サブリース物件をオーナーチェンジで売却する方法

公開日2025/06/13
更新日2025/06/13

こんな方におすすめ

  • サブリース物件がオーナーチェンジで売却できるのか疑問に思っている方
  • サブリース物件の売却で損したくない方

サブリース物件をオーナーチェンジで売却する方法
サブリース契約が付いているマンションだと、売却方法によっては手取り額が大きく下がる可能性があることをご存じでしょうか?
マンションを売却する際サブリース契約は大きな足枷となり、場合によって数百万円の損失に繋がる可能性もあるのです。
一体なぜか?
それは、サブリースの仕組みや詳細を知ることで明らかになります。
 
今回は、宅地建物取引士・FP2級の専門家がマンションを売却する際に注意すべき「サブリース」の詳細や仕組み、売却する際の注意点を解説します。
この記事を最後まで読めば、売却を検討しているマンションの「新の価値」を知ることができると共に、最高額で売却ができるまでの方法を知ることができます。

サブリース契約とは?

サブリース契約とは、不動産オーナーに代わって管理会社が物件を借り上げ、第三者に貸し出す仕組みのことを指します。
 
手間をかけずに安定した収入が得られる一方で、契約内容によっては思わぬ制約やリスクを抱えるケースもあります。
 
本章ではサブリースの仕組みやメリット・デメリットを整理し、物件売却を見据えた判断材料として解説します。
 

サブリースの仕組み

サブリースは不動産オーナー様の物件を管理会社が一括で借り上げ、第三者に再賃貸する仕組みです。
オーナー様は空室に関係なく毎月一定の家賃を受け取れるため、安定収入が得られるのが大きな特徴です。
 
また入居者対応やトラブル処理も管理会社が行うため、手間をかけずに運用できます。
ただし契約には注意が必要で、家賃見直し条項によって一方的に減額されたり借地借家法の影響で解除が難しいケースもあります。
収益安定と自由度のバランスを見極めることが大切です。
 

サブリースのメリット

サブリースの大きなメリットは、空室リスクを管理会社が負担してくれる点です。
 
入居者がいなくても毎月一定の家賃収入が得られるため、収益が安定しやすく不動産投資初心者にも向いています。
ワンルームマンションなど空室リスクが高い物件でも安心して運用できます。
 
また、管理委託契約と違い、空室時の募集や更新時の手続きのやりとりが発生しないため、手間をかけずに運用できるのも利点です。
 

サブリースのデメリット

サブリースは安定収入が魅力ですが、契約上の大きなデメリットもあります。
注意すべきは「契約解除の難しさ」と「家賃の減額リスク」です。
借地借家法によりサブリース会社は借主として強く保護されており、オーナー様が解除を申し出ても拒否されるケースが少なくありません。
また家賃見直し条項により一方的に賃料を下げられる可能性もあります。
サブリースの制約は売却時の大きな足かせとなるため、事前に契約内容をしっかり確認しておくことが重要です。

オーナーチェンジ物件とは?

オーナーチェンジ物件とは、すでに賃貸中の不動産を入居者ごと売却する形態のことを指します。
 
オーナーチェンジ物件のマンション購入後も賃貸収入が得られるため投資用物件として広く取引されていますが、売買や契約手続きには通常の居住用物件とは異なる注意点があります。
 
居住用との具体的な違いや必要な準備について見ていきましょう。
 

居住用とは違う手続きがある?

オーナーチェンジ物件とは、入居者がそのまま住み続ける状態で所有者だけが変わる売買形式です。
居住用物件と異なり内覧できないケースが多く、賃貸借契約を買主が引き継ぐ点が大きな特徴です。
家賃が相場より低い場合や契約更新時期が近いと、将来の収益に影響を与えることもあります。
売却時には管理契約書や収支報告書・修繕履歴などの提出が求められるケースが多いため、事前の準備が不可欠です。
サブリース契約がある場合は買主が懸念を抱きやすいため、契約内容を早めに整理しスムーズな売却につなげましょう。
 

オーナーチェンジ物件の査定方法

オーナーチェンジ物件の査定では「収益性の安定」が最重要ポイントです。
入居者がいるか・家賃が相場と見合っているか・契約内容に問題がないかなどが評価の軸となります。
サブリース契約中の場合、過去の家賃減額や解除の難しさがマイナス要因になることも。
修繕履歴や管理状況も評価対象となるため、売却前に「投資家にとって安心できる物件か」を確認しておくことが高値売却への近道です。

サブリース中の物件はなぜオーナーチェンジで売りにくい?

