【2024年最新】マンション経営の虎の巻!マンション経営を成功している人はみんな心得ている?

公開日2023/03/09
更新日2024/01/22

【目次】

「マンション経営は本当に稼げる?」「マンション経営を成功させる方法が知りたい」とお悩みではないでしょうか?
マンション経営は長期的・安定的な収入を得られるのが最大のメリットですが、非常に多くのデメリットもあるのでそれらを総合的に加味して検討する必要があります。
マンション経営で稼げるかどうかは、結局のところ人によるところが大きいです。
しかし根本的にマンション経営が向いている人もいるので、該当する人はぜひマンション経営にチャレンジしてみると良いでしょう。
もちろんそれ以外の方でも、経営のポイントを押さえておけば大きな収入を得ることは十分に可能です。
この記事では、不動産経営の専門家「株式会社FGH」のマンション経営専門のスタッフが、マンション経営のメリット・デメリットや、経営を成功させるために把握するべき重要ポイントを解説します。
この記事を読めば、マンション経営の基礎知識が身につき、マンション経営を成功させられる確率を上げられるでしょう。

マンション経営のメリット・デメリット

メリットデメリットと書かれた付箋
 
マンション経営にはメリットのみではなくデメリットもあり、それぞれをしっかり把握したうえで検討しなければいけません。
メリットばかりに気を取られてしまうと、デメリットや潜んでいるリスクに気付けず、大きな損をしてしまう可能性があります。
メリットとデメリットをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

マンション経営のメリット

マンション経営の主なメリットは以下の3つです。

・長期的な収入が得られる
・インフレの影響を受けにくい
・節税効果がある

マンション経営では、家賃収入を主とした定期的・長期的な収入が得られます。
初期費用こそかかるものの、健全な経営ができればランニングコストを家賃収入でまかないつつ、早期に初期費用をペイすることが可能です。
初期費用分をペイした後は、基本的に家賃収入からランニングコストを引いた金額が収入になり続けます。
ローンを完済すればランニングコストは大きく減り、さらに収益を生み出してくれるでしょう。
土地・建物のような固定資産はインフレにともない価値が上昇するので、現金で資産を所持していた場合よりも実質的な資産額が高くなるのもポイントです。
物価が上がり消費が落ち込んでしまっても、「衣・食・住」の住に該当するマンションはニーズがほとんど下がることなく、比較的安定して稼働させられます。
市場動向にあまり左右されず、長期的に安定した収入が得られるのはマンション経営の最大のメリットです。
 
さらにマンションの経営により、所得税や相続税の節税効果があります。
マンションは減価償却資産であるため、毎年の「減価償却費」を所得から差し引けるのです。
万が一経営が赤字の場合には、給与所得と損益通算ができるため、税金額が減り負担が少なくなるメリットもあります。
またマンション経営で土地・建物を保有することにより、非常に大きい金額の相続税対策が可能です。
詳しくは記事内で解説しているので参照してください。

マンション経営のデメリット

マンション経営の主なデメリットは以下の3つです。

・自然災害により被害を受ける可能性がある
・老朽化にともなう対策が必要である
・空室や家賃の滞納による収入減の可能性がある

 
マンションを含む不動産経営をする際に避けられないのが、自然災害による被害です。
鉄骨や鉄筋コンクリートで建築されるマンションは構造上、木造アパートよりは比較的耐久性が高いですが、それでも大規模震災であれば大きな被害を受けるリスクがあります。
ランニングコストがかかりますが、保険をかけて備えておくなどの対策が必要でしょう。
保険で対応できなかった部分は、自己資金を捻出する必要があることも覚えておいてください。
 
また災害がなくとも、マンションは年月が経てば老朽化を起こします。
必要に応じた修繕や家賃額のダウンなども検討しなければいけません。
老朽化を原因として費用がかかったり、収入が減ってしまうことは想定しておきましょう。
マンションを建築・購入する時点で、こうしたリスクを加味したプランを提案してくれる建築会社を選ぶことが重要です。
建築会社の選定ポイントは、記事内で解説しているので参考にしてください。
 
空室の発生や家賃の滞納などを原因として、一時的に収入が減ってしまう可能性も考慮する必要があります。
ランニングコストが収入額を上回ってしまうリスクがあるので、余裕を持った資金計画が重要です。
そもそも空室が発生しづらい立地や設備、間取りとそれに対する家賃額を設定しなければならないでしょう。
家賃関係のトラブルが起きないよう、しっかり対応してくれるマンションの管理会社選びも重要です。

マンション経営は結局メリット・デメリットどっちが割合が多い?


 
マンション経営は長期的な家賃収入が得られ、市場の影響をあまり受けないのが最大のメリットです。
ただしメリットばかりではなく、非常に多くのデメリットがあることもお分かりいただけたでしょう。
結論を言うと、メリット・デメリットどちらが上回るかはかなり人によります。
記事内で紹介しているようなマンション経営が明らかに向いている人と、そうでない人がいるのです。
現預金資産を非常に多く持っている人や、すでにマンションが建てられるほどの広い土地を持っている方は、そこまで多くの収入を得られなくても、相続税対策の面から見るとマンションを経営するのがベストな選択と言えます。
そうでない方は本当にマンション経営によりメリットを享受できるのか、しっかりと熟考した方が良いでしょう。
メリットばかりに気を取られて最終的に損をしないよう、将来まで見据えた計画的なマンション経営を検討してください。

マンション経営に将来性はあるのか


 
結論から言うと、3~8%程度の利回りが良いマンションを経営できていれば、将来性は高いでしょう。
利回りが良いかどうかは経営における収入と費用を分析し、正確に計算する必要があります。
ここからは利回りの計算方法や、収入・費用について詳細に見ていきましょう。
マンション経営をするにあたっての利回りの計算方法を徹底解説!
利回りは「1年の間に投資額の何パーセントを回収できているか」を指します。
利回りには以下の2種類があり、それぞれの計算方法は以下の通りです。

利回りの種類 計算方法
表面利回り 年間家賃収入 ÷ 建築費用
実質利回り (年間家賃収入-諸経費) ÷ (建築費用+購入時の諸経費)

表面利回りは販売されている投資物件の広告に表示されている利回りのことです。
 
表面利回り3%以下のマンションの経営は、投資額を回収できないリスクが高いので避けた方が無難でしょう。
安定した投資額の回収のためには、5%以上の表面利回りが必要といわれています。
5%以上の表面利回りがないと、高い収益性の分岐点ともいえる実質利回り3%を維持できないからです。
 
実際にマンションの経営に踏み切る際には、ランニングコストを考慮し、実際の投資額回収率を判断できる実質利回りを見て判断してください。
例として以下の物件の実質利回りを計算してみましょう。

年間家賃収入に関わる部分 居住者がいる部屋数 15室
家賃 8万円/月
諸経費に関わる部分 固定資産税等税金 80万円/月
水道光熱費 30万円/月
修繕費 40万円/月
保険料など 20万円/月
物件価格に関わる部分 建築費用 1億5000万円
購入時の諸経費 400万円
  • 年間家賃収入:8万円×15室×12か月=1,440万円
  • 諸経費:80万円+30万円+40万円+20万円=170万円
  • 物件価格:1億5,000万円+400万円=1億5,400万円
  • 利回り=(1,440万円-170万円)÷1億5,400万円=約8.2%

このマンションの実質利回りは約8.2%で、非常に収益性の高いマンションであることが分かります。
ただし利回りの相場は地域によっても異なるため、上記はあくまで参考程度にしてください。
地方では利回りが高くなりやすい一方、空室が出るリスクが上がります。
都心では利回りが低くなる代わりに、空室が出るリスクはかなり低くなるのです。
実質利回りを正確に求めるには、マンション経営で得られる収入と費用についての理解が必須です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

マンション経営の収入はどのくらい?


 
マンション経営の収入の大半は家賃収入で、家賃×室数×12が年間の家賃収入です。
 
このほかにも収入があり、まとめると以下の通りになります。

収入の種類 収入額相場 収入になるタイミング
家賃収入 物件の家賃による 毎月
共益費(管理費) 家賃の5~10% 毎月
礼金 家賃の1~2か月分 入居時
更新料 家賃の1ヶ月分 一般的に2年に1回

家賃収入のほか毎月の共益費や、入居時の礼金、一般的に2年に1回の更新料も収入に当たります。
これらの収入を総合的に加味し、どのくらいの金額になるのか判断しましょう。
とはいえ収入の大半は家賃収入です。また入居者がいなければいずれの収入も得られません。
全体の10%の空室があっても、3%以上の利回りが確保できている状態が理想と言えるでしょう。
マンション経営の費用はどのくらい?
マンション経営には初期費用とランニングコストがかかります。
マンションの購入費用やそれに伴うローンの費用、保険料や修繕費用、さらには税金など、表面的なコストのみでなく、経営スタート後に発生する潜在的なコストにまで気を配る必要があるのです。
どの程度の費用がかかるかは、マンションの種類や戸数、地域によって大きな開きがあるので注意してください。
建築会社の提案するプランを複数比較し、収入が費用を上回る構図が成立するマンションを経営しましょう。
なお具体的にかかる費用については、記事内で詳しく解説しているのでそちらを参照ください。

マンション経営に向いている人はこんな人!マンション経営が向いている人の特徴4つをご紹介!


