相続時精算課税制度の特別控除額など7つのポイントを解説!

公開日2024/03/22
更新日2024/03/22

相続時精算課税制度の特別控除

相続時精算課税制度のポイントについて

 

前回の記事はこちら
▶暦年課税と相続時精算課税の違いを詳しく解説!

 
相続時精算課税制度について少しおさらいしてみましょう。
 
① 基礎控除額110万円はない。
② 特別控除額(限度額:2,500万円)がある。
③ 対象となる贈与者は贈与をした年の1月1日時点で60歳以上である父母・祖父母。
④ 対象となる受贈者は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上である子・孫。
⑤ 贈与者ごとに選択できる。
⑥ 一度選択するとそれ以降暦年課税に変更できない。
⑦ 選択した際の課税価格は相続時の課税価格に加算されるため、必ずしも受贈物に生涯税金が掛からないとは限らない。

 
今回はこの7つのポイントの内、②・⑤・⑦についてもう少し触れていきます。ちなみに次のコラムでは相続時精算課税制度を申告する際の申告書や必要書類について解説していくので、興味のある方はぜひ次回もご覧ください。

 

ポイント②特別控除額(限度額:2,500万円)

前回のコラムで「特別控除額(限度額:2,500万円)がある。」と書きましたが、この控除額は暦年課税の基礎控除額1年あたり110万円というルールとは異なり、累計額として2,500万円というルールなのです。
例えば、
2023年受贈額 1,000万円の場合、
特別控除額2,500万円-受贈額1,000万円=特別控除額残額1,500万円
よって、贈与税は0円となります。
 
2024年受贈額 500万円の場合、
特別控除額残額1,500万円-受贈額500万円=特別控除額残額1,000万円
よって、贈与税は0円となります。
 
2025年受贈額 1,500万円の場合、
特別控除額残額1,000万円-受贈額1,500万円=▲500万円(特別控除額残額0円)
よって、贈与税は500万円×20%=100万円
 
以後、特別控除額残額は0円なので毎年の受贈額に対して一律20%の税率が掛かります。
 

ポイント⑤贈与者ごとに選択できる

「贈与者ごとに選択できる」と書きましたが、これは言葉通りの内容です。
例えば、家族構成として祖父母・父・子(1人)だったとして、
祖父・祖母・父⇒相続時精算課税で申告した場合を前述のポイント②の2023年~2025年受贈額を使って説明しましょう。

 
2023年受贈額 1,000万円を祖父から受け取った場合、
特別控除額2,500万円-受贈額1,000万円=特別控除額残額1,500万円(祖父)
よって、贈与税0円になります。
 
2024年受贈額 500万円を祖母から受け取った場合、
特別控除額2,500万円-受贈額500万円=特別控除額残額2,000万円(祖母)
よって、贈与税0円になります。
 

2025年受贈額 1,500万円を父から受け取った場合、
特別控除額2,500万円-受贈額1,500万円=特別控除額残額1,000万円(父)
よって、贈与税0円になります。

 
このような状況になりますので、2026年以降も贈与者次第では贈与税が0円で済むかもしれません。
 

ポイント⑦選択した際の課税価格は相続時の課税価格に加算されるため、必ずしも受贈物に生涯税金が掛からないとは限らない

「選択した際の課税価格は相続時の課税価格に加算されるため、必ずしも受贈物に生涯税金が掛からないとは限らない。」これも言葉通りではありますが、少しイメージしづらいので、ポイント⑤の2025年受贈額を使って説明しましょう。
 
2025年受贈額 1,500万円を父から受け取った場合、
15年後の2024年に父が他界した際に遺産額として3,000万円あったとしましょう。
祖父母はすでに他界しており、相続人は子のみだった場合、
1, 500万円+3,000万円=4,500万円が相続税の課税対象になります。
 
ここまで読むと贈与税は取られなくても、相続税として取られてしまうので相続時精算課税制度になんら魅力がないように思えますが、実際はちょっと違います。続きは次回へ……。

このコラムを書いている人

相馬將志

相馬將志

千葉県出身 お風呂での鼻歌がいつの間にか熱唱にギアチェンします。 保有資格:宅地建物取引士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士/マンション管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/簿記2級

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