不動産投資コラム:賃貸経営に人口減少が与える影響とは?

公開日2018/11/02
更新日2022/12/19

渋谷スクランブル交差点
 

【人口推測による考察】

東京都政策企画局による、国勢調査を基に予測された東京都の人口は2025年にピークを迎えるとのこと。
 
多摩地区などを除く区部だけでの推測は2030年がピークとなり、東京都全体でみるより5年後になるが人口減少が進むことに変わりはない。
 
若い世代は増えていくのでは?と思われる方も多いと思うが、そうではない。
 
生産年齢人口(15歳-64歳)も2025年を境に減少していき、高齢化と騒がれているように老年人口(65歳以上)は今現在も増加中である。
 
1Rマンションに住む人は生産年齢世代と考えると、生産年齢人口減少は不動産投資家にとって無関係とは言えなくなる。

 

【賃貸経営に人口減少が与える影響とは】

1Rマンション経営では生産年齢世代(15歳-64歳)のうち、単独世帯が対象となることが大半かと思うが、2015年の統計では237万世帯で2025年までは増加し250万世帯になるとされている。
 
その後は減少していき、2035年に243万世帯、2045年に216万世帯、2055年には194万世帯とされている。
 
今現在でさえ空き家が問題視されているなかで、1Rマンションを借りる世帯が今現在よりも約40万も減少してしまうとなると、ただ事ではない。
 
今なお新築マンションは建設され続け、低金利やオリンピック開催を追い風に高額で販売されていると同時に低年収のサラリーマンでもいとも簡単に不動産オーナーになれてしまう不動産投資ブームが起きた。
 
頭金0円35年ローンで購入されている方も非常に多く存在する。頭金をほとんど入れていないため月額のキャッシュフローはというと、新築時でトントンもしくは若干のプラス程度だろう。
 
新築時のプレミアム賃料が取れなくなる5年後にはマイナス収支となっていることが大半である。
 
35年間、返済額は基本的に変わらないが賃料収入は経年劣化とともに減少するため返済に追われるオーナーが続出することが予測される。
 
そうなってくると我先にと賃貸をつけるために賃料を下げてでも募集をするだろう。
 
これが賃料相場下落に繋がるため、不動産投資家にとっては痛い。
 
人口減少が進み、賃貸付けの競争率が激化していくなかで、賃料下落という事態が重なれば、本来安全であるはずの不動産投資にうま味がなくなってしまう。

 

【リスクの最小化と背伸びはしない】

人口が減少することや、賃料が下落するためというわけではないが、不動産経営もそれなりのリスクを負う立派な投資。
 
ある程度の資金(キャッシュ)を投入しなければ安全に運用していくことは難しい。
 
新築マンションについては、投資としての資産価値以上の値段設定なので新築価格で購入をしてしまうと数年後には大惨事となることが予測されるため購入はおすすめできない。
 
やはり、それなりのキャッシュを用い中古物件を買うことが前提で、なおかつ立地条件を選別しなければならない。
 
更に大事なのは身の丈以上の物件を購入しないことが大切。
 
物件を購入する前には、その物件を購入するにあたり背伸びをせずしっかりと地に足をつけた状態で運営していけるかどうか見極めなければならない。
 
自身の年収に応じた価格帯で、空室期間のローン返済も無理なくこなすことができるよう設定しておくことが大切である。
 
一番危険なのは、今後入ってくるであろうキャッシュをあてにした購入だ。
 
ローンで購入した場合、生活にゆとりがある限り繰り上げ返済をしていくことは理想的だが、購入時点で端から退職金や生命保険の返戻金をあてにした購入は痛い目に遭うケースが多く、自身が数十年かけて積み上げてきている汗と涙の結晶の使い道を今から決めてしまうのは何とも言えない行動だ。
 
不動産を購入する際は、未来ではなく今の自分に見合った物件選びと様々なリスクを事前にしっかりと理解しておくことが必須で、事前対策や計画を立てておくことが重要であり、成功への近道・・・ではなく、失敗リスクの最小化である。
 
そう、よっぽどの富豪でない限り、大事なのは成功することではなく、失敗しないことである。

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このコラムを書いている人

渡邉 幸也

渡邉 幸也

1990年 秋田県鹿角市生まれ 東京都日野市育ち 2013年 株式会社FGH入社。不動産業界歴10年のノウハウを生かし収益不動産のプロフェッショナルとして、数多くの不動産を仲介する。 現在は、投資用不動産の売却・販売など幅広く担当している。 保有資格:宅地建物取引士

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