サブリース契約中の物件は、オーナーチェンジで売却しようとすると思うように進まないケースが多く見られます。
 
理由は価格のつきにくさや買主側の自由度の低さなど、複数のハードルがあるためです。
 
本章では売却価格が下がりやすい背景や・収益性・管理面の制約がどのように評価に影響するかを解説します。
 

売却価格が下がりやすい理由

サブリース物件は売却時に価格が下がりやすい傾向があります。
 
理由の一つは、保証賃料が相場より2〜3割低く設定されていることが多く、表面利回りが悪く見えてしまうためです。
収益性の低さは投資家にとって大きなマイナス材料であり「サブリース物件では十分な利益が出せない」と判断されると、売却価格を下げざるを得ません。
サブリース契約の存在により自由な運用が難しく、買主にとっては物件の魅力が限定的に映ることも。
結果として価格交渉や買い控えにつながるケースも少なくありません。
 

収益性が低く見える

サブリース契約では、オーナーが受け取る家賃は保証賃料として定額で支払われますが、相場より2〜3割低く設定されています。
管理費やリスク分が差し引かれているため表面利回りが低く見え、収益性に不安を感じる買主も少なくありません。
投資物件の価値は利回りによって評価されるため表面利回りが低く見える点がネックとなり、売却時に価格が下がる原因になります。
家賃が固定されていることが「自由な運用ができない」と見なされることもあり、投資家から敬遠されるケースもあります。
 

入居者を選べない

サブリース契約では入居者の選定を行うのは管理会社であり、オーナーが関与することは基本的にできません。
オーナー様にとっては手間が省けて便利に思えますが、買主にとっては「入居者の質をコントロールできない」という不安材料になります。
家賃滞納のリスクがある入居者や物件を乱雑に扱う人が住んでいても、そのまま契約を引き継がなければならないケースもあります。
入居者の選定に関与できないという制約は運用の自由度を重視する投資家から敬遠されやすく、売却時の物件評価が下がる原因になりかねません。
 

修繕業者を選べない

サブリース契約では修繕業者や対応内容があらかじめ決められていることが多く、オーナー様が自由に業者を選ぶことは基本的にできません。
修繕費が割高だったり対応が遅い業者が指定されているケースでも、買主はサブリース契約条件の内容をそのまま引き継ぐ必要があります。
マンションを自分で管理したい・信頼できる業者を使いたいと考える投資家にとって、自由度のなさは大きなマイナスに映ります。
結果としてサブリース契約のある物件は敬遠されやすくなり、売却の難易度や価格交渉で不利になる可能性が高くなるのです。

サブリースを解除してから売却する方法

サブリース契約を解除してから売却する方法は、オーナーチェンジで売りにくい物件の価値を高めたい方に有効な選択肢です。
自由に運用できる状態で売却できるため買主の幅が広がり、価格も上がりやすくなります。
契約書に解除条件や予告期間が定められている場合もあり、タイミングを誤るとスムーズに進みません。
借地借家法を盾にサブリース会社から解除を拒まれるリスクもあるため、対応には専門的な知識が必要です。
トラブルを避けて進めるには、サブリース物件に詳しい不動産会社や弁護士に相談しながら、計画的に準備を進めることが大切です。

解除に必要なこと

サブリース契約を解除して売却を進めるには、いくつかの重要な確認事項があります。
 
注意したいのが契約書に記載された解除条件や違約金の有無です。
サブリース契約の解除には事前通知が必要なケースが多く、準備不足だとスケジュールが狂う恐れもあります。
 
