徹底解説!住宅ローンの基礎知識
【目次】
不動産投資をするなら知っておきたい住宅ローンの仕組み
不動産投資用物件の購入や建築には、住宅ローンを用いることはできません。
しかし、不動産投資ローンを組むうえでも、ローンの基本的な仕組みを知ることは重要です。
ローンの金利や返済方法の仕組みには、共通のルールも多いため、体系的にローンの仕組みを理解することで、不動産投資をする際に必要な資金計画作りに活かせるかもしれません。
そこで本記事では、住宅ローンをベースにしたローンの基礎知識を徹底解説。不動産投資にも活かせる金融の専門用語や仕組みを解説していきます。
住宅ローンにおける金利の種類2つ
この章では、それぞれの金利の特徴と強み・リスクについて、紹介します。
種類1:変動金利
変動金利とは、返済途中に定期的に金利の見直しがされる種類のローンです。
変動は、金利の中でも利率が低く設定されている傾向にあり、半年を目安に金利の見直しがされます。
原則として、金利が下落すると返済額も減り、上昇すれば返済額が増えます。
しかし、半年ごとに金利の見直しがされるからといって、金利の返済額に変動はありません。
一般的に、返済額の見直しは5年ごとに変更されます。
変動金利のメリット
変動金利を選択するメリットは、主に下記の2点です。
・固定金利よりも金利が低い点
・将来的に金利の上昇がなければ、ずっと低金利な点
固定金利の方が金利の変動がないぶん、安心してローンが組めると考える人は多いものですが、実際には変動金利を選択する人の割合が多くなっているとのこと。
それは、固定金利よりも金利が低く、契約期間中に市場の金利変動がなければ、変動金利の方が返済総額を抑えられるからです。
したがって、固定金利の借り入れは、市場によって変動がありませんが、変動金利は市場によって変動するので、低金利の恩恵を期待できるという利点があります。
変動金利のリスク
変動金利には、下記のようなリスクが存在します。
・将来的に金利がアップする可能性がある点
・返済計画がスムーズにいかない可能性がある点
変動金利を選択するにあたって、契約のときよりも金利上昇があった場合、返済総額は増えます。
また、金利がアップするかどうかは見通しがつきにくいので、将来の動向次第では、月々のローン返済の計画が乱れることがあり得ます。
種類2:固定金利
固定金利は、ローンを借りたときに決めた期間の金利が固定できるローンです。
固定金利は、さらに「固定金利期間選択型」と「全期間固定金利選択型」にわけられます。
固定金利選択型は、契約時に3年・5年・10年のように固定金利が適用される期間を選択します。
ですから、たとえば5年を選択した場合は、返済金額が10万円だとしたら5年間は固定金利が10万円のまま変動しません。
全期間固定金利選択型は、契約時点で借入期間中の金利が固定される種類のローンです。
たとえば、フラット35や一部の銀行のローンを指し、全期間固定金利選択型は、金利一律のタイプと金利が段階的にアップする段階金利型の2種類が存在します。
固定金利のメリット
固定金利を選択するメリットは、下記の2点です。
・金利が固定されている安心感がある点
・返済額が変わらないので、返済計画が乱れにくい点
固定金利は、ローン完済までの金利の変動がないため、市場の動向に応じて返済額が膨らむといった心配がなく安心だといえるでしょう。
また、ローンを完済するまでの返済額も一定なので、収支管理がしやすく、将来を見越した家計管理ができるというメリットがあります。
固定金利のリスク
固定金利には、下記のようなリスクが存在します。
・変動金利よりも高めに金利が設定されている点
・今後の市場が低金利で推移した場合、変動金利よりも返済額が多めになる可能性がある点
近年では、ゼロ金利政策が推進されていますが、その恩恵を受ける場合に、固定金利は変動金利に比べてメリットが感じられにくい場合があります。
今後も市場全体で低金利の施策がなされる場合、固定金利の方が支払い総額が大きくなる点に留意しましょう。
住宅ローンにおける2つの返済方法
金利について基本的な仕組みが理解できたところで、次は返済方法について解説します。
住宅ローンには「元利均等返済」と「元金均等返済」の、2とおりの返済方法があります。
方法1:元利均等返済
1つ目の方法は「元利均等返済」です。
