ローン残債のあるマンションでも売却できる?売却益によるローン返済方法の違いも徹底解説!

公開日2023/03/09
更新日2023/04/25

「マンションを売却したいけど、住宅ローンが残っている。」

このようにお困りの方はいませんか?

一般に住宅ローンが残っているとマンションを売れないと思われがちです。しかし、マンションの売却益で残ったローンを支払う方法もあります。

この記事では①マンションの売却益がローン残債を上回る場合と、②下回る場合に分けてマンションの売却方法を解説いたします。ローン残債があるマンションを売却したい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

ローン残債のマンションでも売却可能か

結論から言うとローン残債があるマンションでも売却可能です。

しかし、そのままの状態では売却できず、まずはローンを完済して抵当権を外す必要があります。

 

抵当権とは債務者(マンション購入者)が債務不履行(ローン返済不可)となった場合に、債権者(銀行などの金融機関)が売却して債務を回収する権利のことをいいます。一般的には「担保」と呼ばれているものです。

他に担保にできる資産がない場合、通常は購入するマンションそのものが担保になります。そのため、債権者は債務者が購入するマンションに抵当権を設定することになるのです。

 

それではなぜ抵当権を外す必要があるのでしょうか?

例えば、抵当権がついたままのマンションをあなたが購入したとします。前オーナーは引き続きローンを返済しますが、債務不履行となった場合はあなたの住んでいるマンションが差し押さえられてしまいます。

このため、抵当権がついたマンションは売却できないのです。

 

マンション売却時にローン残債を一括返済するアンダーローン

売却査定

マンションの売却益がローン残債より高い場合を「アンダーローン」といいます。売却益でローンを一括返済できるため、金銭的なデメリットはありません。

しかし、売却益はそのまま手元に残りませんので注意してください。マンション売却には次のような諸経費(一部税金)がかかります。

 

表1 マンション売却にかかる諸経費(一部税金)

項目 金額 引用元
仲介手数料 売却金額の

・200万円以下の部分 5.5%

・200万円を超え400万円以下の部分 4.4%

・400万円を超える部分 3.3%

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
印紙税 売却金額の

・500万円を超え、1,000万円以下:5,000円

・1,000万円を超え、5,000万円以下:10,000円

・5,000万円を超え、1億円以下:30,000円

No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
登録免許税 不動産1個につき、1,000円 抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税
司法書士費用 42,000円〜64,000円程度 報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)
繰上げ返済手数料 0円〜33,000円程度

※インターネットで手続きをすれば手数料無料

ご利用中の契約内容変更の手数料一覧

 

諸経費を十分考慮して、売却益でローンを完済できることを確認しましょう。

 

自己資金でローン残債を補うオーバーローン

マンションの売却益がローン残債より安い場合を「オーバーローン」といいます。

この場合マンションの売却益だけではローンの一括返済はできず、自己資金(預貯金や親族からの借り入れ)を充当する必要があります。

 

自己資金でローン残債を補えない場合は任意売却

ローンを一括返済できる現金を用意できない方もいらっしゃるでしょう。その場合は「任意売却」という方法があります。

 

・任意売却のメリット

任意売却そのもののメリットというよりは、よりフェーズが進む「競売」(詳細は後述)と比べたメリットとなります。

任意売却は表向きは普通の売却と変わりません。売却価格(売出し価格)は一般の売却と変わらないうえ、競売のように住所や氏名が公開されることもありません。

 

・任意売却のデメリット

「任意売却」はローン返済が不可とみなされた債務者が、債権者の許可を得てマンションを売却する行為。家賃を滞納しているなど、金銭的に困窮している状態である必要があります。

そのような状態の場合、任意売却に至る過程(ローンを一定期間滞納)で金融事故として扱われます。そのため、信用情報機関が管理する金融事故リスト(いわゆるブラックリスト)に氏名が掲載されてしまいます。

そうなると新たな借り入れができなかったり、新たなクレジットカードを作れない(契約できない)状態となることを覚えておきましょう。

 

