医療費控除特例制度 -セルフメディケーション税制-

公開日2022/01/18
更新日2022/12/24

薬
2022年度も始まりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
 
1月は行く・2月は逃げる・3月は去る…との言葉通り、あっという間に過ぎてしまうかと思いますが、そろそろ確定申告の時期が近づいてきます。
 
2022年度の確定申告時期は、例年通り2月16日から3月15日です。
 
さて、確定申告のひとつに医療費控除などがありますが、今回はこの医療費控除とかかわりのあるセルフメディケーション税制について取り上げてみようと思います。

セルフメディケーション税制とは?

医療費控除とは、1年間に10万円以上の医療費を支払った場合に200万円を上限として受けられる控除のことで、扶養している家族の医療費も控除対象となります。

セルフメディケーション税制は、この医療費控除の特例として2017年1月からスタートしました。
 
対象となるOTC医薬品の1年間(1月から12月)の購入費用が12,000円を超えた場合、超えた額が所得控除の対象となります。
 
もともとは2021年12月までの適用期間となっていましたが、改正により2022年以降5年間の延長がされたほか、申請手続きの簡略化や対象商品の見直しが行われたことで、より利用しやすくなりそうです。
 
対象者は、「健康の維持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人」とされているので、会社の健康診断を受けているサラリーマンは当然適用対象となりますね。
 
では、税制度を利用して戻ってくる金額はどれくらいになるのでしょうか?
 
上限12,000円を超えた場合は所得控除の対象となりますが、12,000円を超えた分がそのまま戻ってくるというわけではありません。
 
また、住民税や所得税の減税額は所得によって異なります。
 
あくまでも参考程度ではありますが、下記の例に沿って計算の仕方を見てみましょう。
 
年収所得 400万
所得税率 20%  住民税率 10%
1年間で買った税制対象の市販薬 40,000円
 
まず、課税所得からは 40,000円-12,000円=28,000円が控除されます。
 
次に、所得税と住民税についてみてみましょう。
 
所得税:年間に買った金額-セルフメディケーション税制下限額×所得税率
40,000円-12,000円×20%=5,600円
 
住民税:年間に買った金額-セルフメディケーション税制下限額×住民税率
40,000円-12,000円×10%=2,800円
 
所得税と住民税の合計、8,400円が減額されます。

改正によりどう変わったのか?

では、改正されたことで、セルフメディケーション税制はどう変わったのでしょうか。
 
【改正前】
・健康のための「一定の取り組み(予防接種等)」に関する書類は確定申告書への添付が必要
・医薬品購入費は明細を添付
・対象品は、医療用医薬品からOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC)
 
【改正後】
・「一定の取り組み」に関する書類の確定申告書への添付は不要
・医薬品購入費は明細を添付(「一定の取り組み」に関する事項を明細に記載)
・対象品は、医療用医薬品からOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC)に加え、外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用点鼻薬、鼻炎用内服薬、抗ヒスタミン薬又はその他のアレルギー用薬としての効能又は効果を有すると認められるOTC医薬品(2022年1月購入分から適用)税制商品なのかどうかは、商品や購入した時のレシートにも記載されています。
 

まとめ

「2月中旬までまだまだ…」と思うかもしれませんが、去年薬品を購入したレシートを今一度見返してみると、案外大きな金額になっている可能性があります。
 
そんなときは、ぜひこうした控除制度を利用してみてはいかがでしょうか。

このコラムを書いている人

aihara

aihara

東京都府中市生まれ 2級ファイナンシャルプランニング技能士

関連する記事