 
マンション経営を検討する前に、そもそも自分がマンション経営に向いているかを確認しておきましょう。
以下の4つの特徴にあてはまる方は、マンション経営をするのに向いています。

  1. 広めの土地を持っている
  2. 自己資金に余裕がある
  3. 資産運用したい
  4. 相続税対策したい

それぞれの特徴について詳細に見ていきましょう。

広めの土地を持っている

50坪~200坪程度の広めの土地を持っている方は、マンション経営が非常に向いています。
駐車場経営や商業施設建設など他の土地活用方法もありますが、この土地の範囲で行うマンション経営は収益性や安定性、税制優遇を受けられる点で非常にメリットが大きいからです。
もちろんマンションを購入する費用がかかるのでリスクは伴いますが、不況による撤退リスクがある商業施設を建設するよりは圧倒的に低いリスクで運用できます。
月数千円~1万円/台が収益相場の駐車場経営と比較しても、圧倒的な収益性を見込めるでしょう。
このように50~200坪程度の広めの土地を持っている場合、マンション経営は他のどの土地活用方法よりもリスクに対する収益のパフォーマンスが優れているうえ、安定性が高いです。
50~200坪の土地を持っておりある程度の自己資金が確保できる方は、ぜひマンション経営に挑戦してみることをおすすめします。

自己資金に余裕がある

マンション経営をする方の多くは、自己資金とローンを複合して経営をスタートします。
ローンの割合が高くなってしまうと月々の返済額や最終的な費用が高くなり、返済期間も長くなってしまうので、最初に自己資金を出せるほど資金繰りが楽になるのです。
ローンを完済する前に空室が多く発生した場合、赤字になってしまうリスクもあります。
目安として経営したいマンションの購入価格の20~30%、自己資金を捻出するのがおすすめです。
そもそもマンションの購入には、購入価格の10~20%の頭金が必要になります。
それ以外にもさまざまな初期費用がかかるため、購入価格の15〜25%程度の自己資金を最初に捻出できない場合は、マンションの経営は難しいでしょう。
なおマンションの経営にかかる費用は、こちらで詳しく解説しています。

資産運用したい

資産運用がしたいと考えている方には、安定的に継続収入が得られるうえ、リスクが低いマンション経営をおすすめします。
預金や投資信託、国債購入などの利回りが1%を切る中、マンション経営の利回りは3~8%が一般的です。
資産価値が急激に落ちることもほぼないため、相場の影響をまともに受けてしまう投資信託などの資産運用と比較し、低いリスクでスタートできます。
ある程度家賃収入を得た後にマンションを売却し、現金化することも可能です。
なお売却は入居者がいる状態でも可能なため、好きなタイミングで行えます。
 
自己資金と不動産投資ローンを併用できるので、比較的少額の投資からでも経営をスタートできます。
家賃収入でローンを返済できるので、安定的な利回りを確保できていれば資金繰りも容易です。
詳しくは後述しますが節税効果も高く、他の資産運用よりも多くのメリットを受けられます。
もちろん資産を不動産に集約せず、その他の資産運用との併用も可能です。
 
メリットだらけのマンション経営を活かさない手はありません。
ある程度の自己資金を捻出できる方は、資産運用の第1候補としてマンション経営を検討するのが良いでしょう。

相続税対策したい

所有している現金・預貯金などの財産が以下の金額を上回っている場合、相続税対策ができるのでマンション経営に向いています。
 
3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)
 
相続税は財産の額(=相続税評価額)に応じて税率が高くなる仕組みが取られています。
マンションを経営すれば土地・建物の相続税評価額を下げられるので、高い節税効果を得られるのです。
現金や預貯金を相続した場合、相続税評価額は額面通りの金額になります。
対して自分で土地と建物を所有し経営しているマンションは、おおよそ以下のような相続税評価となるでしょう。

評価物 相続税評価額の目安
土地 時価の80%未満
建物 建築費の50~70%

土地の相続税評価額は「相続税路線価」をもとに決定されますが、路線価はおおよそ時価の80%程度となっているケースが多いです。
賃貸利用のマンションの場合、そこからさらに「貸家建付地」としての評価額が減額されるので、最低でも80%未満の相続税評価額となるでしょう。
実際の土地の相続税評価額の計算式は以下のようになります。

  • 土地の路線価評価額 ×( 1 – 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

借地権割合は地域により30~90%と大きく異なり、国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」で確認できます。
借家権割合は2023年1月現在、全国一律で30%×入居率です。
賃貸割合は入居率が反映されます。
 
建物は固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になり、目安としては建築費の50~70%程度の金額です。
こちらもさらに賃貸に出している割合が減額となるので、実際の相続税評価額はさらに低い金額となります。
 
実際の建物の相続税評価額の計算式は以下のようになります。

  • 建物の固定資産税評価額 × (1 – 借家権割合 × 賃貸割合)

借家権割合と賃貸割合は土地の場合と同じ計算方法です。
借家権割合は2023年1月現在全国一律で30%×入居率の割合が、賃貸割合は入居率が反映されます。

例えば1億5,000万円の現金・預金がある方(=そのまま相続すると相続税評価額が1億5,000万円になる方)が、以下の条件のマンションを経営している場合に発生する相続税評価額を見ていきましょう。

土地の時価 5,000万円
土地の路線価 80%
マンションの建築費 1億円
マンションの固定資産税評価割合 60%
借地権割合 60%
借家権割合 30%
賃貸割合 100%
  • 土地の相続税評価額 = 5,000万円× 80% ×(1 – 30% × 60% × 100%)= 3,280万円
  • 建物の相続税評価額 = 1億円 × 60% × (1 – 30% × 100%) = 4,200万円
  • 土地・建物の合計相続税評価額 = 3,280万円 + 4,200万円 = 7,480万円

1億5000万円あったはずの相続税評価額が、マンション経営をすることにより7,480万円、つまり約半分になったということです。
地域差はありますが、マンション経営により相続税評価額は30~60%程度に軽減できます。
200平米(=約60.5坪)まで敷地のマンションを経営しており、かつ満3年以上が経過している場合、「小規模宅地等の特例」により土地の評価額をさらに半分に下げることも可能です。
(参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」)
 
なお相続時にマンション購入時のローンがまだ残っている場合は、ローン残債も評価額の計算に加わるので注意しましょう。
ローン残債の計算については、この記事の後半で解説しているので参照してください。

マンション経営に踏み出す前に押さえておきたい知識

メリット
 
安定した収益が見込めるメリットの大きいマンション経営ですが、実際にマンション経営に踏み出す前にはどれだけ「費用」や「税金」がかかるか押さえておかないと、最終的に赤字となってしまう可能性があります。
マンション経営にはこれだけの費用・税金がかかるので、しっかり把握しておきましょう。

費用項目 金額の目安 かかるタイミング
物件取得費用(頭金) 土地・マンション購入価格の10~30% マンション購入時
ローン諸費用 借入額の1~3% マンション購入時(保証料に限り分割できることも)
不動産取得税 固定資産税評価額 × 3%
 
※軽減措置あり
マンション購入時
登記費用 10~30万円 + マンション・土地価格による金額 マンション購入時
印紙税 1~20万円(マンション価格による)
 
ローンを組む場合はほぼ倍
マンション購入時
各種保険料 4~6万円/年 × 保険数 毎年(5~10年の一括支払い可能)
建築費用(頭金) 建築費用の10~30% マンション購入時
ローン返済金 マンション・土地価格や支払い年数による 毎月
管理費 家賃収入の5%前後 毎月
修繕費 床面積当たりの修繕積立金 × 部屋の床面積 × 戸数 随時および毎月の積立
所得税 総所得額 × 税率 – 控除額 毎年3月まで
固定資産税 固定資産税評価額の1.4%前後 毎年1回もしくは年4回分割
都市計画税 固定資産税評価額の0.3%前後 毎年1回

