【第16回】合法民泊投資
2020.1.21
代表取締役会長 渡邊 勢月矢
【第16回】合法民泊投資
民泊とは、住居を宿泊施設として、外国人旅行客などに提供するサービスです。
Airbnbをはじめとした民泊マッチングサービスにより、個人であっても簡単に部屋を貸し出せるようになりました。
合法民泊とは、いわゆる闇民泊のように無許可・届出なしで行うのではなく、法令に乗っ取って行う民泊を行います。
現在、可能な民泊は次の3種類となります。
【合法民泊の種類】
旅館業(簡易宿所営業・旅館営業)
特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)
民泊新法(住宅宿泊業)
このうち、エリアが限定されてるのが特区民泊です。
特区民泊とは国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を活用した民泊で、正式名称は「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」といい、これは大阪を中心に部屋の数が増えています。
続いて、一昨年の6月に「民泊新法」(住宅宿泊事業)が施行されました。
こちらは宿泊日数の縛りが厳しく上限で年間180日稼働までしか認められていません。
さらに自治体によっては住宅専用地域は「週末しか営業できない」といった厳しい取り決めがされています。
さて、合法民泊のなかで、もっとも昔からあるのが旅館業です。
旅館業には「ホテル・旅館・簡易宿所・下宿」の4種類があります。
旅館業の中で合法民泊に向いているのは、「旅館営業」もしくは「簡易宿所営業」となります。
旅館業の場合は保健所と消防署の検査をパスする必要があり、要件を満たすことができれば365日の稼働が可能です。
合法民泊投資は、所有物件で行うケースもあれば、スペース投資のように借りて行うこともできます。
借りて行えば、家具や家電などは必要になるものの、そこまで大きな自己資金はいりません。
オリンピックを控えた今、転貸で行う民泊が注目されています。
また、こうした民泊投資を販売している会社もありますが、中には圧倒的に不利な商品もあるのでご注意ください。
私が聞いたことがあるのは、大阪で行う転貸の特区民泊でしたが、部屋を借りたり、設備を整えたりといった下準備が済んで稼働できる状態で300万円を投資しませんかというお話。
利回りは固定で25%、変動想定で30%というものでした。
ちなみに最新情報として、すでに投資家への支払い遅延が発生しているようです。
じつは、この物件のオーナーが私の知り合いでした。
民泊業者から「1棟借り上げさせてください!」と頼まれ、高い金額で貸したというのです。
さらにその物件を売ろうと考えていると聞きました。
利回り25%ということは4年かけて回収する投資です。
しかし部屋の契約は定期借家契約で1年※つまりオーナーチェンジ後、契約が切れてしまう可能性もあるのです。
そんな不確実な話も出回っていますから、くれぐれも気を付けてください。
美味しい話の裏には投資家に不利な条件が潜んでいる場合があります。
※定期借家契約とは:契約の更新がない契約で、契約期間が終了した時点で確定的に契約が終了し、確実に明け渡しを受けることができる契約です。
この場合、1年で契約が終了します。
このコラムを書いている人
渡邊 勢月矢
株式会社FGH代表取締役会長 CPM ® (米国不動産経営管理士)徳島県生まれ、広島県育ち。 大学卒業後、中小企業の営業支援を行う会社に就職。「個人投資家の目線に立った不動産売買仲介事業をしたい」との想いを抱き2007年2月、株式会社アーバンフォースを設立。その後、賃貸・売買部門を独立させ、株式会社FGHを設立・ホールディングス化。年間1000件以上の仲介案件を手掛け、通算10000件以上の適正な流動化を実現し、不動産所有者、購入希望者双方のニーズを満たすサービスを提供し続けている。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
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