投資用マンションの査定を成功させるための完全ガイド|高く売る秘訣と注意点を解説

公開日2025/05/29
更新日2025/05/29

投資用マンションの査定を成功させるための完全ガイド
最近の不動産市況は、半年から1年という短いスパンで大きく変化しています。金利動向や賃貸需要、資産価値の変動など、投資用マンションの「出口戦略」を考えるうえでタイミングの見極めがますます重要になっています。
 
そんな中で有効なのが、無料査定を活用して「いま売るべきかどうか」を客観的に判断することです。
本記事では、無料査定を依頼する前に準備しておきたいポイントや、査定時の注意点について詳しく解説します。

投資用マンションの売却・査定の基本

投資用マンションの売却を成功させるには、まずその特性や査定方法の基本を理解することが重要です。ここでは、投資用マンションがどのような物件を指すのか、そしてその価値がどのように算出されるのかについて解説します。
 

投資用マンションとは

投資用マンションとは、入居者から家賃収入を得ることを目的に購入したマンションのことで、大きく分けて区分マンションと一棟マンションの2種類があります。
 
区分マンションは、マンションの一室を所有する形態で、比較的少額から投資を始められます。専有部分はオーナー様が直接管理し、共用部分については管理組合が維持管理を行う点が特徴です。
 
一方、一棟マンションは、マンション全体を所有する形態です。規模が大きいため多額の資金が必要になりますが、その分、高い収益が期待できます。建物全体の運用や管理の自由度が高い反面、修繕や入居者募集、ゴミ捨て場の管理など、オーナー様の責任範囲が広い点が特徴です。
 

査定方法

投資用マンションの査定方法は、おもに以下の3つが用いられます。
✅収益還元法
✅取引事例比較法
✅原価法

収益還元法

将来得られる純収益(NOI)を利回りで割り戻す直接還元法と、キャッシュフローと売却価値を現在価値に割り引くDCF法に大別されます。収益物件では最も重視される方法です。

取引事例比較法

近隣で条件が似た成約事例を基に価格を推定します。築年数や立地など市場性を反映しやすく、相場感を把握するのに有効です。

原価法

同規模の建物を新築する再調達費用から経年減価を差し引いて算出します。特殊物件や比較事例が乏しいケースで用いられますが、市場価格と開きが出ることもあります。
 
これらの査定方法は、単独ではなく複数組み合わせて総合的に判断されます。各産出方法の特徴を理解したうえで適切な査定方法を選択し、物件を正確に評価することが大切です。
 

社長

代表取締役社長
山丸慎太郎

弊社の査定では、主に「収益還元法」と「取引事例比較法」をベースにしています。
過去の取引データはすべて社内のデータベースで管理しているので、成約に至ったケースはもちろん、そうでなかったケースも含めて、数字としてしっかり把握できるんです。

とはいえ、不動産っていうのは、表面の数字だけじゃ測れない部分も多い。
たとえばサブリースの条件だったり、管理費の改定が影響していたり。そういった“今このタイミングならでは”の要素もあるんですよね。

だからこそ最終的な査定では、現場で積み重ねてきた営業担当のバランス感覚をきちんと掛け合わせるようにしています。

その方が、お客様にとっても納得感のある、実際に売れる価格をご提案できると思っているんです。

 

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投資用マンションの市場価格とは?

投資用マンションの市場価格は、帳簿価格とは異なり、様々な要因で常に変動しています。ここでは、市場価格を正確に理解するためのポイントを解説します。
 

帳簿価格と市場価格は違う

帳簿価格とは、物件を購入したときの取得価格を会計帳簿に記録した金額をいいます。
 
この価格は、市場で物件の価値が変動しても、購入時から基本的に変わりません。ただし、建物部分は減価償却によって毎年価値が減少し、減価償却期間が終われば会計上は価値がゼロとなります。一方、土地は減価償却されないため、帳簿価格は変動しません。
 
これに対し、市場価格は実際の不動産市場で取引が成立する価格です。需要と供給、金利動向、景気などの様々な要因によって常に変動します。
 
そのため、帳簿価格と市場価格は必ずしも一致しません。例えば、都心の人気エリアでは、建物の減価償却が進んでも土地の値上がりで市場価格が帳簿価格を上回ることがあります。逆に、人口減少が進む地方では、市場価格が帳簿価格を下回るケースもあるでしょう。
 