本章では、サブリース契約の解除にあたって押さえておきたいポイントを解説します。
 

解除予告期間

サブリース契約を解除するには、契約書に定められた「解除予告期間」を守る必要があります。
一般的には3カ月前や6カ月前の通知が必要で、即時解約できないケースもあります。
予告期間はサブリース会社と入居者の賃貸借契約をオーナー様との直接契約に切り替えるための猶予でもあり、一方的な解除は認められにくいのが実情です。
売却を見据えて動くなら事前に契約書を確認し、解除のタイミングを逆算してスケジュールを立てることが重要です。
 

違約金

サブリース契約を途中で解除する場合、違約金が発生することがあります。
契約書には「家賃1年分」や「残期間分の保証賃料」などの違約金が明記されていることが多く、解除のタイミングによっては大きな負担になることもあります。
内容によっては交渉の余地があるケースもあり「売却予定」を理由に柔軟な対応をしてくれる管理会社もあります。
想定外の出費を防ぐためにも契約書を事前に確認し、必要に応じて専門家に相談しておくことが大切です。

解除予告期間と違約金をもってしても解約できない場合も

サブリース業者の中には、断固としてサブリース契約を解除してくれない業者も存在します。
契約書の条項に解約可能の旨が記載されていたとしても、それを上回る効力の借地借家法で解除を拒まれるケースがあります。

正当事由が認められなかったケース

サブリース会社に対し明渡しを求められるかは、借地借家法第28条に規定されている「正当事由」により判断されることになるが、本件においては、貸主側の自己使用の必要性が大きくないことから、正当事由が認められなかった

 

出典:(一財)不動産適正取引推進機構R1.11.26東京地裁判例

 

正当事由が認めらたケース

サブリース会社との間で賃貸借契約を締結して、家賃保証及び満室保証を受けていた建物のオーナーが、老朽化した自宅の補修改築のためにまとまった資金を必要とし当該建物を空き家状態で売却することを望んで、サブリース会社に対して賃貸借契約の解除及び明渡しを求めた事案において、正当事由を補完するものとして50万円の立退料支払いを条件に認容された

 

出典:(一財)不動産適正取引推進機構H27.8.5東京地裁判例

 
このように、「自己使用」「立ち退き料支払い」などの特別な事情があり、サブリース業者に解約のデメリットが大きすぎないと認められればサブリース契約の解除が認められることがあります。

解除によって得られるメリット

サブリース契約を解除することで、物件の運用や売却における自由度が大きく広がります。
収益性や管理体制の改善につながるため買主からの評価も高まりやすく、売却価格の向上が期待できます。
 
本章では、解除によって得られる具体的なメリットを整理してご紹介します。
 

家賃相場を元に戻せる

サブリースを解除することで、家賃を市場相場に合わせて見直せる点は大きなメリットです。
サブリース契約中は保証賃料が相場より低く設定されていることが多く、収益性が下がってしまいがちです。
契約解除により家賃を適正に戻せば、利回りの改善が見込め・物件の価値も上がります。
買主から見ても「家賃アップの余地がある物件」は魅力的に映り、売却価格の上昇につながる可能性があります。
家賃が長く据え置かれている物件には効果的です。
 

買主が管理会社を選ぶことができる

サブリース契約がある物件では買主も管理会社との契約を引き継ぐ必要があり、自由な運用が制限されてしまいます。
サブリースを解除してから売却すれば、買主は自身の方針に合った管理会社を選ぶことが可能になります。
「コストを抑えたい」「柔軟な対応ができる業者を使いたい」といった投資家のニーズにも応えやすく、物件の魅力が高まります。
管理の自由度があることで評価が上がり、売却の成功につながるケースも多くあります。
 

社長

代表取締役社長
山丸慎太郎

サブリース付きのワンルームについては、弊社でも毎月相当数のご相談をいただいておりまして、実務経験の蓄積はもちろんのこと、サブリース会社様とも日頃から良好な関係性を築いております。
ですから、いざ売却というタイミングでも、オーナー様とご一緒に、たとえば解約時の違約金の減額や、契約期間の短縮といった交渉を柔軟に進めるお手伝いができるのが強みです。

一方で、必ずしも「サブリースを外すこと」がベストとは限りません。場合によっては、そのままの条件で売却した方が、最終的にオーナー様の手残りが多くなることもありますし、どうしても解約が難しいケースもあります。