それぞれ個別に、より詳細に解説します。

初期費用

マンション経営には物件購入費用の20〜40%を目安とした、比較的大きな初期費用がかかります。
初期費用としてかかりうるのは以下の費用です。

  1. 物件取得費用(頭金)
  2. ローン諸費用
  3. 不動産取得税
  4. 登記費用
  5. 印紙税
  6. 各種保険料
  7. 建築費用(頭金)

物件購入費用もしくは建築費用の頭金と、その他の諸費用が初期費用としてかかります。
頭金は物件購入費用の10~30%、その他の諸費用は10%ほどが相場です。
そのため初期費用としては、物件購入金額の20〜40%ほどかかると覚えておきましょう。
それぞれの初期費用の費用項目について詳しく解説します。

物件取得費用

マンションを経営するために、まずはマンションを取得する必要があります。
土地とマンションの購入金額の10~30%ほどの頭金と、中古マンションの場合は仲介手数料が物件取得費用としてかかるので覚えておきましょう。
マンション取得の方法には以下の2種類があり、それぞれ費用項目が変わります。
 
マンションを新築する
中古マンションを購入する
 
マンションを新築する場合は建築代金がかかります。
新築の場合はもう少し後で詳しく解説しているので、こちらを参照してください。
中古マンションを購入する場合、一般的には不動産会社の仲介を受け購入することになります。
頭金としてマンションの購入金額の10~30%を支払い、残りはローンで分割するのが一般的です。
またこの場合の物件取得費用にはマンション自体の金額のほか、不動産会社の仲介手数料も加わるので注意しましょう。
仲介手数料の相場は「(物件価格の3%+6万円)+消費税」です。
マンション購入の契約時に支払うので、初期費用として想定しておいてください。
 
なお土地を持っていない場合には、もちろん土地の取得費用もかかります。
土地もマンションと同様、購入金額の10~30%の頭金を支払い残りをローンで分割するのが一般的です。

ローン諸費用

マンションを建築・購入する際に使うローンは、契約時に事務手数料や保証料がかかるのが一般的です。
事務手数料や保証料の相場は以下のようになっています。

  • 費用項目
  • 相場金額
  • 事務手数料
  • 借入額の1~3%
  • 保証料
  • 無料~物件価格の2%

上記の表だけ見ると保証料が無料のところを選んだ方が良いように感じられますが、実際には事務手数料と保証料の合計が借入額の1~3%程度になるように、各社とも均衡がとれています。
なお保証料は現金一括で事務手数料と一緒に支払う方法のほか、毎月の返済額にプラスして支払う方法もあるので覚えておきましょう。
ただし一括で支払った方がトータルの金額が少なくなるので、可能であれば一括で支払ってしまうのが得策です。

不動産取得税

マンションを取得する際には、以下の式で算出された不動産取得税がかかります。
 
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 3%
 
(参考:東京都主税局「不動産取得税」
 
土地を購入しマンションを新築する場合は、40~240㎡以内の床面積であれば1,200万円が固定資産税評価額から控除されます。
土地と築1年以内かつ床面積40~240㎡以内のマンションを同時購入する場合も、同様に1,200万の控除を受けることが可能です。
 
また土地は2024年(令和6年)3月31日までに取得すれば、固定資産税評価額を1/2にし、さらに最終的な税額から減額を受けられる軽減措置を利用できます。
減額は、以下のいずれか高い方の金額が適用されます。

  • 45,000円
  • 土地1㎡当たりの価格 × 住宅の床面積の2倍(1戸当たり200㎡まで) × 住宅の取得持分 × 3%

(参考:東京都主税局「不動産取得税Q&A」

土地の不動産取得税は、軽減措置を適用すれば純粋に半分以下になります。
不動産取得税は一般に数十万円の金額になるので、決して少なくありません。
土地を新規に購入してのマンション経営を検討している方は、なるべく2024年(令和6年)3月31日までにスタートするのがおすすめです。

登記費用

購入・新築した土地マンションの登記や、ローンの抵当権登記には登記費用がかかります。
登記費用は登録免許税と司法書士依頼料の2つに分類され、それぞれの金額相場は以下の通りです。

費用項目 金額相場
登録免許税(土地) 土地価格の2%(2023年3月31日までは1.5%)
登録免許税(新築マンション) マンション購入・建築価格の0.4%
登録免許税(中古マンション) マンション購入価格の1.5%
司法書士依頼料 10~30万円

(参考:国税庁「登録免許税の税額表」)
 
司法書士に依頼せず自分で登記することもできますが、専門知識がない場合は正常に登記できず後からトラブルになるリスクが高いです。
司法書士の経験がない場合は、登記はすべて司法書士に一任するのが得策でしょう。

印紙税

印紙税はマンションを取得した際にかかる税金で、マンションの購入価格に応じて支払う必要があります。
支払いは現金や振込ではなく、売買契約書や建設工事請負契約書に収入印紙を貼る方式です。
またローンを契約する場合は、ローンの契約額に応じた収入印紙もローンの契約書に貼る必要があるので注意しましょう。
金額ごとの印紙税額は以下のようになっています。

マンションの購入価格 / ローンの契約額 印紙税額
500万円超~1,000万円 1万円
1,000万円超~5,000万円 2万円
5,000万円超~1億円 6万円
1億円超~5億円 10万円

参考:国税庁「印紙税額の一覧表」
 
購入価格50万円以下または5億円超の印紙税額は、上記の国税庁のサイトを参照してください。
収入印紙を貼り忘れると、後から本来の印紙税額の1.1倍の過怠税が徴収されることがあります。
収入印紙を使い回すなど悪質な場合には、過怠税額は3倍になるのでしっかり収入印紙は毎回新しいものを用意しましょう。

各種保険料

マンションに関わる保険は基本的に任意保険のため加入の義務はありませんが、リスクを考慮するとほぼ必須と言えます。
保険には主に以下のような種類があるので押さえておきましょう。

保険の種類 保険の役割
火災保険 共用部分などから発生した災害や、外的要因による事故を補償する
地震保険 地震によるマンションの倒壊や火災を補償する
施設賠償責任保険 マンションの欠陥による予期できない事故を補償する
 
※火災保険の特約としても加入できる

火災保険に入っておけば、共用部分を原因とする火災のほか台風や落雷、豪雪を原因とする被害も補償してくれます。
火災保険では地震による火災は保証されないので、基本的に火災保険と地震保険はセットで加入しておいた方が良いでしょう。
施設賠償責任保険は万が一マンションの欠陥が原因で、入居者や無関係な人にケガを負わせてしまった場合に保証してくれる保険です。
重傷の場合には賠償金額が大きくなることもあるので加入しておくと安心ですが、保険料に対して補償額が大きくない場合があるのでしっかり確認して加入しましょう。
なお最近では一人暮らし世帯の増加を踏まえ、病気や自殺によるマンション内での死亡を原因とする「事故物件化」を補償してくれる「死亡事故保険」も増えているので、居住者の層によっては加入しておいた方が良いかもしれません。
 
それぞれ金額は補償内容や築年数などにより大きく異なりますが、一棟マンションの場合は4~6万円/年が相場です。
また基本的にマンションの保険料は、5年~10年分の一括支払いができます。
保険料は1、2年ペースで値上げしており、今後もほぼ間違いなく値上げしていくと予想されているため、資金に余裕があれば複数年分一括で支払っておきましょう。

建築費用

マンションを購入せず新築する場合には建築費用がかかります。
建築費用の目安は以下の通りです。
 
建築費用 = 坪単価×延べ床面積 ×110%~120%
 
この建築費用の10~30%を頭金として支払うため、初期費用として押さえておく必要があることは覚えておきましょう。
建築費用のベースとなる金額は、坪単価と延べ床面積により決定します。
延べ床面積とはマンションの床面積の合計のことで、2階建なら2倍、3階建てなら3倍と階層が増えるほど倍になっていきます。
坪単価は地域やマンションの構造によっても変わるので覚えておいてください。
一般的にマンションで使われる、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の、東京都における坪単価の相場は以下の通りです。

マンションの構造 東京都の坪単価の相場
鉄骨造(S造) 約99万円
鉄筋コンクリート造(RC造) 約116万円
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 約152万円

(参考:2022年12月版 e-Stat 政府統計の総合窓口「住宅着工統計」)
 
こちらはあくまで東京都の統計ですので、地域によってはこの半分以下の坪単価になるということもあるでしょう。
坪単価と延べ床面積によって計算された基本の建築費用に、付帯工事費やその他の細かい費用が加算されます。
これらの費用を合計すると、坪単価×延べ床面積の10~20%ほどの金額となるのが一般的です。
なお付帯工事費には、インフラ整備や敷地の整地費用などが含まれています。
建築費用の10~30%は頭金として支払い、残りはローンで支払うことになるのが基本と覚えておきましょう。

