確定拠出型年金を活用していますか?

公開日2022/09/30
更新日2024/11/05

確定拠出年金で資産形成
最近会った友人との会話の中で、確定拠出年金が話題となりました。

老後の備えとして新卒当初から計画的に運用を行っているという友人もいれば、始めたいとは思っているがよくわからずまだ手を付けていないという友人もいました。

 

iDeCo(イデコ)って何でしょう?

IDECO

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、節税しながら将来に備えて自分で資産形成する私的年金の制度です。
掛金の額が決められている(=Defined Contribution)ことから、確定拠出年金(DC)と呼ばれています。
 

2012年の運用開始から2017年の法改正等整備を重ね、現在205.9万人が活用しています。

 

毎月、拠出限度枠内の自分で決めた金額を投資(拠出)し、60歳~70歳(2022年4月から75歳まで延長)時に年金形式か一時金形式、又は併用で受給します。
加入者ごとに拠出した掛金を加入者自らが運用し、その運用結果に基づいて給付額が決定されます。
 

自分が選んだ投資信託の成績に応じて受取額がかわるので、手数料等の費用を含め、運用負け・費用負けしないよう、商品・会社選びが重要になります。

メリット・デメリットは?

メリットデメリット

 

○ 掛け金全額が所得控除されるので、所得税・住民税の軽減される

○ 運用益全てが非課税になる

○ 受給時に所得控除(退職所得控除又は公的年金控除)の対象となる

 

以上の税制優遇3点が、最大のメリットです。

 

個人的には、運用益の非課税が一番魅力的です。

運用後に徴収される税金のダメージは、経験されている方は共感いただけますね。

 

デメリットとして、投資信託は元本保証ではないので、マイナス運用のリスクがあります。

元本保証の預金商品もありますが、物価上昇や手数料が嵩んでの費用負け等、運用価値が無かったということも。

投資信託で値下げ局面だったとしても、毎月同銘柄を購入しますから、難平買い効果で購入平均単価が下がれば、値上げに転じた際にプラスになります。

企業型DCと個人型DCの違い

確定拠出年金には、事業主が掛金を拠出する「企業型DC」と、個人で加入して本人が掛金を拠出する「個人型DC(iDeCo)」の2種類があります。
企業型DCと個人型DC(iDeCo)との違いとして、主に以下の点が挙げられます。
 

企業型DC 個人型DC(iDeCo)
実施者 事業主 国民年金基金連合会
加入者 業主が使用する従業員 原則20歳以上60歳未満の全ての人
掛金の拠出者 事業主 加入者
運用商品 事業主が契約する運営管理機関が
選定・提示したラインアップの中から加入者が選択
商品ラインアップの異なる
多数の運営管理機関の中から
加入者が運営管理機関を選択
企業型DCにおいて、掛金を毎月拠出・積み立てするのは事業主(実施者)ですが、年金資産の運用を行うのは従業員(加入者)本人というのがポイントになります。

すなわち将来受け取れる年金の額を増やせるかどうかは、従業員の自己責任であると言えます。

企業型DCには従業員が自動的に加入する場合と、企業型DCに加入するかどうかを選択できる場合とがあります。

また企業型DCの規約でiDeCoに加入できる旨が規定されていれば、企業型DCと個人型DC(iDeCo)の両方に加入することもできます。

掛金額について

企業型DCの掛金額は会社での役職等に応じて決まるのが一般的ですが、以下のとおり上限額が定められているため、この上限額を超えて掛金を拠出することはできません。

他の企業年金がある場合 月額2万7,500円
他の企業年金がない場合 月額5万5,000円

※他の企業年金…厚生年金基金、確定給付企業年金など

「会社が拠出している金額だけじゃ物足りない」「もっと掛金の額を上げて老後の年金額を増やしたい」という従業員の方もいるかもしれません。

そんな方には「マッチング拠出」という制度が用意されています。

これは事業主が拠出する掛金に上乗せして、加入者が一定の条件で掛金を拠出するしくみです。
 
ただしマッチング拠出の掛金については、以下のような上限があるので注意が必要です。

① 従業員が拠出する掛金の金額が、企業が拠出する掛金の金額を超えないこと
② 企業が拠出する掛金と、従業員が拠出する掛金の合計額が、掛金の拠出限度額を超えないこと

企業によってはマッチング拠出制度を実施していない企業もありますので、興味のある方は一度担当部署に確認してみるのが良いでしょう。

企業型DCは今後導入企業が増える?

ステップ1.2.3.4
厚生労働省が2018年10月に発表したデータによると、企業年金制度のある企業のうち、確定拠出年金を導入している企業が初めて5割を超えました。

ただこの動きは大企業を中心に進んでおり、中小企業では大手よりも導入する動きが少ないと言われています。

中小企業での普及率が低い理由として、高額な導入コストや、金融機関によって一定の人数に満たない企業の場合は対応してもらえないといった点が挙げられます。
 
しかし新卒・中途ともに福利厚生を重視する人が多い現状において、人材確保のための福利厚生の一環として、企業型DCを採用する企業は今後も増加していくだろうと考えられます。

まとめ

投資イメージ

60歳~65歳の空白の無所得期間を埋めるための手段として組み込む方が多かった私的年金ですが、定年廃止や引き上げでシニアの働き方、就業寿命も変わってきています。

 

公的年金へのつなぎではなく、原則60歳まで非課税で複利運用により資産形成できる制度ですから、老後はセカンドライフを楽しむ予定の人、働く意欲が有り余っているにと、まだ計画はこれからの人も、どんな人でも始めておく価値あり、かもしれませんね。
 
年金制度がよくわかる

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

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