元利均等返済は、毎月の返済額が変わらないという特徴があります。
元金と利息を合わせた返済額が変わらないので、返済金額に占める元金と利息の割合が徐々に変化するという返済方法です。
元利均等返済のメリットは、返済額が一定なので、将来の家計支出の予想がしやすい点にあります。
元金均等返済よりも、返済をはじめたときの返済金額が少なめにできる点も魅力です。
ただし、元利均等返済は元金均等返済と比較すると、総返済額が多くなる点に注意しましょう。
方法2:元金均等返済
2つ目の方法は「元金均等返済」です。
元金均等返済は、元金の返済額が一定であるという特徴があります。
元金を返済期間で均等に割った残額に応じて利息を計算し、毎月の返済額を算出する返済方法です。
元金均等返済のメリットは、返済額が返済期間に応じて少なくなる点にあります。
ですから、元利均等返済に比べると総返済額を少なく抑えることが可能です。
デメリットは、返済開始当初の返済額が多く、返済負担も大きい点にあります。
融資の借り入れはじめの時に必要な収入も高くなるので、借り入れできる融資額も少なくなる可能性があるということは覚えておきましょう。
毎月返済とボーナス返済の併用とは?
住宅ローンの返済原資は多くの場合、借り手の給与となるため、返済方法は「毎月返済」と「ボーナス返済」が一般的です。
この章では、毎月返済とボーナス返済を併用する方法について、解説します。
返済を併用した事例
結論からいうと、住宅ローンの返済では、「毎月返済」と「ボーナス返済」を併用することは可能です。
年収に占めるボーナスの比率が高く、ボーナスの安定した支給が期待できる場合、ボーナス返済の併用ができます。
ボーナス返済への振り分けの割合は、借り入れ金額の半分までとする金融機関は多いですが、フラット35や財形住宅融資では借入額の4割となります。
変動金利+元利均等のルール
金利の種類と返済方法が理解できたところで、この章からは変動金利と元利均等返済を組み合わせた場合の重要なポイントについて、みていきましょう。
現在はゼロ金利政策が推進されており、変動金利において低金利が期待できますが、ルールの適用の違いによって、金利上のリスクを伴う場合があります。
5年ルール
5年ルールの金利の見直しは、6ヵ月ごとに行われます。
しかし、返済額は5年間一定であり、5年以内の金利の変動は毎月の元金と理想の割合で調整されます。
つまり、5年ルールでは「金利アップがあっても5年間は直前の元利均等返済を維持する」というルールなのです。
この5年ルールは、返済を継続する資金繰りの面では低リスクだと言えます。
しかし、毎月の元利均等返済額のうち、利息を占める部分が増えるため、予定通りに元本が減らず、完済できないといったリスクがあります。
125%ルール
「金利見直し後の返済額は、前回の125%までしか上昇しない」という、125%ルールと呼ばれている規則があります。
たとえば、毎月の金利返済額が5万円の場合。金利がどれだけアップしても、5年後の返済額の上限は125%の6.25万円です。
ただし、実際は返済額が130%アップしていた場合、残りの5%は支払わなくていいのではなく、次の更新時に返済が繰り越されます。
不動産投資で住宅ローンが使えない理由
ここまでは、住宅ローンの基本的な知識について、概要を解説してきました。
しかし、先述したとおり、住宅ローンは不動産投資には使えません。
この章では、どうして不動産投資で住宅ローンが使えないのかについて、その理由を解説していきます。
理由1:融資目的が違うから
“購入者自身が住むための物件購入費を融資する”目的である住宅ローンと、”賃貸して事業収入を得ること”を目的とした不動産投資ローン。
それぞれのローンは、金融機関にとって、融資をする目的が違います。
融資の目的が異なると、契約内容も異なってくるので、金融機関側からきちんとローンの返済がおこなわれないなどのリスクがあります。
理由2:金利が違うから
原則として、住宅ローンの金利は低く、不動産投資のローンは金利が高い傾向にあります。
その要因の一つとして考えられるのが、ローンが返済される見込みの安定性です。
住宅ローンを組むのは、多くの場合が会社勤めのサラリーマンなので、毎月の給料からローンの返済資金を用意するケースが多いでしょう。