ランニングコスト

マンション購入のは初期費用がかかることはもちろん、購入後の維持にも非常にコストが掛かります。
マンション維持のためのランニングコストには、主に以下のようなものがあるので覚えておきましょう。

  • ローン返済金
  • 管理費
  • 修繕費
  • 所得税
  • 固定資産税
  • 都市計画税

購入・建築の際の頭金を除く代金は基本的にローンを組むことになるので、大きなローン返済金を払っていく必要があります。
そのほか管理・修繕のための費用や、各種の税金がかかってくるのでそれぞれ押さえておきましょう。
すべてのランニングコストを合算して、収入金額を上回らないとマンション経営をするメリットを受けられません。
それぞれの費用項目について詳しく解説します。

ローン返済金

マンション・土地の代金を全額一括で支払った方以外はローンを組んでいるので、ローンの返済金が毎月発生します。
マンション経営のランニングコストとしては、もっとも大きい費用項目と言えるでしょう。
ローンの返済金額は支払い年数や借入金額、借入当時の金利などにより大きく変わるので、一概に目安がどのくらいと提示できるものではありません。
ただし建築するマンションの構造により法定耐用年数が定められており、この年数以内での全額返済は必須です。
各マンション構造別の法定耐用年数は以下のようになっています。

マンションの構造 法定耐用年数
鉄骨造(S造) 19年~34年(鉄骨の厚さによる)
鉄筋コンクリート造(RC造) 47年
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 47年

ただしローンを組む際の年齢が高い場合は、この法定耐用年数を考慮せずに返済期間を決定せざるを得ないこともあります。
またローンの返済方式には2つの種類があり、負担額が変わってくるので覚えておくと良いでしょう。

ローンの返済方式 特徴 最終的な支払金額
元利均等返済方式 最初から完済まで一定額を返済する 高くなる
元金均等返済方式 一定額の元金と、残高に応じた利息を支払う 安くなる

元金均等返済方式を選択すれば、最初の負担が大きくなりますが最終的な支払金額は大きく減ります。
対して元利均等返済方式を選択した場合は、負担量は一定ですが最終的な支払金額が大きくなってしまうので注意してください。
手持ち資金に余裕が持てて、審査にも通過できた場合にはなるべく元金均等返済方式を選択した方がベターです。
一例として、以下の条件でローンを借り入れをした場合の返済額を見てみましょう。

  • 借入金額:1億円
  • 返済期間:20年
  • 金利:3%
  • 元利均等返済方式

この条件の場合、月々の返済額は554,597円で、最終的な支払金額は133,103,280円です。
最終的に借入金額よりも数千万円高い金額を支払うこととなります。
金利による部分が大きいですが、借入金額と実際の支払額の差がかなり大きいことは覚えておいてください。

管理費

マンションの管理は一般的に、賃貸管理の管理会社に委託します。
委託料金は家賃収入の5%ほどが相場です。
安くても高くても、5%から大きく離れている管理会社を選ぶのは避けた方が良いでしょう。
安すぎる管理会社はサービスの室が低く、高すぎる管理会社は単純に悪質な料金設定となっている可能性があります。
管理業務を自分で行うこともできますが、以下のような非常に煩雑な業務が発生するのであまりおすすめしません。

  • 入居者の募集
  • 家賃の回収
  • 入居者のクレーム対応
  • 修繕などの手続き
  • 定期的な清掃

コストを下げるために自分で行う方もいますが、管理業務にかかる時間を考えると家賃収入の5%でも高くはないでしょう。
クレーム対応からトラブルになるのを避けるためにも、管理会社に料金を支払って委託した方が無難です。

修繕費

マンションの劣化を修繕することを想定した「長期修繕計画」に沿った形で、修繕費を積み立てる必要があります。
一般的にマンションは12年周期で大規模な改修を行うため、この費用を積み立てた修繕費で対応しましょう。
マンションの規模や構造、戸数によってもかかる費用は変わってきます。
国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で以下のような費用の目安が公開されているので、そちらを参考に積み立てるようにしてください。
 
修繕積立金の月額目安= 床面積当たりの修繕積立金 × 部屋の床面積(㎡) × 戸数
 
床面積あたりの修繕積立金は地域によっても異なりますが、平均200円/㎡程度です。
上記の計算式に当てはめると、1部屋50㎡、15戸のマンションの修繕積立金目安は150,000円となります。
なお機械式駐車場を設置している場合は、駐車場の修繕費用も加算しなければいけません。
機械式駐車場修繕積立金の月額目安は以下の式で計算します。

  • 機械式駐車場修繕積立金の月額目安 = 1台あたり月額の修繕工事費 × 台数 ÷ マンションの床面積(㎡)

1台当たりの月額の修繕工事費は機械式駐車場の機種により、4,645円~7,210円ほどです。
機種により激しい差異があるので、詳しい金額は国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の8ページをご覧いただくことをおすすめします。

なお機械式駐車場を設置しているケースでは、駐車場収入でこの積立金を十分にまかなえます。
積立金を差し引いても十分に収入を確保できる駐車場料金を設定しましょう。

またここまでに解説した金額はあくまで目安で、マンションの立地や近隣の開発状況に応じて、必要な金額が大きく変動する可能性があります。
実際に国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」によると、この目安の金額で修繕積立金を決めた人は全体の72.5%です。
定期的な見直しをして、大規模修繕に対応できる適切な金額を積み立てるようにしましょう。

所得税

マンション経営で収益が出ている場合、総所得額に応じて5~45%の所得税がかかります。
所得税は給与所得などの他の所得と合算された、総所得額に応じた累進課税方式のため覚えておきましょう。
所得税額は以下の式で計算されます。

  • 所得税額 = 総所得額 × 税率 – 控除額

総所得額は給与などの所得に、以下の式で計算された不動産所得を加算した金額となります。

  • 不動産所得 = 収入 – 経費

収入、経費の主な内容は以下の通りです。

収入 家賃収入、駐車場収入、管理費収入、更新料、礼金など
経費 管理委託費、修繕費、火災保険料、固定資産税、減価償却費、ローンの利息

敷金は最終的に入居者に返還するため、収入に含まれない点は注意しましょう。
税率・控除額は、以下のように総所得額に応じて決定します。

総所得額 税率 控除額
1,000~1,949,000円 5% 0円
1,950,000円~3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円~6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円~8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円~17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円~ 45% 4,796,000円

(参考:国税庁「所得税の税率 所得税の速算表」)

なお所得税とあわせ、住民税の金額も総所得額に応じて変動します。
住民税の金額は以下の通りです。

  • 住民税額 = 総所得額 × 10% + 均等割

均等割は所得に関わらず5,000円に設定されています。
ただし2023年度までは東日本大震災を踏まえた防災費用確保のため、均等割は6,000円です。
(参考:総務省「地方税制度」)
 
所得税、住民税額は確定申告で申告し、支払いしなければいけません。
所得税は3月、住民税は6月に支払いがあるので忘れずに行ってください。
どれだけ所得が増加し、どれだけの所得税・住民税の増加があるか想定しつつマンション経営を進めましょう。

固定資産税

毎年1月1日時点で所有しているマンションに対して、以下の式で計算される固定資産税がかかります。

  • 固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 1.4%

土地の固定資産税評価額は、国税庁が定める路線価をもとに大きく変わります。平均をとると公示価格の7割程度です。
マンションの固定資産税評価額は、建築費用または購入費用の50~70%となることが多いです。
固定資産税評価額は土地が3年に1度、マンションが毎年変動するので覚えておいてください。
マンションは償却資産であるため、減価償却費をしっかり計上していればマンションの固定資産税評価額は年々下がっていきます。
建物や設備の法定耐用年数を確認し、適切に減価償却費を計上して節税しましょう。
なおマンション経営の場合、以下の軽減措置を適用できます。

条件 軽減額 期間
マンション ・令和6年3月31日までに新築した
 
・3階建て以上
 
・耐火・準耐火構造物である
1戸あたり120㎡の部分まで固定資産税額が1/2 5年間
土地 ・マンションの場合は特になし ・200㎡以下の部分まで固定資産税評価額が1/6

