不動産投資における現地調査の「3種の神器」とは?
【目次】
不動産投資には現地調査が必須
よりよい物件と出会うには、投資者による投資不動産の現地調査が重要です。
自分の目で物件を確認しないと、選別眼を養うこともできません。
しかし、多くの投資者は不動産会社からの調査結果だけで物件を判断してしまいます。
では、不動産投資を成功に導くためには、現地調査で物件の何に注目して調査すればよいのでしょうか?
今回は、不動産の現地調査で持参すべきグッズや、調査ポイントなどについて解説します。
不動産現地調査とは?調査目的と調査内容
現地調査とは、不動産会社の担当者や投資者が、実際に不動産のある場所に行って、物件や周囲の状況を調べること。
この章では、不動産現地調査の調査目的と調査内容について具体的にみていきます。
不動産現地調査の調査目的
不動産現地調査の調査目的は、主に次の2つです。
1.投資者自身の目で物件と周辺環境を確認する
2.物件の事前情報に間違いや虚偽記載がないか確認する
物件の地図上の立地や敷地面責、間取りなどは現地に行かなくても簡単に入手できます。
しかし、実際の物件や周囲の状況が必ずしも地図上に正しく記載されているとは限りません。
ゆえに、実際の物件や周辺施設、物件に関する情報に整合性があるかどうか、実際に自分の目で確認することが大切です。
不動産現地調査の調査内容
不動産現地調査では、次の5点の内容について調査します。
地勢
地勢調査では、投資物件のある場所が平坦地にあるか、傾斜地にあるかなど、道路からの土地の高低差を実際に確認します。
測量機器は不要で、目視によるチェックでも問題ありません。
隣接地利用状況
隣接地利用状況は、境界確認にも必要な調査内容で、登記事項の調査にプラスして現地での調査も行う必要があります。
交通機関の存在
最寄り駅やバス停などの交通機関に関する情報は、インターネットの情報と実際の状況とでは異なる場合があるため、必ず確認するようにしましょう。
公園や利便施設の存在
物件がどの学区に位置するかや学校までの距離は、顧客層によっては重要なポイントです。
そのほか、スーパーマーケットや病院からの距離など、生活に関わりの深い施設の充実度は物件価格にも影響を与える場合があるので、チェックしておきましょう。
道路調査
道路調査では、隣接する道路の舗装状況や敷地との高低差、道路幅などを確認します。
道路の幅が狭い場合は、物件価格がダウンするケースもあるので、注意しましょう。
現地調査でもっていくべき3種の神器
この章では、物件の現地調査でもっていくべき「3種の神器」ともいえる道具を紹介します。
次の3つの道具は現地調査では必要不可欠なので、必ず持参しましょう。
住宅地図
1つ目は「住宅地図」です。
住宅地図では、投資物件と周辺施設(最寄り駅・スーパーマーケット・病院など)との位置関係や、アクセスのよさを確認します。
また、現地調査以外にも法務局での地番の照合や、役所での法令上の確認・道路調査の際にも持参必須のアイテムです。
デジカメ
2つ目は「デジカメ」です。
デジカメは、物件内外の状態・境界標・住宅周辺環境の撮影に活用します。
最近ではデジカメの代わりに、スマートフォンで撮影するケースも多くなっており、解像度が高ければスマートフォンでも問題はありません。
なお、修繕箇所がある場合は、契約時に取り交わす「物件状況報告書」の添付書類として、撮影した写真を提出する必要があります。
メジャー
3つ目は「メジャー」です。
メジャーは、道路幅・間口・奥行きの測量のほか、建物の傾きを確認する天井高の測量に使用します。
メジャーの長さは5.5mあれば問題ありませんが、7.5mのメジャーがあれば、なおよいでしょう。
