揺れ動く中国の不動産業界

公開日2021/11/06
更新日2021/11/06


今、中国の不動産業界が揺れています。
TPP加盟申請や新疆ウィグル自治区、仮想通貨禁止、ネットゲーム規制と話題に事欠かないお隣の大国で、「はじけないバブル」と言われていた不動産業界に異変が表れています。
 

■ 房地産

                   
不動産開発大手の恒大集団を筆頭に、佳兆業集団、新力控股、当代置業などの大手不動産会社が、社債の償還ができない可能性があると連日メディアで話題になっています。
そもそも、中国では土地を購入して所有することは許されておらず、あくまで土地は“国のもの”であり、使わせていただいているというスタンスで、使用権を得ているに過ぎないのです。
 
中国の不動産取引においては、期限が70年の土地使用権と所有権のある建物を併せて購入します。土地の価格と需給は政府がコントロールできることになるので価格は安定させられますが、一部の地域ではバブルと言われるほど価格が高騰していました。
政府の調整という保険をきかせて、さまざまな需要で活況を続けてきた業界ですが、ここにきて大手不動産会社が販売物件の値引き合戦、相次ぐ格下げ、デフォルトの危機などが続き、日々の新聞で中国不動産の記事を目にしない日はありません。そしてこれらの要因は、いくつも存在するようです。

■ 教育熱

                   
「学区房」といわれる厳格な学区制が敷かれている中国で子供を名門校に通わせるには、その「学区房」に親が住宅を所有する必要があります。おかげで有名小中学校が集まるエリア周辺のマンション価格は高騰、値上がり確実とされた学区房に投機目的の購入者が参入し、社会問題になりました。
ところが今年、政府の教育改革の一つ、学区制の拡大と校長や教師の定期異動制で、学区房の存在価値が薄れ「名門校バブル」がはじける結果になりました。

■ 理財商品

                  
銀行で融資を受けられない借手に高利回りで貸し付けた債権を「理財商品」として、シャドーバンクといわれる金融機関が投資家に販売します。おもな債務者である地方政府や企業は不動産開発事業を行っており、その返済が滞らなければ高利回り運用ができます。
 
例えば、今回話題になっている中国恒大集団の場合、シャドーバンクを通しての借り入れや自ら販売した「理財商品」で集めた資金でレバレッジをきかせ、更に不動産値上がりによるバランスシート上での時価総額増大で信用を勝ち取り、電気自動車事業やプロサッカーチームなど、さまざまな分野に投資を広げていきます。
ところが昨年、大手不動産会社に対する中国人民銀行による守るべき財務指針「3つのレッドライン」をクリアできないことから銀行融資を受けられず資金が枯渇し、デフォルトの危機に陥っています。

■ まとめ

                   
政策に大きく左右される中国不動産業界の今後の動きについては、専門家の憶測が錯綜しています。
このまま何事もなく収束してくれるに越したことはないですが、すでにドル建て社債償還などの影響が出始めています。
 
万一、日本のバブル崩壊やアメリカのリーマンショックに匹敵するような事態が中国でおきたとき、日本の不動産業界、ひいては世界経済への影響はどのようなものになるでしょうか。
大国を維持するのは大変なことです。チャレンジすることで人は多くを学び、飛躍的に成長します、同時にチャレンジする姿勢は仲間に勇気を与えます。アクティブにチャレンジする大国の動向に注視しましょう。

このコラムを書いている人

石倉 直樹

石倉 直樹

1973年大阪生まれ、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級FP技能士、好きなキャラクターはねり丸、エルちゃんカルちゃん、昨年94年の歴史に幕を閉じたとしまえん、たくさんの思い出をありがとう。

関連する記事