・200㎡を超える部分は固定資産税評価額が1/3

無制限

新築マンションの場合、上記の条件は簡単に満たせるため非常に大きく税額が軽減されます。
軽減措置の適用には「住宅用地等申告書」の提出が必要です。
各自治体ごとに様式が異なるので、「住宅用地等申告書 自治体名」で検索をしてヒットした様式をダウンロードして使うか、各自治体の役場の窓口で貰いましょう。
固定資産税の振込用紙は4~6月頃に届きますが、支払い期日は自治体によって差があります。
支払いを忘れると最大8.8%の延滞金が課されるので、忘れずに期日までに支払ってください。

都市計画税

固定資産税とほぼ同様の仕組みで、毎年都市計画税の支払いが発生します。
都市計画税額は以下の式で計算します。
 
都市計画税額 = 固定資産税評価額 × 0.3%
 
0.3%が標準税率とはなっていますが、自治体によって異なる場合もあるので確認しておきましょう。
都市計画税にも、土地に対して固定資産税のような軽減措置があります。
200㎡以下の部分まで固定資産税評価額が1/3に、200㎡を超える部分は固定資産税評価額が2/3になります。
固定資産税の軽減措置を申請していれば、都市計画税は特に追加で申請する必要がありません。
固定資産税と同様に延滞金の仕組みがあるので、指定された期日までに忘れず支払ってください。
 
マンション経営をしっかりとスタートさせたい!信頼できる建築会社の見分け方とそのポイント!
マンションを新築してマンション経営をスタートする場合、信頼できる自分に合った建築会社と契約することが非常に重要です。
建築会社によって建築費用が変わってくるのはもちろん、建築前のサポートやアフターサービスに大きな差があります。
一概に建築会社と言っても実は細かい分類があり、それぞれ得意とする分野が変わるので注意が必要です。
特徴や選び方のポイントを押さえて、信頼できる建築会社と契約しましょう。
マンション経営をするなら把握しよう!建築会社の特徴
建築会社にはハウスメーカー、工務店、設計事務所の3種類があり、それぞれのメリット・デメリットは以下のようになっています。

建築会社の種類 メリット デメリット
ハウスメーカー ・実績が多い

・経営プランが豊富

・管理までお任せできることが多い

・工期が短い

・保証やアフターサービスが充実している

・建築費が高くなる(ただし広告費などを含んでいる)

・構造・設計の自由度が低い

工務店 ・地域に合った提案を受けられる

・細かい要望にも対応してくれる

・経営プランが少ない

・設計を自社でできず、設計事務所との認識の齟齬が起きる可能性がある

設計事務所 ・土地の状況に最適な提案を受けられる

・デザイン性の高いマンションが建てられる

・工期が長い

・打ち合わせ回数が多くなる

「デザイン性の高いマンションを経営したい」「地元の工務店と個人的なコネクションがある」といったケースを除き、基本的にはハウスメーカーを選ぶのが安心でしょう。
ハウスメーカーはマンション建築の実績が多く、非常に多くのプランから選べるため安心感が段違いです。
保障やアフターサービスも充実しており、建築前から施行後までしっかりとサポートが受けられます。
建築費こそ高くなりますが、広告費を含んでおり入居者を集めてくれるのでメリットが勝るでしょう。
ただしハウスメーカーにも非常に多くの企業があり、良し悪しやマンションを得意としているかがそれぞれ異なります。
実際のハウスメーカーの選定ポイントを詳しく見ていきましょう。

マンション経営を安心して任せられる建築会社を選定ポイントを一挙に紹介!


 
マンション経営を安心して任せられるハウスメーカーの選定ポイントは以下の4つです。

  1. 建築予定エリアのマンションの施行実績が多いか
  2. 担当者がデメリット・リスクまでしっかり説明してくれるか
  3. リスクを踏まえた収支計画を提案してくれるか
  4. 口コミや評判が良いか

マンションを建築する予定エリアにおいて、施工実績が多いことは非常に重要です。
それだけ地域に根付いており、信頼されているハウスメーカーであることがうかがえます。
単純な施工実績だけでなく、実際に建築されたマンションの入居率が良いかまで確認しておくと良いでしょう。
ハウスメーカーによってはプランの良い面ばかりを説明し、デメリットやリスクにはあまり触れない場合があります。
こうしたハウスメーカーは契約を取ることを第一に動いており、あまり信頼できるとは言えません。
デメリットやリスクまで詳細に説明し、起こり得るリスクを踏まえ将来性を見据えた収支計画を提案してくれるハウスメーカーを選んでください。
 
また最終判断をする材料としては、利用者の口コミや評判も非常に重要です。
とはいえハウスメーカーは満足しなかった方が悪評をつける傾向が多く、悪い口コミがあるからと言って良くないハウスメーカーだとは限りません。
悪い口コミに紛れ込む良い口コミの内容を見つつ、総合的に判断しましょう。

マンション経営の難所!マンションの建て替え!費用はどのくらいを想定すればよい?

長期的に経営し、家賃収入に対して修繕費用が高くなってきたマンションや、老朽化や設備の時代遅れが原因で入居者が増えづらくなってきたマンションは、建て替えを検討する必要があります。
リフォームや部分的な修繕で対応できる範疇でなくなってしまった場合は、マンションを建て替えて利回りを改善しましょう。
一般的に建て替えを検討するタイミングは、築30〜40年が経過した時期です。
ただし、もちろん建て替えには費用がかかります。
単純に新しいマンションを建築するのではなく、一度マンションを解体する必要があるので、解体費用まで含めた資金計画を立てることが重要です。
こうしたマンションの建て替えにかかる費用について詳しく解説します。

マンション経営をするにあたって解体費用は誰が負担するの?

マンションの解体費用は、マンションの所有者が負担します。
つまり一棟マンションを経営している場合は自身で、区分マンションを経営している場合は管理者が支払うのです。
住民に費用負担をさせることはできないので、すべて自身で負担する必要があります。
では実際の解体費用はどのくらいを想定すればいいのか見てみましょう。
マンションの解体費用はどのくらい?マンション経営における収益に賄えるの?
マンションの解体費用は、1戸あたり200万円~1,000万円ほどです。
解体費用は主に以下の4つの要素により大きく変動します。

  1. 地域
  2. 広さ(戸数)
  3. 構造
  4. 立地

一般的に人件費などの水準が高い都市部の方が解体費用は高額です。
もちろんマンションが広く戸数が多いほど、構造が強固で複雑であるほど解体費用も高額になります。
2023年現在、構造別の解体費用目安は以下の通りです。

マンションの構造 解体費用目安
鉄骨造(S造) 6~7万円/坪
鉄筋コンクリート造(RC造) 7~8万円/坪

重機が入れないほど道路幅が狭い場合など、立地によってはさらなる費用負担もあり得るので注意が必要です。
 
ちなみに解体費用を抑えるためには、以下のような方法があります。

  • 解体業者の見積もりを比較し、安い業者を選ぶ
  • 繁忙期は避けて解体する
  • 補助金を活用する

解体業者によって解体方法や作業に割ける人数、工期はさまざまなため、複数を比較検討することで費用を抑えられます。
また解体業者は一般的に12月・3月が繁忙期で料金が高くなるため、繁忙期を避ければある程度費用負担の軽減が可能です。
また自治体によっては、マンションの解体に補助金や助成金を出してくれることもあります。
解体時期に補助金や助成金があれば、少ない費用負担でマンションを建て替えが可能です。
 
最終的に経営における収益で賄えるかどうかは、後述する再建築費と合算した費用を収益でペイできるかどうかで判断します。
リフォームで繋いでいくことにはやはり限界があり、最終的には建て替え、もしくは売却を検討する必要があるでしょう。

マンションの建築費はどのくらい?マンション経営における収益に賄えるの?