また、マンションや奥行きの測定が難しい土地の場合は「レーザー距離測定器」を準備すると便利です。
とりわけ、法務局で地積測量図や建物図面が取得できない物件の場合、現地測量は非常に重要なデータとなりますので、測り間違いのないように注意しましょう。
レーザー距離測定器は、インターネットショップやスポーツ用品店(ゴルフ用品売り場)で簡単に手に入ります。
購入しておくと、いざというときに役立つアイテムです。
そのほか現地調査であると便利なモノ一覧
「住宅地図」「デジカメ」「メジャー」といった、3種の神器のほかに、現地調査であると便利な道具を紹介します。
これらは、マストアイテムではないものの、ぜひ積極的に持参しておきたい道具です。
現地調査シート
現地調査シートとは、現地調査や売主からのヒアリング内容を記入する用紙です。
市販のノートへの記載もできますが、事前にオリジナルの書式を用意しておけば、調査対象に応じて情報を見やすく整理できます。
方位磁石
方位磁石は、道がどの方向に面しているか、各部屋の採光部の方位を確認するために使用します。
スマートフォンに方位を測定できる機能がある場合は、代用可能です。
懐中電灯
懐中電灯は、点検口から床下、屋根裏部屋の調査に用います。
スマートフォンのライトでは光がやや弱いので、高輝度の懐中電灯やスポットライトを使用しましょう。
クラック・スケール
クラック・スケールは、建物の基礎や外壁などのクラック幅の測定に使用します。
ホームセンターにて、数百円で購入可能です。
双眼鏡
屋根の状況や、遠くからの外壁の状況を確認する際に活用できます。
出番の機会は少なめですが、持っておくといざというときに便利です。
水平器
水平器は、建物や建具の歪みの計測に使用します。
ビー玉を転がして計測する人も多く見られますが、水平機を用いると正確な測定が可能です。
スコップ
境界標が見つからないときに、土の掘り起こしに使用する場合があります。
投資者による物件の現地調査で、ここまでする必要性が出るケースは稀ですが、余裕のある人は持参すると役立つ機会があるかもしれません。
不動産現地調査における物件の確認ポイント
ここまでは、物件調査の目的や、準備する道具について解説してきました。
ここからはより具体的に、物件調査について、みていきます。
確認ポイント①清潔感があるか?
実際に投資する物件を見ておきたい場合、事前に不動産会社に依頼すれば、物件を内覧させてくれます。
その際には、物件内や共有スペースに清潔感があるかどうかを必ずチェックしましょう。
物件の清潔感がないと、入居希望者からの第一印象も悪くなるので、大きなお金を投じて投資物件を購入しても空室が続く可能性があります。
周囲の雑草やホコリなどであれば、投資者自身で対応することもできます。
しかし、建物に大きな損傷があった場合には、後々に補修のために多額の費用が発生するリスクがあるため、注意が必要です。
そこで、現地調査では建物や設備の外観を次の項目をよく確認し、劣化状況や補修状況を細かくチェックしておきましょう。
・建物や設備の外観
・物件の外壁や廊下の状況
・通路の状況
・階段、手すりの劣化状況や汚れ
・サッシの劣化状況や汚れ
・物件のヒビ割れの有無
・屋上の防水補修や張り替えの状態(屋上がある場合)
これらは現地でその都度確認できますが、事前に物件の汚損や破損などの補修状況に関わる情報を入手しておくと、確認作業がスムーズに進みます。
ただし、事前情報だけがすべてとは限らないので、補修済みとして記載されているからと軽く受け流すのではなく、本当に大丈夫かどうかの確認は、投資者自身で細かくおこなうようにしましょう。
建物の管理状態はいき届いているか?