そうした場合でも、弊社ではサブリース契約ごと物件を購入してくださる法人・個人のネットワークがございますので、売却の選択肢を狭めることなくご提案が可能です。

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サブリースを解除しないで売却する方法

サブリース契約を解除せずに売却する場合は、契約をそのまま引き継ぐ「オーナーチェンジ物件」として売却する形になります。
オーナーチェンジ物件として重要なのは家賃や契約期間・更新条件・修繕対応など、契約内容を事前に整理し買主にきちんと伝えることです。
不安要素を減らすことで、購入のハードルが下がります。
サブリース契約により、管理や入居者対応の手間がなく運用の負担が軽減される点は、不動産投資初心者や遠方での運用に不安がある買主にとって大きなメリットになります。
解除にかかる手間や費用を省けるため、スピーディーな売却を目指すオーナー様に向いています。
 

買主へのサブリース契約引継ぎ

サブリース契約を解除せずに売却するメリットは、契約自体が物件の付加価値として機能する点です。
入居者対応や家賃管理が既に整っており、買主は契約を引き継ぐだけで収益化が可能です。
不動産投資が初めての買主にとっては、手間なく収益が得られる安心感が大きな魅力となります。
安定した収入が見込める点は融資審査でもプラスに働く可能性があります。
契約維持で手間を減らし、売却をスムーズに進めたい方には有効な手段です。
 

売却活動中の空室リスク軽減

サブリース契約中の物件は売却活動中でも空室リスクがなく、家賃収入が継続する点が大きなメリットです。
通常の賃貸物件では退去や内覧対応で収入が途切れる可能性がありますが、サブリース物件ではその心配がありません。
安定したキャッシュフローを維持しながら売却先を探せるため、オーナー様にとって精神的・経済的な負担を減らせます。
買主からも「即収益化できる物件」として評価されやすく、売却がスムーズに進みやすくなります。
 

サブリース会社との面倒なやりとりをしなくて済む

サブリース契約を解除するには、管理会社との交渉や予告期間の確認、違約金の支払いなど手間がかかります。
場合によっては法的な対応も必要で、売却前に大きな負担となることも。
サブリース契約を解除せずにそのまま売却すれば、サブリース会社との面倒なやり取りを省けるのが大きな利点です。
契約を買主に引き継ぐ形で進められるため調整や書類作成の手間も少なく、スムーズな売却が実現しやすくなります。

解除するのとしないのとではどちらが得か?

サブリース物件の売却では「解除してから売る」か「そのまま売る」かで迷う方も多いですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
解除すれば自由度が高まり売却価格も上がりやすくなりますが、違約金や手続きの負担がかかる場合もあります。
解除せずに売る方法は手間が少なくスピーディーに進められますが、買主が限られ価格が下がる可能性も。
目的に応じてコストをかけて高く売るか、手間を省いて早く売るかを判断することが納得のいく売却につながります。

サブリース解除判断と売却をスムーズに進めるために

サブリース物件を売却する際「解除して売るか」「そのまま売るか」の判断は非常に重要です。
契約内容や物件の状況・市場動向によって最適な選択肢は異なるため、自己判断だけではリスクも伴います。
サブリース物件の売却において判断に迷ったときに頼りになるのが、サブリース物件の売却に詳しい不動産会社です。
契約解除の可否や違約金、買主のニーズまで踏まえた提案をしてくれるため、より高く・スムーズな売却が目指せます。
成功の鍵は、サブリース物件の経験が豊富で実績のある専門業者に相談することです。
 

高橋 咲百合
コラム監修 高橋 咲百合
資格

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / インテリアコーディネーター

プロフィール

マーケティング部

新卒以来、不動産業界・建設業界に一貫して従事し、投資用ワンルームマンションの売買・管理・活用に関する豊富な実務経験を積む。
専門知識を活かしつつ、初心者の方にもわかりやすく情報を届けることをモットーに、コラム執筆や監修にも携る。
プライベートでは2児の母。家庭でも「お金の大切さ」を子どもと一緒に学びながら、楽しく金融教育に取り組んでいる。

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このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。

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