マンションの建築費は以下の式で計算します。

  • 建築費 = 坪単価×延べ床面積 ×110%~120%

この建築費用の10~30%を頭金として支払い、残りはローンを組むのが一般的です。
より詳しい費用感は記事内で解説しています。
坪単価の相場などは年々変化しているため、実際に建て替えをするタイミングでは大きく異なる場合があるので注意してください。
また、合わせて建築以外にかかる費用も押さえておくと良いでしょう。
建築費自体は、再建した経営により収益で賄える可能性が高いです。
ただし解体費用と合算して考えると、収益で賄えずに赤字になってしまうことは十分にあり得ます。
 
収益性を改善するために、建て替えの際には以下のことに取り組み家賃の向上を検討するのもひとつの手段です。

  • ニーズに合った設備や間取りに作り替える
  • 性能の高いマンションを建築する

現代でいうリモートワークスペースなど、時代に合った設備や間取りがあるマンションは需要が高まります。
ニーズは時代による移り変わりが激しいので判断が難しいですが、的確に押さえることで高い家賃でも入居者が集まるでしょう。
また根本的に性能が高いマンションを建築することで、高所得者層に需要があり高い家賃設定でも人気のあるマンションを経営できる可能性があります。
性能を上げることで修繕費用を抑える効果もあるので、どれだけの費用対効果があるかを確認して検討してください。
 
どうしても建て替えにより収益で費用を賄える見込みがない場合や、そもそも解体・建て替えにかかる初期費用を捻出できない場合は、経営をあきらめてマンションを売却する手段もあります。
経営をスタートした際と同様に、再度1から綿密な経営計画を立てて損をしない経営を実現しましょう。
マンション経営は実はアパート経営よりも有利?マンション経営とアパート経営を徹底比較!
「マンションとアパート、どっちを経営した方が良いの?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
マンション経営はアパート経営よりも、総合的な収益性が高い傾向があります。
具体的になぜこのような傾向があるのか、マンション経営の有利な点を見ていきましょう。

建物性能が高い

マンションは全体的に建物の性能が高く、災害時のリスクや安全性、快適性がアパートよりも優位です。
大半のアパートは木造であり、火災・地震により大規模な損害を被るリスクがあります。
対してマンションは鉄骨や鉄筋コンクリートなどの構造で、アパートと比較し圧倒的な耐火性・耐震性があるため災害によるリスクが小さいのです。
木造と比較し遮音性が高いので、住民間の騒音トラブルが発生するリスクも下がります。
防犯カメラやオートロックにより安全性を高めたり、エレベーターを取り付けて快適性を高めたりといったことも可能です。
アパートと性能面で明らかに差が出るので、高性能な住居に住みたい層を確実に捕まえられます。

家賃水準が高めで、経年による下落幅も小さい

マンションはアパートと比較し、非常に家賃水準が高めです。
先述したように建物性能が高いマンションは、高性能な住居に住みたい層からの需要があります。
そのためマンションに住むのは高所得者層が多く、高い家賃でも継続的に居住してくれるでしょう。
またマンションもアパート同様、築年数が経てば家賃が下がっていきますが、高い建物性能をある程度キープし、外観も維持できるマンションは家賃の下落幅が低い傾向があります。
そのため最終的な家賃収入額は非常に高くなる傾向があるのです。

高稼働が見込める

先述したように、マンションには高性能な住居に住みたい層から一定の需要があります。
そのため立地さえ間違えなければ、ほぼ常時満室の状態で稼働し続けられるのです。
アパートは同条件の安い物件同士で取り合いになりがちですが、マンションは需要が高い層が限られているので、いつでも相場前後の家賃収入が期待できます。
もちろん空室が発生するリスクは考慮して経営を検討するべきですが、このリスクが圧倒的にアパートより低いのです。
高稼働により非常に安定した経営が可能なのは、マンション経営の大きな魅力でしょう。

耐用年数が長い

鉄骨や鉄筋コンクリートで建築されるマンションは、木造アパートと比較し圧倒的に耐用年数が長いです。
こちらでも解説していますが耐用年数が長いほど長期のローンを組めるので、負担のない資金計画が立てられるでしょう。
また耐用年数が長いと、高い資産価値を長期的にキープできます。
資産価値がキープできるということは、将来的にマンションを売却して利益を得ることも可能ということです。
ローンをある程度払い終えるまで継続的に家賃収入を得つつ、最後には売却益で老後資産を獲得することを想定した経営もできます。
木造アパートで売却益を得ることはほぼ不可能なため、この点は圧倒的にマンションが有利と言えるでしょう。

高層建築が可能

木造アパートが2階建てまでなのに対し、鉄骨・鉄筋コンクリート造などのマンションは3階建て以上の建築が可能です。
同じ面積の土地でも階層を上げることで戸数を増やせるので、少ない土地で多くの家賃収入を得られます。
建築費用はマンションの方がかかってしまいますが、その点を加味しても高層化して家賃収入を増やした方が圧倒的にお得です。
先述したようにマンションはアパートよりも高稼働が見込めるので、利回りをしっかり計算しておけば収入>費用の構造をアパートよりも容易に作れます。
特に駅近くや都心部など地価の高い地域では、土地の購入費用を抑えつつ最大限の収入を得られるマンションはアパートよりも有利と言えるでしょう。

マンション経営を失敗させない方法!マンション経営の極意を一挙に紹介!

マンション経営を失敗させないために、あらかじめ押さえておきたい「マンション経営の極意」が4つあります。

  1. マンションの立地を見極めること
  2. マンションの物件タイプを考えること
  3. 新築マンションか中古マンションかを利回りで考えること
  4. マンション経営を考えたら企業からプランを取り寄せること

それぞれ詳細に解説します。

マンションの立地を見極める!

マンションで大きな収入を得られるかどうかは、立地による影響が非常に大きいです。
以下の6つのポイントを押さえて、マンションを立てる立地を決めましょう。

  • 生活用品が買える施設が近くに充実している
  • 周辺の環境がよい(犯罪率が低いなど)
  • 近くに駅やバス停がある
  • 人気・知名度が高い
  • 人口が徐々に増えている
  • 周辺のマンションの入居率が高い

周辺の利便性が良くない場合、なかなか入居者が集まらない事態になり得ます。
収入を維持するためには入居者を集めて空室を少なくすることが最重要なため、この状況ではマンション経営は失敗と言えるでしょう。
利便性を確保するためには、以下の施設がほぼすべて徒歩10分圏内にあるかを確認しておくのがおすすめです。

  • 小・中学校
  • スーパー・コンビニ
  • ドラッグストア
  • バス停
  • 病院
  • 市役所

また現状収入が多く利回りが良くても、今後人口の減少および流動により需要が落ちてしまう可能性があります。
需要が落ちれば当然空室が増えてしまうので、収入が減るリスクまで加味しなければいけません。
特に地方の郊外地域など人口の流出が激しい地域では、現状の収入を維持できないリスクが高いでしょう。
こうした人口の流動は、総務省から5年ごとに発表される国勢調査結果により確認できます。
直近で行われた2020年の国勢調査によると、人口の増加トップ5・減少ワースト5では以下のような結果が出ているので参考にしてください。

2015年~2020年間の人口増減 市町村名
人口が増加した 東京都特別区部(東京23区)
福岡県福岡市
神奈川県川崎市
大阪府大阪市
埼玉県さいたま市
人口が減少した 福岡県北九州市
新潟県新潟市
長崎県長崎市
福島県いわき市
北海道函館市

(参考:総務省「令和2年国勢調査 人口速報集計 結果の要約」)
 
関東、関西の都市部では人口が増加していますが、北海道、東北、九州などの地方では全体的に人口が減少傾向にあります。
ただしその中でも東北でいう仙台、九州でいう福岡など、地方都市においては人口が増加しているのはひとつのポイントです。
基本的には人口増加地域を狙ってマンションを建てましょう。
また各都道府県のホームページでは、より詳細な人口推移を確認できるので、実際に経営を検討する前には必ず確認してみてください。
リスクを加味しつつ、収益が費用を上回る構造を作れるかは最大の課題です。
周辺のマンションの入居率が高く、現時点での空室発生リスクが低いことも確認しつつ、マンションの立地を決定していきましょう。

マンションの物件タイプを考える!

マンションには2つの物件タイプがあり、初期費用や収支を加味して自分に合ったものを選ぶのがポイントです。
マンションの2つの物件タイプと、それぞれの特徴やメリット・デメリットは以下の通りです。

物件タイプ 特徴 メリット デメリット
一棟マンション マンション1棟をまるごと建築or購入する ・空室リスクが低い

・高収入が期待できる

・経営の自由度が高く、満足度を上げやすい

・土地はずっと財産化できる

・資金負担が大きい

・経営をやめたくても手放しにくい

・市場の動向や周辺地域の変化を受けやすい

・事件・事故が起きると入居者が一気にいなくなる可能性がある

区分マンション 分譲マンションの1室のみを購入する ・資金負担が少ない

・管理の手間がかからない

・不要になってもすぐに手放しやすい

・空室発生時のリスクが非常に高い

・自分で設備改善できる部分が限られる

・収入が少ない

一棟マンションは高収入が期待でき、空室が発生した際の収入源のリスクが小さいですが、市場の動向や地域の変化により大ダメージを受ける可能性があります。
万が一マンション内で事件・事故が発生してしまうと、イメージダウンによりその後の家賃収入が大きく減ってしまい、経営が立ち行かなくなるリスクもあるので覚悟が必要です。
とはいえ経営の自由度は圧倒的に高く、自らの手腕により入居者の満足度を格段に上げられます。
土地は最終的に財産として必ず残るので、最低限の資産価値をキープできるのもポイントです。
またすでに土地を持っている方は多額の相続税控除を受けられるので、迷わず一棟マンションを選んだ方が良いでしょう。
 