・任意売却の流れとスケジュール

任意売却は次のような流れで進みます。

 

表2 任意売却の流れとスケジュール

家賃を滞納してからの月数 起こること/タスク
約3〜6か月 ・債権者(銀行)から督促状が届く
約6〜9か月 ・債権者から任意売却の許可をもらう

・任意売却の手続きをすすめる(査定、媒介契約、内覧対応)

約7〜10か月 ・売買契約を締結する

 

任意売却で大切なことはいかに早く高く売るか?ということです。そのため、売却開始時に不動産会社と結ぶ媒介契約が要点となります。媒介契約の種類と特徴を次に示します。

 

表3 媒介契約の種類と特徴

専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
自身で見つけた買主への売却 不可 可能 可能
他の不動産会社への依頼(重複依頼) 不可 不可 可能
不動産会社から売主への報告義務 1週間に1回以上 2週間に1回以上 報告義務なし
契約の有効期間 最大3か月 最大3か月 有効期間なし

※ただし、行政の指導により最大3か月の場合がある

 

一般媒介契約は広く販売活動ができますが、不動産会社とのやりとりが多くなり売主の負担も大きいのが特徴。反対に専属専任媒介契約では不動産会社一社にすべてを任せることになるので、売り主の負担は比較的低くなっています。

売却ができないマンション例

任意売却はオーバーローンになった方を救済する措置ですが、必ず適用できるわけではありません。債権者の許可が下りない場合には任意売却ができません。しかし、それ以外にも任意売却ができないケースがあります。

 ・共同所有者の許可が下りない

 ・税金の滞納などでマンションを差し押さえられている

 ・任意売却をしても買主がいない

マンション所有者の名義が売主以外にいる場合は、家族であっても許可が必要です。

また、税金などの滞納のため差し押さえられている場合も売却できません。この場合はまず自治体に相談しましょう。

最後のパターンは任意売却をしても買主がいない(売れない)状況です。この状況が続くと、いずれ裁判所により競売にかけられてしまいます。競売にかけられると売却価格が市場価格の5割〜7割となるばかりでなく、売主の氏名や住所が公表されてしまいます。

 

マンション売却後の確定申告

マンションは売却(引き渡し)したら終わりではありません。確定申告についても解説いたします。

・売却益がある場合

売却益がある場合は譲渡所得税がかかるため、確定申告の必要があります。申告の期限を過ぎたり、申告しなかった場合は脱税とみなされる場合がありますので注意してください。

 

・売却損がある場合

売却損がある場合は、マンションの売買に税金はかかりません。そのため、確定申告は不要です。

 

まとめ

 

この記事ではローンが残っているマンションの売却について述べました。

アンダーローンの場合は、諸経費を確認した上で売却すれば持ち出しはありません。また、アンダーローンでも売却益と自己資金でローンを一括返済できる場合は問題ありません。

アンダーローンで残ったローンを一括返済できない場合には任意売却を検討しましょう。しかし、信用保証期間のブラックリストに氏名が載るため注意が必要です。

任意売却できない場合には、競売にかけられて市場価格より安く売られてしまいます。そうなると売却しても経済的なメリットが小さくなってしまいます。

まずはご自身が所有するマンションの査定金額を調べて、アンダーローンになるのかオーバーローンになるのか判断しましょう。また、法律や制度の解釈に困ったときは税理士など専門知識のある方に相談することをおすすめします。

また、いざ売ろうと思ったときに売れない!というようなことにならないためにオーバーローンや不法なローンをあらかじめ避けることが重要です。
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このコラムを書いている人

新田 知也

新田 知也

2015年 株式会社FGH入社 静岡県出身 不動産仲介営業、マーケティング戦略、DX戦略、当社独自サービス「投資スケルトン」開発の経験を経て、2021年にマーケティング部を立ち上げ。 2022年4月 同社執行役員に就任。 リアルとデジタルの融合をテーマに様々なコンテンツの企画、プロデュース、ディレクションを担当。お客様に「驚き」と「感動」をお届けいたします。

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