サブリースつき物件と市場価格は違う

サブリース契約付きの物件は、一般的な物件とは市場価格の評価が異なります。サブリースとは、オーナー様が物件を不動産会社に一括で貸し出し、不動産会社が入居者へ転貸して家賃保証を行う仕組みです。
 
サブリースはオーナー様の空室リスクを回避できるメリットがある一方、契約内容に更新時の賃料減額や中途解約条項が含まれることが多く、将来的な収益性に不確実性が生じます。
 
そのため、契約内容や残存期間が価格に大きく影響します。また、市場賃料より高い家賃保証がついている場合は、契約終了後の収益低下リスクを考慮し、市場価格が割り引かれるケースもあるため注意が必要です。
 

半年で市場価格は変わる!

不動産市場は半年ほどで価格が動くこともあり、金利政策や資金流入、建築コストなどの要因が影響します。
 
2025年現在は日銀の方針転換で金利が上昇し、利回りの低い物件に売却圧力がかかりやすい状況です。反対に、大規模開発や交通網の整備が進むエリアでは短期間で価格が上昇する一方、災害リスクが高い地域では下落も想定されます。
 
こうした変動を踏まえ、定期的に査定を受けて相場を把握しておくことが、最適な売却タイミングを見極めるポイントです。

査定で見られる7つのポイント

投資用マンションの査定では、単に物件の表面的な情報だけでなく、多岐にわたる項目が総合的に評価されます。ここでは、とくに重視される7つのポイントを解説します。
 

立地と駅距離

物件の立地は、家賃収入や空室率に直結するため、査定において最も重要な要素の一つです。
 
とくに、最寄り駅からの距離、駅の利便性、周辺施設(商業施設、病院、学校など)の充実度は重要なポイントです。さらに都心部に近く、駅からのアクセスが良い物件は高い需要が期待でき、査定額も高くなる傾向があります。
 
2025年現在では、テレワークの普及により住環境の快適さも重視されるため、静かな環境や公園の近さなども査定に影響を与えることがあります。査定前には、最寄り駅や生活利便施設への実際の徒歩時間を確認しておくとよいでしょう。
 

築年数と修繕履歴

築年数は物件の経年劣化を示す指標であり、一般的に築年数が古いほど査定額は下がる傾向にあります。しかし、適切なメンテナンスや修繕が実施されている物件は、築年数の古さをカバーできる可能性があります。
 
とくに重要なのが修繕履歴です。大規模修繕工事や設備のリニューアル履歴は、将来的な修繕コストの予測に影響するため、査定で重視されます。
 

家賃収入と空室率

高家賃で空室が少ない物件ほど収益が安定すると評価され、査定額も上がります。あわせて、空室率の推移や入居者の回転率など安定性を示すデータも重要視されます。
 

管理状況

物件の管理状況は、住環境や資産価値の維持に大きく関わるため、査定において重視されるポイントです。
 
具体的には、マンションの共用部分(廊下、エントランス、ゴミ置き場など)の清掃状況、植栽の手入れ、共有設備の保守点検状況などが確認されます。
 
委託先である管理会社がしっかりしているか、清掃が行き届いているかなど、日々の維持管理の質が問われます。
 

契約形態

現在の賃貸借契約の形態も査定に影響を与えます。
 
普通賃貸借契約であれば、オーナー様が賃料を自由に設定しやすく、売却時も比較的スムーズです。一方で、サブリース契約の場合、賃料の変更や契約解除に制限があるため、その条件が査定に影響を与えることがあります。
 

賃借人の属性

法人契約か個人契約か、学生か社会人か、単身者か家族世帯かなど、入居者の属性によって、賃料の安定性や退去リスクが異なります。
 
一般的に、信用力の高い法人契約や、安定した収入のある社会人の長期契約は、収益の安定性という点で高評価となります。
 
また、入居者の年齢層や職業も重要です。若年層が多いエリアでは入れ替わりが激しいため、低めに評価されがちです。一方、ファミリー層やシニア層は定住志向が強いため、長期契約につながりやすく、高く評価される傾向があります。
 