これに対し区分マンションは、いわゆる「ローリスク・ローリターン」の経営方法です。
負担・手間はかからず、やめようと思えばかなり早い段階でマンションを手放せます。
その代わりに根本的な家賃収入が少ないので、一棟マンションのような高い収益性は見込めないでしょう。
資金に余裕があるなら、区分マンションで経営の練習をしてから、一棟マンションの経営にチャレンジするという手もあります。
人口増加地域の区分マンションを上手く所有できれば、需要の増加により購入金額よりも売却金額が高くなり、売却益を得ることも可能です。
マンションは所有から満5年経過時点で売却時の所得税額が大きく下がるので、5年スパンで考えた区分マンションの経営からチャレンジしてみるのも良いでしょう。

新築マンションか中古マンションかを利回りで考える

マンション経営を検討する際、非常に重要な一つのポイントが「新築マンション」と「中古マンション」どちらを購入するかということです。
投資物件の広告に表記される利回りは、圧倒的に中古マンションの方が高い傾向があります。
この利回りはあくまで「表面利回り」です。多額の修繕費・リフォーム代金がかかるため、実質利回りはこの値よりもかなり低くなります。
それぞれのマンションにかかる費用をしっかりシミュレーションし、実質利回り3%以上を目安に到達できるかを確認して考えてください。
 
また中古マンションの場合はすでに入居者がおり、いままでに運営された実績があるので、非常に低いリスクで始められる点は大きな魅力でしょう。
ただしさらに築年数を重ねるごとに人気が下がり、家賃を下げざるを得ないケースも多々あります。
中古マンションはスタート時のリスクは低いですが、最終的にはかなり「ハイリスク・ハイリターン」となることを覚えておきましょう。
 
新築マンションの場合は自然災害でも発生しない限り、5年ほどは修繕費用がほとんどかからないのがポイントです。
初期の段階から修繕積立金をスタートできるので、計画的に修繕・リフォームを行えるというメリットもあります。
その代わり経営を1からスタートするため、思った以上に入居者が集まらないなどのリスクも考えられるでしょう。
表面利回りに惑わされず、それぞれメリット・デメリットと実質利回りを考慮した新築・中古マンション選びが重要です。
利回りを確保し収益が得られるマンションを経営しましょう。

マンション経営を考えたら企業からプランを取り寄せる

マンション経営を検討する場合は、まず複数の企業から経営プランを取り寄せてみましょう。
各社の経営プランには意外なほど大きな差があるので、しっかり比較検討することが重要です。
経営プランに示される項目は、主に以下のようなものがあります。

  • 建築・購入にかかる費用感
  • マンションの工法や完成図
  • ランニングコスト
  • 収支計画
  • 経営のメリット
  • 経営におけるリスク

建築・購入にかかる費用感やマンションの工法・完成図といったごく基本的な部分から、表面的なランニングコストまでは各社とも記載している傾向があります。
ただし具体的な収支計画がなかったり、経営におけるリスクが詳細に説明されていない場合が意外と多いのです。
実際に経営をスタートしてからサポートを受けるためには、企業がマンション経営に関するノウハウを持っているかが非常に重要となります。
そのため非常にプランに具体性があり、現実的に収益が出せそうな企業に任せる必要があるでしょう。
表面利回りや、まるで概算のようなランニングコストに振り回されず、綿密な提案とサポートを受けられる企業のプランを選択してください。

マンション経営を相続する流れ!いざというときにしっかり行動できるように押さえよう!

リスク

両親がマンションを経営していた場合、いずれ経営を相続するタイミングが来るかもしれません。
いざというときに焦ることのないよう、相続時のポイントはしっかりと押さえておきましょう。
具体的に押さえておくべきポイントは以下の7つです。

  1. マンション経営の相続の手順
  2. ローン残債の評価方法
  3. 次期オーナーの決定方法
  4. 相続後の収益の分割方法
  5. 相続時の名義変更方法
  6. 入居者への連絡事項
  7. そもそも経営を継続するかの判断

それぞれのポイントについて、個別に詳しく解説します。

マンション経営を相続するにあたっての手順を紹介!

マンション経営を相続する際は、以下の手順で進めていきましょう。

  • 遺言書の有無を確認する
  • マンションを含む財産額を確認する
  • 相続人全員で遺産分割協議を行い、新たなオーナーを決定する
  • 相続登記(名義変更)の手続きをする
  • 入居者にオーナーの変更を連絡する
  • マンションの経営を継続するか判断する

遺言書、財産額の確認を除く手順については記事内でこの後詳しく解説します。
 
まずはじめに確認すべきことは遺言書の有無です。
遺言書が見つかった場合には、遺言書に記載されたとおりにマンションを含む遺産が分割されます。
遺言書には以下の2種類があるので、それぞれ確認してみましょう。

遺言書の種類 保管場所 備考
公正証書遺言 公証役場
自筆証書遺言 法務局または自宅 家庭裁判所で検認するまでは開封してはいけない

公正証書遺言は公証役場で、自筆証書遺言は法務局で有無を確認できます。
ただし自筆証書遺言については、自宅保管していた場合遺品から探す必要があるので注意してください。
また自筆証書遺言は発見した時点で開封してはいけません。
必ず家庭裁判所で検認してもらい、内容を確認しましょう。
 
遺言書があった場合はその通りに相続すればいいですが、なかった場合には「遺産分割協議」をして誰がマンションを相続するか決定する必要があります。
マンションを含む財産に何があるか洗い出し、その後の手続きを進めてください。
またマンションにローンの残債がある場合は、そちらも加味しなければいけません。
この点については次の項で詳しく解説します。

ローン残債が大きなポイント?マンション経営を相続する際のローン残債の評価とは?

相続時点で、まだローンが完済されていない可能性があります。
マンションにローンの残債があった場合、相続人全員で法定相続分の金額を負担することになっているため、マンションを相続する際には、真っ先にローン残債の有無を確認しましょう。
ローン残債がある状態でマンションを相続した場合、ローンも相続するため残債を支払い続けなければいけません。
とはいえマンションの新しいオーナー以外の相続人が、ローンだけを負担するという構図は現実的ではなく、一般的には新しいオーナーがローンの残債を事実上引き継ぐ格好になるでしょう。
新しいオーナーがローンの残債を引き継ぐためには、以下の2つのことを済ませる必要があります。

  1. アパートローンの「債務引受契約」を金融機関と締結する
  2. アパートローンの「債務者変更登記」を司法書士に依頼する

各金融機関にある「債務引受契約書」を作成し、金融機関の窓口へ提出しましょう。
ただしこの債務引受には所定の審査があり、返済能力がない場合は認められません。
その場合は別の保証人を立てるなどの必要が出てくるので、随時対応してください。
その後の債務者変更登記は司法書士に依頼する必要がありますが、一般的には金融機関で紹介してくれるので自分で司法書士を探す必要はありません。
これらの手続きは次の項で解説する「遺産分割協議」が終わり、新しいオーナーが決まった段階で早めに行いましょう。
稀にローンの金額が多かった、別途多額の借金があったなどの理由で、誰も相続をしたがらないケースがあります。
ローン、借金などの負債は、誰か1人でも遺産を相続する場合にはすべて引き継がれるので注意が必要です。
このケースでは相続者全員でしっかり協議のうえ、全員で相続放棄をすることも視野に入れましょう。
ただしローンに連帯保証人が立てられていた場合には、ローンの相続放棄は不可能な点も覚えておいてください。

また相続人にローン残債をそのまま引き継がせてしまうのを防ぐために、被相続人が「団体信用生命保険(団信)」に加入している場合があります。
この場合はローン残債が0になり、相続人の支払い義務は一切なくなります。
ただし相続されたマンションが満額固定資産化し、相続税が非常に高くなるので注意が必要です。
誰がオーナーになるかをしっかり決めよう!遺産分割協議でマンション経営のオーナーを決定!
ローンの残債を確認したら、遺産分割協議で誰がマンションを引き継ぐのか決めましょう。
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産をどのように分けるか話し合うことです。
相続人には以下の人が該当します。

  • 被相続人の配偶者
  • 被相続人の子供
  • (子供がいない場合)被相続人の父母、祖父母
  • (父母、祖父母もいない場合)被相続人の兄弟姉妹

ただし相続人が1人だけの場合にはこの協議は必要なく、そのままその人が相続することになります。
また遺言書がある場合にも、基本的に遺言書の内容に沿って相続が行われるためこの協議は不要です。
相続におけるマンションの分割方法には以下の4つがあります。

分割方法 特徴
現物分割 マンション、預貯金、車など資産別に遺産を分ける
代償分割 1人がマンションを相続し、本来分割した場合に発生する相続分の金額を他の相続人に支払う
換価分割 マンションを売却し、売却益を相続人で分ける
共有分割 マンションを相続人の共有名義で相続する

マンション経営を相続する場合には、単独で相続できる「現物分割」または「代償分割」の手段を取るのが一般的になります。
またそもそも経営を相続する気がない場合は、換価分割を選択するのがベターです。
共有名義のマンションにしてしまった場合、売却や修繕などの活動に共有者全員の同意が必要になります。
単刀直入に言うと経営が困難になりトラブルに発展するので、いずれかの方法で単独名義の相続を行いましょう。
なおこの遺産分割協議で決定した相続内容は、全て遺産分割協議書を作成しまとめてください。
遺産分割協議書が、正式にマンションが相続人のものになったことの証明になります。

マンション経営の収益をしっかり分割!相続発生後の家賃収入は法定相続分通りに分割に!

