません。
手軽に不動産投資を始められる
一般の人が何百万円もの頭金を用意するとなると、何年もの貯金期間が必要となってくるでしょう。
しかし、少額で行う不動産投資であれば、ボーナスを使って投資を始めることができ、手軽にスタートできます。
最初はリターンも少ないですが、投資を繰り返し少しずつ資産を拡大していくことができます。
不動産投資は自己資金と融資のバランスが大切
不動産投資には多額の頭金が必要になってきますが、まとまった額の頭金を用意することができなくても、投資を始めることは可能です。
しかし、全く自己資金がない状態で始める不動産投資は、借り入れが全て借金となってしまうので、失敗した際に多額の借金を背負うことになる可能性も0ではありません。
自己資金と融資のバランスが取れた投資方法を選ぶか、少額から始めることのできる投資から始めるのが一番です。
このコラムを書いている人
マンション経営ラボ 編集者
最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。
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