さらに、外国人入居者の割合も評価対象となることがあります。これは、多様な入居者を受け入れることでリスク分散になる一方、言語やライフスタイルの違いによるトラブルリスクも考慮されるためです。
 
査定依頼時には、現在の入居者構成や、過去の入居者傾向などの情報を提供することで、より適切な評価を受けることができます。
 

物件タイプ

投資用マンションのタイプは、需要層や収益特性が異なるため、査定における重要な評価ポイントです。
 
ワンルームタイプは単身者向け需要が多く、入居率は高い傾向にありますが、入れ替わりが頻繁です。一方、ファミリータイプは入居期間が長く安定した収益が期待できますが、入居者獲得の競争が激しいエリアもあります。
 
また、一棟物件は管理や運営の自由度が高く、将来的な用途変更の可能性もあるため、立地によっては高評価となることがあります。区分所有物件は、マンション全体の管理状況や他の区分所有者との関係性も評価対象となります。
 
査定依頼時には、物件の特徴や差別化ポイントを明確に伝えることで、より適切な評価を受けられるでしょう。

スムーズに査定するために準備しておきたいもの

投資用マンションの無料査定をスムーズに進め、より正確な査定額を引き出すためには、事前の準備が重要です。ここでは、とくに準備しておきたい書類や情報について解説します。
 

レントロール

レントロールは、賃貸マンションの家賃収入や空室状況を一覧にしたものです。各部屋の家賃、共益費、契約開始日、更新日、現在の入居状況(入居中、空室)などが記載されています。これは、物件の収益性を判断するうえで最も重要な書類の一つであり、査定の精度を大きく左右します。
 
査定依頼時には、過去3年程度のレントロールを準備しておくと、収益の安定性や傾向に信憑性を持たせることができるでしょう。とくに賃料の上昇傾向や高い入居率を維持している場合は、積極的にアピールすることで、査定額にプラスに働く可能性があります。
 

修繕積立金の推移

マンションの修繕積立金の推移は、物件の長期的な資産価値を維持するために不可欠な費用であり、査定において重要な指標です。
 
修繕積立金の積立状況や今後の修繕計画が明確であるほど、物件の将来的な価値が判断しやすくなります。
 
とくに、積立金の残高と長期修繕計画との整合性が重要です。残高が少ないにもかかわらず近い将来に大規模修繕が予定されている場合は、査定額に悪影響を与える可能性があります。
 
査定依頼時には、修繕積立金の推移だけでなく、長期修繕計画や修繕履歴の資料も合わせて提出することで、より適切な評価を受けられるでしょう。
 

管理費・共益費の詳細

管理費・共益費の内訳と推移は、管理体制を測るうえで重要な指標です。たとえば清掃費や設備点検費などの費用構成、過去の値上げ幅から効率性を把握できます。支出が適正に管理されているマンションは、収益面でも高く評価されます。
 
一方、費用の使途が非効率、あるいは滞納が目立つような場合は、管理組合の財政悪化が懸念され、査定でマイナス要因となるため注意が必要です。
 

賃貸借契約書

現在の入居者との賃貸借契約書は、必ず準備しておきましょう。契約期間、家賃、特約事項などが明記されており、これらの情報が査定に必要となります。
 
とくに、サブリース契約の場合は、契約解除条件やサブリース会社の信用力なども査定に影響を与えることがあるため、その詳細も確認できるようにしておきましょう。
 

過去の空室期間のデータなど

空室期間の長さや頻度は、物件の需要の強さや入居者募集の難易度を示す目安となり、査定で重視されます。過去の空室データから、季節的な変動や周辺環境の変化による影響も読み取ることが可能です。
 
空室期間と並んで重要なのが、入居者の平均居住期間です。長期間住み続ける入居者が多い物件は、収益の安定性という点で高評価につながります。
 
空室リスクを最小化するための工夫や、長期入居を促進するための取り組みなども伝えるとよいでしょう。

無料査定で注意すべきこと

投資用マンションの無料査定は、売却を検討するうえで非常に有効な手段ですが、いくつか注意すべき点があります。ここでは、とくに留意しておきたいポイントを解説します。
 

一括査定サイトのメリット・デメリット

一括査定サイトは、一度に複数社へ査定を依頼できるという利便性がメリットです。 ただし、多くの不動産会社から連絡がきて対応に手間がかかることや、査定額のバラつきが大きい場合があるといったデメリットもあります。
 
