美術品の経費算入について

公開日2022/09/02
更新日2022/12/24

絵画
先日、ショッピングセンターに出かけた際、オークション形式の絵画展が開催されており、目の保養と思い眺めておりました。
 
展示されていた作品のなかにはヒロ・ヤマガタの絵があり、子供の頃家に飾られた同作家の絵を思い出し、懐かしい気持ちになりました。
 
また、そのほかにも版画や切り絵などを含めたさまざまな作品を見ることができ、素敵な時間を過ごせたと満足しています。
 
しかし、柱に「30万円未満の絵画であれば経費として落とせます」と書いてあるのを発見し、思わぬアプローチに画廊の苦労を感じずにはいられませんでした。
 
そこで、今回はどの会社でも見られる美術品について経費算入できる条件について調べてみました。

経費算入の条件

初めに書いた通り購入価格「30万円未満の絵画」については、一発経費として落とすことができるようですが、この購入価格は額縁代・運賃・保険料・据え付け費用も含めた取得価格となるようです。
 
うっかり絵画の価格だけと思って上限額で購入したら、大変なことになってしまいますね。
 
でも気に入った絵画がどうしても30万円を超えてしまうという方も、ご安心ください。
 
30万円以上100万円以下の絵画でも、償却資産として扱うことができます。

償却資産とは

償却資産とは固定資産のうち土地・建物を除く事業用資産のことをいいますが、すべて該当するわけではありません。
 
言い方を変えると、保有する資産の中でも時間の流れによって価値が下がっていくと認識されるものが対象になる、と考えればイメージしやすいでしょうか。
 
この価値がなくなるまでの年数を耐用年数と言います。言い換えれば耐用年数で資産の価値を按分して、経費に落とせるというわけです。
 
美術品においては金属製の彫刻品が15年、それ以外の絵画をはじめとした美術品が8年といわれています。
 
そのため節税対策のひとつとして購入されることもよくあり、どこの会社にも絵画が置かれている理由を垣間見た気がしますね。
 
もちろん純粋に気に入った絵画を飾っている会社もあるでしょうが・・・。

譲渡所得について

ここまでは法人に焦点を当てた内容でしたが、個人所有している美術品を他の人に譲り渡した際の所得税についても気になるところです。
 
結論からいえば、価格が30万円以下であれば所得税は課せられません。
 
1点当たり30万円以下の美術品であれば何点売却してもそれにより得た所得(譲渡所得)に対しては非課税となります。
 
それ以上の金額になると計算式にはめ込み、所得税が発生するかどうかを確認する必要が出てくるので注意が必要です。

まとめ

気に入ったものを買い、気に入ったものを手放すというのは、本来は金勘定だけではないものです。
 
ですが、後から知って複雑な気持になる前に事前に知っておきたいところですよね。
 
余談ですが、まだ20代だった私は当時ラッセンの絵画が好きで46万円の買い物を衝動買いしそうになりました。
 
しかし、家に戻り落ち着いたところで怖くなり解約したのを今でもよく覚えています。
 
美術品はそれに見合った場所に飾れて人の目に触れられて初めて価値が生まれると思います。
 
節税対策にしろ譲渡にしろ、ちゃんと美術品の価値を正しく扱いたいものです。

このコラムを書いている人

相馬將志

相馬將志

千葉県出身 お風呂での鼻歌がいつの間にか熱唱にギアチェンします。 保有資格:宅地建物取引士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士/マンション管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/簿記2級

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