相続の発生(=被相続人の死亡)が発生してから遺産分割協議が完了し遺産分割協議書が作成されるまでの間、マンションは相続人の共有財産扱いとなっています。
そのため相続発生から遺産分割協議の完了までの間に発生した家賃は、相続人全員の収入となり、法定相続分の通りに分割する必要があるのです。
法定相続分は以下のように定められています。

相続人 法定相続分
配偶者・子供 配偶者1/2、子供全員で1/2
配偶者・直系尊属 配偶者2/3、直系尊属全員で1/2
配偶者・兄弟姉妹 配偶者3/4、兄弟姉妹全員で1/4

表の上から順に優先度が高く、配偶者は相続人として固定とし、子供がいない場合は直系尊属(被相続人の父母・祖父母)、直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が相続人となります。
(参考:国税庁「相続人の範囲と法定相続分」)

必ず法定相続分にしたがって家賃収入を分割しましょう。
実際に平成16年に発生した「預託金返還請求事件」の裁判では、相続開始から遺産分割までの間に発生した債権は相続分に応じて分割されるとの判決が下されました。
(参考:裁判所「預託金返還請求事件」)
よくある間違いは相続人が賃料をすべて持っていき、独り占めしてしまうケースです。
このケースは相続人同士で、不当利得金請求や損害賠償請求といった民事訴訟手続を引き起こす火種になり得ます。
相続人全員の合意がある場合を除き、相続発生後の家賃収入は法定相続分通りに分割するよう法的に定められています。
必ず家賃収入はルール通りに分割し、円滑に相続手続きを進めていきましょう。

マンションの登記を被相続人から相続人に名義変更し(相続登記)、マンション経営の相続を!

マンションを相続する際には、「所有権移転登記」(相続登記)を行い、名義変更をしなければいけません。
名義は遺産分割協議で決定した新しいオーナーに変更します。
以下の必要な書類を揃えて、在住地域の法務局へ提出しましょう。

書類名 取得場所
相続人全員の戸籍謄本 役所
相続人全員の印鑑証明書 役所
相続人全員の住民票 役所
被相続人の戸籍謄本、除籍謄本など 役所
被相続人の住民票 役所
マンションの固定資産税評価証明書 役所
マンションの登記事項証明書 法務局
遺産分割協議書 遺産分割協議時に作成

※遺言書がある場合、相続人が1人しかいなかった場合は不要

相続のパターンによっては、これ以外の書類が必要になるケースがあるので注意しましょう。
マンションの固定資産税評価証明書は、法務局のホームページでオンライン請求するのが便利です。
書類を揃えたら「登記申請書」を作成し、あわせて提出します。
登記申請書には登録免許税の金額を記載しなければならないので、以下の式で計算された金額を記載してください。

  • マンションの固定資産税評価額 × 0.4%

登録免許税は税額分の収入印紙を購入し、印紙を貼付・割印した紙を登記申請書と一緒に提出することで支払います。
名義変更には特に期限が定められていませんが、相続税の申告期限は10か月以内と定められているため、その前には完了させておくべきでしょう。
もし名義変更をせずに放置してしまうと、次の相続の際にトラブルが発生したり、名義変更しようと思ったタイミングで書類が用意できず変更不可となってしまうケースがあります。
さらに次の世代に相続できるはずのマンションを、相続放棄しなければいけない可能性も十分にあり得るのです。
 
とはいえ名義変更にかかる書類の取得や、登記申請書の作成が非常に煩雑だと感じる人もいるでしょう。
こうした手続きをほぼすべて代行してくれる司法書士のサービスもあります。
司法書士のサービスを利用すれば、一般的に印鑑証明書の取得と、指示された書類への記名・押印のみで名義変更が可能です。
10万円前後から依頼できるので、手続きが億劫な方は依頼してみてください。

マンション経営は入居者ありき!マンションの入居者にしっかり連絡しよう!

マンションのオーナーが変更された時点で、なるべく早く入居者にオーナーが変わったことを伝えましょう。
オーナーが変わったからと言って、入居者に迷惑をかけるわけにはいきません。
入居者には最低限、以下の2つを伝えてください。

  • 変更後のオーナー窓口、連絡先
  • 新たな家賃の振込口座

入居者がいつでも連絡を取れるよう、変更後のオーナーの連絡先を早急に伝えましょう。
新たな家賃の振込口座を伝え、停止した被相続人の口座に振り込まれることのないよう注意してください。
またオーナーの変更により賃貸借契約書の賃貸人も変わるため、基本的には賃貸借契約書を締結し直した方が望ましいです。
できれば挨拶を兼ねて再契約をお願いしに行きましょう。
困難な場合は管理会社に委託しても問題はありません。

マンション経営を継続するかどうかもこのタイミングでしっかり検討!

相続のタイミングで、そもそも引き継いだマンションの経営を継続すべきかどうか検討しましょう。
マンション経営には記事内で紹介したように安定的・長期的に収入が得られるという大きなメリットがありますが、それはあくまで空室がほとんどなく、健全な経営ができていた場合です。
以下の3つのケースにあてはまる場合は、マンションの経営を継続しても差し支えないといえます。
 
今までの経営状況が安定していて、今後も収益が出る見込みがある
現在も立地がよいか、再開発により人口が増加する可能性がある
不動産投資をした経験がある
 
相続の段階で経営状況が安定しており、安定して収益が出せている場合には、そのまま経営を引き継ぐことを第一に考えた方が良いでしょう。
また相続時点で収入と費用のバランスがほぼ等しい場合でも、マンションがある地域に再開発の予定があれば経営を継続するメリットは大きいかもしれません。
再開発により地域が発展すれば、需要が高まりさらなる家賃収入が期待できます。
また自身で不動産投資をした経験があれば、そのノウハウを活かした経営が可能でしょう。
 
逆に以下の3つのケースにあてはまる場合は、経営はやめて売却を検討した方が良いかもしれません。

  1. 空室率が高く、改善に多額の費用がかかる見込みである
  2. 築年数がかなり経っている
  3. 貯蓄があまりない

相続時点で空室率が高く、改善するために大規模な修繕やリフォームが必要な場合は、費用をかけずにそのまま売却した方が良いケースが多いです。
修繕・リフォームの費用を、増加した収入で賄えない可能性があります。
そもそも空室率が改善せず、費用だけかけて終わってしまうリスクもあるでしょう。
また築年数がかなり経っている場合は、かなりの修繕費がかかるため収益性が良くない場合があります。
修繕積立金が用意されていれば問題はないですが、そうでない場合は自身の預貯金から捻出する必要があるため、かなりの貯蓄がないと対応は不可能です。
数百万円程度の貯蓄がない場合は、経営時に発生するリスクを対処できない可能性があるので、経営を継続するのはやめた方が良いかもしれません。
ご自身の状況やマンションの収益状況を加味し、経営継続の判断をしてください。

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今回はマンション経営の基礎知識や、経営を成功させるために押さえておくべきポイントを解説させていただきました。
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このコラムを書いている人

新田 知也

新田 知也

2015年 株式会社FGH入社 静岡県出身 不動産仲介営業、マーケティング戦略、DX戦略、当社独自サービス「投資スケルトン」開発の経験を経て、2021年にマーケティング部を立ち上げ。 2022年4月 同社執行役員に就任。 リアルとデジタルの融合をテーマに様々なコンテンツの企画、プロデュース、ディレクションを担当。お客様に「驚き」と「感動」をお届けいたします。

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