提示額の差が大きいときは、査定の根拠まで必ず確認しましょう。
 

売却を急がせる業者に要注意

無料査定後、売却を過度に急がせる不動産会社には注意が必要です。「今が売り時」といった煽り文句や、不自然に高い査定額を提示する業者は、自社の業績目標など、オーナー様の利益と異なる動機が隠れているケースも考えられます。
 
査定結果を受け取った際は、急かされたとしても冷静に、本当に売却すべきタイミングかどうかを検討しましょう。複数の不動産会社の査定結果を比較し、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
 

査定額と成約額の違いを知る

無料査定で提示される査定額は、あくまで目安であり、実際の成約額と異なる場合があります。査定額は、あくまで不動産会社の市場予測に基づいた「売れる可能性のある価格」です。
 
市場の状況や物件の特性、買主の需要などによって、実際の成約額は上下することがあります。査定額の根拠をしっかりと確認し、成約額とのギャップを把握するよう心がけてください。

投資用マンション査定は「戦略」がカギ

投資用マンションの査定は、単に物件価格を知るための手続きではなく、オーナー様ご自身の投資戦略を練り直し、将来的な利益を最大化するための重要なプロセスです。ここでは、査定を戦略的に活用し、最適な売却タイミングを見つけるためのポイントを解説します。
 

査定=単なる価格提示ではなく判断材料

無料査定は、単に物件の価格を知るだけのものではありません。不動産会社の担当者と話すことで、自身の物件のメリットやデメリット、現在の市場における強みや弱みを客観的に把握できます。
 
また、担当者の専門知識や人柄、そして不動産会社の信頼性を測る機会にもなります。物件の特性を深く理解し、的確なアドバイスをくれる担当者との出会いが、その後の売却活動を大きく左右するでしょう。
 

査定額を見た上での保有判断もOK

査定は、必ずしも売却を前提とするものではありません。査定額を見て、現在の市場価値を把握したうえで、引き続き物件を保有するという判断も十分にありえます。
 
とくに、想定よりも査定額が低かった場合や、将来的な市場価値の上昇が見込まれる場合は、売却を急がずに保有を続けるという選択肢も検討できます。査定は、物件の価値を客観的に評価し、オーナー様自身の投資戦略を再構築するうえでの貴重な情報源と考えましょう。
 

成功する投資は「出口」から始まる

投資用マンションの成功は、購入時の判断だけでなく、「出口戦略」をいかに成功させるかにかかっています。現在の市場環境や将来的な展望を踏まえ、いつ、どのような方法で売却するのが最適なのかを見極めることが重要です。
 
無料査定を通じて物件のポテンシャルを確認し、最善の売却タイミングを見つけることが、結果として投資全体の成功へとつながるでしょう。

まとめ

投資用マンションの売却を検討するうえで、無料査定は非常に有効な手段です。現在の市場価格を把握し、売却のタイミングや戦略を練るうえで欠かせない情報となるでしょう。
 
物件タイプや査定方法を理解し、本記事で紹介した7つのポイント(立地、築年数、管理状況など)を事前に確認することで、より正確な査定額を引き出すことができます。
 
とくに、レントロールや賃貸借契約書などの必要書類は忘れずに準備しましょう。また、不動産会社を選ぶ際は、一社の査定だけで判断せず、複数社の内容を比較するよう心がけてください。一括査定サイトを利用する場合はメリット・デメリットを十分理解したうえで利用することが大切です。
 
査定は単なる価格提示ではなく、ご自身の投資戦略を練り直すための判断材料となります。信頼できる不動産会社を見つけ、最適な「出口戦略」を構築することが、オーナー様にとって最高の不動産売却タイミングを見つけることにつながるでしょう。

株式会社FGHは全国のワンルームマンション売却に特化した収益不動産の仲介業者です。

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山丸 慎太郎
コラム監修 山丸 慎太郎
資格

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー

プロフィール

代表取締役社長

代表取締役社長

2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。

中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。

   

これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。

このコラムを書いている人

Sayuri Takahashi

Sayuri Takahashi

マーケティング部 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャルプランニング技能士/インテリアコーディネーター

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