しかし、不動産投資の場合は、家賃収入から得られる黒字部分からローンを返済することになります。
賃貸業や、投資者の支払い能力だけでなく、景気や顧客ニーズに左右されるため、事業の安定性が低いと金融機関から考えられているのです。
したがって、安定性の低い不動産投資ローンは、金利が高く設定されています。
本来の目的とは異なるローンを汎用されると、金利を設定するうえでの整合性が保たれなくなるため、金利の異なるローンの活用は禁じられているのです。
理由3:融資の審査内容が異なるから
通常の住宅ローンと不動産投資ローンでは、融資を受けられるかどうかの審査内容が異なります。
住宅ローンを組む人は、一般的に会社から給料を得ている会社員なので、審査はその会社員がきちんとローンを返済できるかという点を重点的に審査します。
しかし、不動産投資のためのローンは、賃貸事業による利益が出るかどうかが、審査のポイントです。
したがって、投資者自身のステータスだけでなく、物件の収益性も審査では重要視されます。
ゆえに、原則として、住宅ローンよりも不動産投資ローンの方が融資の審査は厳しいと踏まえておいた方がよいでしょう。
頭金と融資との関係性
一般的に、不動産投資の融資を受ける際の頭金の相場は、物件価格の10~30%程度とされています。
この章では、頭金と融資との関係性について、詳しくみていきます。
金融機関からの融資で頭金が必要な理由
投資用物件を購入する際には、多くの人が頭金を用意します。
なぜなら、“頭金を多く用意できる人ほどローンを返済できる能力が高い”と金融機関から判断され、低金利でローンを組めるからです。
また、頭金が多いほど、その後の返済額も少なくなるメリットがあります。
このように、頭金のような少額資金を利用して多くの資金を動かす仕組みは「レバレッジ」とも呼ばれ、投資用不動産を購入する際の大きな元手がない人でも、不動産を購入できる代表的な手法としてよく強調されています。
頭金が不要のフルローンとは?
頭金を準備しなくても、融資が受けられる方法として「フルローン」があります。
フルローンは、物件の購入金額を借り入れですべてまかなうというローンのこと。
このシステムは、頭金を準備できない投資者にとって非常に魅力的な手法ですが、返済額が大きくなる点や、返済期間が長期に及ぶというデメリットもあります。
気軽に借り入れができる反面、このようなリスクもあるため、事前にしっかりとした返済計画を立てることが重要です。
不動産投資をやめようと思っても物件を売却しても、物件の売却価格によってはローンを返済しきれない場合もあるので、注意が必要です。
オーバーローンとは?
オーバーローンとは、物件の購入金額以上の融資を受けるローンの方法です。
とくに、物件の購入価格だけでなく、購入に関係する諸経費も含めて融資を受けるローンをいいます。
ただし、オーバーローンを組むということは、金融機関から物件購入価格以上の融資を受けるために、不動産会社側が虚偽の書類を提出するということになります。
したがって、不動産会社からオーバーローンを勧められた場合は、提案内容に疑わしい詐欺的な事項が含まれている可能性がありますので、注意が必要です。
またオーバーローンを組む際には、オーバーローン以外のローンと同様に、売却価格によっては物件を売却できたとしても、ローンは残ってしまう可能性があります。
元手ゼロで不動産投資がはじめられるとはいえ、リスキーなローンであることを十分に理解しておきましょう。
住宅ローンの基礎知識まとめ
本記事では、住宅ローンをベースにしたローンの基礎知識について、解説してきました。
要点は次のとおりです。
・ローンの仕組みや返済方法について知ることで、自分の資金計画にあった選択ができる
・ローンの特徴を把握できると、リスクや悪徳業者からの罠を避けられる
ローンといっても、その種類や返済方法はさまざま。
オーナー自身が契約のルールを把握していないと、思わぬ損失や賠償金を請求される危険性もあります。
不動産投資をする上でローンを組もうとしているのであれば、是非本記事を参考にして、今一度ローンの基礎知識について確認してみてはいかがでしょうか。
このコラムを書いている人
マンション経営ラボ 編集者
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