遺留分侵害額請求権をご存じですか?

公開日2023/07/28
更新日2023/07/27

 ご家族が亡くなって相続が発生した際、遺言書があれば遺言書の通りに遺産を相続しなければならないと思っている方も少なからずいるのではないでしょうか。
例えば法定相続人が複数人いた場合で、遺言書が長男に土地や建物等の全財産を相続させるといった不公平な相続分の指定が行われていることがあります。
こんなときに長男以外の法定相続人が行使できる「遺留分侵害額請求権」という法律上の権利があります。
今回は遺留分侵害額請求権について、ご紹介します。

遺留分とは

                  
遺留分とは、簡単にいえば、最低限相続できることが保障されている相続分のことをいいます。
遺留分を有するのは、①配偶者(夫もしくは妻)、②子ども、③直系尊属(祖母・祖父、子どもと子どもの代襲相続人がいない場合に限る)となっており、相続人によって誰が遺留分を持っているかは異なります。
 
例えば、夫、妻、長男、長女の4人家族で、自宅土地建物(評価額3,000万)と預金200万円の全財産が長男に相続させるといった遺言書を夫が作成して、お亡くなりになった場合。

遺留分は、配偶者である妻と長女がそれぞれ有しています。
 
遺留分は計算が必要となり、総体的遺留分率は2分の1です(民法第1042条第1項第2号)。
妻の法定相続分は2分の1、長女の法定相続分は4分の1です(民法第900条第1号、4号)
 
したがって、妻・長女の遺留分は以下のとおりです。

妻の遺留分=3,200万円×2分の1×2分の1=800万円
長女の遺留分=3,200万円×2分の1×4分の1=400万円
 
このケースだと妻と長女はそれぞれ800万円と400万円を遺留分侵害者である長男に遺留分侵害額請求権として、請求することができます。

ざっくりとした計算ではありますが、上記の例のように遺言書が相続の全てではなく、遺留分といった権利を請求できる場合があります。

長男の立場からすると遺言書で全財産自分に相続するという遺言書があっても、遺留分侵害額請求権が認められれば、母親と長女に遺留分を支払う必要があるのです。

妻や長女からすれば全財産長男に相続するという遺言書があっても、遺留分侵害額請求権が認められれば、遺留分の金額を長男に請求することができます。
 

まとめ

                
相続は権利関係が複雑となっていて、仲が良いご家族でもいざ相続となるともめてしまうケースもめずらしくありません。預貯金だけでなく土地や建物の相続が絡んでくるとさらに複雑となります。
夏休みはご家族で集まる機会もあると思います。お元気なうちにご家族で話し合いをされては
いかがでしょうか。
投資用不動産をお持ちの方で相続するのがよいか、売却した方がよいのかとお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社までご相談下さい。

このコラムを書いている人

YI

YI

神奈川県出身 保有資格:宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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