建物自体だけでなく、物件の管理状態の確認も物件の印象に直結する大切なポイントです。
主なチェック項目としては、次の共有スペースがあげられます。
・ゴミ置き場
・駐輪場
・駐車場
たとえば、駐輪許可がない持ち主の自転車が堂々と大量に駐輪してあるのに、放置されているような状況である場合は、不法侵入や不法入居者がいる可能性があるので要注意。
また、ゴミ置き場に関しても、曜日や分別の決まりの守られていないゴミが溜まっていると、モラルの低い住人がいる可能性もあります。
入居希望者は、投資者以上にそのような点を厳しくチェックする可能性があるので、物件そのものだけでなく、共有スペースについても丁寧に確認するようにしましょう。
不動産現地調査における周辺環境の確認ポイント
物件自体や物件の管理状況も含めた確認が完了したら、次は物件の周辺状況の確認です。
この章では、物件の周辺環境に関する確認ポイントについて解説します。
周辺地域の現況と将来
物件の周辺地域の現状と、将来の動向を確認するのは、投資を成功に導くうえで非常に重要です。
物件の今の状況だけを考慮して、高い金額を出して物件を購入しても、将来性の低い環境に位置する物件だと、どんどん物件価値は下がってしまうからです。
たとえば、「近隣に大型ショッピングモール開業の予定がある」「鉄道の駅や路線の延伸についての計画がある」などの場合は、将来的に物件の価格が上がる可能性があります。
対して、商業施設の閉鎖や、駅の路線の廃業などが計画されている地域に位置する物件は、投資物件として大きなマイナス要素となるかもしれません。
しかし、物件の周辺状況に関する情報は、なかなか個人の耳まで入りにくいのが現実。
インターネットで口コミや土地の評判を確認することもできますが、信憑性の高さには疑問が残ります。
物件周辺の地域の将来性については、その地域の不動産業者が把握しているケースが多いので、物件の周辺環境について情報収集する際には、不動産業者に相談して確認をとることをおすすめします。
生活の利便性
生活の利便性の高さは、物件の稼働率によい影響を与えるため、実際に自分の足で距離感や街の雰囲気を確認しておきましょう。
なぜなら、最寄駅からの直線距離が近くても、実際には大きく遠回りする必要があったり、経路上に待ち時間の長い踏切があったりといったケースが考えられるからです。
たとえば、最寄駅やバス停までの距離は、物件の価値に関わるわかりやすい指標のひとつです。原則として、物件情報としての徒歩時間は、”道路距離80mにつき1分間を要するもの”として算出されます。
体感距離が長いと、せっかく入居者希望者がいても、「記載されている情報と違う」などの不満が生じ、投資者に悪い評判がつくかもしれません。
また、実際に歩いてみると周辺の様子も確認できます。
たとえば、スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの店舗だけでなく、シニアを顧客ターゲットとした投資物件の場合は、とくに病院や公共施設の有無も生活の利便性に大きく関わるポイントです。
したがって、投資物件の傾向をよく鑑みて、周辺物件の状況を確認しておきましょう。
嫌悪施設の有無
嫌悪施設とは、その施設が住宅地の近くに存在すると、物件としての価値や品格を下げる可能性のある施設を指します。
具体的に「品格を下げる」「治安を悪化させる」とみなされる代表的な施設は、次のとおりです。
・ラブホテル
・風俗店
・暴力団の事務所
そのほか、人の健康に害を与えると思われる施設についても、嫌悪施設として区分されます。
・悪臭や騒音のひどい工場
・公害を発生させる工場
・高速道路の付近
・鉄道の高架線付近
また、不快感や嫌悪感を覚える人の多い次のような施設も、物件の価格を下げる要因です。
・原子力関連施設
・廃棄物処理場
・下水処理場
・火葬場
・刑務所
投資者の中には、「高速道路付近だとなぜ悪い物件になるのかわからない」「風俗店が近くにあっても自分は気にならない」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、投資物件に入居するのは投資者ではなく入居者です。
入居者が入居する上で少しでも懸念されるような事項がある場合は、そのような物件を選ぶのは避けた方がよいでしょう。
物件の周辺環境に関することは、物件の内装や外観とは異なり、投資者自身の努力や配慮で変えることはできません。
したがって、そのような周辺環境に位置する物件は、あらかじめ投資物件として選ばないことが肝心。
投資先として選定する前に、地図などで物件の近隣に先述したような嫌悪施設がないか、十分調べておきましょう。
また、現地調査の際には嫌悪施設の有無だけでなく、嫌悪施設との距離や公害の影響度なども、あわせて確認しておきましょう。
不動産投資における現地調査まとめ
本記事では、不動投資物件の現地調査でのマストアイテムや、調査確認ポイントなどについて解説しました。
要点は次のとおりです。
・現地調査では「住宅地図」「デジカメ」「メジャー」は必ず携帯する
・物件そのものの状態だけでなく、物件の周辺状況も確認する
・現地調査をする際には、事前に劣化状況や補修状況をリスト化した情報を元に確認する
実際に、不動産投資の物件を確認する際には、不動産会社からの情報を見るだけで判断する人が多いものです。
しかし、実際の物件の雰囲気は現地に赴き、投資者自身の目で確認することが、投資先の選別においては非常に大切です。
効率的で効果的な投資物件の現地調査に、本記事をぜひお役立てください。
このコラムを書いている人
マンション経営ラボ 編集者
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